肺炎で一人伏せっている間、食べるものに困って宅配ピザを頼むことにした。
そもそもピザが食べたかったわけではない。ただ、アプリをポチポチと操作するだけで玄関まで届くという気軽さに縋りついたのだ。
Uber Eatsだと、お店選びで無駄に疲れるし、到着予定時刻がまったく読めない。その上、チップをいくらにすべきかといった余計な思考を強いられる。今の病人には、その些細なハードルすら重たい。

そうしてピザを注文してみたのだが、どうにも違和感がある。画面の遷移がいつもと微妙に違う気がするのだ。気になってよく確認してみると、配送ではなく「お持ち帰り」を選択していた。なんでやねん。病人だぞ、こっちは。
アプリに「注文キャンセル」なんて気の利いたボタンは存在しない。こちらの狼狽を置き去りにして、画面のピザトラッカーは「もうピザを焼き始めたよ」とご機嫌な最新状況を届けてくる。
腹を括るしかなかった。肺炎で自宅療養しなければならない身体を押して、自転車を漕ぎ、遠方のピザ屋まで取りに行くハメになった。よりによって、外は真夏の酷暑なのに。
ふらふらになりながら店舗でピザを受け取り、なんとか自宅へ帰還したものの、その時点で気力も体力も限界を迎えていた。「もういいや・・・」と冷めていく箱を前に脱力し、結局その日は一口も食べずにそのまま横になるという、救いのない一日となった。
(2026.07.23)

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