記憶力は欲望で増強されることがよくわかる

「イベリコ豚食べたいよぅ、イベリコ豚」

上野の美術館に訪れるたびに、弊息子タケは「イベリコ豚」を連呼する。

上野からほど近くにあるカフェ、「コーツトカフェ」が毎週金曜日になるとイベリコ豚のローストを大量に作ってディナータイムに提供しているからだ。

このイベリコ豚は金曜日だけの提供で、それ以外の曜日は薄切りにスライスされたものがサラダの上に乗せられて提供されている。つまり、もともとはサラダ用の肉なのだが、金曜日はその肉をローストする日なので「せっかくだから塊肉も提供しちゃおう」とお店がサービスしているのだった。

なので、写真のように分厚い肉でも、分厚い札束を用意しなくても良い。サイズ次第だが、確かこのサイズで1,900円だったと思う。違っていたらごめん。

で、弊息子タケはこの肉のビジュアルと重量感にえらく感動しており、上野イコールイベリコ豚だと思っているのだった。上野公園からコーツトカフェまで、自転車で移動しても10分以上はかかるのに。

僕が彼を上野の美術館に連れていくのは、決まって金曜日だ。金曜日は19時ないし20時まで開館時間を延長している美術館・博物館があるので、それを目当てにしているからだ。なので、美術館に行く日はイベリコ豚がある日、と偶然一致するのだった。

単にイベリコ豚という名前の肉塊だけを覚えてもつまらないので、スマホでイベリコ豚の写真を見せた。僕も知らなかったのだが、イベリコ豚って黒かった。それですっかり彼は「イベリコ豚は黒い」ということを覚え、それ以降はこの日同席していなかったいしに「イベリコ豚って黒いんだよ」「どんぐりを食べるんだよ」と得意げに解説をするようになった。

その他のこと、特に歯磨きとか後片付けとかのお作法はなかなか覚えないくせに、こういうことはすぐに覚える。そして家族にその知識を自慢したがる。

知識が補強されるというのは素晴らしいことなんだが、その結果より一層「イベリコ豚、食べたいな」と言うようになったので、それはそれで困ったものだ。

(2024.10.11)

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください