ゴールデンウィークに実家に帰省した際、母親が「越の雪、もう20年くらい食べていないけど美味しいよねえ」と語っていた。
じゃあ、ということで間近に迫っていた母の日ギフトとして、「越乃雪」を僕らの両実家に贈った。
我が家では、実家にギフトを送る際、同じものを自宅にも届くようにしている。親に贈ったものについて僕らが何も知らないというわけにはいかないだろう、という考えだ。実際、いしは「越乃雪」を食べたことがない、というし。
越乃雪。誰が言ったか、「日本三大銘菓」の一つと言われている、新潟県のお菓子だ。
アワレみ隊は、2004年に「日本三大の旅」という「日本三大◯◯」を見聞きしまくる企画を敢行し、その際に出会っている。
立方体の形をした和三盆糖で、とても柔らかい。手にしただけでボロボロと崩れるくらいの強度しかない。固まっていない落雁、というたとえをするとわかりやすいだろう。
そんな脆いお菓子ゆえに、口の中に入れると噛まずに溶ける。そのすっと溶ける様が珍しく、そして和三盆糖ならではの柔らかい甘さが楽しいお菓子だ。
なお、僕らアワレみ隊は新潟でこの越乃雪を買い求めたあと、車で山道を走って草津温泉に向かった。その道中、越乃雪の箱が揺れたために草津温泉に着いた時点で半分粉砂糖になってしまった。それくらい、繊細。
弊息子タケにも、「日本三大銘菓」を体験させてみることにする。
タケ、大喜び。
「いいか、そっと持つんだぞ?力を入れると、崩れるぞ?」
と教えると、ちゃんとその通りにしようとする。彼は指先の力加減をコントロールする術を身に着けてきた。
越乃雪は、それ単体で食べると僕ら大人でも顔をしかめる甘さだった。「砂糖の塊」だからだ。
まずい、というわけではなく、日常生活でここまで甘いものを食べる機会がほとんどなくなっているので、味覚がビックリしてしまったのだった。
これは、苦いコーヒーと一緒にして食べてもまだ釣り合わない。やっぱり、お抹茶と一緒に限る。
一方、タケはというと、これまで食事でこんな顔をしたことがあっただろうか?というようなウットリした顔で、越乃雪を食べている。子どもにとって、甘いものは正義らしい。彼は僕ら以上に、甘いものを食べる機会がない。親が甘いものをほとんど与えていないからだ。なので、珍しくって、嬉しくって、それでウットリしているようだった。
しまいには、小皿に残った粉までペロペロ舐め始めたので、いしにお皿を回収されてしまった。当然タケは猛抗議する。お皿に残った粉砂糖も自分の取り分だと思っていたからだ。しかし、「もうその辺でやめときなさい!」と親が制止せざるをえないくらいの、目の色の違いっぷりだった。
(2024.05.13)
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