視野が広がると危険も広がる

子育てというのは、「親の領土が子どもに侵略され続ける歴史」だ。

産まれた直後は座布団半分のスペースで十分だったのに、寝返りからはいはい、つかまり立ち、歩くようになってくると一気に領土が広がった。進撃の巨人のように、人類(というか、僕ら夫婦)は彼の手の届かない場所に物を逃し、時にはウォールを作り、彼の行動を阻止してきた。

最近は、「リビング・ダイニングにおける、大人の束の間の安息地」だったダイニングテーブルも彼の領土になりつつある。

最初はダイニングテーブルの中央に置いておけばなんとか大丈夫、という感じだった。でも、じきに彼はぐいっとつま先立ちをし、さらには手を伸ばし、ダイニングテーブルの中央の物までゲットできるようになった。もう、ここは戦場だ。安息の地じゃなくなった。

子どものすごいのは、ダイニングテーブルの上は自分の目線の高さでは見えないはずなのに、「おっ、親が何か置いたぞ!おもしろそうやんけ!」と察してみたり、「リビングのソファによじ登ったとき、ダイニングテーブルの上に何か見慣れないものがあるのを見かけた」ということで狙いを定める。その執着力には感心させられる。

その点大人ってもうだめだな、「ああ、マウスが置いてあるな」ということしか感じない。いや、マウスがあるということすら、意識にないかもしれない。なのに子どもは、「何かある!触りたい!」と必死だ。この健気な必死さ、我が身に失われてはや何年だろうか。

最後に健気に必死になったのは、パートナーのいしを口説き落とした時だな。あのときは、本当に必死だった。心労で激ヤセするくらい。

その結果が目の前の弊息子タケですよ。

感慨に浸っていたら、あっという間にマウスを強奪され、床に落とされた。やめろ!会社貸与のマウスだ!壊れたら面倒なことになる!

(2022.08.08)

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 惚気? 惚気以外のナニモノでもないですよねー

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