こんな大量の大手まんぢゅうは初めて見た

いし家で不幸があったため実家に帰省中。

岡山のおかでん家から、御仏前にということで大手まんぢゅうを送ると連絡が入った。

ちょうど、仏壇の両脇に設置する三段の供物台の二段目に置く和菓子を買わなくちゃ、という話をしていたので、渡りに船の話だった。

大手まんぢゅう。岡山を代表する銘菓の一つだ。

あんこに麹の甘酒から作った生地を薄くまとわせたお菓子で、甘さが上品でとても美味しい。

https://www.ohtemanjyu.co.jp/

似たようなお菓子で、倉敷には「藤戸饅頭」というものもあり、味の方向性がちょっと違うので食べ比べてみると素敵だ。

職場に持って行って大量にばらまくお土産としては若干高級なので、そういう使い方では買わない。ただ、親しい親戚家族、または友人への手みやげとしてはとても良い。高級といっても、個包装だけど1個100円程度なのでそこまで高いものではない。

いし家では、いし本人をはじめ、いし母などこの大手まんぢゅうのファンがいる。大手まんぢゅうが届くと聞いて、恐縮すると同時にニッコリ。一方で、大手まんじゅうを食べたことがない親族たちは「なにそれ、食べたことがないぞ。勝手に俺の分も食べただろう」などと(冗談で)言い争いが始まる有様。

誤算だったのは、供物台が設置されたのがお通夜の前日だったということだ。

本来火葬場でお骨になった仏様が家に戻ってきて、仏壇に鎮座したとき用に供物台が必要だと聞いていた。なので大手まんぢゅうの到着はお通夜の日までに届いていればよかったはずだ。でも実際にはその1日前には供物台が設置された。

確かにそりゃそうで、お通夜から告別式までの間は一族は家を留守にする。次に戻ってくるのはお骨と一緒だ。そのときに供物台が整っていないといけない。

・・・というわけで、供物台設置時点では大手まんぢゅうの到着が間に合わず、僕がイトーヨーカドーでたまたま買っていた30%引きのシールが貼ってあった大福餅が飾られることになった。申し訳ない。

しかも、饅頭が岡山から届いたときには既に一族が通夜・告別式会場に移動した後で、告別式から戻ってきてクロネコヤマトの不在通知票を発見する、という状況に。結局、無事大手まんじゅうが家に届いたのは告別式が終わった日の夜となった。

で、その大手まんぢゅうだが、せいぜいお供え用に10個入り程度が届くと思っていた。しかし届いたのは7個✕5列=35個入りの大きな箱。これには一族郎党喜んだ。早速、あっちのおばちゃんに何個、こっちのおじさんに何個などと親族に配布が始まり、あっという間に35個が消えていった。

2日経ってからふと気がついたんだが、そういえばこの大手まんぢゅう、結局仏前に備えられることなく親族の胃袋に入っちゃったんじゃないか?

仏様へのお供え、ではなく、直接遺族の癒やしになったのならそれはそれで素晴らしいことだ。だとしてもみんな躊躇なく食べたし持って帰ったなあ。

なお、遺族御一行様は告別式の夜、「やれやれ」と一息つきながらスーパーで買ってきたとんかつ弁当とか刺し身を食べていた。精進という考えが全く無くて面白かった。「不謹慎だ」などと言いたいのではなく、現代における弔いというのはすごくラフ&カジュアルになってきていることに感心した。そりゃそうだ、既存宗教のしきたりが現世から乖離しちゃってるんだから。

今度、納骨の際にはカニを食べに行こう、などという話も出ている。カニが大事なのか納骨が大事なのか、会話の表面だけなぞるとわからないくらいカニの話題で盛り上がっている。こういう家族内での会話こそが、故人にとっては嬉しいことだと思う。家族円満でなによりだ。

(2022.10.24)

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