以前から、時折墨田区の交通公園に行っている。弊息子タケの三輪車と自転車の訓練のためだ。

気がついたら、ストライダーは乗りこなせるようになった。しかし、ペダルを漕がなければならない三輪車はストライダーよりも難しいようで、まだうまく乗りこなせていない。
僕の戦略として、彼を3ヶ月に一度程度の頻度で、交通公園に連れて行くことにしている。もっと頻度を上げてもよいのだが、なにせこの交通公園は我が家からやや遠い。なので、時々訪れるのがやっとだ。
最近、彼にはいろいろな運動をやらせている。保育園帰りに公園で15分から30分、僕がマンツーマンでレクチャーをするようになった。ケンパー、ドッジボールを使ったボールコントロール、縄跳びなどを親子一緒になってやっている。これをやるために、彼が3歳のとこいにあれこれ手を出していた習い事を止めたくらいだ。
息子をプロスポーツ選手にさせて稼がせよう、という魂胆ではない。彼の体のバランスにやや難があるからだ。
片足バランスをしてみると、左右差が顕著だ。左足を軸足にすると、バランスがとても悪い。
そして、走らせると、まあまあスピードは早いのだけど、ドタドタと走る。猫背気味で前傾姿勢になっていて、そのくせ腕が全然振れていない。そのせいでよく転ぶし、転ぶと顔から地面に倒れる。
どうも、彼は根本的に運動が足りていないようだ。
もともと足がハイアーチかつハンマートゥ気味で、靴選びに苦労している経緯がある。そのため、彼の走り方が若干ぎこちないのは仕方がないと思っていたが、そろそろ放置できない歳になってきた。靴はちゃんとサイズにあったものを選んでいるんだし、走り方や体幹について、どうにかしないと。変なクセが将来にわたって固定していまいそうだ。

でも、考えてみれば彼が運動不足なのは当然といえば当然だ。
園庭がない保育園に通っているので、たとえ外が晴れていても公園にお出かけする機会は多くない。屋内にいるときは、ひとり頭2平米程度しか与えられていない狭い部屋で1日中過ごすことになる。
さらには、ありがたいことに自宅近くの保育園に通っているということもあり、登園のためにてくてく歩くことがない。雨の日だと、大げさではなく朝から晩までほとんど歩かない生活になる。
さらに、親子でお出かけの際には「道路を走っちゃ駄目」とすぐに僕ら親が注意するし、危ないからと手を繋いで歩く。これで運動神経が高まるわけがない。
手を繋いでいつも行動しているのに、「かけっこのときに腕が全然振れていない」と親が驚くのは完全にお門違いだ。だって、手を繋いでいることのほうが多いのだから、腕を振って歩く・走るという基本動作を学ぶ機会が少ない。
子どもを公園の遊具で遊ばせ、「我が子はアスレチックをよじ登るようになったぞ」「ボルダリングウォールを楽しんでいるぞ」などと微笑んで見ていたが、それ以前に「走る」ことが不十分だったというのは盲点だった。あと、体幹トレーニングも。

そこで僕は、彼を交通公園に連れていき三輪車をちゃんと使いこなせるように訓練させている。
特に何か幼児教育の本に書いてあったとか、YouTubeで見たとかいうわけではない。独自流だ。
彼の場合、まだ右手と左手、または右足と左足を別々に動かすということが得意とは言い難い。なので、三輪車を漕ぐ練習を通じて、「ペダルを右足左足と交互に漕ぐ」訓練をさせている。
右足を踏み込んだら、次は左足。そういう足の連続的な動きをしながら、右手左手はハンドルを操作する。幼稚なレベルだが、今の彼にはこれくらいがお似合いだ。
ちなみに、彼に三輪車を買ってあげようと思ったことはないし、今後もその予定はない。近所の公園はどこも「ボール遊び禁止、自転車乗り入れ禁止」な場所だらけだからだ。たぶん、三輪車はお目こぼし対象になると思うが、それでも公園に三輪車を担いで持っていき、そこで10分15分程度遊ばせるというのは親が疲れる。かといって、公園までの道を三輪車で移動するわけにもいかない。
本当に今の日本はあれこれ不便になった。行政からの子育て支援は金銭面で拡充の一途でありがたいんだが、「公園や道路で思いっきり遊ぶ」ということがほとんどできなくなったので、窮屈なご時世だ。
弊息子タケ4歳2ヶ月、ついに三輪車の乗りこなしに成功した。一旦コツを掴むと、実にあっけないものだ。スルスルと上達し、あっという間に乗りこなせるようになった。
まあ、乗りこなす、といっても所詮は三輪車専用スペースでの三輪車なので、簡単ではあるのだけれど。

そこからの進化は親でも目を見張るものだった。
三輪車が乗りこなせたら、あっという間に補助輪付き自転車を操縦できるようになった。構造が似ているので当然といえば当然なのだが、それでもこれまでは自転車はほとんど操舵できなかったので、この変化には驚いた。
もっとも、まだブレーキ操作が苦手だ。この交通公園はご丁寧に下り坂とカーブの合せ技の道があり、ブレーキを適切にかけないとオーバーランするように作ってある。そこで彼は足を引きずって強引に自転車を減速させたり、ブレーキをかけすぎて完全停止してしまったり、試行錯誤中ではある。でもこれは次回には解決することだろう。
で、自転車に乗れるようになると、今度は周囲360度の状況把握能力が求められるようになる。自転車初心者で、ふらふらしたりチンタラ走っている彼の前後には、もっとスピードが早い自転車、カート、対向車がいっぱいだ。それらに気を遣いながら前に進む、というのは未知の体験だ。
これまで、僕は彼に対して「集中しなさい。よそ見しては駄目」と繰り返し教えてきた。勉強をする時でも、スポーツをするときでも、歩く時でも、食事のときでも。それが今度は「周囲を見渡せ。前だけ見るな」という逆のことを教えることになる。彼にとっては「なんでやねん」と思うだろう。
それでも、彼の成長のためにはこういうことをどんどんやっていこうと思っている。しかも、親主導で。
僕ら夫婦の共通見解として、「残念ながら、保育園はアテにできない」というものがある。保育園は名実ともに「託児所」であり、幼稚園のような教育機関ではない、ということを再認識しているところだ。
共働きの僕らにとって、朝から夕方まで子どもを預かってくれる保育園には感謝している。しかし、保育園に預けてさえおけば、オールインワンであれこれ教育をしてくれる場所ではない。そこを期待するのは、そもそも保育園という趣旨を履き違えている。結局、教育は親がやらないといけないぞ、と腹をくくったのがここ数ヶ月のことだ。
たぶん、タケが小学生に入るまでのあと2年、夫婦であれこれ試行錯誤を繰り返すことになるのだろう。
(2025.05.11)
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