弊息子タケは飛行機をとても気にする。
最近、航路が変わったのか、我が家の上を羽田空港に発着する飛行機が飛ぶようになった。この小さく空を飛んでいる飛行機に対して彼はとても敏感で、親でも気がついていないのに「ヒコーキ!」と叫んで指を指す。
彼は滲出性中耳炎のため1年以上耳鼻科通院を続けていて、耳の聞こえが他の人よりも悪いはずだ。にもかかわらず、街の雑踏の中でも飛行機の音に気づき、空を見渡し、飛行機を見つけるのだから大したものだ。
ただし、時々タワーマンションの航空障害灯を見て「ヒコーキ!」と指差すことがあるので、彼の能力が完璧というわけではない。
そんな飛行機に敏感な彼のために、城南島海浜公園に行った。
羽田空港の北側にある、砂浜がある細長い公園だ。工業地帯の埋立地なので、もちろん人工的に作られた砂浜なのだけど、都内では貴重な砂浜ということもあって人が賑わう。
そして、すぐ近くに日本最大の空港である羽田空港があるので、飛行機好きにもよく知られた場所だ。羽田空港には4本の滑走路があるが、風向きによっては飛行機が城南島のすぐ真上を通過して着陸するため、轟音による迫力がすごい。
この日はあいにく城南島真上を飛行機が通過することはなかったのだが、それでもC滑走路からの離陸は結構な迫力で見ることができた。
さあ我が子よ、これが飛行機の迫力だ。どうだ?
わざわざレンタカーを用意してここまで来たんだから、彼にはぜひ感動してほしい。興奮してほしい。
しかし彼は、全然目の前の飛行機にピンと来ていなかった。目の前で飛び立っていく飛行機を、飛行機として認識できていない可能性すらあった。飛行機というのは、遠く小さく、空の上をピカピカと光りながら飛んでいくもの、という理解なのかもしれない。
いずれにせよ、轟音を立てて巨大な物体が飛び立つのだ。自分が知っている飛行機であるかどうか関係なく、子どもならば興奮して当然だ。きっとそうだ。しかし我が子はそうはならなかった。
「ほら、見て!飛行機が飛び立つよ!」と滑走路で加速中の飛行機を指さしても、彼の視線が定まらない。飛び立っても、そのスピードに動体視力がついていかない様子だった。
ああそうか、飛行機が近いと、目が追いつかないのか。
まだ未成熟の子どもの能力、というのを痛感した。
(2023.02.05)
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