「山椒七味パン」を思いがけず作ってしまった

ときどき、ホームベーカリーでパンを焼いている。「買ったはいいけど、いずれ飽きて放置される」ということが多いというホームベーカリーだけど、我が家ではしぶとく使われ続けている。

この日も、ホームベーカリーでパンを焼くことにした。翌日の朝食にするためだ。

既に明かりを落としたキッチンで、作業をする。なに、今回は小麦粉や塩の配合など、面倒なことは何一つない。ホームベーカリー用のパンミックス粉があったからだ。以前AmazonPrimeデーの時に特価品だったので、アホみたいに箱買いしてしまったものの残党だ。

あとはドライイーストをセットして、水を注いで、予約セットしておしまい。翌朝また会おう。

・・・で、翌朝。完成を告げるブザーの音でホームベーカリーを覗き込んでみると、こんなものがあった。

山椒七味パン

なんだこりゃ。

生地がまったく膨らんでいない、クッキーのような小麦粉の塊がそこにはあった。

うーん、発酵が失敗したか。

言うまでもなく、パンは発酵食品だ。若干清潔感に欠けていたとか、水温が高かったとか、室温が、というさまざまな条件によって失敗する可能性はある。

だとしても、これはどうだ。なんか赤いぞ。赤カビが発生したのか?だったら相当やばいじゃないか。

いやいやいやいや、そんなにド不潔にしていた記憶はないぞ?こう見えても僕は、キッチン周りはアルコール除菌をやったり、生肉を扱ったあとはブリーチで殺菌したり、結構気を遣っているほうよ?いくらなんでも、たった一晩の間にこんなにカビが大増殖するわけがない。もしそうなら、この家からは即時引っ越ししないと、肺とか気管支系に支障がでそうな気がする。腐海の海やんけ。

おそるおそる、匂いをかいでみる。

あれ。何か、柑橘系のような、爽やかな香りがする。

食べてみる。

あ、これ、山椒だ。

パン・・・になる予定だった、今となっては「赤い小麦粉」の断面を見てみる。どうも、黒ごまとか唐辛子が入っているのが見える。

わかった、これ、山椒七味だ。おーい!!

そこで心当たりに思い当たった。

そういえば、数日前に山椒七味(小さな缶に入っているやつ)を初めて開封したのだけど、缶の中には2袋が入っていたのだった。鮮度を維持するために1袋だけは開封し缶に詰め、残り1袋は冷蔵庫の中で冷蔵保存、ということにしたのだけど、それが何を勘違いしたのか、ドライイーストの箱に格納してしまっていたのだった。

道理で。

道理だよママン。

昨晩、暗闇のキッチンの中でドライイーストを入れたんだけど、5gは入るドライイースト入れからドライイースト(=実態は山椒七味)が溢れたのだった。おかしい?使い切りサイズだとしても5g、本来必要なのは3gちょっとだったのに、これは多すたな、なんでだろう?と首を捻ったものだ。

で、「ドライイーストが多く入りすぎちゃったから、明日は膨らみすぎのパンでスカスカした仕上がりになるな」と思っていた。しかし出来上がったのはその逆の、ミッチミチの変なパンだったとは!驚いた。

味?いや、食べられないほどじゃあない。思ったより普通だった。ちゃんと小麦粉には火が通っているし、粉っぽくて食べられないというわけではない。ただ、当たり前だけどうまいもんじゃあない。朝から無駄にもぐもぐしながら、「いや、これはこれでオツなものでして」と自己弁護してコーヒーをぐいっと飲む、そんな一日のはじまり。

(2019.09.11)

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