「鬼ノ城」に行ったら、鬼が乗り移った

岡山県の吉備エリアに、「鬼ノ城」という山城がある。飛鳥時代頃に作られたものらしいが、誰がなんのために作ったものなのかは未だ謎とされている。

戦国時代の山城ならいざしらず、仏教が伝来したばかりの頃に、標高400メートル近い山の上に周囲2.8キロメートルの城壁を構えた巨大な城を構築していたのだから、ものすごく異様だ。

温羅(うら)と呼ばれる鬼がここに棲み着き悪さをするので、吉備津彦命(きびつひこのみこと)が大和朝廷から派遣され、鬼を討伐したという伝説が残っている。それがむかしばなし「桃太郎」の原型になった、とする説もある。ただ、「鬼ノ城=鬼ヶ島」というのは誤った認識だ、という説もある。

この地に家族3人で訪れたのだが、タケには「桃太郎の話に出てくる鬼ヶ島だよ」と教えておいた。で、話をわかりやすくするために、「ここには鬼が住んでいたんだよ」と伝えた。

僕は彼が桃太郎の役になり、「鬼はどこだ!」と探すことを期待していた。または僕を鬼に見たて、成敗する芝居を期待していた。

ところが彼は、走って「鬼だぞー」と言って僕を追いかけ始めた。役割が逆だ。

追われる僕としては、立ちはだかって「エイッ」と彼を袈裟斬りに処すわけにはいかない。それでは彼が満足しないからだ。仕方がないので、「うわー、鬼だー!怖い!」といって鬼ノ城の遊歩道を走って逃げるしかなかった。桃太郎、弱い。

写真は遺構をもとに再建された土塁や城門だが、こんな堅牢な城がはるか昔にあったのだから、さすが吉備地方だ。

タケは歴史的なことにまったく興味を示さなかったが、適度なアップダウンのある遊歩道歩きをとても楽しんでいた。途中で松ぼっくりを拾ったり、落ち葉を観察したりしていた。都会に住んでいると、こういう当たり前のことさえ、貴重な体験だ。

彼はいつも僕に向かって「山、行きたい。山、連れてって」と言う。でも、彼は山が疲れる場所だし、疲れても人に頼らず自力で安全に下山しなければならない場所だという体力と覚悟がない。彼を登山に連れて行くとしても、まだしばらく先のことになる。

(2024.12.28)

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