週末をアクティブに動き回っている我が家は、車に乗る機会も多い。マイカーは持っていないので、レンタカーやカーシェアを利用している。
その際、面倒なのがチャイルドシートの設置だ。
レンタカーを借りる場合は、予約の段階で手配をしておけば既にチャイルドシートが取り付けられた車を貸してもらえる。ただし1日につき1,000円のレンタル料が相場なので、お金はかかる。
カーシェアを使う場合は、家の倉庫からデカくてクッソ重たいチャイルドシートを運び出し、車の後部座席に設置しなければならない。車の返却時は、その逆のことをする。もともと、チャイルドシートなんてマイカーに据え置きにすることを前提に作られているものだ。なので、僕らのように毎回取り付けと取り外し、そして倉庫への出し入れというのは想定されていない。なので僕ら親にとっては苦行でしかない。
そんなわけで、弊息子タケが3歳半になり、体重15キロ超え+身長100センチ超えになったのを親としては大変に喜ばしく思った。子がスクスクと成長して嬉しい、というより、「ここまで成長すれば、チャイルドシートを卒業してジュニアシートに切り替えられる」と思ったからだ。
ただ、弊息子の成長をまるで見ていたかのように、僕らが契約しているカーシェア会社は「これまで各車両のトランク部分に備え付けてあったジュニアシートを撤去します」とサービス改悪をしてきた。おいちょっと待て。
しょうがないので自前でジュニアシートを調達しなければならなくなった。
チャイルドシートとジュニアシートの違いは、端的に言うと「車備え付けのシートベルトを使うか、使わないか」の違いだ。赤ちゃんや幼児は体が小さいので、車に備え付けられている3点式シートベルトは装着ができない。なので、赤ちゃん・幼児専用の椅子を車のシートベルトで後部座席に固定し、その幼児専用椅子の5点式シートベルトで身体を固定するのがチャイルドシートだ。
一方、体重が15キロを超え、身長が100センチを超えてくると、今度はジュニアシートというものに切り替わる。
ジュニアシートは、大人同様、車に備え付けられているシートベルトを使って子どもの身体を固定する。しかし、そのままだと小さな子どもの身体とシートベルトがうまくフィットしないので、子どもの座高を上げるための分厚いクッション、場合によっては背もたれを設置する。こうすることで子どもをかさ増しすることで、大人同様にシートベルトが締められ、事故時に身体を守ることができるようになる。
もともと、親戚からジュニアシートが貰えるという話はもらっていた。でも、どうやってそれを我々の家まで運ぶんだ?という課題があった。なにしろ、ジュニアシートをあげると言ってくれている親戚は複数あれど、どちらも東京の人ではなかったからだ。郵送してもらったら、その送料で新品のシートが買えるんじゃあるまいか?と思った。
だったら自前で買ってしまおうかなあ、どうしようかなあ、とダラダラAmazonを眺めていたら、たまたま見つけたのがこれ。
これがあればジュニアシートは不要、という商品なのだという。名前を「スマートキッズベルト」という。
ええ?本当かよ。嘘くせー。そんなうまい話があるわけないだろ。おまわりさんに捕まってしまうぞ。
この商品、作りはシンプルだ。単なる、長さ調節ができるベルトで、その両端は強力なクリップになっている。大人でもこのクリップを外すのに難儀するくらい、固い。
3点シートベルトの一部にこの「スマートキッズベルト」を装着し、スマートキッズベルトの長さを短くすると、あら不思議、車備え付けの3点シートベルトが子どもにも合うサイズになりますよ、という代物。
↓公式サイトの、この写真が端的。
なるほど、それは確かにそうかもしれない。でも、こんなの、装着の仕方が下手なら、幼児に危険が残る。こんな不確実性が高い商品を警察が許すとは思えないのだが・・・と思ったら、許してたー。
公式サイトやこの商品を取り扱っている通販サイトは、しきりに「警察庁のお墨付き」であることを謳っていて、ホンマかいな?と思っていたのだが、本当にちゃんと警察庁から各都道府県の県警等に「この手の商品は道路交通法に違反していないからね」とお墨付きを与える通知書がでていた。
https://www.meteorapac.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/skb_kaitou.pdf
メーカーはわざわざ警察庁に情報開示請求をして、この警察庁の内部文章を公開してもらい、自社サイトに掲載している。
とはいえ、警察庁が言っていることを拡大解釈していたり、悪意ある曲解で怪しい商品を売っているのでは?と疑い深い僕はまだ信用していない。だって、単なる1本のベルトが、ジュニアシート代わりになるわけがないじゃん。
ところが、「全日本交通安全協会」にもこの商品が安全であると紹介されていてびっくりした。「この手の商品なら大丈夫です」などと漠然とした話ではなく、ちゃんと「スマートキッズベルト」という商品名を書いたうえで、これは大丈夫だ、と書いている。
https://www.jtsa.or.jp/about/belt.html
えー。そうなの?
「交通安全協会」って、免許更新のときに「任意ですが・・・入会しませんか?」と窓口で言われる、あれでしょ?あの全国組織だ。だから、怪しいものを推奨するわけがない。どうやら、本当にこの商品はオッケーらしい。法の目をかいくぐってセーフ、というわけではなく、余裕でセーフらしい。
念の為、「全日本交通安全協会」なるものが、僕がイメージしている「交通安全協会」と似て非なるインチキ組織である可能性も捨てきれないので調べてみた。しかし、それは杞憂であり、本当に全国の都道府県にある交通安全協会の上位組織だった。
というわけで、買ってみた「スマートキッズベルト」。
いしに「なんで私に相談しないでこんなのを買うの?」と言われるんじゃないかとヒヤヒヤ。すまん、僕の悪いクセで、深夜に衝動買いでポチってしまった。でも、説明通りの商品ならば、これはものすごい便利なはずだ。きっといしも納得してくれるはず。
そしてなにより、タケが喜ぶはずだ。チャイルドシートは5点ベルトであることもあって、身体をガッチリと拘束されてしまう。ただでさえ体温が高い幼児なので、チャイルドシートに座っている間は背中が蒸れて、とても不快らしい。今回からは、快適になるはずだ。きっと。
とはいえ、この商品をまだ完全には信用していない。商品はマジモンだとしても、装着のしかたが悪いと子どもを危険にさらしてしまう。
写真は、弊息子タケにスマートキッズベルトを装着した時のもの。初回装着。
通常の3点シートベルトに、縦に1本ベルトを追加した状態になっている。この縦のベルトがスマートキッズベルトで、スマートキッズベルトを短く縮めることで、3点シートベルトのうちたすき掛けの向きに伸びるベルトの高さを子供用に低く抑えることができている。
3点シートベルトは、雑に着用すると、全然体を守ってくれない。むしろ、内臓破裂や頚椎骨折といった致命傷を負わせる可能性がある。大人でさえそうなのだから、子どもに3点シートベルトを装着させるときは正しい場所にベルトが当たるように注意が必要だ。
正しいベルトの位置は、1本が腰骨、もう1本が鎖骨だ。雑にシートベルトを装着すると、へその上にベルトがくることがあるが、これだと事故ったときに内蔵を痛める。
内臓破裂するくらいなら腰骨の骨折のほうがマシ。頚椎骨折するくらいなら、鎖骨骨折のほうがマシ。シートベルトというのはそういう設計思想で作られている。
3歳児にも、同じ。スマートキッズベルトを使うと、概ね期待通りのポジションにベルトの位置を添わせることができた。ほう、これはすごい。もっといい加減なものだと思っていたのに。
僕らのようにカーシェアを借りてひょいと乗る立場にとって、このベルトはとてもありがたい。最初の装着と微調整には少々時間がかかるが、初回であってもものの数分で済んだ。慣れれば、取り付けに1分2分あれば十分だろう。そして、撤収する際はあっという間だ。
座布団形式のジュニアシートと違い、これはベルトなので持ち歩きが可能となる。だから、旅先で車を借りることになった際、「ジュニアシートがないから車には乗れない・・・」と諦めなくてよい。これはありがたい。
タケも、親と一緒のシートベルトになったのでご満悦だ。しかも、これまでのチャイルドシートと違って、乗り降りする際がとても楽ちん。親も子も嬉しい。
とはいえ、まだこのベルトに全幅の信頼を置いているわけではない。まだもう少し、近場に行く程度の利用に留めるつもりだ。何度か使ってみるうちに、課題の洗い出しをしていく。
というのも、「このベルトをしたまま、子どもが寝始めたらどうなるのか?」とか、「退屈だよーと遊び始めて、姿勢が崩れ始めたらベルトの位置はどうなる?安全効果は持続できる?」など、気になることがいくつもあるからだ。
今回、ご機嫌に第一回目の近距離ドライブ(片道15分程度)に出かけてみた我々家族だったが、帰り道タケが「見えない!」と不満を言いだした。何事かと聞き返してみたら、「外が見えない!」と言う。
ああなるほど、これまでチャイルドシートだと、座面がすごく高い位置にあった。彼の目線は、隣に座っているいしよりも高いくらいだ。さぞや視界が広かったことだろう。
それが今回は、大人と同じ座席に座っているので、身長101センチなりの座高しかないのだった。おかげで、車窓から見える流れる景色、というのがほとんど見えない状況に。これは子どもにとってさぞやつまらないだろう。
スマートキッズベルトに限らず、ジュニアシートでもチャイルドシートを使っていても、幼児が助手席に座ることは推奨されていない。エアバッグが作動したとき、強いダメージを受ける可能性があるからだ。なので、彼を楽しませるためにと助手席に座らせるわけにはいかない。
なるほど、最大の問題は「子どもが景色を楽しめない」だったか・・・と思いつつ、今後どうしようかなあ、と思案中。
(2024.09.29)
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