さつまいもファンが世の中に多いという事実にちょっとびっくりした一日【夏のさつまいも博2023】

東京界隈のイベント情報を紹介しているwebサイトで、「夏のさつまいも博」というイベントが新宿で開催されることを知った。さつまいもには目がないいしに、「こういうイベントがあるよ」と教えたら、彼女は二つ返事で「行く!」と言った。

いしは、何かキッチンで自炊をしているな・・・と思ったら、大抵ホットクックやヘルシオで焼き芋、ふかし芋を作っている。自分のおやつ兼お昼ごはんだという。仕事が忙しくて食事を食べる暇がないときは、焼き芋を作ってラップにくるんで職場に持参するんだ、という。

「私、自分で言うのもなんなんですが、さつまいもに関してはすごく真面目ですよ」

と彼女が言う。いや、そんなの知らん知らん。

でも、さつまいもという食べものには、それだけの魅力が詰まっているということなのだろう。残念ながら僕にはその情熱の50%も理解できていないけれど。

「なんで女性は栗とかさつまいもとか好きなの?」
「かぼちゃもありますよ!」
「ああ、かぼちゃも、か」

どうやら、ねっとりした触感の食べ物、というのが女性にとっては魅惑に感じるらしい。このご時世、一概に「男性が」とか「女性が」と性別でレッテル貼りするのは正しくないが、相対的に女性の方が栗さつまいもかぼちゃに対する熱量が高い。

一方、男性はというと、ポテトチップ大好き!などと、カリカリサクサクしたものの方が好きな気がする。ねっとりとカリカリ、この傾向の差はどこで生じたものなのだろう?

男性がポテチ好きだったとしても、さつまいもスイーツを愛する女性たちのような情熱はポテチに注がない。なので、僕ら男性にとって、女性のさつまいも好きを自分の何かに置き換えて「ああ、わかるわかる」と理解することが難しい。

そんなことをまざまざと感じさせられたのが、「夏のさつまいも博」の現地だ。

新宿住友ビルの三角広場で開催されたのだが、開場時間を前に長蛇の列ができている。一刻も早くお目当てのブースに行って、お目当てのさつまいもスイーツを食べたい人たちが大挙して押し寄せている。

このイベントの入場予約はオンラインチケット販売サイトで行われたのだが、予約時間は2時間刻みだった。

たとえば朝イチの回だと10:00~12:00。ここで一旦総入れ替えになって、次に12:00~14:00のチケットを持っている人たちが入場する。入場料金を取るということ自体がちょっと驚きだけど、総入れ替え制というのにも驚いた。

つまり、それだけ人気があって人が集まることが想定されている、というわけだ。

だいたい、入場料だけで700円がかかる。受付をすると、まるでフェス開場のようにリストバンドを腕につける。

700円の入場料を払ったからには、会場内での飲食はお安く抑えられているのかと思ったが、そんなことは全然なかった。また、入場料には500円の食事券が含まれています、といった施策にもなっていない。本当に純粋に、さつまいも博会場に入るためだけに700円がかかる。

「ぼったくりだ」とか言いたいわけじゃない。むしろこの事実に感心して驚いている。こういうお金がかかってでも、さつまいもを食べたい!という人が大勢いるという現実に初めて触れることができて、僕はちょっとうれしくなった。

でも高いっちゃあ高い。夫婦ふたりで1,400円だ。そして、「せっかく入場料を払ったんだし、食べたいものがあるならば食べなくちゃ!」とお財布の紐が緩まって、結局トータルで相当な出費となった。今はまだ子どもが未就学児なのでこの手のイベントで入場料がかからないけれど、今後彼が成長したら大変だ。

ちなみに、10:00からこのイベントはスタートするのだけれど、別料金を払えば09:30からフライング入場できる、というチケットも別料金で売られていた。これもまたすごい。

お店がずらっと並ぶ会場。

物産展のような雰囲気だけど、どのお店も全て「さつまいも」ばっかりを扱っているのだからすごい光景だ。

いろいろなメニューを考えつくものだなぁ、と各ブースを見て回って感心する。

なにしろ、競合店すべてが「さつまいも」を使った料理を提供している。差別化を図るためにも、色んな料理が目白押しだ。

「チーズアイス芋んぶらん」だなんて、よく考えたものだな。お値段1,300円と相当高いのだが、他のメニューが1,000円くらいするのでだんだん感覚が麻痺してくる。

栗ならともかく、さつまいもってそんなに高い食材じゃないよね?とふと我に返るのだが、最近は全国各地のご当地ブランド芋がたくさんあって、さつまいもであっても値段が高い。すごい時代になってきたものだ。青木昆陽先生がこの状況を知ったら「こんな筈じゃなかったのに」と嘆くだろう。

さつまいもが使われたカレー。フラペチーノを飲むようなプラカップに入って盛られている。上にはサラダ。

こちらはひんやり冷やして飲むさつまいも、「芋ぺちーの」。

「冷やし芋」という商品もあった。焼き芋が冷やされているという商品だ。

これだけ夏が猛暑・酷暑だと、さすがにアツアツの焼き芋を食べる意欲は減る。そんな気持ちに寄り添うように、冷えた焼き芋が売られているというのは優れたアイディアだ。蜜がむしろギュッと詰まった感じで、これはこれで美味しい。

「超濃厚、過蜜系パフェ」を名乗るスイーツもあった。名前を「パーリーチーター」という。さつまいも、というのはどんくさいイメージがある食べ物だったが、今やすっかりチャラい料理にもおしゃれな料理にも使える食材に格上げされている。

立身出世という点では、さつまいもはここ半世紀で一番の成長を遂げた食材ではなかろうか?

パーリーチーター。

「過蜜系」と自ら形容していたけど、確かに過密だ。ごちゃごちゃをいろんな味が詰め込まれすぎて、食べていて頭が混乱した。ここまで詰め込まなくても!というのが僕の感想だが、さつまいも好きにとっては「あれもこれも、いろんないもスイーツが一度に食べられる夢の1皿」なのかもしれない。

他にもいろいろ食べたけど、とにかく「へえー」と驚いた回だった。

ただ、一緒に行ったいしに対しては申し訳ないことをしたと思っている。というのは、僕が「うわぁ!すごい!これは美味しいね!」「みてみて!あれって凄そうじゃない?買ってみようよ!」などというテンションでは全然なく、テンションが低かったからだ。たぶん、キャッキャウフフと楽しめる仲間同士でこのイベントに参加したほうが、何倍も楽しかっただろう。

来年も同じイベントがあるなら、僕は一歩引いていしに「友達を誘って行ってらっしゃい」と送り出すと思う。熱量が低い人間が、熱量高い人の足を引っ張ったらダメだ。

(2023.08.19)

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