コインパーキングのゲートバーを見て「カーンカーンカーン」と叫ぶ

弊息子のタケが保育園の給食でアナフィラキシー症状を起こし、急いで帰宅することになった。保育園に迎えに行ったところ、タケの顔が腫れて別人のようになっていたが、「おや、こんな時間にパパが来たの?」と微笑んだ。

保育士が抗ヒスタミン薬のセレスタミンを服用させてくれたため、親としてはこれ以上の対応はできなかった。呼吸困難や咳、嘔吐などの症状が出る場合は救急車を呼ばなければならないが、今はどうしようか?家に帰って、親子で顔を見合わせた。

とはいえ、いつ容態が急変するかわからない。ひとまず、「#7119」に電話をかけて相談してみた。救急車を呼ぶべきか、判断に困ったときに医療相談をする窓口だ。

すると、僕の話を聞いて「病院を受診したほうが良いが、救急車を呼ぶことはない」とオペレーターは判断した。そして僕の自宅住所を聞いたのち、「最寄りの病院を5つ、この通話のあとに自動音声でお伝えします。その病院のうちどれかを受診してください」と指示された。なにせ、症状が発症したのが昼食中だ。街の小児科は現在軒並みお昼休み中で、外来受付をしてくれない。また、食物アレルギーは特殊な知見が必要なので、どこの病院でも良い、というわけではない。

オペレーターとの電話が切れたあと、今度は機械による合成音声で病院名と住所、電話番号がずらずらっと読み上げられた。慌ててメモをとる。

5つ挙げてもらった病院は、なるほど全部二次救急、三次救急を担っているような大きい病院だった。

さっそく、最寄りの病院に電話をかけた。

電話がつながった先は代表番号で、トーキーがダラダラと「◯◯の方は1をプッシュしてください。△△の方は2を・・・」と語り続けたのでびっくりした。こっちは急を要しているから電話をかけているからだ。えっ、直接ズバッと「これから急患を受け入れてもらえますか?」と相談できると思ったのに。

で、何度かプッシュ操作を行ったのち、ようやくつながったスタッフの方から言われたのは、「初診ですと問診票の記入などありますので、お越しになってから診察までだいたい30分くらいかかります」だった。なるほど、そりゃそうですよね。大学病院だからなぁ。

そういうことじゃないんだよな、直接電話で相談したいし、外来診察時間外だけど受け入れて欲しいんだよな。

改めて#7119に電話して、電話口に出た別のオペレーターにこれまでの事情を説明。「代表番号ではなく、直接小児外来の窓口につながる番号を教えてほしい」とお願いしたら、「こちらからお伝えしている病院の電話番号はすべて代表番号です」と言われた。

つまり、どの病院に急患としてお世話になろうとしても、めんどうなトーキーのやりとりを通過しないといけないし、初診ということで問診票を書く時間がかかる、ということだ。急患じゃないじゃん、それじゃ。

じゃあもういい、ということで#7119から頂いた5病院はすっぱり諦め、自宅から遠くなるけれどかかりつけの大学病院にいくことにした。ここも代表番号からスタートとなるのは変わりないが、受け入れさえしてもらえればカルテがあるので話が早い。

タケと二人でタクシーに乗って、遠方の病院へ。

大学病院でタケは診察を受けた。

わざわざタクシーに乗ってやってきたのだから、なにか効果がありそうな処置が施されるのかと思ったが、特に何もなかった。まだ顔は腫れていたものの、本人が苦しそうにしているわけではなかったので「お薬のおかわり」はないらしい。

アレルゲンを調査するための血液検査を行って、この日は終了。病院に到着してから1時間以上かかった。

この間にだんだんとタケは体力を回復していて、帰りのバスを待つ間は病院の敷地内をお散歩して過ごした。

駐車場には彼が大好きな救急車が停まっていたので、それを間近に見に行って「ピーポーピーポー」と叫んでいた。彼は消防車、救急車、パトカーが好きで、見かけると必ずサイレンの音を口ずさむ。そしてご丁寧に「ピーポーピーポー」のあとに「ウーー」という音も加える。

1歳児において、人生真っ先に覚えた効果音がサイレン音。今日、その音を鳴らす車に乗ることにならなくてよかったね。

その後、彼の注目は病院駐車場の出入り口に設置されたバーゲートに向かった。バーは黄色と黒の縞模様になっていたので、彼にとっては踏切の遮断器に見えたらしい。「カーンカーンカーンカーン」口ずさんでいた。

彼が愛読する絵本の中で、遮断器が登場する話があって、そのため遮断器には格段の愛着があるらしい。

ちなみに、黄色と黒の縞模様といえばいわゆる「トラロープ」も同じだが、タケはトラロープを見かけても「カーンカーン」と叫ぶ。大人はトラロープと遮断器の類似性に一瞬気が付かないので、「えっ、なんでここで遮断器の警報音が?」と不思議に思ってしまう。

なんにせよ、元気を取り戻したようで良かった。

(2023.01.24)

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