さらし奈乃里(23)

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2000年10月07日
【店舗数:—】【そば食:119】
東京都板橋区前野町

板わさ、おかめ、もり、ビール、お酒

最近、このお店ではビールばかりを飲んでいた。夏だから、ビールが恋しい季節、というわけだ。しかし、ようやく涼しさが東京の空にも戻って来つつあり、そろそろお燗で清酒を頂きたくなる季節になってきた。ぬる燗で、一献。いやぁ、しみじみと美味いな。

「今日のテーマは『温かい』だ」

と思いつきで決定し、酒肴としておかめそばを注文。上に乗っている具を時々つゆにくぐらせながら、食べつつ、飲んだ。酒の肴盛り合わせセットとして、おかめそばの具だけお皿に盛ってもいいんじゃないの、と思うが、そうなるとありがたみが無くなってしまう。やっぱり、蕎麦を注文しないと味わえない、そういう具があっても楽しい。

ついつい自制がきかなくなり、つゆまで全部飲んでしまうところだった。ギリギリのところで抑止。まて、今日はメインイベントがこの後に控えている。

それは、「新蕎麦を食らう」という事だった。先週、「新蕎麦」の張り紙を発見して大いにドキドキしたのだが、今週こそその新鮮なヤツを頂かなくてはいけない。おかめそばを食べたあと、あらためてもりそばを注文した。

出てきたそばは、外見はごく普通だった。しかし、口にした途端、思わず机の下で小さくガッツポーズしてしまう味だった!やった!これぞ新蕎麦だ。今までこのお店で食べてきた蕎麦は一体何だったの、というくらい全然違う。インパクトが違いすぎる。ああ、蕎麦の素人であるおかでんでさえ、これはダントツで美味いことが分かる。目隠ししても分かる。鼻をつままれていても分かる。舌をひっこぬかれていても・・・それはわからないか。いずれにせよ、桁違いに美味かったのだった。

当時の手記に、「ありがとう、新そば。」という記載が残っている。感謝の念をこめる、お蕎麦。人を幸せにさせる蕎麦だった。

振り返ってみれば、蕎麦を食べ歩く事に興味を持ち始めたのは、昨年(1999年)末の事だった。すなわち、蕎麦喰い人種として新蕎麦シーズンに立ち会ったのは今回が初めてとなる。だから、この感動はひとしおだ。良かった、蕎麦を食べ続けてきて。

ちょうど、蕎麦好きになった時期が良かった。冬、春、夏と過ごしてきて、ある程度蕎麦の経験値を積んできたところで、蕎麦の晴れ舞台である新蕎麦に出会う。恐らく、新蕎麦の季節から蕎麦好きになっていたら、こういう感動は味わえなかっただろう。

でも、うれしい反面、切なくもあった。今こうして食べている蕎麦は、非常においしい。今までのさらし奈乃里の里の蕎麦だってウマかったが、全然別物の味だ。ということは、蕎麦というのはたった一年の間でここまで味が落ちてしまうのか、ということだ。ことのほか、新蕎麦を珍重するのはこういう背景があったのかと、まざまざと見せつけられた感じがする。

こうなると、蕎麦の風味が激減する前に、新蕎麦の季節に、蕎麦を食べまくらないといけない。今年の新蕎麦シーズン、これは気合いを入れて蕎麦づくしの生活を送らないと。



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