イノブタが椎茸しょってやってきた

JAマート焼き肉センター

群馬県上野村。知らない人が多いと思う。自ら「群馬の秘境」と名乗るくらいの僻地。群馬で僻地といえば谷川岳の方か尾瀬の方か、と想像するだろうが、この上野村は下仁田から南に下ったところ。完全に山に囲まれた谷間の村だ。

おかでんは最近長野県に遊びに行った帰りはここをよく通る。高速道路がひどい渋滞の時の迂回路として使っているからだ。道だけはやたらと良い。多分、この上野村には日航ジャンボジェット機墜落事故で有名になった御巣鷹山があるから、だと思う。慰霊しやすいように道路整備を進めたのか、今ではこれでもかというくらい立派なトンネルが山々を貫通している。

で、この秘境・上野村だが、渋い観光スポットはいくつもある。樹齢500年はある大木とか、滝とか、関東一の鍾乳洞など。あと、「天空回廊」と呼ばれる壮大な吊り橋も名物だ。

ただ、それだけ見所があっても食べるところはありません、コンビニも村の中には一軒もありません、じゃあつまらない。食べるものは何かありますか?というと、ここはイノブタが名物なのだった。

イノブタ。猪と豚をかけあわせた生き物。猪肉が美味いのは言うまでもないが、残念ながら野生故に発育がよくないし、冬に脂がのるという季節性が強く、豚さんほど大規模な商業ルートに乗せることができない。そこで考えられたのがイノブタで、猪の美味さと豚の育てやすさのいいとこどりをしちゃろう、というわけだ。マガモとアヒルを足して二で割った「アイガモ」と一緒の発想。

そのおかげで、イノブタは世の中で広く食べられるようになったのであった。まる。・・・と言いたいところだが、やっぱり相変わらず滅多に流通されない「謎肉」の域を超えていないのだった。そんなイノブタをここ上野村では食することができるという。鍾乳洞見物にかこつけて、イノブタを食べに上野村に行ってみることにした。

選んだのは、JAマートというJAが運営するよろず屋に併設された「焼肉センター」。名前からして肉食えこの野郎、という潔さで、たまらんですばい。

いや、実は当初別の店で「イノブタ鍋」なる料理があるらしいと聞いていたので行ってみたんだが、イノブタの生姜焼き程度しか取り扱いが無いことが判明したので方針転換してここに来た、というのが真相。

メニュー

店内はもうもうと煙だらけ。換気扇がブンブン回っていて寒いくらいなのだが、その換気扇のキャパを超える煙が各テーブルから上がってる。この店、絶対火災報知器なんて取り付けられないぞ。

メニューはいろいろあるが、ここで「とりもも肉」なんて頼んだら負けだ。多分ほぼすべての人が頼むであろう、「いの豚焼肉定食 800円」を頼むのがベター。希少な肉なのに、800円で定食が食べられるのはさすが上野村の物価水準。

ダブル焼肉定食はお得

ジャンボきのこ焼き400円

ただ待って欲しい。

「秋限定メニュー」として、ダブル焼肉定食なるメニューも発見。「食欲の秋はガッツリメシで行こう!!」というキャッチフレーズが踊る。ガッツリメシと聞いてはいそうですかとスルーできるほどおかでん、人間ができちゃいない。「行こう!!」と言われたら、「行きます!!」というしかあるまい。

セイラさんに「アムロ、よくって?」と言われたら、アムロは「行きまーす!」と言うしかないでしょ。それと一緒。意味不明だが。

この「ダブル焼肉定食」、通常の焼肉定食に加えてイノブタホルモンが付いて、さらにご飯大盛りになるらしい。ホルモンが付くだけじゃなく、ご飯が大盛りになるというところが憎い。かゆいところに手が届くなあ。「焼き肉といったら白いご飯だろうが」、という名言があるが、それをまさに忠実に守っている感じ。

酒飲みおかでん、本当なら「ご飯はいらんからビールくれ」と言いたいところ。しかし、今日は運転手の肩書きを背負っているのでビールは飲めないんですよ。そういうモヤモヤをも払拭してくれるご飯大盛り。いいぞもっとやれ。

さて、もう一つ目立つのが「ジャンボきのこ焼き 400円」。上野村に来る前、下仁田の道の駅でもやたらとデカい椎茸はたくさん目にしてきたが、どうやらこのあたりはデカきのこも名産らしい。

解説によると、「規格外品のためスーパーではお目にかかれないサイズ」ということだ。なんで規格外になるまですくすくと育ってしまったのか。天然きのこじゃあるまいし、栽培しているわけだから適度な大きさになったらすぐに摘み取ることができたはずだ。理由はどうあれ、デカい椎茸が食べられるのは歓迎。松茸は傘がが広がったでかい奴は味も香りも落ちると言うが、椎茸の場合・・・それはないよな?椎茸って傘が開いているのが当然だもんな。

これはぜひ食べたい!値づけも素晴らしい、ひょいっと手がでる400円。

なお、400円は「2-4人前位」とされていて、ハーフサイズ200円だと「1-2人前」となる。ええと、僕ら2名で来ているんですけど、その場合どっちを選べば良いのかね。

えーい、困った時は「大は小を兼ねる」で。400円の方、ください。

ダブル焼き肉定食

やってきました、ダブル焼肉定食。これで1,000円は安いぞ?うれしい誤算、いや、誤算、というか上ブレ。

期間限定でイノブタの肉は20%増しで提供している、と張り紙があったので、ますますお得なのだった。

われわれは連れと2名の来店だったのだが、一人がダブル焼肉定食にして、一人がノーマルの焼肉定食にしたらちょうど良かった。イノブタホルモンをシェアしてちょうど適量。

これがイノブタ

こちらがイノブタ。

言われてみれば豚肉よりも肉の雰囲気がちょっと違うような気が。

「肉の雰囲気」って何だよ、って聞かないでください。ただ何となくそんな感じがしただけだから。

焼いてみると、これが非常に美味い。さすがに豚と違い、少しだけ肉は固い。でもその分、肉を噛みしめるために肉の旨味をより強く感じることができる。脂は結構多く、つけだれにつけつつ食べていたら、後半脂のせいでたれの味がわかりにくくなってしまったほどだ。

これ、イノブタ鍋にするのもきっと美味いが、やはりストレートに味が良く伝わる焼肉が一番向いていると思う。これ食べちゃうと、豚肉が水っぽく感じられてしまうくらいだ。いや、久々に「おおっ」と思う美味いものを食べた。

椎茸のでけぇことでけぇこと

肉厚さも特筆もの

こちらが規格外品の椎茸。でけぇのは言うまでもないが、肉厚っぷりが凄い。椎茸独特の香りはあまりしなかったが、この肉厚な白い部分をさくっと噛むその食感がたまらない。あまり火を通しすぎないほうが食感が楽しめて良さそうだ。これが「規格外」の理由で市場に出回らないのは勿体ないなぁ。小さな椎茸とは全然似て非なるものだ。

隣のJAマートではイノブタが売られている

二人のお会計は、焼肉定食800円+ダブル焼肉定食1,000円+ジャンボきのこ焼き400円で2,200円。やすい。これだけ安くても大満足の昼食になったのだから、恐るべし上野村。

イノブタをいたく気に入ったので、隣のJAマートで物色してみることにした。

「100グラム200円以下だったら買ってもいいなあ」

といいながら。でも、実際に売られているのを見てびっくり。バラ肉で100g315円、ロースで100g420円!想像をはるかに超えるお値段でございましたよ。

さすがになかなか流通しない肉だけある。流通量が少ないから高いのか、高いから流通量が少ないのかは不明だが、これはちょっと気軽に手が出せませんよ。友達の家で焼肉パーティーやるよー、という時に、手土産として持参するのが関の山だぁね。家で一人焼肉しよう、とか肉野菜炒め作る時の肉をイノブタにしよう、なんて考えちゃだめだ。それはセレブしか許されない行為。

こういう値段を考えたら、さっきの焼肉センターの値付けというのは非常に良心的だということがわかる。ありがとうJA。ひいきにしたいです・・・けど、さすがに秘境すぎて何度も足を運べないのが痛いところだ。夜まで営業していればうれしいのだけど、14時には店を閉めてしまうようなので非常にハードルが高い店であるよ。

イノブタの説明

おまけ。

イノブタは雌豚と雄猪を掛け合わせたもの、だそうだ。

イノブタを繁殖させて、精肉することはできんのか?と素人目では思うが、どうやらそれだと味が落ちるんだとか。交配させた一世代の肉が一番おいしいんだって。やれ面倒なやっちゃ。確かに、イノブタをずっと何世代も飼育していったら、単なる豚に逆戻りしそうだもんな。

(2010.11.06)

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