魚河岸丸天

『かき揚げ丼』(おまけ:フライ盛り合わせ定食)
(静岡県静岡市入船町)

大繁盛のエスパルスドリームプラザ

美貌な盛りと、揚げ物というのは親和性が非常に高い。揚げ物だと容易にかさを増やしやすいという事情があるのだろう。ビルドインも容易だ。過去、このコーナーでも何度となく揚げ物の美貌ぶりを紹介してきた。

今回は、かき揚げがテーマだ。美貌なるかき揚げが静岡の地にあると聞いて、訪問してみることにした。そのお店は、「魚河岸丸天」という。チェーン展開しており、静岡県下に五店舗あるらしい。今回は、そのうちエスパルスドリームプラザ内にある清水店を選んでみた。

このお店は、「魚河岸」を名乗る通り魚料理を提供するお店だ。魚料理といえば、高くてボリュームがイマイチ、という印象を受けるのだが、ここはひと味違っているようだ。盛りの良さも商売のうち、と考えている節があるらしい。メニューを紹介するサイト「まるごと!丸天」に行ってみると、なかなかなプレゼンテーションを見ることができる。メニュー紹介のなかで「どでかいメニュー」という項目があり、そのサブタイトルが「とにかく食べたい。腹の底まで食べ抜きたい。」と記されていた。ほーぅ、この表現はいいなあ。非常におかでん好みな表現だ。そうかぁ、「腹の底まで食べ抜く」という表現、イマイチ意味不明なのだけど、気持ちがよく伝わっていて大変に結構なお点前だ。このサイトでも使いたい表現デスヨこれは。

他にも、海鮮丼などを紹介するページには「海の幸放題」というキャッチコピーが使われている。これまた味があってしびれる。食べ放題でも飲み放題でもなく、海の幸放題っすか。

ちなみに、「どでかいメニュー」を見てみると、まぐろのかぶと煮なんてメニューがあるのだが、もぎ取られた頭がごろんと無造作にお皿の上に載っている光景は結構グロテスク。賞金首の首検分をしているような気分になる。それでお値段が840円から、というのだからとてもお安い。

丸天外観。

まだ行列が留まるところを知りません時刻は15時近くだというのに、まだこんな状態。店が狭いこともあって、お客さんでいっぱいだった。なかなかの繁盛店のようだ。

丸天のメニューサンプルを物色

メニューサンプルを見る。値段の割には、どれもボリュームが大変によろしい。

しかし、今回のお目当てはこれではない。かき揚げだ。えーと、かき揚げは・・・

なんかチャーハンを固めたようなかきあげ

あった。

かき揚げ525円、発見。サンプルの最下段にひっそりと陳列されていた。

おー、三次元だな、このかき揚げは。

直径はそれほどでもないが、高さが素晴らしい。一体何センチあるんだ?10センチくらいだろうか?

どうやって作るのか、謎だ。筒の中に種を入れて揚げているのは間違いないが、ただそれだけでこんなに大きくできるものだろうか?・・・どうやら、この作り方は特許をとっているらしい。なるほど、何か一工夫がされているのだな。

それにしてもこのサンプルはちょっと変だ。まるで、ミックスベジタブルが入っているかのような色合い。まさか本当にミックスベジタブルが入っていたら相当に驚くが、実物はそんな事はあるまい。

ヱビスにも大瓶があるんですね、しらんかった

美貌の盛りとは直接関係ないが、ビールを頼んでみた。

何しろ、鈍行列車に揺られること4時間、乗り換え回数数えきれず、な状態で清水までやってきたのだ。なんだかここに到着した時点でありがたい気持ちになっちゃって、ビールを飲まずにはおれなかった。

駿河湾といえば桜海老ですよ、やっぱり

で、ビールのお供として桜海老を注文しちゃいましたー。これも美貌の盛りとは全然関係ない。やっぱり、駿河湾といえば桜海老でしょー。ただ、桜海老漁をやっているのは春と秋の年2回であり、訪れた7月は既に漁をしていない状態なんだが。ま、細かい話はビールの泡で流しちゃえ。

結構みっちりと盛られているので、これだけで十分ビールを大瓶一本飲めますですよ、ええ。

かき揚げ丼、見参。

桜海老をちみちみとつまんでいるうちに、かき揚げ丼が登場しちまいました。早っ。まだビールを飲み干していないんですけどー。

あれ?これがかき揚げ丼ですか。うわさの。

ほぉぉぉ。予想しているものとちょっと違っていた。もっと、丼にフタをするような形でかき揚げがそびえ立っているのかと思ったが、何だかマンションのベランダで育てられている「金のなる木」の鉢植えみたいな感じだ。

丼が末広がりで大きな間口なんですな。だから、かき揚げが「ちょこん」と載っている印象を受ける。ああ、惜しい!せっかくの大きなかき揚げだというのに、迫力に乏しいプレゼンテーションになっている。

実物は想像以上のでかさ

いや!でも騙されてはいかんぞ。

よーく見てみよう。丼がデカイからかき揚げが小さく見えるけど、かき揚げはうわさに違わぬ大きさですぞ。

ほら。間近で見ると、こんなに大きい。なんて言うか・・・岩?

思い出した。よく、「地下1,400mから温泉を掘り当てました!」なんて説明しているところに、「地下600m地点をボーリングした時に出てきた地質」なんて飾ってある、あれに似ている。サイズもそっくりだ。

そうかぁ、清水の地下深くには、かき揚げの層があるのか。いいなあ。

待て、妄想はそのへんでやめておけ。

実物は、さすがにミックスベジタブルは入っていなかった。ま、当然だ。長ネギの青いところ、タマネギ、海老、貝柱で構成されているかき揚げだ。それにしてもどうやったらこんなに大きく膨らむのだろう。箸でざくざくと空気を入れながら揚げても、こうはうまく揚がらないと思うのだが・・・。

大きいかき揚げを作るのによく使う手段としては、「かき揚げ2個を連結して大きく見せる」というものがある。このかき揚げもその手かと思ったが、いやいやれっきとした一つの固まりだった。ご立派。

上からみると普通のかき揚げっぽいのだけど・・・。

真上から撮影してみた。

撮影してみて思ったが、あまり意味のあるアングルではなかったっぽい。うーむ。

このかき揚げ丼の気が利いているところは、丼に敷き詰められたご飯の上に、ほぼまんべんなく天かすと三つ葉が振りかけられていたということだ。

そうか、天かすを追加か。なるほどねぇ。これで、ご飯の隅から隅まで揚げ物風味を楽しむことができる、というわけだ。

箸を持っている手がプルプル震えてきそうだ

箸でつまんでみる。ううむ、重い。

いや、本当に重いのか、箸を限界まで広げてかき揚げを掴んでいる不自然な体制が辛いのか、自分でもはっきりとは判らない。とにかく、しんどいぞこれは。

手が小さい女性などは、まずこいつを箸でつまむことすらできないだろう。どうやって食べればいいんだ?

丸天のオフィシャルサイトには、この食べ方について解説が書かれていた。

ごま油の香ばしさが「早く食べて!」とあなたを挑発。そんなに言うなら食べてやろうと箸を構えたその瞬間、あなたはきっとこう思うはず。

これ、どうやって食べるんだ?

■選択肢

1.側面を箸で削ってコツコツと食べる
2.重そうだけど全体を持って角からカリカリ食べる
3.箸を投げ捨て、両手で抱え込みかぶりつく
4.見てるだけで十分おいしいから食べない

正解者にはもれなく、エビと小柱を盛り込んだ海鮮風味のザクザク感をお楽しみいただけます!

※解答は下

■解答

正解はありません。模索しながら食べてください。

※でも「4」は選ばないでくださいね。心意義はうれしいのですが・・・

だ、そうで。何だか、こういうクイズ形式にするノリも、自分とキャラがかぶっているような気がするのだが、まあいいや。両手で抱え込みかぶりつく、というのはさすがに野蛮なので箸で掴んでかぶりつくオリジナルな方法を採用。こっちも野蛮といえば野蛮だが。普通だったら、箸でまずこのかき揚げを崩して、小さくしてから食べるというやり方をするのだろう。

顔の大きさとの対比からかき揚げのデカさが判るだろうか

がぶー。

あ、あごが外れそうです。

「油断はしちゃいけない」と思いつつも、まだ油断していた自分がいた。かぶりついてみるとあらためてわかる、かき揚げの大きさ。

かき揚げが円柱形で良かった、と思う瞬間。角の部分からかじりつくことができる。これがもし、まん丸な球状の形をしていたら、かじりつくところがなくて私はうろたえるしかなかっただろう。

こういうデカイかき揚げは、てっきり中はスカスカなのだろうと思っていたのだが、重さが証明するとおりぎっしり、みっちり。なかなか食べ応えがある。「丼もの」ということもあって、かき揚げは既につゆにはつけ込んであるが、さくさく感が失われないよう、さっとつゆに潜らせた程度。適時、天つゆに浸けつつ、食べる。ご飯とかき揚げのハーモニー・・・なんて、とてもじゃないけど楽しめる状況ではない。かき揚げと「格闘」していると、うっかりご飯を食べるのを忘れてしまうくらいだ。ご飯は、どちらかといえば「かき揚げとの戦いをいやしてくれる、戦場のオアシス」の風情だった。

ぱっと見た目のインパクトはそれほど強くないかき揚げ丼だが、見た目と実際のギャップが素晴らしかった。正確に言うとこれは「美貌の盛り」ではないと思うが、隠れ美貌の盛りとして評価したい。

フライ盛り合わせは普通盛りだった

おまけ。かき揚げ丼を食べた4時間後、また丸天に舞い戻り、フライ盛り合わせ定食(735円)を注文してみた。

フライ盛り合わせアップ写真

こちらは常識の範囲内な盛りであったが、735円の定食でこれだけ盛りつけられているというのは立派としかいいようがない。魚河岸丸天、そこは「さりげなく、安くて量があってそこそこ美味い」お店。実用性の高いお店として、今後静岡界隈に用事があるときは再訪してみたいものだ。

(2005.07.17)

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