魚金本店

『刺身六点盛り』 (東京都港区新橋)

魚金本店

魚金。新橋を中心に23店舗を構える一大チェーン店だ。 新橋は雑然とした街なので、意識しないと魚金の存在には気がつかない。でも、ほら、魚金という名前を頭に入れてからこの街を俯瞰してごらん・・・あるわあるわ、至る所に魚金のお店がある。数えてみたら、新橋地区だけで12店舗もあった。姉妹店同士が軒を連ねているところもある。とにかく、多い。 この数を見ただけで、お店の繁盛っぷりが伺える。

店舗同士でお客の食い合いをしてしまうのではないか、と心配になるが、その心配はご無用。どの店舗も等しく、超満席だ。以前、アワレみBBSのオフ会で魚金を利用しようとしたが、当日の飛び入りでお店に突撃したら見事に玉砕した事がある。このときは、慌てて新橋にある12店舗全てに「今からお伺いしたいんですが、空席ありますか?」と電話を入れてみたのだが、全店見事に「ただいまお客様がいっぱいでして」と断られた苦い思い出がある。

魚金はその名のとおり、魚貝料理を中心とした居酒屋だ。でも、世の中には魚自慢の居酒屋はたくさんある。どうして魚金が圧倒的に支持を集めているのか。それは、魚が新鮮で、安くて、美味いという評判を得ているからだ。

刺身六点盛りの告知

このお店の名を不動のものとしたメニューが、刺身の盛り合わせだ。盛り合わせには二種類あり、「お手頃三点盛り」が1,280円から、「刺身六点盛り」が1,980円からとなっている。来店人数にあわせて、どちらかお好きな方をどうぞ。

多分、このお店にやってくる人のほぼ全てが三点盛りか六点盛り、どちらかを注文しているはずだ。 メニュー名だけみたら平々凡々だ。値段だって取り立てて激安というわけでもないし、これくらいのものだったらどの海鮮居酒屋でも取り扱っているだろう。ではなぜ圧倒的支持を得ているのか。 答えは、「メニュー名にうそ偽りがある」からだ。

三点だとか六点、というのは大うそ。客を舐めるのもいい加減にして欲しい、というくらい名前と実体に乖離がある。消費者庁に訴えればすんなり受理されるレベル、というのは大げさだろうか?いや、きっと受理されると思う。

たとえば、この日の「お手頃三点盛り(1,280円から)」の中身だが、お皿に盛り込まれている魚をざっと列挙すると、「マグロ、真アジ姿、〆サバ、ホッキ貝、平貝、カツオ、カンパチ」だった。おや、奇妙な事があったものだ、魚介類の種類がやたらと多い。数えてみると、七種類が顔をのぞかせている。「三点盛り」のはずなのに。

つまりはこうだ、なぜかは分からぬが、「お手頃三点盛り」を頼むと、七点盛りが出てくる、ということだ。じゃあメニュー名の「三点」って何だよ。おそらく、最初はメニュー名通りに三点盛りだったのだろう。でも、「もう少しお客さんにサービスを!」というお店の過剰なサービス精神のため、時間の経過とともに徐々に魚の種類が増えていったのではなかろうか。とはいえ、「3種類」から「7種類」に増えるって、倍以上の数だ。どうしてこうなった。お得としか言いようがない。

これが刺身六点盛り

さて、今回私が「美貌の盛り」として皆様にご紹介したいのは、もう一つの「サービス過剰品」である、「刺身六点盛り(1,980円から)」だ。一体どのようなものが出てくるのか、料理が到着するまでワクワクしっぱなしで、おでこに脂汗をかいてしまったくらいだ。で、いざ六点盛りが到着したとき、「種類も量も多い」事が分かっていながらも、度肝を抜かれた。そして、感動した。 刺身六点盛りの内訳は、こうだ。

マグロ、真アジ姿、ホッキ貝、〆サバ、平貝、甘エビ、イワシ、白子ポン酢、カンパチ、カツオ、玉子焼き、イカ飯。

なんと12点盛りだったのだ。「たかが六点盛り」とは思えないような大皿が、デンとわれわれが陣取るテーブルに置かれた。このお皿があると、もう他の料理は机の上に置き場所が無くなってしまうくらいだ。ものすごいインパクト。

「魚の種類が多いだけで、量は少ないのでは?」と思う人もいるだろう。確かに、その懸念はごもっともだと思う。なにせ、1,980円という格安なお値段だ、量を少なくしておかないと、お店の利益が吹き飛んでしまう。しかし、そんな心配はご無用。一品一品、それぞれ5切れが用意されているからだ。つまり、とても量が多い。5人でこの料理を注文した場合、ちょうど塩梅よく12種類の魚介を一切れずつ食べる事ができる。これでもう満腹。

今回、私たちは3名での来店だったため、各自が一切れずつ魚貝を食べても、まだそれぞれの刺身が二切れずつ余ってしまう事になった。

この刺身盛りを食べきるのは結構大変だ。 安いが故に魚の質が悪いのではないか?解凍品でシャリシャリした刺身なのではないか?という懸念は全くの杞憂だ。魚はどれも質が良く、おいしい。美味いからこそ、多くの量のお刺身を食べることができる。これだけの量で味が悪かったら、拷問以外の何物でもない。

値段が「1,980円から」となっているのは、マグロに選択肢があるからだ。メバチマグロを選ぶと、1,980円。インドマグロを選ぶと、2,480円となる。マグロの違いがよく分からないのだったら、安いメバチマグロで十分だと思う。これでも十分においしいのだから。 この刺身六点盛りは美貌である。新鮮な刺身がかくも気軽に、遠慮無くおなかいっぱい食べられるというのはすてきな事だ。

新橋界隈に用事がある人は、ぜひこの六点盛り(または三点盛り)を食べに魚金を訪れると良い。ただし、繁盛店故、随分前から予約を入れておかないと、入店はできないのでその点は注意されたし。

(2013.02.16)

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