我が家における6月の定番行事、山椒の佃煮を作る

都内でも、ごく稀に山椒の実を売っているお店がある。

僕が知っているのは、御徒町駅前の鮮魚店「吉池」の地下にある青果コーナーだ。逆に言うと、それ以外で山椒の実を売っているのは、地方の「道の駅」くらいしかない。

だいたい5月頃にさりげなく山椒の実が売られるようになり、気がついたら販売が終わっている。旬が短い食べ物だ。

僕が初夏に山椒の実を買うようになったのは、山椒のつくだ煮が好きだからだ。特に、京都名産のちりめん山椒は「これは凄いな」とため息をつく美味しさだ。ただし、とても高いものなので、誰かから貰わないと食べる機会がない。

自分で作ったら安くつくしたくさん食べられる、ということで毎年初夏は山椒の実を買ってきて、自分で下ごしらえをしてつくだ煮を作る。ここ数年の僕にとっての定番行事だ。

山椒の実を調理するのは、見た目以上に手間がかかる。特に、茎から山椒の実一粒一粒をむしり取る作業はとても大変だ。なるほど、山椒を使った商品の値段が高いのは、人手がかかるからでもあるのだろう。

1日以上かけて下ごしらえをして、ようやく醤油や砂糖で煮込んでいく。水分が飛んでどろっとするまで弱火で加熱していくのだけど、うっかり目を離すと焦げてしまう。つくだ煮作りの終盤は、ずっと鍋の中の山椒の実をかき混ぜ続けることになる。

で、今年はうっかり目を離してしまい、ちょっと出来が悪くなってしまった。醤油やみりん、砂糖の配合もいい加減だったので、どす黒いつくだ煮が出来上がってしまった。もう少し色が薄いものを作りたかったのだけど。

出来上がった山椒の実のつくだ煮食べてみると、焦げる寸前まで加熱されていたのでとにかく味が濃い。一口食べればご飯がどんどん食べられる、といえば聞こえが良いが、味が濃いので山椒の爽やかな香りが少し隠れてしまった。

こんなものが結構な量、出来上がってしまったので、それ以降我が家では毎日が山椒の実のつくだ煮が出るようになった。

最初のうちは香りがあったけど、時間の経過とともに香りは消えていく。一週間もすれば、山椒の実を食べても香りは殆どせず、しびれと甘辛さが中心の食べ物になっていった。つまり、中国山椒(ホワジャオ)に近い味だ。

早く食べ終わらせよう、と思いつつ、そろそろ一ヶ月が経つけどまだ食べきっていない。来年は調理の際に気を抜かないよう、気をつける。

(2023.05.30)

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