Amazonで偶然、アサヒビールの「ドライゼロ 泡ジョッキ缶」を見つけた。へえ、こんな商品があるんだ。
「スーパードライ」の泡ジョッキ缶が発売になったときは、あまりの人気で生産が追いつかず、店頭在庫がないという時期が相当長く続いた。「次の入荷は◯月◯日」などと、次回予告が店頭に掲示されるくらいだった。メーカー側である程度在庫が溜まるまで、小売に出荷しなかったのだろう。
今回、我らがノンアルコールビール・ドライゼロにおいても同じ状態になっているらしい。
どうやら、僕のアンテナ感度が低かったようで、すでに2023年段階では発売が開始になっていた。それでも全然店頭などに出回っておらず、僕は気づかないまま発売開始から1年が過ぎていた。今回、俺様の目に留まったが100年目、早速ケース買いをした。しかも、「どうせすぐに品切れだろう」ということを見越して、2ケース目も数日後に追加発注。
以前から、ノンアルコールビールの泡が力不足であることを僕は嘆いてきた。グラスに注いで、いざ仲間と乾杯をしようとしたときにはもう泡が消えている。その見た目のショボさと、祝祭感のなさは本当に残念な気持ちになる。
ノンアルコールビールが「ビール風な、ナニカ」である以上泡がモクモクと出ないのは仕方がない。ビール酵母が糖を食べ、アルコールを生産するとともに排出するのが二酸化炭素だからだ。ノンアルなんだから、泡が出るほうが不自然だ。
しかし、この商品は泡が出るという。それは嬉しい。それはすごい。
お酒を飲まない僕がノンアルコールビールを愛してやまないのは、泡がきめ細かくて喉ごしがさわやかだからだ。これが炭酸水だと、もっとバチバチとした粗い喉越しで、強炭酸ならば喉が痛くなる。ノンアルビールの心地よさを代替してくれる、炭酸系ノンアルコール飲料は未だに僕は知らない。
発注から半月ほど待って、ようやく届いたドライゼロ泡ジョッキ缶を飲んでみる。
公式サイトによると、推奨冷却時間は8時間以上、と書かれていた。かなり長い。じらす。
https://www.asahibeer.co.jp/dryzero/awazyokkikan
しっかりと冷やさないと、泡が大量にあふれ出てしまうからだろう。あと、キンキンに冷えてやがるぜ!という状態でも、お店で買って家に持って帰る間に揺れたらアウトだろう。泡神様がお怒りになって開栓した瞬間にドバーだ。
「買ってきて、すぐに飲みたい」という人には向かない飲み物。僕みたいにケース買いして、いつでも冷蔵庫を開ければノンアルコールビールが冷えている、という人向け。
話が脱線するが、我が家では災害対策の水備蓄に「ノンアルコールビール」をカウントしている。なにせ、常時10リットルから20リットルは在庫があるから。
で、開栓。
まるでCMのように、パカッと缶を開けた直後から泡がじゅわーっとでてくる。開栓の仕方が悪いのだろうか、とか冷やし方が足りなかったのだろうか、とアホみたいに溢れて食卓にこぼれまくったノンアルビールを拭きながら反省したが、何一つ僕は悪くない。手順通りだ。つまり、「泡が溢れ出る前に、すぐに缶に口をつけろ!そしてグイッといっちゃえ!」というなんとも楽しい飲み方が正解らしい。
若い頃、まだアルハラとか無かった時代に学生時代や若手社会人として過ごした僕。「イッキ」なんて言葉は現役バリバリだったし、「飲みが甘い」ということも日常茶飯事で使われる言葉だった。そうやってグイグイとお酒を飲んでいた僕だったが、お酒をやめて早11年、まさか今こうやって「イッキ」に近い飲み方をノンアルコールビールでやることになるとは思わなかった。
1/3、ないし1/2ほど缶の中身を飲んだところで、ようやく安心できる。そこまで水位を下げれば、これ以上泡がでてきても缶からあふれることはない。
口コミを見ていると、多くの人はこの泡に感動しているようだ。でも僕は、「あれ?」という気持ちだった。泡にはびっくりしたけれど、だからこそ、味が気になったのだった。
結論から言うと、「あー、ノンアルコールビールって大して美味しくない飲み物だなー」と冷めた印象を持ってしまった、ということだ。
そんなものは百も承知でこれまで飲んできた。特にドライゼロを飲む、ということは「そこまで美味しくはない」ことを理解しているということにほかならない。なにせ、原材料は大豆ペプチドとホップだ。麦ですらない。
それでも僕がドライゼロを愛飲するのは、爽快感があるからだ。サントリーオールフリーは無難すぎて面白くない味だし、キリン零一はくどい。そしてアサヒのもう一つのノンアルコールビール、「アサヒゼロ」はわざとらしい味だ。僕にとっては、ドライゼロが一番しっくりくる。どうせ飲んでも酔わないんだし、チビチビと楽しんで飲むものでもない。ノンカロリーでサクッと飲めるドライゼロは本当に素晴らしい。
しかし、この「泡ジョッキ缶」は、急速に盛り上がってくる泡をやり過ごした後、缶に残った飲み物を改めて飲んだときに「うーん、なんか違う」という気になった。泡と飲み物の味も体験も一体化していないと思ったし、泡に驚いたあとなので、「で、肝心の飲み物は・・・あーこんな味かぁ」という冷めた見方になってしまった。
ちなみにAmazonで買うと、1本あたり約150円(340ml缶)。通常のドライゼロだと1本104円(350ml缶)。
1.5倍高い値段を払ってまで飲みたいか?と聞かれると、「いやー、それだったら1.5倍多く飲みたいです」と答えるだろう。
「ドライゼロ、案外うまくないなー」とわれに返ったのは事実だけど、それでも今後も飲み続けるだろう。ただ、高いお値段を払ってまで泡ジョッキ缶を買う必要はないな、とも思った。なんだかなぁ、モヤモヤする。待望の泡!だったのに。
なお、現役でお酒をたしなんでいる人で、「今日はちょっとお酒が飲めない日なので・・・」とノンアルコールビールを飲むなら、断然「泡ジョッキ缶」が良いと思う。たぶん、普段本物のビールを飲んでいる人にとって、(味が向上してきたとはいえ)ノンアルコールビールはやっぱり物足りないはずだ。その物足りなさを、泡ジョッキ缶は補ってくれると思う。
一方で、「酒は飲みませんが、ノンアルコールビールが好きです」という僕は、いまいちうまくフィットしなかった。これはもう仕方がない。
僕からしたら、ビールのフェイク品としてのノンアルコールビールはもういいので、まったく違う「食前・食中に楽しめる完全オリジナルのノンアルコール飲料」が爆誕してほしい。レモンサワーのノンアルコール版、みたいなのはいらないので。でも、じゃあそれならばジュースを飲めよ、という話になるので、「わかってねぇなあ、お前は!」とその人と言い争いになりそう。甘いのはいらないんだよ。
(2024.12.07)
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