番外編:ますゐTシャツを作ってみた

ますゐ全メニュー制覇プロジェクト(その12)

中国新聞社に、連載を持つことになった。毎週木曜日、「くらし」面の「私の口福」というコーナーで10週間。サブタイトルは「はじまりは、トンカツ。」。

「私の口福」は、新聞記者ではない人による広島の食を語るコーナー(だと思う。正式なコンセプトは僕も知らぬ)だ。2006年6月から始まったこのコーナーは、第一発目として国本善平さんが10週を担当(広島の食材に乾杯、というサブタイトルだった)。小イワシなどの食材を1週1話の読み切りで紹介していた。この方は公務員らしいのだが、その文章力には定評がある方らしい。このコーナーの担当記者さんいわく、「国本さんでまずは手堅くスタートして、二番目に期待の新人をぶつける」というコンセプトなのだそうな。

で、連載対象となったのが、「ますゐ全メニュー制覇」の話。このサイトに掲載されている内容を、新聞記事用にコンパクトにまとめ、10週連載になるように再編集した文章を用意することになった。

素材は既にあるので楽なもんだ・・・と思っていたが、これが結構難航。5月から連載準備に取りかかったが、途中ホテルに缶詰になったりして相当時間をかけて10週分の文章を仕上げた。何しろ、今まではこのwebで文章制限無し、思いついた事をだらだらと書くというスタイルしかやったことがなかった。しかし今回は、1回あたり880字の字数制限がある。新聞連載という性質上、1話ごとに一応の完結をするストーリー展開にしなければならず、これが非常に悩ましかった。

読者の方は十分ご理解頂けていることだが、おかでんの文章は「余計な表現」が着けば着くほどノリが良くなる。逆に、余計なものをそぎ落とすと全く面白くない文章になる。新聞に載る文章というのは、その「面白くない文章」への挑戦だった。

挑戦という点では、担当記者さんも同じだった。何しろ、10週連続で同一店舗、「肉のますゐ」を特集し続けるわけであり、公共の紙面をこのような使い方をして良いのか、というのは最初から問題視されていた。しかし、記者さんは「いやもう、始まっちゃったらこっちのもんですアッハッハ」的なノリで、何とか押し切る構え。素晴らしい。

ところが実際のところは、連載3週目でこの記者さん、役員室に呼び出され「まさかこのままますゐの話題でずっと連載するつもりじゃなかろうな。考え直せ!」ととっちめられたらしい。すわ連載中止か、という危機に陥ったが、「ますゐという表現は1話につき1回だけ」という暫定対処でなんとかその場は収まった模様。

故に、第4話から急に「ますゐ」という言葉が文中から不自然に消えているのがわかる。「魅惑のソースが」だの「あのお店」という怪しい抽象的な表現に刺し替わっている。ちょっとぎくしゃくしているが、まあ大人の事情ってやつだ。わかれ。

中国新聞は地方紙ということもあって、東京などで購読することはできない。また、この連載は中国新聞社のwebで公開されていないため、記事を読もうとすると広島近辺で購入するしか手段がない。もし、中国地方以外の人で「私の口福」を読むことができれば大変にラッキーだ。

この連載は、毎回900字程度の文章に加え、「写真またはイラスト」の提供も求められていた。ますゐの写真は腐るほど撮影しているので全く不自由はしないが、それだと何か味気ない気がしてきた。そういえば、ますゐ企画にほぼ出席している我がアワレみ隊のばばろあがイラストは得意としているんだっけ。渡りに船で、彼にイラスト作成をお願いした。幸い、二つ返事で了承を貰え、全10枚のますゐイラストが作成された。

このイラストは、毎週の連載にカラーで掲載されている。大変に目立っていてよろしいのだが、毎週購読している母親いわく「なんか毎回茶色っぽい絵ばっかりだね」。言われてみれば、第2話からしばらく、サービストンカツ→上タンシチュー→チキンライス→カツカレーと全部茶色っぽかった。でも大丈夫、第6話からはまたちょっと違った色合いになります。

このイラストは非常に良くできていて、お店のお品書きに採用しても良いのではないか、というくらいのクオリティだった。これをそのまま新聞記事に掲載されておしまい、というのはあまりにももったいないので、Tシャツを作ってみることにした。ますゐ料理がずらりと並んだ、怪しいTシャツ。これはますゐ中毒者にとっては必携の品といえるだろう。

しかもばばろあが描いた10枚のイラストのうち、1枚はますゐの外観だった。この外観をTシャツの裏面に配置すれば、表:メニューの数々、裏:お店の外観 という最強のますゐTシャツができあがる。ますゐ好きが高じてここまでやってしまいましたぁ、という感じだ。

ただ、ますゐTシャツを勝手に作るっていうのはさすがにお店に無許可でまずい。よし、ならばますゐ50周年であることにかこつけ、ますゐTシャツを贈呈しちゃえばいいじゃん、という発想になった。自分たちの分も作るけど、ますゐにもあげちゃう。そうすれば問題なかろう、というわけだ。もちろんこのTシャツ作成でもうけるつもりはもともとない。実費分をみんなで分担しましょう、という考えだ。

購入希望者の意見も踏まえて、最終的には下の図案で作成することになった。本当は袖のところにアワレみ隊ロゴを入れるなどと様々なアイディアがあったのだが、プリント予算が高騰してしまい1枚あたり5,000円なんていう笑っちゃう価格になるのでやめにした。

Tシャツ案

最近はオリジナルTシャツの印刷を受け付けている業者さんはたくさんある。webで検索してみるとその数が多すぎて、一体どこが良いのかさっぱりわからない。

オリジナルTシャツの多くは、「黒地に白字で何か書いてある」といった一色もの、せいぜい二色ものが多く「一色いくら」で値段が決まるシルクスクリーン印刷が多い。今回必要としている、イラストをそのままプリントするフルカラー転写は扱っていない業者さんも結構あるので注意が必要だ。また、プリントするための版下を作るか作らないか、といった選択がある業者さんと無い業者さんもあって、結構ややこしい。いろいろなサイトを見比べて、勉強していくしかない。

結局最終的に依頼したのは、Tシャツプリント.comというところだった。他の業者さんがアイロンプリント的なフルカラー対応なのに対し、ここはTシャツそのものに直接印刷しちゃいますというやり口だった。それ故に、安い、早い。値段が飛躍的に高くなるため、断念するつもりだった裏面印刷もここだとたったの+210円。素晴らしい。

ますゐTシャツてんこ盛り

発注からわずか6日で23枚のますゐTシャツが届けられた。宅配便業者さんが抱えてきたでかい段ボールにややたじろいだが、箱を開けてみたら一面ますゐTシャツだったのでますますたじろいだ。自分で発注しておいて何だが。

いやぁ・・・妄想の世界だったものが、今現実にこうやって実現しちゃうもんなんですねえ、このご時世って。

ますゐTシャツ表

ますゐTシャツ表。

料理イラストは、原本と比べるとややぼやけ気味。まぁ、Tシャツへのプリントなので解像度は仕方がないところだ。

全然イヤミな感じじゃなく、イロモノTシャツっぽさが全然無い。普段着として着ても(そんなには)おかしくないと思う。上にシャツを重ね着すれば、全然気にならない(はず)。

生地は、最低グレードのものよりもランクをあげて「ユナイテッドアスレー」というブランドものにした(1枚あたり+105円)ので、しっかりしている。一回着ただけで首回りがでろんでろんになるような安物とは違う。

ますゐTシャツ裏

裏面。

表だけだったら何のTシャツだか全く意味不明なので、ますゐ外観は重要なのです。

頒布価格は、1枚あたり2,200円。この費用の中には、ますゐに贈呈する予定の5枚分のTシャツ代金も含まれている。結構お安くできたもんだ。

ここまで安くできるんだったら、ますゐTシャツに限らず、いろいろできそうだ。今後、アワレみ隊企画で長期の旅に出る時は、この業者さんにお世話になっていきたい。

(備考)表裏とも余白がやや多いが、この写真はLサイズのもの。SサイズのTシャツだと、ちょうど良い案配で余白と絵が融合していた。
いままで作ってきたアワレみグッズとしては、

・アワレみ隊マウスパッド ・お遍路チャレンジ2001Tシャツ ・アワレみ隊ブルゾン

というのがあります。ブルゾンは限定5枚制作で、まだ1枚デッドストックがあるという代物。1枚の製造原価が6,000円という鼻血ものの高額だった。(後日、このブルゾンは買い手がつきました)

(つづく)

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