喫茶Y

『Y定食』『カレーライス定食』
(大阪府大阪市北区茶屋町)

喫茶Yのすぐ隣、毎日放送

大阪の「喫茶Y」は知る人ぞ知る、「すごい喫茶店」だ。知らない人は全く知らないのだろうが、知ってる人にはあまりに有名すぎるのでここで説明するのが面倒くさい。

・・・それくらい、このお店はインパクトがある。出された全てのおかずにおいて原則「おかわり自由」となっており、お店のおばちゃんがあれこれ勧めてくるのだ。食べ放題とはちょっと違うが、「おかわり放題」のお店、と言える。もちろん、おかわりはお店の善意であり、それを明確にメニューに謳っているわけではない。

Y定食、カレー定食などがこのお店の定番とされているが、お値段は700円。梅田駅からほど近いという好立地なのにこの値段設定はまず安い。にもかかわらず、この定食で5,6品程度のお皿が毎回並ぶという。ちなみに、出てくる料理はその日(その時間)によって違うといい、ある時はサンドイッチが出てきたり、ある時はカレー定食でもないのにカレーが出てきたりするらしい。しかもその量が半端ではなく、目玉焼きだったら玉子が6個くらい入っているような代物だし、サンドイッチはパンを一斤使っている超巨大な一品が「一人前」として供される。店をきりもりしているおばちゃんの気まぐれで営業しているようなものだ。

はっきりいって、尋常ではない。学生街にこのようなお店があるのだとすれば、まだ何となく収まりが良いのだが、大阪のビジネス街にこのような店が存在するというのはにわかには信じられない。

一説によると、おばちゃんがビルのオーナーであり、節税対策も兼ねて赤字覚悟出血大サービスの道楽をやっているという。根も葉もないうわさだし実際そのようなことは無いらしいが、そんな話をまじめに考えてしまうくらい、この店は気前が良い。

今回、私は大阪出張の機会に恵まれた。打ち合わせは夕方からだったので、お昼の飛行機で羽田空港を飛び立ち、伊丹空港から直接このお店に向かった。

地図を片手に、梅田駅から歩くこと数分。良心的な値段と盛りの店というのは、大抵不便なところにあるものだがここは違った。ロフトを通り過ぎ、毎日放送を見上げながら歩いていたら、あっという間に目標の鶴野町北交差点に到着してしまった。うわ、交通至便。

唯一のテナントである喫茶Y

ここが、うわさの喫茶Yがある豊崎ビル。お、確かにテナントとして「Y」という文字が見える。というか、喫茶Yしかテナントとして入っていないらしい。何だかとても寂しいが、こんな一等地なのにどうしてだろう。

※豊崎ビルは再開発のため取り壊しとなり、現在、喫茶Yは近所に引っ越ししています

メニュー(1)
メニュー(2)

歩道にメニューが掲示されていたので、さっそく物色してみた。

※写真をクリックすると拡大します

カレーライス定食700円。おー、あったあった。これがうわさのやつだな。その下にはY定食700円。あと、ずらっと定食が並んでいて、一見なんの変哲もない。ランチメニューも充実している喫茶店、という感じだ。

ただ、よく見ると「?」というものにもでくわす。

カレーライス定食700円はいいとして、「おにぎり定食」900円。おにぎり定食が一体どのようなものかは分からないが、それにしても価格設定がなんだか変だ。さらに、「ベーコンエッグ・ライス付き」が800円。これも何だか微妙な価格設定だ。そしてカツ定食900円。ベーコンエッグとカツは100円差しかないのか。世間一般的に考えられている料理の価格設定というかヒエラルキーに逆らっているっぽいのが、何となくこの価格構成で垣間見える。

恐らく、通な人はこういうメニューを見ただけでピンときて、「ははーん、ここは何かやらかしてくれるな」ということに気づくのだろうが、私レベルではきっと何も気づかない。このお店が非常に希有な存在である事を事前に知っているからこそ、メニューの時空がゆがんでいることに気づく。

なんだかちょっと不気味な地下街入口

頭の中でひととおりこれから起きることのシミュレーションを済ませたのち、大きく息を吐いて豊崎ビル地下街に突入。・・・地下街といっても、喫茶Y一軒しかないのだが。

地下に潜ると、そこは迷路のように道が入り組んでいた。右へ、左へとくねくねと廊下が曲がる。なぜまっすぐにできなかったのか、と不思議だ。テナントが一軒も入っていない地下フロアなので、壁の中を歩いていく。遊園地にある大迷路と一緒だ。ところどころ、喫茶Yの案内看板があるので道に迷うことはない。が、何だか「秘密指令」を受けて目的地に向かっているスパイの気持ちになる。

そんな迷路の一番奥の行き止まりに、なにやらごちゃーっといろいろな物が密集している一角があった。そこが、喫茶Y。昼時には行列ができるのだろう、廊下には待ち客用の椅子が並べられていた。訪れたのは14時前だったので、お客さんはほとんど居なかった。

ごちゃーっとしているのは椅子のせいだけではない。おばちゃんの趣味なのだろう、壁にはお店に訪れたいろいろな人の写真やら名刺がたくさん貼られており、狭い店内にもかかわらず情報量は尋常でなかった。店内の情報を一つ一つ収集していくと、きりがない。

これだけテナントに空きがあるのに、店は非常につつましやかなサイズ。幅が狭く、うなぎの寝床・・・にもなっていない奥行き。二人がけの席を壁に押しつけるように配置し、かろうじて12人くらいが座れる程度か。カウンターの向こうが厨房になっているのだけど、厨房とは直接行き来することができず、いったん廊下経由で厨房と店内を移動することになる。レジも廊下。いいなあ、この雰囲気。

お店は至ってアットホームな感じで、一人でお店をきりもりしていたおばちゃんは厨房の仕事に空きがでたら、客席に出てきてお客さんとしゃべっていた。ちょうど、「喫茶Y初体験」の職場の若手女性社員を連行してきた男性と話しこんでおり、そのおかげでいろいろな話を聞かせてもらった。ちなみにこの二人は、僕が到着した時点でほぼ食事を終えていたところだったのだが、初体験の女性は「凄いですねえ、信じられないですねぇ」と目をまん丸にして驚いていた。それを見て「どうだ」という顔をする連れてきた男性と、それよりももっと「どうだ」と自信にみなぎった顔をするおばちゃん。お客さんがびっくりするくらいの料理を出す事を生き甲斐にしているんだな、このおばちゃんは。

どれ、僕もその生き甲斐とやらをちょっと体験させてくださいな。

このお店のカレーはフルーツが入っていて甘く、好き嫌いが別れるという話を耳にしたことがあった。だから、「カレーライス定食」ではなく「Y定食」を選択してみた。お店の名前を冠した定食だから、王道と言えるだろう。

「すいません、Y定食お願いします」

と注文したら、おばちゃんは

「カレーが入ってない方ね?」

と言い、厨房で作業を開始した。カレー無しのメニューを注文したことがちょっと残念そうな感じ。自信作らしい。

いきなり煮込みハンバーグが

大して待たないうちに、おばちゃんが廊下経由で厨房からお皿を運んできた。前菜となる最初の一品は・・・煮込みハンバーグだった。ちょっと形は悪いが、湯気をたてていて美味そうだ。・・・いや、美味い!何だ、これは。滅法美味いんですけど???一発目から衝撃を受けてしまった。失礼ながら「安かろう、まずかろう」のお店だとばかり思っていたのに、これは一体どうしたことか。

おばちゃんに聞いてみたら、このハンバーグに使っている牛肉は国産の相当いいものを使っているらしい。大阪では非常に著名な高級精肉店から肉を仕入れているという。店名も聞いたのだが、忘れた。経緯を聞くと、これがなかなかドラマチックだ。

・喫茶Yはもともと牛肉をほとんど使っていなかった。
・国内でBSE感染牛が出たとき、その高級精肉店は商売あがったりになってしまった。
・精肉店の人が、おばちゃんに「安くするのでなんとか牛肉を扱ってくれないか」とお願いにきた。
・牛肉は正直必要としていなかったが、精肉店の熱意に応じてお店でも牛肉料理を出すようにした。
・そのときのよしみで、国産牛が復活した今でも高級牛肉が非常に廉価な価格で手に入っている。
・牛肉は、週2回精肉店から自動的に配送されてくるので、どんどん使わないと余っちゃう。

なんだって。人情話だなあ。

「何でもおかわりしてねー」と言われたので、ハンバーグをおかわり。ああ、美味なり。

迫力満点のベーコンエッグ

続く二品目はベーコンエッグ。

うわぁ。お皿いっぱいに出てきたぞ。しかも、長ーいベーコンがのたうっている。きれいに仕上げようという気持ちが全くないけど、「おなかいっぱい食べて欲しい」という気持ちは十二分に感じさせられる作りだ。玉子は3個か4個くらい入っているのかな。これだけでなかなかナイスなカロリー摂取が可能。

豪快!それにしても、豪快だ。

コース料理のように、厨房で一品仕上がるたびにテーブルに運ばれるのがちょっと面白い。すなわち、ベーコンエッグをおかずにご飯やみそ汁を頂く、というわけではない。ベーコンエッグが出されたら、しばらくはひたすらベーコンエッグのみと格闘だ。うん、格闘という表現がぴったりだ。

名前を忘れた小鉢。甘辛かったです

ベーコンエッグ、ハンバーグを楽しんでいるあいだに、小鉢が届けられた。

えーと、何だっけこれ。名前を聞いたんだけど、忘れてしまった。

このお店、和洋折衷なんだな。恐らく、おばちゃんのその日の気分と食材とやる気で、日替わりメニューとなるのだろう。

怒濤の攻撃、次はスパゲティ

おっと。和かと思ったら、今度は同じ小鉢ながらもイタリアンなスパゲティが出てきたぞ。油断も隙もないな。

それにしても、コース料理だと考えると変な順番だよな。ハンバーグから幕を開けて、ベーコンエッグ、謎の小鉢、スパゲティ。胃がびっくりしちゃう。

・・・ああ、お酒を飲めばちょうどいいかもしれない。ビールの肴にするには、なかなか悪くない流れかもしれないと思った。ま、このお店でビールを飲もうとは思わないけどな。そんな雰囲気ではない。

おや?でもメニューにはビールがあるんだな、一応。350ml缶、500円。うわ、高い。このY定食が700円だというのに、500円とは非常に高い。お店としても、ビール飲まれて長居されるのはあまり歓迎できないので「普通のお店物価以上の価格」でビールを売っているのかもしれない。しかし缶ビールっていうのは随分とざっくばらんだな。

あれっ、Y定食なのにカレーが出てきた

さて、矢継ぎ早に出てきた料理だが、ここでカレーが登場。

カレー?

僕、Y定食頼んだんですが。で、おばちゃんも「カレーじゃない方ね」と言ってたのに。でもやっぱりカレーなのだな。ふむ。ひょっとして、Y定食もカレーライス定食もメニューは一緒だったのか、この日は。

こればっかりは同時に別メニューを注文する人がいないと、真相がわからない。ひょっとしたら、「ハンバーグ定食800円」も全く同じ料理かもしれない。・・・いや、さすがにハンバーグ定食はY定食より100円高いので、同一ということはないとは思うのだが、でもあり得なくもない。

こういう「謎」なお店は非常に楽しい。おばちゃんに真相を聞いても良かったのだけど、あえてここは聞かないでおいた。その方が、次回訪問時の楽しみが増える。大阪という遠い地のお店にもかかわらず、既に「次回訪問」を心待ちにするとは、よっぽど私のココロの琴線に触れたお店だったということだ。

名物とされるカレーは、非常にフルーツの甘みが立った味だった。好き嫌いがはっきりと分かれる味だろう。私は最初非常に警戒していたこともあり、「あれ、案外おいしいじゃない」と思ったクチだ。ただ、喫茶Yだと何が出てきても雰囲気に圧倒されちゃって、何でも美味いって言いそうだが。

おばちゃんは語る。

「貧乏な学生さんって、今日はカレーにしよか、それとも定食にしよかって悩むでしょ?で、値段が高い定食にしたのに大して量が無かったら凄くがっかりするでしょ。だから、カレーライス単品とカレーライス定食には100円しか差が無いんだけど、できるだけおなかいっぱい食べてもらおうと思っていろいろ付けてるんよ」

そこにあるのは、ただ単に「おなかいっぱい食べていってもらいたい。」という気持ちだけだった。時々、ウケ狙いであるとかマスコミ狙いの大盛りの店も存在するが、ここはそういうぎらぎらした欲望は全然ない。まあ、そりゃそうだろう、どう考えても飲食店ビジネスとしては立ちゆかないような金額で料理をばんばん出しているのだから。この一種炊き出しボランティアのようなありがたい取り組みは、他のお店の追随を許さない。あらためて言うが、ここまで写真に載せた5品、これ全ておかわり自由で、700円だ。無条件でスタンディングオベーションをするしかない。見事だ、おばちゃん。

カレーライスが最後の品なのか、それともこの後に「まだもう一品あるよー」とかいって次の料理が出てくるのか分かりかねたので、とりあえずおばちゃんの動きを横目でみつつカレーを食べ終わった。うん、ここでどうやら打ち止めらしい。確認をしてから、ハンバーグをおかわり。時と場合によっては、カレーをお代わりした後くらいになって、半斤近く使った巨大なサンドイッチが出てくることもあるらしい。油断できない。

おばちゃんの名調子な語りをもっと聞きたかったし、カレーのお代わりもしたかったのだが、そろそろ時間のようだ。この後会議を控えているため、あまりに満腹になると会議中居眠りをしてしまう危険性もあった。残念ながら、この夢のような時間をうち切りにした。

お会計終了後、おばちゃんは僕が通路の角を曲がるまで見送ってくれた。ほんと暖かいお店だ。こんなお店がある大阪が羨ましく、感じた。「全メニュー制覇プロジェクト、やりたいなあ・・・」思わず、口を突いて出た言葉。それくらい、このお店には味がある。そして、謎もある。こういう店がある限りは、まだまだ日本も捨てたもんじゃないな。

大阪を訪れる機会があるなら、必ず立ち寄りたいお店となった。またいずれ、再訪しよう。どうもごちそうさまでした。

2006.09.15追記

豊崎ビル地下の様子。後輩もビビる

大阪日帰り出張の仕事ができたので、久々に喫茶Yに行ってみることにした。特に今回確認したかったのは、「注文したメニューによって出てくるものは変わるのか?」ということだった。幸い、担当の後輩が同行しているため、二人で違うメニューを頼んでみることにした。後輩には喫茶Yについて事前知識を仕込んだのち、「こういうお店だけど、行きますか?行きませんか?」と選択させた。ちょっと癖があるお店だし、何しろ後輩は女性だ。ちゃんとインフォームドコンセントしておかないと、パワーハラスメントになってしまう。幸い、こういう「面白いお店」に行くのが好きな好奇心旺盛な人だったので、「行きます!」と言ってきた。

このお店を訪問するために、予定していた新幹線を1時間近く前倒しして現地入りした。JR大阪駅から歩くこと10分ちょっと。今日も例のビルの地下に潜る。

地下の様子は、前回訪問時に写真をあまり撮っていなかったので今回あらためて撮影。

まず、地上から地下に下りるとこんな感じ。事情を知らない人がここを訪れたら、「あれっ、間違えたかな?」と思うような、殺風景な廊下だ。はっきりいって、何もない。

昔は無かったおばちゃんの似顔絵

通路を歩いていくと、こんな掲示に出会う。ところどころ、こういう形で「生体反応」があるから、なんとか先に進もうという気になる。これが無かったら、何だか不法侵入しているような気がしてきて、不安になる。

店を切り盛りしているおばちゃんの絵が描かれ、

20周年目で初めて気づいた新めにゅう しょうが焼き そぼろ丼 カレー 各450円

とかかれている。カレーが20周年にして「あっ、メニューに入っていなかった!」というわけではないので、きっと「初めて気づいた」のは「カレー丼」なのだろう。ちょっとわかりにくい。

「お急ぎ・小食の方に」と吹き出しがついている。要するに、「これ以外は大食向けの料理だぞ、覚悟しろ」ということか。

それにしても20周年なんですな、このお店。素晴らしいことです。

後輩もほっとする「喫茶Y→」の文字

何度か角を曲がる。

白い壁に挟まれた通路を右へ、左へ。

同行している後輩は「はー」と感心しっぱなしだ。こんな所にお店があるなんて、ということなんだろう。

店があるとは思えない通路の奥に、店とは思えない場所が店

そして突き当たりが目指す喫茶Y。

殺風景だった通路が、ここだけ急に生活感ありまくりになる。というか、物置っぽくなっている。

「え、ここがお店なんですか!?」

驚く後輩。

「そうだよ、ここだよ」とそのままお店の中へ。

店内からカウンター厨房側を見たところ。後輩、目を白黒

後輩殿、さっきから驚きっぱなしなんである。

12席しかない店内に驚き、そして壁一面に貼られた定期、写真、名刺などの情報量の多さに圧倒されている。

壁にはぎっしりと隙間無く写真などが貼ってある

事前学習をしていた後輩は「私はY定食(700円)にします」と宣言していた。ならば僕は、同じ値段である「カレーライス定食」を選んでみることにした。ここで「お魚定食(900円)」なんぞを頼んだらどうなることか、大変に興味深かったのだが、メニュー毎の違いを比較するためにも敢えて同値段の料理にしてみた。

メニューには、マジックでいくつか修正が施されていた。Y定食のところには、「おかみのおまかせ」みたいな事が書いてあった。「日替わり定食」ならぬ「気替わり定食」ということを宣言している。非常に魅力的だ。このY定食だけそういう記述が加筆されているということは、その他の定食は「ホントに定まった料理しか出てこない」んではないか、とやや不安になる。カレーライス定食を頼んで、カレーとサラダしか出てこなかったらどうしよう。ちょっと不安になる。

ちなみに、前回1年前に訪問した際に800円だったサンドイッチセットは、1,000円に修正されていた。おや、採算度外視としか思えなかったこのお店だけど、値上げってのが存在するのか。原油高だから、とか円安だから、というわけでもなかろうに、サンドイッチだけ値上げというのはなんとも謎だ。しかも200円も。

まあ、もともとこのお店は原価を積み上げて、利益を上乗せして提供価格を決めているわけではないだろうというのは想像がつくけど、それにしても不思議すぎる。「次回割引券付き」だったりするのだろうか。

半熟オムレツと肉じゃが

待つこと少々で、われわれの前に二つお皿が並んだ。

とろとろの半熟オムレツと、肉じゃががまずは登場した。

オムレツは表面だけ固まっていて、中は半熟どころか未熟状態のもの。味付けは薄めだがこれからのファンタジーワールド開幕に相応しい感じ。

肉じゃがは、薄切りではない、角切りの牛肉だった。なかなかにおいしい牛肉を使っているのがわかる。

同じ物が双方出てきている

Y定食も同じものが出てきた。オムレツと、肉じゃが。

肉丼

引き続いて、Y定食には何やら丼ものが出てきた。

牛肉を甘辛く炒めたものが載っている。えーと、何て名付ければ良いのかな?これも「牛丼」といえば牛丼なんだが。

上に載っている白いものは、白胡麻。

さすがにカレーライス定食にはこの丼ものは出てこないんだな。当たり前といえば当たり前なのだが、何が出てくるかわからないのでドキドキしてしまう。

肉丼台抜き

わ。今度はカレーライス定食だけに提供される料理が来た。

Y定食の丼の上に載っていた牛肉料理が、ご飯抜きの一品料理として出てきた。

これだけ食べろ、と言われてもちょっと困ってしまう。ああご飯が欲しい。もしくはお酒が欲しい。

いやいや、私が注文したのはあくまでも「カレーライス」の定食。これだけたくさんの料理はあくまでも「前菜」。「ご飯が欲しい」なんて思わないで、サラダ感覚で食べないと。

味付けはちょっと不思議な感じ。うまく表現できず、二人とも「何の味だろう?」と首をひねる。

きんぴらごぼうがこのタイミングで。謎だ。

おばちゃんの厨房と店内のいったりきたりはとどまるところを知らない。何か持ってきたとおもったら、今度はきんぴらごぼうだった。コース料理のような脈略が一切ない。弾込めでき次第発射、という状態だ。

さすがにご飯なしで料理を食べ続けると、口の中が塩辛くなってきた。お冷やを多めに補給。

卵、かいわれ入りお味噌汁

なぜかこの後になっておみそ汁が出てきた。ほんと妙な順番だ。一人で全てを切り盛りしているお店だから、という理由があるのだろうが、ひょっとしたら「次に何を出すか」というのはその瞬間における思いつきなのかもしれない。友達同士示し合わせて、1時間の時間差で訪問して同じ料理を注文したら、全く違うものが出てくるかもしれない。

まだまだ謎が多そうだ。

同じ味噌汁がY定食にも

これもY定食には提供されていた。

前回訪問時に私が食したY定食では汁物が無かったが、今回はついている。

具は、かいわれと溶き卵。

喫茶Y名物のカレーライス

もうこの時点で結構おなかいっぱいなのだが、カレーライス定食がその名を名乗るには訳がある、当然カレーが出てこないとはじまらない。

といういことで、大皿いっぱいに盛りつけられたカレー登場。ご飯の量は1.5合くらいだろうか。なかなかのボリュームだ。煮溶けた鶏肉が筋状になって残っている。味はフルーティーなのだが、辛さもそれなりにある。辛さをフルーツの味で中和している感じ。おかげで汗をかいた。

Y定食のほうにはさすがにカレーは出てこなかった。Y定食を食べていたのが背の小さい女性だったから、「食べきれないだろう」と判断されたのかもしれない。そうではないのかもしれない。おばちゃんの采配は客であるわれわれにはわからない。

実際のところ、後輩はY定食を食べきることはできなかった。普通の女性なら、このボリュームには轟沈してしまうだろう。

結果的に、カレーライス定食6皿、Y定食5皿と差の付いた「コース料理」となった。同じ値段でも一皿違う。ほんと面白いお店だ。ますます好きになってしまった。

全メニュー制覇してみたいし、同一メニューを定点観測してみたい。興味が尽きないお店だ。

ちなみにわれわれが食事中に訪れた常連氏、おばちゃんと語りながら自分で厨房に入り込み、自分の料理を作ってコーヒーを注いで食べていた。一人で切り盛りしているおばちゃんに対する配慮なのだろう。しかし、自分で作って自分で食べてちゃ、飲食店だか何だかわからない謎な空間といえた。20周年、ますますこの「良い意味で怪しい空間」を維持しつづけて欲しい。

ps.
さすがにおなかがぱんぱんになったし、塩分・脂肪分摂りすぎな気がしたので、この後コンビニに立ち寄ってサントリー「黒烏龍茶」を二人そろって購入したのは内緒だ。

(2005.09.21ほか)

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