弊息子タケの勉強のため、進研ゼミの通信教育「こどもちゃれんじ」を始めた。2歳の誕生日の直後からだ。
小学校に入るまでに足し算引き算ができるようにさせよう、などという野望は僕らは持っていない。なので、どの程度の力の入れようが適当なのか、まだ手探り状態だ。
「こどもちゃれんじ」は教材、知育玩具、そして動画コンテンツやアプリといったデジタル教材が用意されている。いずれ状況が把握できるようになるのだろうが、現時点ではあまりに情報量が多すぎて、親のほうが混乱している状態だ。
その中でも、タブレットの使用を前提としたデジタル教材の存在が僕は気になる。「しまじろうクラブアプリ」と「こどもちゃれんじTVアプリ」という2つのアプリがあり、せっかくだから彼にこのアプリを使ってもらいたい。今の時代、オンデマンドで「?」と思ったことを即座に「!」に変えることができる学びは大事だと思う。試行錯誤して考える習慣を学ぶのは、もっと基礎知識が積み上がってからでいい。
あいにく、我が家にある数年前のタブレットではこの2つのアプリが動作しなかった。
自分のスマートフォンにインストールして、それを彼に視聴させることは可能だ。でも、彼がスマートフォンの画面をいじって設定を変えてしまったりするのは困る。また、「スマホを見たい!」と泣いてせがむような癖を彼にはつけさせたくない。
熟慮の末、彼専用のタブレットを買うことにした。
タブレット、あれこれ調べてみたけど選択がかなり難しかった。というのも、思った以上に値段が高いか、値段が激安なかわりに聞いたこともないような中華メーカーのものばっかりだからだ。僕が期待していた値段と性能を満たす端末が全然見つからなくて、戸惑ってしまった。
激安の中華タブレット、Amazonで探せばたくさん見つかるが、どれも胡散臭い。口コミを見る前から、「安かろう悪かろう」だとわかるような商品が多い。
最近、弊息子タケは自分の思い通りにいかないとヤケクソになって本棚の本を次々と床に投げつけるということをやる。彼にタブレットを渡すと、本と同じように投げつけられ、壊される恐れがある。なので、タブレットには子どもが少々雑に扱っても壊れないような、衝撃吸収用のケースが装着されているものが望ましかった。
そういうものを探すと、ほとんど選択肢が無かった。
結局購入したのは、Amazon製の「Fire HD 8 キッズモデル」だった。
8インチのタブレット。
Amazonが各種自社サービスへ客を誘導するための入り口として用意しているデバイスなので、スペックの割に値段がとても安いことで定評がある。特に、Amazonのセールが行われている日だと通常価格よりもさらに割り引きがある。
安いかわりに、デメリットがあることは僕も予め知っていた。このタブレットに搭載されているOSはAndroidをベースとしてAmazonが独自開発した「Fire OS」というものだ。このFire OS上では、Androidアプリをダウンロードするためのポータルアプリ「Google Play」が利用できない。このため、実際にこのタブレット上で使えるアプリはかなり制限がある。
「こどもちゃれんじ」に関する2つのアプリは、Fire OSに対応していないことは知っていた。しかしそれと同時に、Fire OSに自己責任であれこれ加工すれば、Google Playをインストールでき、そこから好きにAndroidアプリをインストールできることも知っていた。
この、いわゆる「脱獄」という行為で、Amazonのタブレット上で「こどもちゃれんじ」を使おうと僕は画策した。
実際にやってみて、Google Playのインストールまではうまくいった。しかしそこから先がうまくいかなかった。動画視聴コンテンツの「こどもちゃれんじTVアプリ」はインストールできたが、知育ゲームなどが含まれる「しまじろうクラブアプリ」は会員認証ができず、動作しなかった。どうにかならないか、かなりあれこれいじってみたけれど、やっぱり無理だった。
「インストールできた」という人の情報を参考にしながら設定したのだけど、うまくいかなかった。Fire OSのバージョンは新製品が発売される都度変更され、それに伴ってこれまで動いていたものが動かなくなるという事象だったようだ。
そもそも、「Fire HD 8 キッズモデル」は子ども用と大人用のプロファイルを別に作り、通常は子ども専用のUIで利用する。しかし、子ども専用UIではGoogle Playでインストールしたアプリが表示されなかった。大人用プロファイルの画面でのみ、表示される。この場合不都合があるのが、大人用の画面だとAmazonのショッピングアプリやAmazon Kindle、その他もろもろのAmazonアプリがずらりと並んでいることだ。これらを勝手に触られると、頼んでもいないものが頼まれていたり、子どもが見るのにふさわしくない書籍や映像を閲覧される可能性がある。
結局、Fire HDはタケの学習用として利用するのを断念し、大人が使うことにした。いしが「自分の勉強用に使う」と言っているので、利活用方法が家庭内にあってよかった。彼女は、タケの寝かしつけの際に毎晩添い寝をしているのだけれど、その際にタブレットを使って電子書籍の参考書などを読んで勉強したいのだという。
そんなわけで、一週間足らずでFire HD 8 キッズモデルは工場出荷時に初期化し、何事もなかった状態に戻した。Google Playがインストールされている状態だと、なにか不具合が起きたとしてもメーカー保証が受けられないからだ。
その上で、子ども用のプロファイル画面でタケに使わせてみた。
Fire HDのキッズモデル購入特典として、子供向けのゲームや書籍、動画などが体験できるサブスクサービス「Amazon Kids+」が1年分無料となっている。
試しに親がざっとコンテンツを俯瞰してみたが、正直、2歳児向けにどれが向いているのかさっぱりわからない。アイコンがずらずらと並ぶばかりで、コンテンツが「推奨年齢別」に並んでいないからだ。ただ、なんとなく3歳ないし4歳以上の子どもをターゲットにしているものが多そうだな、という印象を受けた。
なので、タケには時期尚早な内容だった。サブスクが1年無料なら使わなくては!と思うが、あまり使いこなせないまま1年が終わりそうな気がする。朝から晩まで保育園に行っているタケの場合、あまりタブレットを使う時間の余裕がないことも理由の一つだ。
とはいえ、タケはかなり強くタブレットのコンテンツに興味を示した。面白いもので、リビングのテレビで教育動画を流しても数分で飽きる彼が、タブレットだったらしっかり椅子に座ってお行儀よく視聴する。
今回のタブレット購入は、「こどもちゃれんじ」関連アプリの利用用途としては失敗に終わってしまった。しかし、そういう明確な用途がない状態で、子どもにデジタルコンテンツを体験させたいと思っているならこのタブレットと「Amazon Kids+」は悪くない選択肢だと思う。
(2023.04.06)
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