満腹日本シリーズ(その05)

死角から忍び寄る肉棒
(2001.10.23/東京ドーム:フェスタカフェ)

登場人物
師匠:見ているだけでおなかいっぱいってのはヘタレの証拠なのだろうか。
おかでん:ここ数日、異様に脂汗をかくんですが気のせいでしょうか。

師匠 「2軒目だな」

おかでん 「はい、ホットドッグインでのチャレンジから3時間後になります」

師匠 「凄いな、もう空腹になったのか」

おかでん 「いや、不思議な感じでしたよ。脳は『食べても大丈夫、大丈夫』って無責任にけしかけているんですけど、肝心の胃袋が『ちょっと待ってくれ、まだ消化しきれてない』って主張するんです」

師匠 「遂に頭がイカレたな、さては」

おかでん 「その表現、ちょっとヒドイですけど、あながち間違っていないです。もう少し学問的に言えば、視床下部の満腹中枢が血流中の血糖値上昇を検知できなくなった、とでも言うべきでしょうか」

師匠 「どっちでもいいよ、そんなの。で、結局胃袋の言うとおりにしたの?それとも脳の言うとおりにしたの?・・・っていっても、2軒目に行ったんだから脳の言うとおりにしたんだよな」

おかでん 「その通りで。悩んだ末に、オニオンマヨネーズドッグ9本にチャレンジすることにしました」

師匠 「何でまたパンに走るのかね。よっぽどさっきのホットドッグが気に入ったのかい?」

おかでん 「ラクしようと思えば、せいろそば9枚っていう選択肢もあったんです。でも・・・」

師匠 「パンが食べたかった、無性にパンが愛おしかった?」

おかでん 「違いますよ。時間的制約の厳しいお店を先に制圧しておかないと、後になってから困りますから。蕎麦屋のチャレンジ受付は午後7時まで。オニオンマヨネーズドッグの受付は午後6時まで。だから、オニオンマヨネーズドッグの方を選びました」

師匠 「でたな、綿密パズル店舗選択。しかし、またパンというのはイバラの道だねえ」

おかでん 「いや、楽勝だと思ってたんですよ。なーに、パンの間にマヨネーズであえたみじん切りオニオンが入っているだけでしょ、って」

師匠 「ん?そうなのか?」

おかでん 「しかし!店頭のサンプルを見てびっくりしましたよ、オニオンの下にどよーんとソーセージがとぐろを巻いているじゃないですか!」

師匠 「とぐろは巻かないだろ、うそをつくな。でも、当たり前だろ?ドッグ、って名前がついた料理なんだから」

おかでん 「じゃ、ソルティドッグは?あれ、カクテルですけどソーセージなんて入ってませんよ。ありゃ詐欺ですかね?」

師匠 「馬鹿。常識で分かれ、それくらい」

おかでん 「いやぁー。まぁ師匠の言うとおりで、言われてみればごもっともな話なんですけどね。でもね、満腹日本シリーズの紹介webサイトに掲載された写真、あれは全くソーセージの姿が写っていなかったんですよ。だから、てっきりオニオンマヨネーズだけの料理なんだとばかり思ってたんです」

師匠 「大誤算じゃないか。ソーセージが無いと思って店に行ったら、ソーセージがあったなんて。ソーセージ9本分余計に胃袋のゆとりがないといけないわけだから」

おかでん 「思わずくるって方向転換して逃げようかと思いましたよ。・・・っていうか、逃げました。ああ逃げたとも」

師匠 「逃げたんか!」

フェスタカフェ外観

おかでん 「店を遠くから伺う事ができる場所まで退却して、そのまま店を眺めながら15分くらい悶々としてました」

師匠 「あらー。15分もか。まあ、おかでん君のいつものパターンだな、店頭でサンプルを見て怖じけ付いて逃げ出すっていうのは」

おかでん 「今回は、腹にまだ食物が残ってましたからね。空腹の時に単独でやれば楽勝なのは目に見えてるんですけど」

師匠 「結局、その15分の間で胃袋は空に・・・なるわけないよな」

おかでん 「ならなかったです。現状維持。でも、店の中にお客がいなくなったので入店することにしました。カウンタの店員が、一度は入りかかったお客が引き返して外で頭を抱えているものだから、不振そうにこっちを見ていましたし」

師匠 「かっこ悪ぅ。店員の視線にいたたまれなくなって、入店したのか。しかも、お客が他に居ないのを見計らうなんて、引きこもり児童みたいな事しやがって」

おかでん 「引きこもりはあんまりだけど、反論できない・・・」

師匠 「ま、引きこもりが大食いチャレンジはしないだろうけどな」

おかでん 「大食いは社交性を要求されますよ!?店の人、周囲のお客からいろいろ話しかけられたり応援されたりしますからね」

おかでん 「このお店の場合、どこに座っても良いと言われました。どんな死角で食べていようとも、不正は絶対に発見するけんね、という意気込みでしょうか」

師匠 「どうせ横に店員が張り付くんだろ?なら、どこで食べたっていいんじゃないの?」

おかでん 「ま、そうですよね。僕はてっきりこの店には隠しカメラがあって盗み撮りを・・・」

師匠 「お世話になった店に対してとんでもない疑惑をかぶせるね、君は」

フェスタカフェチャレンジルール

満腹日本シリーズin東京ドームシティ
チャレンジルール

フェスタカフェ

本日は、「満腹日本シリーズin東京ドームシティ」に挑戦頂きまして、誠にありがとうございます。

チャレンジに先立ちまして、下記の事項をご確認いただきますようお願い申し上げます。

◆基本ルール
このイベントは、野球にちなんだチャレンジメニューを制限時間内にお召し上がりいただくものです。制限時間内に「完食」された場合は、料金が無料になりますが、完食できなかった場合は、規定の料金をいただきます。また、期間内に同イベントの全メニューを完食された方には、「東京ドームシティランチ1年間無料パス」を進呈いたします。(東京ドームシティランチ1年間無料パスの主な概要につきましては巻末をご参照ください。)

◆完食の条件
ホットドッグ9本を、全て食べつくしていただくことが完食の条件となります。

※最後の一口につきましては、口の中に入った段階で完食とみなします。
※最終的な認定は、店舗責任者が行います。

◆注意事項
・一度挑戦に成功したメニューに、再度挑戦することはできません。
・制限時間内は、挑戦者本人以外はメニューに触れることはできません。
・「お冷や」は店舗で用意しますが、その他ドリンク類の持ち込みはご遠慮ください。(もちろん、店内での御購入は可能です。)

なお、チャレンジに成功した場合、記念写真を撮影させていただき、店頭に飾らせていただきます。ご協力の程、よろしくお願いいたします。

<ランチ無料パスの主な概要>
・2001年11月1日(木)-2002年10月31日(木)の1年間有効。(ただし、土、日、祝日を除く)※ランチタイム(11-14時)のみ有効
・ランチメニュー等、対象商品は限らせていただきます。

以上

師匠 「恒例のルール説明だな。さっきの店と一緒だぞ?」

おかでん 「そうですね、店名以外は全く一緒でした。どうやら東京ドームシティ全てで同じフォーマットを使っているようです」

師匠 「制限時間くらい書けばいいのにね、ルール説明書なら」

おかでん 「そうなんですよ、なぜか時間が書かれていない。ひょっとしたら、やってきたお客が強者っぽかったら時間を短くするとか、そういう運営をやってるのかもしれませんよ」

師匠 「まさか。またお世話になった店にぬれ衣を」

ホットドッグ9本。マヨネーズが胃に溜まりそう

おかでん 「10分ほど待ったところで、チャレンジメニューがやってきました」

師匠 「おー、これまた壮観だな、さっきが真っ赤に染まっていたのに、こっちは真っ白だ」

おかでん 「紅白ですね。いやあおめでたい」

師匠 「しかし、このオニオンマヨネーズのもってり、まったり感といったらないな。見ているだけで腹が膨れてきそうだ」

おかでん 「僕も、見た瞬間ちょっと威圧されました。どう考えてもこれはさっきのホットドッグよりも量が多いですから」

師匠 「食べる順番、ホットドッグとオニオンマヨネーズドッグを逆にした方が良かったんでは?」

おかでん 「今となってはアフターフェスティバル、すなわち後の祭りっていう奴です。目の前に現物が来てから『すいません、ちょっとタンマ』って言ってもさすがに許してくれないでしょう」

師匠 「じゃ、もう食べるしかない」

おかでん 「逃げられませんからね。胃袋の具合を気にしながら、猛然と食べ始めました」

師匠 「短期決戦を狙うわけだな」

おかでん 「まさしく。制限時間12分なのですが、ちんたら食ってたらあっというまに血糖値が上がって食べられなくなってしまうに決まってます。最初の5分が勝負とばかりに猛然とダッシュ」

師匠 「こういうときに、さっきのホットドッグの経験が生きてくるワケだ」

おかでん 「しかし!顎、痛ぇ!」

師匠 「あら、またか」

おかでん 「さっき受けた顎への疲労が、全く抜けてなかったんです。食べ始めるや、いきなり顎が痛くて、重くて。動かなくなってしまった」

師匠 「ホットドッグの経験が裏目に出てしまったわけだ」

おかでん 「初めてですよ、こんな経験。教訓ですね、今後は大食い後には必ず顎の筋肉をストレッチせよと。今後おかでん家代々語り継ぐ家訓にします」

師匠 「結局スパート失敗、訪れるピンチ!というワケだ。面白くなってきたじゃないか」

おかでん 「しかし、そこは前回の経験があるんですよね。できるだけソーセージは細かく噛んでから飲み込む、とか大口あけてかぶりつくのは失敗の元とか。なんとかリカバーしましたよ」

5分経過時点で残り3本

おかでん 「5分経過時点の写真です」

師匠 「えっと?残り3本、って事でいいのかい?って事は、既に6本食べたってことだ。おお、順調なペースじゃないか」

おかでん 「ここまでは、ね。この後が地獄でした。ペースががた落ち。顎が痛いのはともかくとして、もう胃袋に入らない」

師匠 「でも、ようやく落ち着いて食べられる頃なんじゃないの?よく噛んで、味わえよたまには」

おかでん 「あ、味のレビューをそういえばしてませんでしたね。えっと・・・すいません、味ってあんまり印象無いです。正直言って、舌にまで神経が回っていませんでした。店の人には申し訳ないですけど」

師匠 「えー。だって、ペースが落ちたんでしょ?少しは何か、あったでしょ。旨いかまずいか程度でも」

おかでん 「あ、味については良かったですよ」

師匠 「・・・それだけ?」

おかでん 「うー、ご免なさい。こっちも夢中で。食べている途中に考えた事って、『ああマヨネーズのまったり感がうっとおしい!』というのと、『サラダ菜噛みちぎるのが案外邪魔だなあ』でした。要するに、味覚よりも触覚の方ですね」

師匠 「大食いってそういうもんなのかねえ」

おかでん 「だから、完食した人のポラロイドが店頭に飾られていて、『おいしかったです』なんてコメント書きされているのを見ると、凄いなあ、余裕だなあって感心しますもん」

師匠 「まあいいや。落ちたペースはその後どうなった?」

おかでん 「8本目で完全にペースダウンしてしまったんですけど、横にいるタイムキーパーの店員さんに悟られてはイカンと思い、『いやあ、顎痛いっすね』なんて話しかけて時間稼ぎしてました」

師匠 「また見え透いた見栄を張ってからに・・・」

おかでん 「退屈そうにしていた店員さん、いきなり話かけられたもんだから『へっ?あはあ、そうですね』なんて曖昧な返事を返されただけで。非常にむなしくなってしまい精神的ダメージ10点」

師匠 「追いつめられた人間ってのはえてして言い訳めいた事をするもんだが、大食いにも当てはまるとはな。しかも墓穴掘ってしまうとは惨め」

おかでん 「食べている方も、何となく惨めな気になってきました。最初のがむしゃらさが維持できなくなってくると、だんだん冷静になってくるんです。苦しいせいもあるんですが、『何でこんな辛い思いをしているんだろう』『クリアしたからって何の得がある?』なんて。こういうのを悪魔のささやきって言うんでしょうね」

師匠 「結局、ささやきには乗ったのか」

完食ボード。これを持って記念撮影をする

おかでん 「まあ、なんとか踏ん張って完食できました」

師匠 「おお。タイムは?」

おかでん 「9分43秒。結構手こずりました」

師匠 「ホットドッグの時と比べて3分遅れたな。1本あたり平均20秒ずつ余計にかかったってことか」

おかでん 「そんなことはどうでもいいんです。真の戦いは完食後から始まるんですから」

師匠 「??」

おかでん 「無理して完食した後にくる、猛烈な満腹感と吐き気。全身の毛穴が開いてしまうような嫌悪感です」

師匠 「ああ、わかるわかる。でも周りはこっちの気持ちも知らないで『おめでとうございますー』なんて話しかけてくるんでしょ」

おかでん 「そうそう!全くその通りで、こっちは何とか紳士おかでんの仮面を脱がないようにニコヤカな笑顔でいるんだけど、実は胃袋がぱんぱんになっていて背筋が伸ばせず、猫背になっている始末」

師匠 「人間から猿人に退化したって感じだな」

おかでん 「食後、げっぷしたくなるじゃないですか。でも、ここでげっぷをしようとすると、確実に吐く。ってことで体をよじってげっぷをガマンしなければならない」

師匠 「哀れよのお。祝うべき勝利なのに、体はへろへろとは」

おかでん 「で、マネージャーさんがやってきて記念写真撮りますよぉ、なんてポラロイドカメラを持ってきたんです。でも、フィルムが無い。あれ、おかしいですねえなんてガチャガチャ器械いじってるんですが、フィルム切れらしくどうしても撮影できない。もう、こっちとしては笑顔だけど内心『早くしてくれ、死にそうだ』って気分です」

師匠 「でもカメラ向けられてるから、怖い顔できないんでしょ」

おかでん 「まったく。で、結局お隣のベースボールカフェにカメラを借りにマネージャーさん走って行ってしまった。そのときの絶望感といったら!」

師匠 「情けなさを越えて、喜劇だなあ」

おかでん 「聞いてくださいよ、1軒目のホットドッグインも、同じくフィルム切れで隣の店にカメラ借りに行ってたんですよ?2軒続けて同じ目にあうってことは、サテは完食後しばらく店内に拘留して、吐き気地獄に陥れてやろうという主催者側の陰謀じゃなかろうか」

師匠 「ははは、被害者妄想だってば、そんなの」

おかでん 「それはわかってるんですけどね、そのときはもう堪えるのに必死で、そういうネガティブな事ばっか考えてました」

師匠 「で、無事に店を出られたかい?途中でとんでもない粗相なんてやらかしちゃいないだろうね?」

おかでん 「ぎりぎりセーフでした。でも、店を出て数歩歩いたところで口の中に少し逆流してしまいましたね。またもや広がるホットドッグの味リターンズ。東京ドームの前ですし、吐き捨てるわけにもいかずまた胃袋の中にお引き取り願いましたが」

師匠 「二度目の完食、オメデトウだな」

おかでん 「やめてください。もう本当にしばらくはホットドッグは食べたくないです。何しろ1日18本なんですから・・・見たくもないですね、全く」

完食写真(その2)

【完食のヒント】
基本的にホットドッグインと同じ。ただ、この店の場合マヨネーズ大平原の味の単調さに参ってしまう可能性が高く、必要に応じて「My七味唐辛子」など自分の調味料を持参しておくと味が変わって食べやすくなると思う。
ホットドッグインより確実に難易度は高いので、まずはホットドッグインで腕試しをした上でこの店にチャレンジすべし。
完食に自信が無い人は、ウィンナーだけ引きずり出して、先に食べるという方法が吉。

通算2店舗目制覇【10月23日(火曜)】-期限まで残り8日コーヒー&ビール・フェスタカフェ
オニオンマヨネーズドッグ9本
[通算2店舗目/残り店舗数:7]制限時間12分/9分43秒完食
苦労度 ★★★☆☆

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください