2022年お正月。
大人はこういうのを食べている。縁起物だ。
縁起がよいものは、未来の可能性が詰まっている子供こそ食べるべきだろう。かといって、海老なんて渡したら、すぐにブン投げて地に叩きつけるに決まっている。最近のタケはよくものをブン投げる。
気に入らないのかと思いきや、ブン投げたものを椅子の上からじっと見下ろし、観察している。「ああ・・・落ちちゃった」と背中が訴えかけている。要するに取ってくれ、という大人への無言のアピールだ。
「自分でブン投げておいて、拾え!と泣く子供」というのは困るので、落としたものを無言でじっと見るアピールをする我が子はありがたい。とはいえ、縁起物の海老をブン投げてもらってはこまる。
そんなわけで、今日の離乳食はこれにしてみた。
「鯛ごはん弁当」。
離乳食に「弁当」という概念があるということを昨年夏、子育て先輩の仲間から教えてもらったときに驚いたものだが、遅れ馳せながら我が子もデビュー。
「弁当」というのは、離乳食メーカー大手の和光堂が名付けた商品パッケージで、80グラムの離乳食が2つ入ったものだ。ご丁寧にスプーン付きなので、これを外出先に持ち出せばまさに「弁当」になる。
それにしても笑っちゃうのが、「鯛ごはん」というのが離乳食で存在する、ということだ。贅沢だな。
でも贅沢というよりも、これは大事なアレルギーチェックだ。今回は正月ということで「鯛」となったが、れっきとしたパッチテストの意味がある。食後、口の周りが赤くなったり、呼吸が苦しそうになったりしないか、観察する。
鯛でアレルギーなんて出るのか!?というのは驚きだけど、なにせ子供は人生初だらけだ。古典落語で、「まんじゅうが怖い」という人の逸話があるけれど、我が子もそうなってはいけない。あれこれ試しておかないと。
ちなみに、保育園からは、「タラと、カレイ」も白身魚として食べさせるように指示が出ている。給食を提供する側としてアレルギーは不安なので、膨大な数の食材チェックノルマが保護者に課せられているのだった。これもまたご時世だ。
「おいタケ、今日はお正月だから縁起もので鯛だぞ。ありがたく食べろよ」
とわが子に語りかけたけど、タケは「うー」と唸っただけでひたすらもぐもぐ食べていた。食欲が旺盛なのはいいことだ。
昨年お食い初めを執り行ったときは、鯛のおかしら付きが振る舞われたっけ。そのときは当然だけど、タケは一口も食べなかった。それから比べると、大進化だ。今や、「もっとほしい」と足をジタバタさせて鯛ごはんをねだっている。
ちなみにお食い初めのときの鯛は、僕がありがたく頂戴した。
今後はその逆で、タケの食欲に圧倒され、老いた僕は「今月の食費は・・・」と家計簿とにらめっこをする日々になっていくのだろう。でも、子供の成長はありがたいことだ。
(2022.01.01)
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