コーヒーをドリップしている様子を、弊息子タケに見せる。
以前だったら、興味を持ったものには何も考えずについ手が伸びてしまい、それで火傷を負ってしまいそうで、こんなことはできなかった。実際彼は、1歳のときに台所に侵入し、ドリップ中のコーヒーメーカーをひっくり返して手に火傷を負うという事件を起こしている。
それが今では、「へえー」という顔をして、まさにドリップ中のコーヒーフィルターを観察している。こういうのも、成長の証だ。
彼は僕ら夫婦が毎朝コーヒーを飲んでいるのを毎日見ているので、コーヒーそのものはよく知っている。しかし、これまで一度も「飲みたい」と要求したことがない。「苦いよ」と彼に教えているからだ。
苦いかどうかは自分の舌で確認してみたい、とりあえず飲ませて欲しい、とリクエストされたことは全くない。彼において、「苦いもの」というのは絶対に口にしたくないものらしい。親が言う「苦い」という言葉を、鵜呑みにして信じている。
見た目が黒いというのも、彼を警戒させている要因の一つだろう。彼は、茶色いものであれば「肉かな?揚げ物かな?」とソワソワし、見たことがないものであっても食べたがる。両方とも大好物だからだ。でも、コーヒーに関しては口に含む気にならないようだ。
親としては、子どもにカフェイン飲料を飲ませるのはまだ先のことだと思っているので、ちょうど都合がよい。
コーヒーの匂いを間近で嗅がせると、眩しそうなかおをしながら「におうねえ」と言う。この香味を、彼のボキャブラリーではうまく表現できないのだろう。でも、少なくとも「くさい」とは言っていないので、嫌いじゃないらしい。
「僕がもっともっと大きくなったらコーヒー、飲める?」
と彼は僕に聞いてくる。
「うん、飲めるよ」
と答えたら、
「病院の先生が『飲んでいいよー』と言ったら、飲んでいい?」
とさらに聞いてくる。彼は最近この手の質問をよくしてくる。食物アレルギーがあり、食事には慎重さが求められるからだ。
「コーヒーは先生の許可がなくても飲めるよ。中学生、高校生になったら飲めるよ。ただし苦いけど」
「苦いのはいらない」
まだ物心ついていない彼は、発言がすべてピュアだ。そして、親と意味のある会話ができるようになってきたので、彼との会話が楽しい。彼と話すたびに、心が洗われる。いまのところ、まだ打算や忖度といったものが言葉に含まれていないからだ。
ただし、「もう(歯を)磨いたよ!」といった嘘はつく。嘘というのは本当に人間の原始的な罪なんだと思う。
(2024.01.03)
コメント
コメント一覧 (1件)
>おかでんさん
タケ君、すっかり子供の顔になりましたね。
それはそうと茶色ですか…。コーヒーは薄めに淹れて
クリープとか牛乳を調合すれば茶色のドリンクが出来上がりますね(意味深
私のブラックデビューは小4でした。母が懇意にしている豆屋さんで
『騙されたと思って、このまま飲んでみて?』と出されたマンデリンを飲んだ時から
どんなコーヒーでもブラックで飲むようになりました。
事情を知らない大人はびっくりしてましたねw
タケ君はどんなコーヒーデビューを迎えるのでしょうか?その日のオカ・デウスを楽しみにしています。