内臓肉の恐怖

みの、はつ、しびれ、ぎあら、うるて、はちのす・・・。

内臓肉の名称は、非常にわかりにくい。1回聞いても、すぐに忘れてしまう。いまだに、はちのすが牛の何番目の胃袋だったか覚えていない。3番目だったっけ?4番目だったっけ?

※後で調べてみたところ、2番目でした。全然駄目じゃん。

それでも、内臓肉は好きだ。プリン体満載で、ビールと一緒にぐいぐい飲み食いしていたら痛風まっしぐらだ。それでも好きだ。

決してこれらの肉は美味いもんじゃない。冷静に考えれば、そりゃハラミとかロースとかの肉の方が美味いに決まってる。しかし、ついつい内臓肉を愛してしまうのは、ちょっとだけその肉が珍しいという物理的背景があるのかもしれない。スーパーでも、ほんの少ししか取り扱いがない内臓肉。そういう希少性が、「好きだ」という感情に結びついている可能性がある。

だから、たまに焼肉屋に行く機会があると、ついつい内臓肉系ばかりを頼んでしまう。食感がコリコリしているものがずらりと並んでしまうので、食べ進んでいるうちにあごが痛くなる。

そんなおかでんの嗜好なのだが、先日近所の大型スーパーに行ってみたら内臓肉が大量に売られているのを発見したのだった。

これは、買っておこう。

無条件に、購入が決定された。4種類に及ぶ肉が買い物かごに収まった。どの部位の肉だったかは、今となってはあまり覚えていない。テッポウ(直腸)、センマイ(第四胃)、ハチノス(第二胃)、ハツ(心臓)だったような気がするが、さてどうだったかな。以下に掲載しているとおり写真は撮影してあったのだが、その写真を見ても何が何だかよく分かっていない。「内臓肉好き」といっても、いかにいい加減に食べてきたかというのが分かる。まあ、焼肉屋で食べるときは大抵タレにつかっている状態だから・・・。と言い訳しておこう。

さて、その日の夜、早速この4種類を焼肉にしてみることにした。ビールと一緒に味わうときっと美味かろう。フライパンに各種を少量ずつ、並べて火にかけた。

・・・

・・・

く、臭い。なんだこのにおいは。ええと、敢えて形容すると・・・ああ、この臭いって品川にある食肉加工センターの臭いじゃないか。さすがに4種類もの内臓肉を一度に解放すると、素晴らしく臭くなるというわけか。

それにしても・・・これは結構強烈だぞ。「におい」と表現するにはキツすぎるぞ。「臭気」と表現しなくちゃいけない。換気扇を「強」にして、できるだけ肉本体からわき上がってくる蒸気がこっちにこないようにする。この時点で既にへっぴり腰だ。何で料理を作っているのに腰が引けてるんだ、俺。

4種類の内臓肉ミックス。目にしみるような臭気だ

もうこうなったら自棄だ、ということでパックに残っていた肉全部を投入してみた。当然のごとく、フライパンは内臓肉でいっぱいに。

うわぁ、なんか凄い光景になってきた。これぞ内臓肉の面目躍如、なんかもう、えぐい光景だ。そうだ、人間ってのはこうやって生命を殺めながら生きてきて居るんだったっけ。何やら遠い目をしながら、慈しむ目をしつつ肉を眺める・・・

そんなわけ、あるかぁ。もう、目を細めてしまわざるをえない臭気だ。さては下ごしらえしていない肉だな、これは。

火を通せばにおいは取れるとばかり思っていたのだが、熱を与えたことによって肉の臭みがグレードアップ。見た目のグロさも相まって、何やら収集がつかなくなってきた。食べたく、ないなぁ。

作りながら、食欲がどんどんうせていく。一度、フライパンの上のものを鍋にとって、ショウガ汁か牛乳かで煮て臭みを取ろうか、と思ったが今更面倒だ。火が通れば、何とかなるのでは・・・という一縷の望みを託して、フライパンに熱を与え続けた。

しかし、においは取れない。それ以前に、食欲がなくなってきた。一体、何のために今僕は調理しているの?状態だ。

人間、食事をするために料理を作る。しかし、食事をしたくなくなるような調理って一体何なんだ。

できあがり。火が通ったか通ってないか分からないが、とりあえずはできあがった。

内臓肉四種盛り。見た目も最悪

お皿に盛りつけてみたら、ちっとはマシな格好に収まるかと思ったが・・・ううん、やっぱりえぐい光景だな。

さて。食べるか・・・

と、箸を持ち上げたのだが、そこから先に進むことができない。食欲が無い、というのもあるが、先ほどフライパン上で渦巻いていたにおいを思い出すと、とても食べられた代物ではない。しかし、一口くらいは食べなくては失礼だ。命を捧げてくれた牛さん、切り刻んだ食肉加工の方々に申し訳が立たない。

・・・

・・・

ごそっ。

台所脇の生ゴミ袋に、何やらものが落ちる重たい音がした。手には、なぜかカラになっているお皿が。嗚呼。

結局、一口も食べられなかった。4種類の内臓肉、合計で1000円近い出費だったが、どうしても食べられなかった。勘弁してください、土下座してもいいです。おかでんの性分からすれば、どんなにマズそうな料理であっても「ネタになる」の一言で食べたりするものだが、これだけは駄目だった。

もう、しばらくは内臓肉、食べたくない。見たくもない・・・。うっぷ。

この日は、結局お酒を飲まないで、牛乳だけ飲んで寝た。なにか、自分の内臓も臭み消ししないと気が済まないような、そんな臭いだった。

しかし、翌日になって何気なく冷蔵庫を開けてみたら、特価品ということで牛もつ肉1kgをまとめ買いしていた事に気づいた。うわぁ、1kgかよ!

(2004.04.21)

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