なんかガツンと肉食いてぇなあ、という気分だった。「食べたい」なんて表現は生ぬるい。「食う」、もっといえば「食いてぇなあ」と汚い表現を使いたいくらい、がっつきたかった。かきこみたかった。血沸き肉踊る体験がしたかった。
かといって、ステーキを焼くという気分でもない。焼くのは至って簡単なのだけど、家にある平皿は母親から貰った「ヤマザキ春のパンまつり」の磁器だ。ナイフとフォークを使って肉を切ろうとすると、肉がすべるので使い勝手が悪い。どうにも、ステーキ!っていう気分じゃあない。やっぱりジュウジュウいう鉄板で分厚い肉を切り分けたいものだな。
ちなみにこの日本三大祭りのひとつ、と数えられる「ヤマザキ春のパンまつり」の皿だが、その頑丈たるや相当なものだ。縄文人が貝塚に捨てていても、キレイなままで出土してきそうな代物だ。夫婦喧嘩で皿を投げあう程度のことでは、絶対に割れない。
なので、「いい加減もうこの皿はいいだろう?」と思いつつ使い続けること10年以上。いや、20年以上か?ひょっとすると、死ぬまでこの皿を使い続けることになるのかもしれない。
話が逸れた。
ステーキはこの際やめておいて、じゃあ代案ということで唐揚げを盛大に揚げることにした。幸い、家には電気フライヤーがある。こいつでガンガン揚げまくって、揚げたてで暴れる肉をねじ伏せ、胃袋に押し込もう。
簡易な唐揚げ粉は安く手に入る。肉をぶつ切りにして、粉にまぶせば調理も楽だ。
で、買ってきたのが鶏肉1kg。
さすがに1kgもの肉ともなれば、お値段はそれなりにする。悪ふざけな夕食の割には、ちょっと財布が痛い気がするので、胸肉に切り替えた。これで予算は半分になった。
そのついでに、鶏軟骨も購入。こちらは200g。合計1.2kgの唐揚げ祭りじゃー。
日本三大祭りに次ぐ、四大祭りとして今日この場の唐揚げ祭りを推したい。それくらい気分は高まる。
ぐいぐい唐揚げを油に投げ込んでいく。
かなり激しく油が煮え立つけど気にしない気にしない。ちょうどシャンプーハットのような油きりがフライヤーに付いているので、さほど油は周囲に散らないからだ。そうでもなけりゃ、リビングで揚げ物なんて無理だ。
傍らでは、空気清浄機がビックリしちゃって、フルパワーで空気を吸っている。何が起きたのか理解できていないのかもしれない。すまん、ちょっとの間我慢してくれ。
油の温度が下がるからちょっとずつ肉を入れるんだよ、なんてジェントルマンだったのは最初のうちだけ。だんだん野生の本性がよみがえり、どっかんどっかん肉を投げ込むようになっていった。さすがに1.2kgともなれば量がかなりある。だんだん飽きてきたから、という理由もある。
揚がるそばからガンガン食べる。食べても食べても、減らない。というか、ちょっと箸を休ませたとたんに肉が増えていく。すごいぞ!童話で、いつまでもおかゆが出来続ける鍋の話があったけど、それを思い出した。肉が無限増殖。
ただし、胸肉の唐揚げともなれば、途中で口の水分が奪われていく。ぱさつきが気になり始め、ご飯のお供としての地位が急降下。途中で「もうそろそろ、いいんじゃないか」感が出始めた。あーあーあー。
結局、2/3ほど食べたところで「明日の夕ご飯用に作りおき、ということでね?」と自分自身を納得させつつ、揚げるだけ揚げておいた。
うんざりするまで唐揚げを食べたった!という高揚感は久しぶりだ。フライヤー買ってよかった。めったに使わないけど。
今度は、冷凍フライドポテトと、アメリカンドックと、唐揚げを交互に揚げつつ食べまくるという超ジャンク食事をやろうと誓った。
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