麦茶を飲んで「ああァー」と叫ぶ

弊息子タケはなかなか水分をとらない。

母乳期間が長いこともあってか、水っ気をおっぱい以外から飲むことに対して不満と抵抗があるのかもしれない。

哺乳瓶に入れたミルクでさえ乗り気じゃないことが多かったタケなので、「コップで麦茶(を薄めたもの)を飲む」というのは嬉しいことじゃないのだろう。

そうはいっても、「喉が渇いたらごくごくと水分を摂って欲しい」というのは僕の願いだ。母親の帰宅を待って、喉が乾いて不機嫌、というのは男親として大変に残念だからだ。僕は、おっぱいをあげられない立場として、タケには早く卒乳して欲しいと思っている。それはタケにも母親であるいしにも寄り添っていない、わがままな希望だとわかっているけれど。

というのも、僕がさんざんタケにミルクやらお茶やらあげようとしても飲まずに号泣している相手をしていて、ほとほと困っているときにバーンといしが帰ってきて形成大逆転するからだ。おっぱいという印籠に一同はひれ伏するしかない。

おっぱいはそれだけ偉大であるのは認めるけれど、これまでの僕の努力と苦労は一体・・・と虚しくなる。

これまで彼には「スパウトマグ」と呼ばれる、両取手付きのコップで哺乳瓶の吸口とストローの中間みたいな口がついたものを使ってきた。

いや、正確に言うと、使おうとしたけれどほぼ100%失敗してきた。やつ、全然飲まねえ。

良かれと思って僕が買ってきた子ども用ツールやおもちゃが失敗したときの残念さは半端ない。この残念な気持ちはこれまでの人生で味わったことがないレベルだ。

子どもの健全な成長に思いを馳せて買った道具。決して安いものじゃない。今使われない、ということはほぼ今後も出番がないことを意味する。子どもは成長するとともに使うおもちゃ、食器、日用品、衣服がどんどん切り替わっていくからだ。つまり、無駄になる。

「好きな異性にプレゼントを送ったけど、気に入られなかった」というのに近いかな?と考えてみたけど、全然それとは違う。好きな異性へのプレゼントは、それまでの会話の中で相手の嗜好をある程度把握できた上で商品を選択できる。なんなら、直接「何が欲しい?」と聞ける。一方、子ども相手にはそうはいかない。

結局、今は別のコップを使っている。

貰い物だ。コップの口の部分が鳥のくちばしのように大きく突き出ていて、こぼしにくい構造になっている。実際にタケはばんばんお茶をこぼすけれど、これなら水分を摂らせることができた。

それでも、取っ手を自分でつかんではすぐに逆さにひっくり返し、中に入っているものをジャバーとテーブルに垂らしてしまう。自分が水分を飲む、という生理的欲求よりも、「コップから水が滴り落ちることのふしぎさ」の方が彼にとって楽しいらしい。

しょうがないので、遠回りをすることにした。

まずはご飯を食べるときは、必ず家族3人で乾杯をすることにした。「かんぱーい」と声をかけて、タケのコップに僕らのコップをカチンと当てる。この儀式は彼のプライドを大いに満足させたらしく、何日か繰り返していると自ら乾杯を求めるようになった。

そして、乾杯のあと僕はノンアルコールビールをグイグイと飲んで、「ぷはぁ~っ」とわざとらしく大きな声を出すことにした。それを観察していたタケは自分もつられて水を飲んで、「あ~っ」と声を出すようになった(これは4月下旬になってからの出来事)。

生後1歳1ヶ月になってくると、だんだん大人の「マネ」ができるようになってきている。真似をさせることで彼にあれこれ教えていきたい。でも、逆にいえば悪いクセも真似されてしまう。気をつけなくては。

(2022.03.22)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 乾杯のくだりを読んでいて、母の『子供の食わず嫌い論』そのまんまやなぁ…と、微笑んでおります。
    (※ 親(周囲の人間含む)が美味しそうに食べないのを見て子供もその食べ物が嫌いになる、という話)タケ君も目論見通り飲み物大好きになるといいですね。

    どうでもいい話ですが、私は幼少の頃にどこかの面接かなんかで『お父さんは何をしていますか?』と聞かれて、父の晩酌の様子を完璧に真似(しかも擬音付き)て、周囲を困惑させたものだと未だにイジられます。楽しかったからなぁ…

  • ティータさん>
    お父様、晩酌をさぞ楽しんでいらっしゃったんでしょうね。子どもが真似をするくらいインパクトがあったんでしょうから。

    子どもって、ものまね芸人みたいに絶妙な形態模写や誇張表現はできないでしょうから、真似をするぞ!となると親からすると赤面ものの私生活部分を切り取られてしまうでしょうね。「おはよう!」と普通の挨拶をしているシーンなんか、真似しないと思いますし。

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