『ホイコーロ定食大盛』 (東京都新宿区神楽坂)
飯田橋駅前に「えぞ松」というラーメン屋があると聞いた。そこでは、ホイコーロ定食が名物で、愛してやまない人が結構いるらしい。しかも、そのボリュームがなかなかなもので、大盛りにすると「食べきれないくらいの量が出る」というではないか。 ホイコーロ腹いっぱいか。悪くないな。
それにしてもラーメン屋なのに名物がホイコーロとはどういうことだ。ラーメン屋としてうれしいような悔しいような、非常に微妙な状態と言える。 興味をそそられたので、ちょうど飯田橋で用事があったことを幸いに、訪れてみることにした。
地図を調べながら現地を訪れてみると、あー、なるほど、チャレンジメニューで有名な「神楽坂飯店」の隣が「えぞ松」だったんだな。神楽坂飯店がででーんとインパクトある店構えをしているのに対して、お隣のえぞ松はちょっと地味だ。
お店の間口が狭いせいもあるが、運悪く店の前に街路樹がそびえている。しかも、数軒お隣にあるステーキ屋だかなんだかののぼりが、えぞ松の二階にまで侵出してしまっている。おかげで、えぞ松がチャレンジメニューの店なんだか、石焼ステーキ丼の店なんだか、ラーメン屋なんだかホイコーロ定食のお店なんだかさっぱりわからない始末。
自然と目線は神楽坂飯店に向かってしまう。この「美貌の盛り」では、チャレンジメニュー店は対象外。そもそも、おかでん自身チャレンジメニューに手を染める気はもう無いので、無縁のお店と言える。しかし、過去「土下座バイキング」で培ってきた闘志が若干うずくのも事実。
大食い好きな人で知らない人はいない、というのは言い過ぎだろうか。ま、それくらい有名なお店だ、神楽坂飯店は。 チャレンジメニューは写真掲載のとおり。お値段が素晴らしいが、ボリュームも素晴らしい。ま、チャレンジメニューだからな。ちなみに、予約が必要なものもあるので、飛び入りしないで事前にお店に問い合わせておくこと。
店先のサンプル最下段に、チャレンジメニューを見ることができる。 左からジャンボ餃子、餃子100個、一升炒飯、ジャンボラーメン。 ジャンボ餃子は、1個で100個分のあんを包んでしまったというウケ狙いとしか思えない逸品。
実際のところ、中のあんが猛烈に蒸れるせいで生地はでろでろになり、あんまりおいしいものではないらしい。しかも、これだけの重量に耐えるために相当生地は厚めらしいし。
餃子100個。個数だけ聞くと食べられそうな気がするが、1個あたりが結構大きいのでそれなりに難儀しそうだ。 となりには一升炒飯。サンプルを見る限り、一升というのは大げさだと思うが、まあ常識を逸した量であることには変わりない。たとえこれが五合炒飯だったとしても、常人だと食べられない。私でも無理だ。
おっと、神楽坂飯店はどうでもいいのだ。今回は、そのお隣のえぞ松に訪問しようというのだから。 外観、地味だなあ。普通だったら、素通りしちゃうこと間違いなしな店構えだ。こんなお店が、実は美貌なるホイコーロ定食を出すというのだから侮れない。 店先には「ラーメン・餃子」と書いてある。ここのラーメンは果たしてうまいのだろうかどうだろうか。そっちもとても気になるところだ。
店の上には、「飯田橋名物ホイコーロ」と記された看板が。いつの間に名物になったんだろう。 店先の赤いひさしと色が違う緑色のため、同じ店とは思えない。隣の不動産屋がホイコーロをと石焼ステーキ丼を提供しているかのような錯覚を受ける。
店内は、カウンター席のみで10席ちょっとの狭い作りだった。このお店は、マーボー丼とホイコーロ定食が美貌の大盛りになるらしいと聞いていたので、ラーメン餃子には目もくれず、「自称名物」のホイコーロー定食を頼んでみた。あたりを見ると、ほとんどのお客さんがホイコーローを頼んでいる。やっぱりこのお店に来たらホイコーロを食べないといかんのだろう。
待つことしばし、ホイコーロ定食大盛り到着。
はい今ここで、猛烈に「定食」という言葉の既成概念がゆらいでおります。えーと、一体何がどうすればこれを「定食」と呼べるんでしょう。「丼」の間違いでは?
あ、おみそ汁付きですか。どうもありがとうございます。 ・・・えっと、おみそ汁が付けば定食?いや、それは違うよなー、丼モノでも当たり前のようにおみそ汁って付くもんだぞ。
はて。 まあ、いいや、深いことを考えても始まらない。このお店では、この盛りつけが「定食」と定義づけられているのだから、「はぁそうですか」と納得するしかあるまい。
うん、確かに量が多いといえば多いのだが、圧倒的物量作戦に基づいた盛りかといえば全然違う。ネット上で見聞きした情報だと、「食べきれないくらいの量」と絶賛されていたので、こちらは相当身構えていたのだが、思ったより普通だった。
いや、これを「普通」と思っちゃいけないのかもしれない。常識的に考えて、量はすごく多い。 でも、美貌の盛りかと言われれば、「中庸な盛り」としか言いようがない。クラスには数人いるようなレベルの可愛さの女の子、みたいな。たとえが変かもしれないが。
味の方は、一言でいうとジャパニーズホイコーロ。もともと中華料理として存在していた回鍋肉を、日本風にアレンジしたらこうなりました、という味わいだった。非常にまろやか。当たり障りが無い感じに仕上がっている。逆に、こういう「家庭の味っぽい料理」っていうのは癖になるのかもしれない。何回でも、飽きずに食べられる味・・・なのかな?
これをスプーンではなく、箸で頂く。ちょっと食べにくいのだが、ジャパニーズホイコーロである以上は箸で食べなくちゃね。 ほふほふ、はふはふ。 ホイコーローといえば、味噌が強くて塩辛かったり、キャベツからでた水分でべちゃべちゃしている印象が強いのだが、ここのはちゃんとその辺はいい塩梅だ。というより、ちょっと味が薄いくらいだ。
テーブル上にはおろしニンニクや一味唐辛子、胡椒などの調味料がおいてあるので、好きに味をコントロールすればいい。にんにくをがっつり利かせると相当いい感じに仕上がりそうだが、この後打ち合わせが予定されていたので泣く泣く断念した。
ホイコーロ定食大盛り。美貌の盛りではないが、人々に愛されるボリューム感とガッツリ感、堪能させていただきました。ごちそうさまでした。 次回は、ホイコーロ定食よりもさらに盛りが良いといううわさの、マーボー丼大盛りを頼んでみたい。何でも、ラーメン丼いっぱいに供されると聞く。どのような美貌っぷりなのか、楽しみだ。
(2005.07.30)
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