岡山県倉敷市にある由加山蓮台寺。厄除けのお寺としてよく知られている。
お堂には厄除け不動明王が鎮座して、とんでもねぇ顔でこっちを睨みつけている。これじゃ、厄が逃げるまえに自分が逃げてしまいそうだ。
弊息子タケにこの不動明王を拝観させてみたが、彼は全然驚きもしなかったし、怖がりもしなかった。そもそも、大きな不動明王像に興味すら示さなかった。
以前、当時4歳程度だった姪をここに連れてきたことがある。その時彼女は「怖い」といって怯え、不動明王に決して近づこうとしなかった。
そう考えると、「怖い」ってそもそもなんだっけ?
まだ1歳児のタケにおいて、「怖い」という概念はないらしい。怖いというのは、「怖くない」の逆だ。まず、世の中の道理をざっくり把握できないと、怖いという感情が芽生えないのだろう。恐怖というのは原初的な感情だと思っていたけど、案外理によるところもあるようだ。
そういえば、タケが「パパどこ?」と言いながらやってきたとき、僕が息を潜めて身を隠すことがある。
タケの後ろからついてきたいしが僕を暗闇で見つけ、「ひゃっ!びっくりした!」と声を上げて身をすくめるのに対し、タケは全く無反応だ。「あ、いた」と言い、笑顔で僕に近づいてくる。
彼にとって、「暗闇で本来人がいないと思われるリビングに人がいた」という出来事は別に異常でもなんでもなく、「ふーん、そういうものなんだ」という理解なのだろう。だから驚かない。
きっと、彼に手品を見せても全然驚かないだろう。「そういうものなんだ」で終わってしまうはずだから。
(2022.12.30)
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