お抹茶とともに供されたのが、龍の上生菓子。今年(2024年)が辰年だから、正月前後にだけ作られたものだろう。
これは岡山銘菓「むらすずめ」を製造している橘香堂のもの。
日本画において龍というのは、たいてい目つきが悪く描かれるものだ。でもこの和菓子は、つぶらなひとみでこっちを見つめてくる。だから、最初はこれが龍に見えず、「なんだろう?」とお互い見つめ合ってしまうことになる。僕は最初、これはセミかなにか、虫なのではないかと思ったくらいだ。
そうだ、そもそもこのお菓子が黄色いから、龍だと気が付かなかったんだ。龍というのは緑であるという前提があまりに頭にこびりついていた。
そう考えると、他の動物で色指定が自由なものと不自由なものがあることに気がついた。たとえばゾウ。僕が子どもに読み聞かせている絵本では、灰色だけでなく、ピンク、青といった色で描かれることがある。あと、ウサギやカエルもフリーダムな色使いが許されている動物だ。一方、猿やライオンは大胆な色が許されていない。茶色ではなく黄色くなることがある程度で、赤い猿などは出てこない。あと、当たり前だけどパンダは白黒以外ありえない。
2024年1月1日、僕は「黄色い龍というのもありえるのだな」ということを学んだ。今年一年、常識に囚われないものの見方を心がけていきたい。それが今年の豊富。
(2024.01.01)
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