ココロは療養、体は悪化【赤城山】

2004年08月01日(土)

前橋を進む

赤城山。正直、あまりワクワクしない山ではある。のっけからネガティブな言葉で申し訳ないが、偽らざる気持ちだ。

赤城山に登ったことはないが、その山上湖である赤城大沼(あかぎおの)には何度も行った事がある。ある時はワカサギ釣り、ある時はボート漕ぎ、そしてある時はドライブ。四季折々の赤城山を見てきたが、気分的には赤城大沼に到着した時点である意味「達成感」を覚えてしまう山だ。そこからさらに、徒歩で「もうちょっと高い場所にある山頂」を目指す必然性、というかガッツが沸いてこない。

たとえば、箱根・芦ノ湖だってそうだろう。芦ノ湖の湖畔に到着して、箱根関所でも観光すれば、何となく満足感は得られる。その外輪山に登ろう、という気にはならない。

だから、「まぁ、日本百名山という肩書きを持っている事だし、いつか行ければいいや」程度の認識だった。

でも、その程度の認識だと、なかなか訪れることができないのも、赤城山の特徴だ。この山、登山口からの標高差が500m程度しかない「ハイキング向け」なのだが、標高は立派に1827.6mもある。「高山がオフシーズンになっている早春や晩秋に行けばいいや」と思っていたら、どっこい、この山ももう冬山装備じゃないとダメよーん、という事になっている。ナメられがちな山だが、ちゃんと山のシーズンを逃さないで登らないと、ちょっと面倒だ。

「いつか行ければいいや」という「いつか」は、案外早い時期にやってきた。おかでんは、今シーズン一発目の登山として鹿島槍ヶ岳を登頂してきたのだが、その際に脚力不足を露呈、右膝を痛めてしまっていたのだった。一週間、不自由をして過ごしたが、まだ本調子ではない。うかうかしていると、アッという間に夏山シーズンは終わってしまう。

アッ

・・・安心しろ、その程度ではシーズンは終わらない。もう少し余裕があるようだ。でも、悠長に構えては、いられない。居ても立ってもいられなくなり、足はまだ本調子ではないものの、8月1日に赤城山に登ることにした。

と、決めたのが当日の朝、目が覚めてから、窓の外の天気を眺め、急きょ決めた。まあ、なんとかなるだろう。

東京方面から近い、というのも赤城山の特徴だ。関越自動車道ですすすすーいと進めば、もうそこは広大な赤城山の麓だ。おかげで、朝9時過ぎに家を出るという、山登りするにしてはナメた時間でも大丈夫だ。

気がかりなのは、ちょっと空に雲が多い事くらい。山の上は大丈夫かなあ・・・?前橋市街を車で走りながら、やや心配になる。

大きな鳥居

赤城山の玄関口として、鎮座しているのがこの大きな鳥居。

鳥居は大きいんだけど、肝心の山が雲に隠れて見えない。ひょっとしたら、ガスだらけの山に登ることになるんだろうか?

「晴れていますように」と、鳥居にお祈りを捧げる。でも、考えてみれば、鳥居は鳥居でしかないわけで、ご本尊は大沼にある赤城神社だ。雲の中だ。

「意味無かったか、ちっ」と舌打ちをする。おいおい、舌打ちはまずいだろう。

ちなみに、赤城神社は「女性は必ず願い事が叶う」という言い伝えがあるらしい。男女差別がある、珍しい神社だ。くっそう、僕がいくら頼んでもダメか?

八割そば つる田

鳥居の脇にあった看板。

「八割そば つる田」

八割そば、か。それって、要するに二八そばのことだよな。特に珍しい事ではないが、でも、「八割」と書かれると、もの凄く蕎麦粉がいっぱい使われているような錯覚に捕らわれる。

黒檜山

山道を走ることしばし、山上湖の大沼までやってきた。

真っ正面に、本日の目的地である黒檜山が見える。あー、微妙にガスがかかっているなあ。

赤城山、とひとくくりで表現されるが、実際には複数の山の集合体だ。広大な裾野を構成している山は一つだけだが、大沼を取り囲むように外輪山がたくさんある。その総称が、赤城山というわけだ。

実際のところ、外輪山で一番標高が高い「黒檜山」に登る事で、「赤城山登頂」と見なしている事が多いようだ。一般的な登山ルートは、黒檜山の隣にある駒ヶ岳(1685m)から縦走する、というパターンだ。今回、おかでんもその「俗世間にまみれきったルート」を歩いてみることにする。

いや、そんなに卑下しなくってもいいんじゃないんスか?

黒檜山を振り返ってみる

大沼神社近くの駐車場に車を停める。ここは、駐車場は無料だ。ここに公共交通機関(バス)を使ってやってくる人など非常に少ないだろうから、駐車場料金を取ったら儲かる事だろう。でも、それと引き替えに観光客も確実に減る。

簡単に荷造りをして、歩き始める。まずは、駒ヶ岳登山口に向かう。

登山口手前で、黒檜山を振り返ってみる。相変わらず、ガスっぽい。真夏のことだ、午前中でこの調子だったら、午後はもっとガスがでてきそうだ。急いで登らないと。

駒ケ岳登山口

11時24分、登山口到着。手元のガイドブックには、「登山道にはいるといきなり急斜面の登りでうんざりする」と書いてあった。

・・・大丈夫そうじゃん。えらく道が整備されているようにも見える。ハハハ、これしきで急斜面と言うとは片腹痛いわ!ぐいぐいと登ってやるぞ!今から!今すぐ!

登山口でナルシス記念撮影

おっと忘れてはいけない。自分自身を記念撮影しておかないと。

写真を撮りまくるのもいいが、たまには自分が写っていないと何のための写真だかわからなくなるので要注意だ。山の写真だったら、どこかのサイトに行けばいくらでも似たような奴で、もっときれいに撮れているやつが転がっている。ただ、「おかでんが写っている写真」は自分で撮るしかないんだから。

関東ふれあいの道

なるほど、「関東ふれあいの道」に認定されているんだな。環境庁がわざわざコース略図の看板を立てていた。

しかし、赤城道路がまだ「有料道路」扱いになっていたり、情報はちょっと古いようだ。

あんまりにもコースを略しすぎちゃったみたいで、これを見てもいまいち良く理解できなかった。

登山開始

登りはじめだ。非常に快適な道で、拍子抜けだ。でも、先ほど黒檜山を見上げたように、ここから標高500mを一気に登らないといけないのは事実だ。いくら目の前に平坦な道があるからといって、途中でワープできたり、エレベーターが山中に用意されているわけではない。いずれ、「うんざりするような急斜面」がやってくるのだろう。覚悟を決めておかなければ。

階段で一気に標高を稼ぐ

急斜面キター。

先ほどから、つづら折れの道をへいほ、へいほ、と登ってきたのだが、いよいよ道を造ってきた人も「これ以上山の斜面を切り開くのやーめた」とウンザリしちゃったのだろう。もう、強引に鉄階段を設置してしまっていた。

そうか、ガイドブックに書いてあった「急斜面でうんざり」というのは、登っている人というよりもむしろ「道を造っていた人」だったのかもしれない。

でも、きっと道を造っていた人は、この階段ができあがったときちょっと誇らしかったはずだ。「どうだ、人間というのは科学技術でここまでできるんだぞ」と。

ただ、そう誇ったあと、何だか空しくなっちゃって、それ以降は山に籠もって、大自然と共に過ごす隠遁生活に入ってしまったりして。「やはり、自然は自然のままであるべきではないのか?」という命題を抱えながら。

で、その隠遁生活の家には、時々東京に出ていった娘さんが、老いた親を心配して訪ねてきて。娘さんは、東京生活がいかに素晴らしいか、という話をするけど、そんな話を聞きながら「都会に毒されちゃいかんよ」と諭すべきか、それとも聞き流すか思い悩んでいたりして。で、判断がつかなかいまま、娘さんは東京の青年のところに嫁いだりして。

・・・いい加減妄想はやめろ。鉄階段一つで何をそこまで考え込むのか。

まっ、いずれにせよ、一気に高度が稼げると言う点ではありがたい階段。しかし、幅が狭い事もあって、途中で登りと下りがすれ違うのはちょっとしんどい。だから、上から人が降りてきていたら、階段を下りきるまで待機、という状態だった。

また、登っている人も、この階段の長さのために途中でへばっているパターンが時々あった。こういうときは仕方がない、「はいちょっとすいませんね」といって、狭い階段をミシミシ言わせながら強引に抜き去っていく事になった。

困ったのは、階段の途中で団体さんが立ち止まっていたこと。ツアーガイドの方が、「この植物は○○と言いましてぇ」とかなんとか、説明をしていたのだった。しょうがないので、ぐいぐいツアー客を押しのけて、時には階段の手すりに相手の肉体をめり込ませながら、かき分けて前へ進んだ。

遠くまで階段がつづく

真っ直ぐに伸びるハシゴ。

その先は、まばゆい光に包まれていた。

この階段を登り切ったら、天使が出迎えてくれるのではないか。ボク、このままお星様になっちゃうんじゃないだろうか。

・・・とは思わなかったが、この光景は山登りをしていてとても楽しみなひとときだ。正面に光が見える、ということは、即ち稜線にそろそろ出ますよ、というサインだからだ。よし、もう一息頑張れ。

稜線

11時53分、稜線に出た。急に開けた景色になったので、一瞬きょろきょろしてしまう。眺めは全く無いが、昼下がりの散歩道、って感じで非常に快適だ。

階段をはい登ってきた方々が、登山道脇のベンチでくつろいでいた。確かに、それまでの陰湿な急坂からぽん、とここに出てくると、ものすごく和む。

とりあえずお茶でもいっぱい、って感じですわな。

ビールいっぱい?いや、それは今日はちょっと。実は、今回はビールを持参しとりません。今回は山歩きの時間がそれほど長くないので、下山した時点でまだ山頂で飲んだビールが抜けきっていない予感がしたため。あと、痛めている足への影響度合いも未知数だからだ。

里山のようなのどかさ

なんだか、里山を歩いているような気分になる。ここが標高1500m以上ある場所とは思えない。

ほら、道ばたにはお地蔵さんまで・・・あ、違った、よく見ると「関東ふれあいの道」って書いてあった。

稜線歩きとは言うものの、周りに木が茂っている関係であまり実感はない。ただ、広い空のもとで歩いていると、とても開放感がある。

黒檜山がガスに覆われてる

やー、本日の最終目標地点である黒檜山がガスに覆われてるよー。

逃げようったって、そうはいかねぇ。こっちは、食いついたら離さないぞ。

山に向かって「卑怯者!逃げる気か!」と叫んでみたが、落ち着けおかでん、山は絶対に逃げはしない。

階段がある

階段が見えてきた。小高い丘を真っ直ぐ登るように作られている。まるでメキシコのピラミッドのようだ。

どうやら、あのてっぺんが駒ヶ岳の山頂らしい。

・・・もしそうじゃなかったら、落胆のあまり失禁するかもしれん、わし。

駒ヶ岳山頂

駒ヶ岳山頂、12時01分到着。標高1,685m。標準コースタイム70分のところを、半分近いスピードで登ってきてしまった。

あっけないが、今日の主目的はあくまでも「足のリハビリ」。これくらいの淡白さが一番いい。

この記念撮影だが、どうも「山頂で撮った写真」っぽくないと思いませんか。バレましたか、ええ、実は山頂じゃないです。山頂直下の、縦走ルートで撮ったものです。よく分かりましたね。

・・・いや、自分からカミングアウトしてるし。

なぜかというと、山頂が狭い上に、すでに先客がいたから記念撮影しづらかった、という事情がある。

駒ヶ岳山頂

これが本当の駒ヶ岳山頂。

ちょうど標識のすぐしたにオニーサンがくつろいでいらっしゃっていて、彼を押しのけるようにして記念撮影をするのがちょっとはばかられたんですな。

しかも一人で、記念撮影。

三脚をたてて、セルフタイマーセットして、標識のところに走っていって、ニッコリと笑顔で撮影。第三者からみたら、「うわ、あの人孤独だねぇ」っていう光景だ。あまり人様には見せたくない。

で、哀れみを買って、「あっ、シャッター押しましょうか?」って言ってくれる良心的な方もいるが、それはそれでますます哀愁を誘うというかなんというか。

駒ヶ岳山頂

こちら、山頂標識のところからの写真。

山頂はこれくらいの広さしかない。畳15畳分、くらいかな?

とてもじゃないが、「学校の遠足で赤城山登山しました!お昼ゴハンは山のてっぺんで!おやつは300円まで、バナナは(以下略)」というニーズには応えられない。そんなことをやったら、児童のうち何人かが崖下に転落だ。

オニーサンが牢名主のようあたりを睥睨しながら休憩しているので、どうもここで一息入れるのがはばかられた。本格的な休憩は、最高地点である黒檜山の山頂でとることにし、また縦走ルートに復帰した。

大タルミ

12時10分、せっかく稼いだ高度をぐいぐいと下げたところが「大タルミ」。そういえば昔、タルミっていういい女が居たよなあ・・・とか、ありもしない妄想をかき立ててみる。ここは、道が非常になだらかで歩きやすいので、いろいろ物思いに浸る暇もできる。

タルミのプロフィールを考えてみる。とりあえず、名字は「大」なんだろうな。「だい」と読ませると、なんだかあり得ない名字なので、そうだなあ、強引だけど「大きい」から連想して、「おおき」っていう読み方にしよう。「おおき・たるみ」。ほら、いそうな名前じゃないか。

じゃあ、タルミの外観についてあれこれ考えてみよう・・・

・・・

ダメだ、どうやっても、ミシュランタイヤのマスコットキャラクター(ビバンダムくん)のような、ブヨブヨした体しか連想できない。

妄想中止。

黒檜山

山頂が姿を現した。雲の動きが相当早いようだ、山が現れたり消えたりしている。

ひょ、ひょっとしてだ。山の姿が隠れている間は前進してよく、山の姿が見えている時は動いちゃダメ、という「だるまさんが転んだ」ゲームを仕掛けてきているのか、黒檜山は?

そうは行くか、ただ前進あるのみよ。立ち止まっていたんでは、いつまで経っても山頂に到着できぬ。

お花1

お花2

おかでん登山中の間、しばらく美しい赤城の自然をお楽しみください。

(BGM:適当に心地よい音楽)

階段がつづく

黒檜山の本体に取り付いた。それまでのなだらかな道から一変して、ここからはひたすら急な階段が続く。

こうなると、妄想なんてしている余裕がなくなる。あえぎながら、一歩一歩足を踏み出していく。

道がよく整備されているので、歩きやすいのが救いだ。

花見ヶ原分岐

12時31分、急斜面を登りきったところにある花見ヶ原分岐に到着。

大きく、「花見ヶ原キャンプ場4km」と書かれた看板がでていたので、ついついそっちの方に向かってしまった。10mほど歩いたところで、「おい待て、お前キャンプ場に何しにいくんだ」って事に気づき、慌てて分岐まで戻った。山頂は逆方向だ。

歩きながらいろいろ妄想するのもいいけど、現実の世界までヘンな行動をとるのは慎むように。

鳥居

花見ヶ原分岐からはなだらかな道だ。ほぼ山は征服した、ということなのだろう。

ちょっと歩いたところに、大きな赤い鳥居があった。御黒檜大神、だそうだ。12時33分着。鳥居は大きいが、ご本尊がまつられているほこらは非常に小さな石造りのものだった。山の上なので、立派な社屋を建てるわけにはいかなかったか。

それにしても、この木製の鳥居、風雪によく耐えられているよなあ・・・。神のご加護、なのだろうか。あっちこっち朱塗りが剥げてしまっているが、まだまだ頑丈そうだ。

この鳥居周辺は、石ころだらけの広場になっていて休憩するには最適だ。ハイキング客が、めいめいお弁当を広げてくつろいでいる。

「いやー、山頂っていっても、特に眺めがいいってワケじゃないんだなあ」

なんて会話が聞こえる。あれっ?いや、ここって山頂じゃないはずですが。山頂はもうちょっと先ですよ。

鳥居の奥に山頂がある

一度鞍部まで降りて、大沼への下山道との分岐を見過ごして、登りなおしたところが黒檜山の山頂だ。

こちらのルートは、あまり歩かれていないのかちょっとやぶが茂り気味だった。下草はきっちりと刈り取ってあるのだが、左右から木々の葉っぱが登山者の邪魔をする。

・・・やっぱり、それなりの数の登山者が、先ほどのほこらを山頂と勘違いしてるのでは・・・

という疑念が頭をよぎる。地図を持っていれば、それくらいの勘違いはすぐに気づくはずだが、案外人間ってうっかりミスをする生き物だ。気づかなくても不思議ではない。

リアルな山頂

12時37分、リアルな山頂に到着。

山頂!という達成感は特にない、ただの広場だった。これだけ広いと、学校遠足にお勧めだ。学校の先生、見てますか?次の遠足はここで決まりですね。

それはともかく、「遠足児童を飲み込めるくらいの広場がある山頂」って事は、どこが最高地点なんだかよくわからないって事だ。ええと・・・?

あ、ひょとしてこの四角い石って三角点っすか?ただ単に、地面に突き刺さっているだけのような感じですが・・・はぁ、そうですか。三角点でした。

うわ、達成感ないなあ。

山頂で記念撮影

山頂標識を見つけたので、記念撮影。

うーん、でもこれ、山頂標識というよりも、行き先案内標識だなあ。「大沼・花見ヶ原方面」って書かれた矢印板が張り付けられている。

なんとも、達成感に欠ける状況だ。山頂は、山登りにおいて「最終到達地点」なわけであって、ここは潔く「山頂」という表記だけにして頂きたい。「お帰りはこちら」みたいな標識をくっつけるのは、なんだか悔しい。

バンダナが風でめくれ上がり、頭がとんがってしまった。せめて、自分の頭で「山のてっぺん」を表現したかった、という気持ちの表れかもしれない。

山頂の様子

山頂の写真。

適度に岩が転がっているので、座るには最適だ。

ガスが辺りを取り囲んでいるため、景色は全然見えなかった。でも、山頂までもがガスで包み込まれなかっただけ、まだマシだろう。

こういう山頂を見ると、「山頂にガスバーナー持ち込んで、焼肉大会!なんてやると痛快だろうなあ」という気がむらむらと沸いてくる。また今度登る事があったら、ちょっと検討してみよう。背中は、ザックの変わりに生ビール樽10Lを背負って、だな。

くだもの天国

鹿島槍ヶ岳登山の時に、ザックに詰めたはずだったのに詰めそびれていた「随時カロリー補給用」あめ玉。無事、車のトランクの隅っこで捕獲され、今回こそザックに詰めて持参してきた。

「くだもの天国」。

なんだか、成仏してしまいそうで嫌な名前だが、まあいいや。適当に嘗めて自分も天国気分を味わう。

サクマの缶入りドロップと違って、「フルーツ飴を期待して缶から振り出してみたら、ハッカ飴が出てきてがっかり」という事がない、まさにくだものオンリーの天国だ。

一気に大沼まで下るルート

下山開始。駒ヶ岳には戻らずに、そのまま一気に大沼まで下るルートを選んだ。

道が結構険しい。岩がゴロゴロしていて、段差が大きいルートだ。駒ヶ岳までのルートのように、階段が敷設されていたりはしない。こちらは「関東ふれあいの道」に認定されていないのだろうか?

まあ、でも登山道ってこういうもんだ。階段がある方がおかしい。それ、一気に下るぞ。

・・・と思ったら、右膝がついにパンクしてしまった。登りは良かったのだが、下りになると途端に調子が悪い。一歩段差を降りるたびに、膝関節同士がぶつかるようで強い鈍痛が走る。鹿島槍で負った痛手は、まだ全然回復していなかったというわけだ。

赤城神社

下山途中、眺めがいいところに出たので写真撮影。随分と低いところまでガスが降りてきたようだ。

正面に見える島みたいな半島部分が、赤城神社。

結構標高差がある。あそこまで、一気にここから下らないといけない。うえー、膝、大丈夫かいな。

岩だらけの道

相変わらず、岩だらけの道を進む。たんなる急斜面だったら大丈夫なのだが、こうやって岩を渡り歩くたびに膝に衝撃がくるため、その都度「うへぇ、痛いなあ」となる。

まだまだ、下る。

時々ゆるやかな道が出て油断させる

たまにこういう道があって「おっ、もう急斜面のピークは過ぎたか」と思わせるのだが、

「へっへーん、騙されたー」

と赤城山にあっかんべーをされて、またさっきと同じ岩ゴロゴロの急斜面に戻る。

あんまり登りのルートでは使いたくない道だ。登りに、あの階段を使って正解だ。

猫岩

猫岩、というのが途中にあった。13時28分。どこがどう猫なんだかさっぱりわからなかったのだが、大沼の方から見上げたら、猫のように見える岩がここにあるのかもしれない。

記念撮影しよう、ということで、「猫の手」の構えでカメラの前に立ったのだが、肝心の猫岩が何だかよく分からなかったのと、写真がブレまくったので却下。

昼なお暗い登山道だと、フラッシュを焚かないと写真がぶれる。

猫岩からの風景

猫岩からの風景。

随分高度を下げてきたような、そうでもないような。

駒ヶ岳に登っている最中から凄く気になっていたのだが、大沼あたりで爆音がよく聞こえていた。バババババ、という音が、静寂を破って非常に不愉快。しかも、時々「パフパフ」という音も聞こえる。大排気量のバイクを乗り回している人の集会でもあるのだろうか、といぶかっていたのだが、ここまで降りてきてようやく状況がつかめた。大沼を爆走する、観光用モーターボートの音だった。手漕ぎボートやスワンボートとは格の違いを見せつけるぜ、とばかりに水面を高速で爆走していて、そのときのモーター音だったわけだ。赤城山の風情をぶちこわしにしていると思うんだけど、あれでいいんですかね?

駒ヶ岳方面を振り返る

駒ヶ岳方面を振り返る。

いや、特にコメントないですけど。

車道はあともう少し

前方から、車が走るロードノイズが聞こえてくるようになった。それ、もうすぐでこの登山も終了だ。膝が言うことを聞かなくなって、ぎくしゃくした動きになっていたが、最後の力を振り絞る。

・・・振り絞る、って大げさな表現だなあ。たかだか数時間の山歩きじゃないか。

下山

13時39分、下山。

着ていたTシャツは、汗のためにへそのあたりまでびっしょり濡れていた。いやん、乳首が透けて見える。

速乾性のダクロンQD素材を使っているので、濡れたときは非常にボディーコンシャスだ。

今まさに下山した瞬間の写真。

・・・って、この写真を撮影してるの、誰だよ。というか、誰が三脚を立てて、セルフタイマー設定したんだよ。「下山した瞬間」じゃないだろ。

山道を振り返る

改めて、山道を振り返る。のっけから斜面がきつい道を登ることが、ここからでも伺える。

山岳遭難防止

登山口に、「山岳遭難防止」とかかれた張り紙がしてあった。

なんでも、今年に入って赤城山で2件もの遭難事件が発生しているらしい。遠足にどうぞ、とか悠長な事をさっき書いたけど、いやいや案外侮れない山ですな。でも、遭難って言ったって、「一晩かかって下山してきた」とかそういうレベルでしょ?大げさな・・・

5月23日(日)桐生市に住む女性(76歳)が、赤城山へ登山に出かけたまま行方不明になっています。お心あたりのある方は、前橋警察署までご連絡ください

えっ?うわぁ、本当の遭難じゃないか、これ。

でも一体、どこに消えてしまったんだろう?猫岩で、眼下の眺めに夢中になって崖から転落、といった事くらいしか考えられないんだが・・・。

徒歩20分

車道に出たから、登山終了お疲れさまでした、というわけにはいかない。そこから、徒歩20分かけて車を停めていたところまで戻らないといけないからだ。

「家に帰るまでが修学旅行です」

と、小学校の時の修学旅行「旅のしおり」に書いてあったが、まさにその通り。

「家に帰るまでが登山です」

ハンドルを握っているその瞬間も、まだまだ登山は続いているわけです。

バンパーの傷

まあ、今回は思いつきで赤城山登山に行ったとはいえ、随分と癒されました。週末、うだうだと家で過ごしていた怠惰な日常にカツを入れてくれた。

しかし、危惧されていた右足はもうメタメタ。下山中痛みを発しただけで、足に負荷がかからなくなったら痛みは引いた。とはいえ、鹿島槍ヶ岳登山から2週間経過したにもかかわらず、まだ痛みが出るということは本格的に右足がヤラレている、ということだ。しばらくは山登りは自粛しなければならないだろう。今回の登山で、悪化させてしまったっぽいし。

そんなわけで、ココロは癒され、カラダは傷ついた赤城山登山であった。

おまけ。

傷ついたのはカラダだけではなかった。赤城山に向かう道中、後ろから接近してきた車に追突されるという事故が発生。幸い、バンパー3カ所にかすり傷を負うだけで済んだので、大げさにはしなかったのだが・・・被害者であるこっちがてきぱきと話を進めて、こうしよう、ああしようと加害者に提案していたのは、後から考えてみれば馬鹿馬鹿しい話だった。加害者側は、どっちが悪い、ってことで揉めたら嫌だ、というのがありありで、一言も詫びを入れないどころか、殆ど何もしゃべろうとしなかった。ふざけた話だ、謝るくらいはしろ。

おっと、ここで不愉快な思いをしたので、山に登った事によるココロの癒しは帳消しか。ついでに言うと、この翌日から一週間くらい、首が軽いむちうちになったようで、重ーい感じだったことを考えれば、

「ココロは癒されず、カラダは傷つきまくり」

な赤城山登山だったのかも知れない。




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