憧れの消防車に乗せてもらう

ある公園でイベントがあり、そこに消防車がやってくるという話を僕らは聞いたので、弊息子タケを連れてイベント会場に向かった。

タケは消防車、パトカー、救急車が大好きだ。街を歩いていて、救急車のサイレンが遥か遠くから聞こえてきたら、即座に「あっ」と言って耳を澄ませる。そして、サイレンが聞こえなくなったら、「いないねー」と言う。

彼は持病として滲出性中耳炎があり、常に耳の聞こえが微妙に悪いはずだ。トンネルの中にいるような、耳が詰まった感覚があるはずだ。にもかかわらず、自分が好きな音にはやたらと敏感だ。

鉄道が鉄橋を轟音を立てて通過していく音がかすかに聞こえても、「電車!」と叫ぶ。彼の聴覚は鉄道とサイレンを鳴らす車にチューニングされているらしい。

そんな憧れの消防車を前に、彼はとても嬉しそうにしていた。「ウーだ!」と言う。彼における「ウー」とは、消防車の事を指す。

ときどき、救急車のサイレンを聞いても彼が「ウー」と言うことがあるので、これは白黒はっきりつけよう、と僕ら夫婦で彼に問いただしたことがある。消防車と救急車が見開きで載っている図鑑を見せて、「どっちが『ウー』なの?」と聞いてみた。すると、彼は消防車を指さした。これで、一応「彼が言っている『ウー』とは、消防車のことだ」というコンセンサスができた。

さて、その消防車だが、子どもは消防士さんの服を着て、運転席に乗って記念撮影することができるという。

消防士さんの服を着せてもらい、運転席に座らせてもらうと、彼からはすっかり笑顔が消えた。彼は用心深い性格で、自分にとって馴染みのないシチュエーションに対しては露骨に警戒心をあらわにする。そのため、楽しい記念写真とはならなかったが、それでも良い記念になった。

(2023.04.01)

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください