現代音楽家である池田亮司の作品を銀座のギャラリーで展示している、と聞いたので行ってみた。
池田亮司って誰やねん、と思ったら、昨年東京都現代美術館で開催された「アートと音楽」展で、ひときわ印象的な作品を展示していた人だった。
作品名を「data.matrix [n°1-10]」と言う。
この作品は、ずらっと並ぶディスプレイに、多種多様なデータを音に合わせて表示することで成立している。基本は黒い背景で、白い文字や記号、塩基配列、点や線といったものが非常に細かく、素早く動く。それはSF的であり、非常にわくわくさせられるものだった。まるで何か背後で高度な計算が行われているかのようだ。
で、今回の展示は、そのdata.matrixで使われた画面をマイクロフィルム上にコマごとに配置し、ライトボックスの上にフィルムを並べて俯瞰することができるようになっていた。
一枚一枚の絵はものすごく小さいので、スコープを片手に絵を拡大して見なければならない。でも、それがなんだか格好良かった。
建物の8階にあるギャラリーは、エレベーターを降りた瞬間から異空間。白い壁、コンクリート剥き出しの床、配管丸出しの天井。そして、何一つ説明がなされず、表題すらつけられていない作品が並ぶ。 何らかの形で「data.matrix」を見たことがない人だったら、なんのこっちゃさっぱりわからない空間だ。
スタッフの人はカウンターに2名いたが、あいさつを最初に交わした以外は一切物音を立てなかった。無機質。でもそれが、クールだった。
池田亮司は今週末に渋谷で2daysのパフォーマンスをやるらしいので、行こうかどしようか現在思案中。
(2013.11.05)
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