わたあめは案外不人気だった

屋台でわたあめが100円で売られていたので、買った。わたあめを買うのは何十年ぶりだろうか?いや、自分のお金で買ったことはこれまでの人生で一度もなかったかもしれない。

自分が食べたいわけではない。弊息子タケに「わたあめという食べ物」を知ってもらうための、学習教材として買った。

彼が読む絵本にはいろいろなアイテムが登場する。しかし、彼の日常において、見たことがないものがかなり多い。「わたあめ」がまさにそうで、絵本の中で「わたあめ」が登場しても、彼にとってこれが何なのか理解はできないだろう。そして、僕がいくら言葉で說明しても、きっと彼は腑に落ちないと思う。柔らかくて、フワフワしている飴ということが想像できないからだ。

そもそも彼は、「飴」すら食べたことがない。そして、「綿」も知らない。二重三重に、意味がわからない食べ物だ。

まだ幼い彼に、積極的に甘いものを食べさせるつもりはない。時々、イベントの景品やプレゼントでお菓子を貰ったりするが、ほとんど彼には与えていないくらいだ。

彼にわたあめを渡し、食べるよう促してみた。彼は警戒した顔で一口わたあめを食べ、そしてすぐにイヤな顔をして食べるのをやめた。ベタベタして気持ち悪い食べ物、と思ったようだ。

僕も数十年ぶりにわたあめを食べてみたが、確かに見た目のフワフワ感とは真逆の、ベタついておいしくない食べ物だった。わたあめは風情重視の食べ物だった。

このわたあめをタケが夢中で食べていたら、親として心配だ。でも、イヤそうな顔をしたので、安心する気持ち半分と、残念な気持ち半分を僕は感じた。

食べられなかったわたあめは、責任をとって僕が全部食べた。パートナーのいしも、わたあめを食べようとはしなかった。

(2023.11.03)

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