俺達のあこがれだった食べ放題なのに、ワクワク感が減った気がする【桃菜】

すかいらーく系列のファミレスで、飲茶を提供する「桃菜」。

料理単品や飲茶セットメニューがあるが、なによりも魅力的なのが飲茶食べ放題のコースがあることだ。

AコースからCコースまで3通りあり、値段は大きく差がある分高いコースを選ぶと、北京ダックなどが食べられるようになる。

ビュッフェ形式ではなく、卓上のタブレットを使って注文するオーダーバイキング方式だ。

僕ら夫婦は、このお店がとても気に入っていた。とはいっても、都内でさえ「桃菜」は少ないため、訪問する機会は年に1回程度にとどまっていた。

行くと、そりゃあもうあれこれ頼みますよ。飲茶の楽しみは、せいろで蒸された料理の数々を少量ずつ多品種で楽しめるということだ。あれも、これも、と選んで頼む楽しみは他店にはない。

ビュッフェ形式ではない分、料理の全体像を実物で見渡し、今後の作戦を立てることができない。それがむしろ、楽しい。

最近、歳とともに食べる量に分別がつくようになってきた。「食べすぎて苦しい・・・」ということがめっきり減った。自分のキャパを把握できるようになったからだし、環境負荷を考えると良いことだ。しかし「これは予想と違ったぞ」と慌てたり、「わかっているけど、食べたかったらつい頼みすぎた」という若気の至りの情熱が減ってきたのは悲しい。

それを救ってくれるのが、タブレット形式の食べ放題、しかも飲茶という「あと1品追加で」をやりやすい料理形態だ。

お店の人はてんてこ舞いだと思うが、どうしてこんな店舗運営が可能なのかというと、「せいろで蒸す料理が中心なので、厨房で蒸し器の上に料理が入ったせいろを積み上げると同時調理が可能」なのと、「ネコ型配膳ロボットが大活躍している」からだ。

もしネコ型ロボットがいなかったら、居酒屋以上にあれこれオーダーされまくるお客さんに対応することは無理だ。なにげに、今だからこそ実現できるお店のスタイル、といえる。

今回、久々に桃菜に行ってみた。並ぶのがいやなので、わざわざネット予約をとって。

が、なんか様子が違う・・・と店内に入って不穏な雰囲気を感じてしまった。

昔は完全オーダーバイキングだったのに、今では料理の一部がビュッフェテーブルに載っている。焼き餃子やフライドポテトといった一部料理に過ぎないが、なんとなく「えー、そうなの・・・?」と残念な気持ちになった。お通し的に、すぐに食べられるようにしたという配慮なのかもしれないが、僕らからするとワクワク感が落ちた。

あと、Aコースだと税込1,759円、Cコースだと税込2,749円(ドリンクバーやデザート別)、という値段設定も「あれ?」と思った。昔は最安のAコースでさえ、もっと高かった(別店舗だが、2,419円)が、えらく安くなってしまったもんだ。

安く食べ放題が楽しめるのは嬉しいことだけど、不安になる値段設定だ。

その後あれこれ食べてみたが、夫婦揃って「いまいち満足感が足りないね」という意見だった。「昔っから、こんな感じだったっけ?」とお互い首をひねる。だって、初めてこのお店で飲茶食べ放題を楽しんだときは、「こりゃあ嬉しい!楽しい!今回はAコースだったけど、次回は奮発してCコースでもいい!」と興奮したからだ。

値段を下げサービス内容を落としたのか、それとも僕らがたまたまこの日、このお店とフィーリングがあわなかったのかは、原因がよくわからない。本当に首をひねるしかない。もっとお腹を空かせてからこのお店に来ればよかったのだろうか?と自らの体調管理に原因を求めてしまったくらいだ。


飲茶というのは、思った以上に腹にたまる料理が多い。餃子や小籠包の皮に代表されるように、小麦粉を使ったものが多く、ミニサイズの料理に気を許しているとあっという間に満腹になる。

だから、「思ったより食べられなかったぞ」という意外性による残念さが出やすいジャンルといえる。それは言い換えれば、「どの料理も『うまい!』と客が思える料理をお店が提供できないと、客は『大して食べられなかったし、大して美味しくなかった』と判断してしまう」危険性がある。

案外難しい料理なんだな、飲茶って・・・と思った。まだ、「餃子食べ放題」とか「小籠包食べ放題」のような、シンプルメニューで勝負のほうが、客の満足度は高いかもしれない。最初の期待値がそれほど高くないから。


「桃菜」を都内で手軽に食べるならば、JR山手線巣鴨駅の駅前すぐにお店がある。僕らが初めて食べたお店も、ここだ。ファミレスというのはロードサイド店が多いけど、駅前超一等地にお店があるのでありがたかった。

しかしそんな「桃菜」巣鴨店だが、この記事を書くにあたって調べてみたら、なんと閉店していた。えっ?閉店?開業して2年そこらで?勿体ない・・・。お客さんは十分いたと思うのだけど・・・。

で、もっとびっくりなのが、その後釜に入ったのが同じすかいらーくグループのバーミヤンだった、という事実。なんだそれ。

もともと、バーミヤンで期間限定イベントとして「飲茶食べ放題」をやって、大人気でお店がパンクしてしまったために飲茶食べ放題専門店を開業したのが「桃菜」だったはずだ。それなのに、先祖返りしてしまうとは。

もういっそのこと、テーブルオーダー式の飲茶食べ放題じゃなくてもいいから、ビュッフェ形式で飲茶食べ放題をやってくれよ・・・と思うが、そうすると蒸し器の蒸気でヤケドした!どうしてくれる!という問題を恐れて実現はしないのだろう。

(2025.04.26)

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