圧倒的存在感の焼きそばパン

メリーゴーランド外観

東京都葛飾区の端、「水元」という閑静な住宅街の中に面白いパン屋さんがあるというので訪れてみた。地元民でもないと気づかないようなお店だけど、きっとディープ好きな人には「知る人ぞ知る」お店なのだろう。

店名を「メリーゴーランド」という。

「びっくりすぐくらい狭いお店ですよ」

とあらかじめ聞いていた。教えてくれた人は、今食事をしている最中の蕎麦屋の大机を指さし、「お店がこれくらいの広さしかないです」と言う。

「一人店内に入ったら、後の人は外で待たないといけないくらいです」

そんなに狭いの?マジで?

パン屋、というのは、「どれにしようかな」といろいろ種類があるパンを選ぶ楽しみが嬉しいものだ。なので、ある程度の広さはお店に必要だと思うのだけど。

狭い店内

日曜日の営業時間は13時までだった。でもそれを知らないで14時過ぎにお店に到着してみたら、ちょうどご主人がシャッターを閉めているところだった。あれっ、もう閉店ですか?と聞いてみたら、快く我々を迎えてくれた。すいません、わざわざ。

で、中に入ってみると確かに狭い。

今写真に写り込んでいるのがお店のほとんど。背後にレジカウンターがある。

写真左端に、パンを載せるためのトレイを持った同行者が写っているけど、実質的にパンを選ぶことができるのはこの人だけ。

さすがに「店内に一人しか入れない」というのは大げさだったけど、選択権があるのは1名。最大3名は店内に入れるけど、残り2名はパンを眺めるだけになる。

それにしても、これだけ狭いお店でも案外パンが並べられるものだな。

窮屈で、選択肢がほとんどないかと思ったけど、どうしてどうして、選びたい放題だ。むしろ、どれを選ぶか悩むくらいだ。

パンが一つ一つラッピングされているから、少々パン同士が重なってもへーきへーき、というのが省スペース化を可能にした理由だろう。ラッピング済みパンというのは、あまり美味しそうに見えないという欠点があるけれど・・・

戦利品

でもちょっと待って欲しい、このお店は「単に狭い」ということを言いたいのではない。

そのボリューム感がむちゃくちゃなので、それを今回は伝えたいのだ。

なんだこれ。

焼きそばパン

何しろ、焼きそばパンがこの有様だ。

なるほど、これはラッピングしないと駄目だ、小綺麗に裸のままバスケットに盛り付けたら、全部こぼれる。

それにしてもむちゃくちゃだぞこれ。パンよりも焼きそばの方が多くないか?「焼きそばパン」ではなく、「パンやきそば」になっている。主従逆転状態。パン屋のプライドはどこへ行った、と聞きたくなるけれど、いや、ここまで具を盛れるのは大いにプライドを持っていい。素晴らしいことだ。

お値段、70円。

なんの冗談だ、という値付け。「シャッターを閉めて閉店したあとにやってきたお客さんだから、特別値引き」じゃない。もともとが、このお値段。

「そりゃー、焼きそばなんて安い食材だからね、サービスとしてそれくらいのことがあってもいいんじゃない?」

と思うかもしれないが、他のパンも全部、安い。

ハムが入っている写真左のパンが100円、チキンカツが入っているパンが120円。いくらベースとなるパンそのものがコッペパンだからといっても、びっくり価格すぎる。

これがご高齢の方の経営だったら、「ああ、年金と貯金で暮らしていけるから、道楽と奉仕の精神でお店をやっているのかな」と思う。でもご主人はれっきとした壮年で、まだまだそのような境地のお方ではない。

いや、びっくりだ。

後々になって、「2018年ってデフレでこんなに安くものが買えた時代だったんですよ」なんて勘違いしては困る。2018年の物価水準なら、普通この2倍から3倍してもおかしくない。

ご主人はあんまり綿密な値付けをしていないのか、お会計のたびに「えーと、これいくらでしたっけ」とお客さんに確認する有様。ここで「それは50円です」って伝えたら、本当に50円ってレジ打ちしかねない。

メガロポリス東京にこのようなお店がある、ということにすっごく驚かされた一日だった。

(2018.02.25)