「ふざけたにぎり」でマウスパッドを売りさばけ

(2000.08.12/広島・八丁堀)

登場人物
師匠:おかでんを陰から見守る、謎のおっさん。
おかでん:食い倒れて生き地獄を味わう、非業のひと。

おかでん 「ついにこの道に踏みだしちゃいました。」

師匠 「おかでん君、やけになってないかい?1年ちょっと前まで『ダイエット!?日記』なんて連載やっていた人間が、何で大食いチャレンジなんて始めようとするんだい。180度方向が違うし、また太るよ。」

おかでん 「振り子の原理です、端的に言うと。」

師匠 「端的すぎてよくわらないよ、それ。」

おかでん 「要するに、世の中の全ては陰陽の2つに分類されてですね、その対になる世界でバランスがとれているんです。昨年までは確かに僕はダイエットをやってました。これは、陰の世界。で、今度は陽の世界である大食いに足を踏みれることによって、僕の体は、強いてはこの世の中は生体的にちょうどバランスが取れるんです」

師匠 「申し訳ない、僕が悪かった。今までおかでん君を追いつめて悪かった。こっちの世界に戻ってきてくれ!」

これが「ふざけたにぎり」

師匠 「ところで、今回挑戦した『ふざけたにぎり』、これ、一体なんなの?」

おかでん 「いやなに、普通のおにぎりです。ただちょっと違うのは、むやみやたらとデカいってこと。しかも1個のお値段がたったの100円。」

師匠 「そうか、別におにぎりの中に消しゴムのカスみたいな激怒する具材が入っているとか姿形が『客を馬鹿にするにも程がある!』と腹を立てるような物じゃないのだな。やや残念」

おかでん 「そこらへんは愚直なまでに普通のおむすびでした。まあ、居酒屋の『最後のシメに軽くご飯物』ってな位置づけのメニューなんで、むちゃな物は出さないと思います」

師匠 「軽くご飯物・・・たって、こんなにデカいとシマるものもシマらないでしょ。おなかが膨らんでしまい、ファスナーがシマらなくなるよ!」

おかでん 「大体ふざけたにぎり1個でご飯1合程度、ですかね。もう少しボリュームあるかもしれない。」

師匠 「何だこの店は。居酒屋のくせに腹いっぱいになる料理出してどうするんだい。お酒飲まないで、このおむすび1個食べて100円払ってさようなら、じゃもうけにならないだろうに・・・」

おかでん 「ご安心ください師匠、居酒屋ってのは座っただけでお通し代ってのがかかりまして」

師匠 「あ、いや、それくらいは知ってるけど、でも。」

おかでん 「まあこのお店、広島じゃ有名な居酒屋でしてね、焼き鳥の全てにカープの選手名がつけられているようなユニークな店なんですよ」

師匠 「ほう、それじゃ何か、タツカワ3本にカネモト2本お願いね、なんてお店の人に注文するのか。いやぁマエダはいまいちだなあ、やっぱ夏頃になると味が落ちるねえとかオガタはそろそろ賞味期限切れじゃないのか、とかそんな会話やってるのか」

おかでん 「全くその通りで。で、わーわー言いながらラジオでカープの応援をする。これがまたビールが進んで進んで」

師匠 「頭痛くなってきた。応援するチームの選手を食ってどうすんのよ、普通、縁起を担ぐ時は相手を食わないとダメでしょうが」

おかでん 「あっ、言われてみればそうかも・・・」

師匠 「今年のカープはもう無理だけど、来年は考え直した方がいいと思う」

おかでん 「うう?」

師匠 「で、今回のチャレンジは?」

おかでん 「はい、この『ふざけたにぎり』4個を12分で完食する、という事にしました」

師匠 「米で4合強か。結構あるな」

おかでん 「補足しますと、このチャレンジは急きょ決まったものなので、それまでに僕はさんざん飲み食いしてます。ビール飲んで、ロペスやらカンエイやらもりもり食べてますし」

師匠 「ちょっと待て、一瞬どきっとするから、焼き鳥の名前を馬鹿正直にカープの選手名に置き換えるのはやめてくれ。人食い人種みたいで気味が悪い」

おかでん 「はぁ」

師匠 「ということは、別に楽勝な設定というわけでもないのだな、君にとっても」

おかでん 「当たり前です、僕は楽して勝とうとは思っていませんから。自分なりにぎりぎりのライン、ということで4個12分にしたわけです」

師匠 「この賭けに負けると?」

おかでん 「負けたら、大枚はたいて作ったアワレみ隊オリジナルマウスパッドを2枚、同席した友達に進呈することになっています」

師匠 「賭けに勝ったら?」

おかでん 「勝ったら、やっぱりマウスパッド2枚を1枚1000円でお買いあげいただくことになります」

師匠 「馬鹿だねぇ君は、確かあのマウスパッドは原価2300円だろ?賭けに勝っても赤字でマウスパッド売るのか。」

おかでん 「ええ、ここでもうけても心苦しいですし」

師匠 「賭けとして成立していない気がする。君、さては賭けはどうでもいいんだろう本当は」

おかでん 「わかります?結局、単に大食いチャレンジしたかっただけなんですよ、マウスパッドについては、何かどきどきする要素が欲しかっただけっていうスタンスでして」

師匠 「どうしようもないヤツだな、君は」

ふざけたにぎりが4個

おかでん 「で、到着しましたおむすび4個。」

師匠 「本当にふざけてるな、これ。君の握り拳と同じくらい1個のサイズがあるじゃあないか」

おかでん 「いやいや、僕の拳だって負けちゃいませんよ。おむすびごときに負けるわけにはいきません」

師匠 「競うポイントが違うような・・・まあいい、それより店員は変な顔をしていなかったかい?」

おかでん 「そりゃまあ、変な顔してたというよりあんまり僕にはかかわりたくないような感じでした。酒を飲む居酒屋でご飯をもりもり食べるんですから、変人と思ったんですかね」

師匠 「哀れなやっちゃなあ・・・そこまでして食べたいのか、この握り飯を。」

一心不乱に食べる

おかでん 「さて、食べ始めたんですが、最初はもちろん快調に食べる、食べる。」

師匠 「しかし、端からみてると人の食事シーンっていうのは見苦しいモンだな。まあ君の存在そのものが既に見苦しいというのも要素としては大きいと思うが」

おかでん 「ほっといてください。人が闘う姿というのは常に神々しいものなんです、それを理解できないなら黙ってて欲しいもんですね。」

師匠 「・・・・・・。」

おかでん 「・・・?」

師匠 「・・・・・・・・・。」

おかでん 「・・・(汗)」

師匠 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

おかでん 「師匠、僕が悪かったです、お願いですからしゃべってください」

師匠 「ふっ、意志が弱い男よのぉ」

おかでん 「くっ」

快調に食べ進める

師匠 「で、途中状況としてはどうだったのかな?」

おかでん 「最初の1個は1分半くらいで食べる快速でした」

師匠 「相当速いな」

おかでん 「それくらいのスピードで食べないと、胃の中でご飯が膨らんでしまって4個も食べられないに決まってます、だから早い段階で食べられるだけ食べないといけないんです」

師匠 「でも、途中で失速してきたんだろう?」

おかでん 「ええ、3個目に入った時点でがくっとペースが落ちました。口の中にご飯を入れても、喉から先に進まないんです。故に、口いっぱいにご飯を含んで、ただひたすらくっちゃかくっちゃか」

師匠 「良いあごの運動になるな、たまにはそういうのも良いだろう」

おかでん 「大食いチャレンジ中にあごの筋肉なんて鍛えたかないです、それよりも頭の中じゃ、『こんなはずでは無いのに』という言葉がぐるぐると」

師匠 「周りの人の状況はどうだったのかな?」

おかでん 「時間的には余裕があったので、みんな楽勝だろうと踏んでいたようです。こっちは見た目以上にあっぷあっぷしていたんですけどね。損な立場ですよ、僕は」

最後の一口
全部食べた

師匠 「おっ、この写真は最後の一口かな」

おかでん 「11分30秒、完食でした。最初の2個が4分強で食べきっていたので、後半がくっとペースが落ちた事になりますね。危ないところでした。まさかここまでぎりぎりになるとは思いませんでした」

師匠 「ほぉ、食べきったか。幸先良い出だしを切った、というわけだな」

おかでん 「いやー、この時点では大食いチャレンジでコーナーを作るつもりなんて全くなかったんで、『やれ何とか食べきったわい』という安ど感でいっぱいでしたね。『幸先いいぞ、しめしめ』なんて全く考えてなかったです、はい」

マウスパッド売りつけに成功

師匠 「で、結局マウスパッドは?」

おかでん 「予定通り、1枚1000円で売りました。でも、賭けに勝った!という満足感がいまいち無かったのはなぜでしょうね?」

師匠 「当たり前だろ」

おかでん 「しかも、この後が大変でして。食べきったご飯が胃袋の中で水分を吸って、ぱんぱんに膨れ上がったんです。おかげで胃袋の中に『巨大ふざけたにぎり』が1個できあがってしまったような状態で。これが苦しくて苦しくて」

師匠 「馬鹿だね、どうせ食べながら烏龍茶か何かがぶ飲みしてたんだろう。当然の結果だ」

おかでん 「でも、お茶飲みながら食べないとご飯が喉に詰まるんですもん。『ふざけたにぎりで喉を詰まらせ、窒息死!ふざけた男のふざけた最期』なんて新聞記事になったらどーするんですか」

師匠 「それはそれでまた君的にはオイシイだろうに、もったいない」

おかでん 「死んじゃ元も子もありませんってば」

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