2歳児を「マティス展」に連れて行く

僕はケチな性格をしている。

財布の紐が硬い、本当のケチではない。例えるならば、「100円ショップの商品をたくさん買って、結局たくさん出費している人」だ。貧乏性、とも言えるだろう。

僕は今、比較的都心に近い東京に住んでいる。毎月支払っている家賃は、自分たちの稼ぎと比べて、オーバースペックだと思っている。それでも東京に住むことを選んだのは、いろいろ総合的に判断してのことだ。

「総合的に判断」して得だと思ったので東京に住むことを選んだのだけど、それでも毎月の家賃支払はかなりキツい。なので、自然と「東京に住んでいることに対して、元を取ろう」という発想になる。

その「元を取る」プロジェクトの一つが、東京だからこそたくさんある美術館・博物館に弊息子タケをどんどん連れて行くということだ。彼を幼少期から美術・博物漬けにして、いろいろな知識や完成を養わせるつもりだ。これは、東京に住んでいる人ならではの特権だ。

幸い、たいていの美術館・博物館は幼児の入場料が無料だ。2歳児を美術館に連れて行っても、どうせ将来的に何一つ記憶は残らないだろう。無意味かもしれないが、無料ならば遠慮はいらない。少なくとも、彼の入場料がかかる年齢に至るまでは、美術館と博物館を連れ回そうと思っている。

今回はその一発目として、東京都美術館で開催中の「マティス展」に連れて行った。マティスは多彩な作家で、大胆な色使いの絵を描いたかと思ったらパステルカラーの点描画を描いたり、彫刻を作ったり、切り絵を作ったりしている。展示は多種多様で、見ていて飽きない。子どもに見せるにはちょうど良い。

とはいっても、弊息子は2歳4ヶ月だ。「静かにしなきゃいけないところで、静かにする」ということはまだできない。絵や彫刻を指さして、「これは?」「これなに?」としきりに聞いてくる。

彼が展示作品に興味を持つということは親としてとても嬉しいのだが、静粛な会場で「これは?」という声がひびくのはまずい。僕は「小さな声で喋ってね」と言いながら、かなり適当な作品解説をしつつ、早足で会場を通過していった。会場の滞在時間は10分から15分の間くらいだったと思う。ほぼ立ち止まらずに通り抜けていった、というわけだ。

幸い、彼は「抱っこ!抱っこしたいよぅ」といつも言って僕にしがみつく。自分が遊ぶ公園以外では歩きたくなく、力を温存したいようだ。そうやって会場内ではずっと彼を抱っこしていたので、「2歳児が会場を走り回る」「うっかり作品を触ろうとする」といったトラブルは防げた。

ちなみに彼が一番興味を持って、じっと見ていたのは会場の外にあったLINE公式アカウントへの登録を促すポスターだった。

(2023.07.21)

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