満腹日本シリーズ(その07)

遂に止まった箸/あと一口の地獄 (2001.10.24/東京ドーム:スポーツグリル”ビッキーズ”)

登場人物 師匠:「おかでんの自作自演」説が流れ、非常に憤慨するナイスガイ。 おかでん:好きな食べ物はホタテ貝。

おかでん 「さて、引き続いて4軒目に突入なのです」

師匠 「立て続けだな。蕎麦屋出てすぐってわけだ。まだ胃袋は余裕だったのかい?」

おかでん 「余裕ですね、なにしろたった3分のでき事だったわけですから。食べた気すらしない」

師匠 「トイレに行って、戻ってきたらもう食べ終わってた、ってくらい短時間だからな」

おかでん 「ゼンジー北京の手品みたいでしょ。胡散臭さといい」 師匠 「胡散臭いんかい。ってことはやっぱりインチキやってたな」

おかでん 「せいろそば9枚2分56秒ですよ?インチキやった方が逆に時間がかかってますよ」

師匠 「まあ、そりゃそうだな。恐るべきは人体の神秘」

おかでん 「満腹ではないんですけど、胃は重いんです。何しろ次はハンバーグ1キロですからね、できるだけ胃袋の隙間を作っておかないといけない。そこで、消化を助けるためにアイスウーロン茶を飲んで、東京ドームをぐるりと1周ウォーキングです」

師匠 「吐けばいいのに。何を面倒なことを」

おかでん 「吐けるもんなら吐いてますって!でも、ほとんど水分補給しないで食べた蕎麦なんて吐けるわけがないんです。吐く前に喉から血が出ます」

師匠 「血を吐きながら大食い。壮絶で、それは見ごたえあるなあ。見てみたいですなあ」

おかでん 「じゃ、ぜひ劇画タッチの漫画のネタとして・・・って、アンタむちゃ苦茶だよ!」

師匠 「ははは。で、結局胃袋の中は消化できたのかい?」

おかでん 「無理でしたねえ、今改めて考えてみれば、蕎麦ってのは消化がよさそうで実はあんまり消化よくないんですよね。繊維質が多い。胃潰瘍の人は蕎麦を食べないほうがイイってくらいでして」

師匠 「駄目じゃん?じゃ、ウォーキングも、ウーロン茶も裏目・・・」

おかでん 「そのとおりでした。体動かしたものだから、どんどん血糖値が上がってしまって困ってしまってワンワンワワーン、ってな状態ですよ。あれよあれよと満腹感がさざなみのように押し寄せてくる」

師匠 「出たな。墓穴掘るチャンスを常に狙う男の本領発揮」

おかでん 「浅はかでした」 師匠 「・・・ところで、さっきのワンワンワワーン、って奴、どうかと思うぞ」 おかでん 「ごめんなさい、反省してます」

師匠 「ここでちょっと整理しておこう。今回チャレンジするのは何だっけ?」

ビッキーズ外観。後楽園ホール階下。

おかでん 「スポーツグリル”ビッキーズ”。チャレンジするのはこれです」

■メニュー:キャッチャーミットハンバーグステーキ(重さ1kgのハンバーグとボール型特大ライスコロッケ)
■価格:3,333円
■制限時間:18分51分
■難易度:☆☆☆☆

師匠 「1kgのハンバーグというものがそもそも想像できないな。でも、想像できないって事は日常生活では絶対にお目にかからないサイズだからこそであり、即ち『蕎麦食べた後についでに』食べるものじゃあないって事だ」

おかでん 「ハンバーグなんて柔らかい食べ物じゃないですか。ホットドッグみたいに口の中でモサモサすることもないから、限界ギリギリまで食べることができるんじゃなかろうかなと」

師匠 「まあいいや、それが本当かどうかは知らないけど、とにかく結果さえ出ればいいんだから」

おかでん 「歩いても水分補給しても、一向に胃袋が空にならない。ならばすぐにでも次のチャレンジに突入しないと。蕎麦の栄養がどんどん体を駆け巡る」

師匠 「早くそれに気づけよ。で、蕎麦屋からビッキーズまで何分の時間差だったの?」

おかでん 「20分といったところでしょうか。じわりじわりとやってくる満腹感に慌ててビッキーズに入店」

師匠 「で、満腹日本シリーズお願いしますって注文したら『すいません、品切れです』ってまたもや言われてほっと一安心、今日は帰ってきた、と」

おかでん 「一瞬それを期待したんですけどねえ、さすがに前回みたいに品切れって事はなかったです。前回『品切れ』と僕に宣告した店員さん、満腹日本シリーズですね?と静かに深く頷いて、厨房にオーダーしに行ってしまいました」

師匠 「大食いチャレンジしにきたのに、品切れを期待してるって何だいそりゃ。だったら最初からチャレンジしなけりゃいいのに」

おかでん 「そういうワケにもいかないんですってば。ほら、バンジージャンプ、あるじゃないですか。飛び降りたいんだけど、踏ん切りがつかないからいつまでたってもジャンプ台から飛び降りられない」

師匠 「わけのわからん喩えを持ち出すね、君も」

おかでん 「要するに、バンジー台ってのが今回の満腹日本シリーズなんです。台から飛び降りて、さっさと楽になりたい。でも、大風呂敷広げて企画をスタートさせた以上、やめられない」

師匠 「ははーん。では、『品切れ』ってのが、踏ん切りをつけるきっかけってワケだ」

おかでん 「そういうワケで」

師匠 「で?その喩えで君は何を言いたかったんだい?」

おかでん 「へ?・・・あ、すいません、何も考えてませんでした」

師匠 「だろうと思った。得意げな顔して何がバンジージャンプ、だ。お前は本当に自分の心境を語りたいのかと問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。お前、変な喩えしたいだけちゃうんかと」

おかでん 「おお、師匠まで牛丼のコピペを。時代は変わりましたなあ。でもできはイマイチ」

師匠 「むむ」

師匠 「早く食べないと。どんどん満腹感が押し寄せてくるぞ!」

おかでん 「もとよりそのつもりで、思わず『満腹日本シリーズお願いします』っていうオーダーも早口で言ってしまったくらいで」

師匠 「何にもならんぞ、早口でオーダーしたって」

おかでん 「わかってはいるんですけどねえ・・・でも、オーダーしたら店員、なんて答えたと思います?『焼きあがるまで20分から30分程度お時間を頂きますが、よろしいでしょうか』」

師匠 「うわ、焼きあがるまで2,30分!さすが、肉1kgだな」

おかでん 「この瞬間、激しく恐怖しましたよ僕は。焼き上げるまでにそれだけ時間がかかるような化け物をこれから食べないといけないという恐怖。さらに、30分も待たされている間にますます満腹になってしまい、料理を目の前にして一口も食べられず!っていう恐怖」

師匠 「想像しただけで胸がいっぱいになるよ」

おかでん 「あと、具体的な重量がはっきりとわかっているので、『ああ、これ完食したら体重も1kg増えるんだな』っていう残念感も強いわけで」

師匠 「要するに、おかでん君の心境を整理するとだ、『不安、恐怖、残念』ってわけだな」

おかでん 「うう、そうやって整理されると、じゃあ一体何でアナタは大食いやってるの?って言われそうですけどね」

師匠 「何で大食いやってるの?」 おかでん 「さあ?」 師匠 「ばかやろう」

ビッキーズチャレンジルール

満腹日本シリーズin東京ドームシティ チャレンジルール

ビッキーズ

本日は、「満腹日本シリーズin東京ドームシティ」に挑戦頂きまして、誠にありがとうございます。

チャレンジに先立ちまして、下記の事項をご確認いただきますようお願い申し上げます。

◆基本ルール このイベントは、野球にちなんだチャレンジメニューを制限時間内にお召し上がりいただくものです。制限時間内に「完食」された場合は、料金が無料になりますが、完食できなかった場合は、規定の料金をいただきます。また、期間内に同イベントの全メニューを完食された方には、「東京ドームシティランチ1年間無料パス」を進呈いたします。(東京ドームシティランチ1年間無料パスの主な概要につきましては巻末をご参照ください。)

◆完食の条件 ハンバーグ、ライスコロッケ、コールスローの全てを食べきっていただくことが完食の条件となります。 ※最後の一口につきましては、口の中に入った段階で完食とみなします。 ※最終的な認定は、店舗責任者が行います。

◆注意事項 ・一度挑戦に成功したメニューに、再度挑戦することはできません。 ・制限時間内は、挑戦者本人以外はメニューに触れることはできません。 ・「お冷や」は店舗で用意しますが、その他ドリンク類の持ち込みはご遠慮ください。(もちろん、店内での御購入は可能です。) なお、チャレンジに成功した場合、記念写真を撮影させていただき、店頭に飾らせていただきます。ご協力の程、よろしくお願いいたします。

<ランチ無料パスの主な概要> ・2001年11月1日(木)-2002年10月31日(木)の1年間有効。(ただし、土、日、祝日を除く)※ランチタイム(11-14時)のみ有効 ・ランチメニュー等、対象商品は限らせていただきます。

以上

師匠 「恒例のルール説明だな」

おかでん 「そうです。普通だったら読み飛ばしてお終い、なんですけどよく見てくださいよ」

師匠 「ん?何ら変わりないぞ」

おかでん 「いや、紙そのものじゃなくって。紙にかかれている文章を読んでくださいよ」

師匠 「ああごめんごめん。こういうギャグはおかでん君あまり好きじゃなかったか・・・ええと。あ、コールスロー?」

おかでん 「そうなんです、コールスローがあるなんて話、webの告知記事には載ってないんです。写真を見ても、そんな存在はわからない」

師匠 「詐欺じゃない、それじゃ」

おかでん 「いや、改めてwebを見るとジャイアント白田氏のコメントで、『やさいとライスコロッケを先に食べるのがポイントです』って書いてあります。さらに、webの写真をよーく見ると、確かにハンバーグの下敷きとしてコールスローがあるっぽい」

師匠 「どれどれ・・・うーん、確かにそうだな、言われてみると白い『何か』がハンバーグの下にあるのはわかる。でも、これは量が多すぎるぞ?付け合わせ、という位置づけだから敢えてメニューには載せなかったのかもしれないけど、それにしては量が多すぎる」

おかでん 「でも、『コールスローなんて話は聞いてない!』って猛抗議してチャレンジ中止、なんて恥ずかしいマネはできないですからね。たとえ、『今日は特別Dayということで、いつもは肉1kgのところを今日だけ肉1.5kgに増量しました』なんて理不尽なコト言われたってチャレンジするしかないですし」

師匠 「まあ、そうだなあ。見栄の張り所だもんな、大食いチャレンジの直前ってのは」

余裕の表情?のおかでん

おかでん 「まったくその通りで、肉が焼き上がるまでの30分間、僕はひたすら余裕の表情と態度で見栄を張ってました」

師匠 「その割には、写真に写っている君は妙に硬直しているぜ?」

おかでん 「押し寄せる満腹感への恐怖です。体を斜めにねじったり、横隔膜に力を入れたりしてなんとか胃袋の中身を腸に押しだそうとしたんですが・・・いやあ自分の体でさえ自由にコントロールってできないもんですね」

師匠 「当たり前だろう、何を今更なコトを言ってる?」

おかでん 「しまいには、自分の体に腹を立ててしまいましたよ。おまえ、誰の体だと。ご主人の意向を汲まないとは何事だと。だったら誰に筋通せば言うこと聞くんだこの野郎と。お前じゃわからん、上司を出せと」

師匠 「チャレンジ前から荒んでるなあ」

おかでん 「何しろ、本当に30分待ちましたからね。普通、『お時間20分から30分かかります』って店員から言われたら、まあせいぜい20分程度なんだろうなって思うじゃないですか。でも、実際は本当に30分待たされましたから、待ちくたびれました」

師匠 「結局、蕎麦を食べ終わってから何分くらい経過したことになるの?」

おかでん 「えーっと、約1時間ってとこですね」

師匠 「じゃ、血糖値絶好調だ。さっき食べた蕎麦が消化されて満遍なく体に行き渡る頃」

キャッチャーミットハンバーグ1kg

おかでん 「そうなんですよ。あちゃー、これは極端に短期決戦にするしか勝算はないなあ、汚い食い方もやむを得ないなあと腹をくくったところで、お待たせしましたチャレンジメニュー登場」

師匠 「でたな、肉1kgのハンバーグ。でも、デカいんだかデカくないんだかよくわからん」

おかでん 「あまりにデカすぎて現実感がないんですよね。後方にあるコップとピッチャーをよく見てくださいよ。どれだけハンバーグがデカいかよくわかるから」

師匠 「あ、あれれ。あれ、ピッチャーだったのか!てっきりグラスかと思った・・・ってことは、こいつは相当デカいハンバーグって訳だな!?」

おかでん 「だーかーらー。肉1kgだってさっきから言ってるでしょ。ちなみにあのピッチャー、余裕で3リットルは水が入るサイズですからね?」

師匠 「うわー、これは見ただけで気持ち悪くなる」

おかでん 「あと、ライスコロッケ。web掲載の写真だと、遠近感がわからないのでてっきり小判型だって思ったんですよ。でも、実物は球体だった」

師匠 「ボール型特大ライスコロッケ、だもんな。これ、握り拳くらいあるんじゃないの?」

おかでん 「僕の握り拳と同じくらいですかね。これだけでも普通の人は満腹になると思いますよ」

師匠 「そして、忘れちゃいけないコールスロー」

おかでん 「そう!そうですよコールスロー。写真見てくださいよ、ハンバーグが奥にいくに従って盛り上がってますよね?なぜかって?後ろにこんもりとコールスローが盛られているからなんですよ」

師匠 「またこりゃ大げさに盛り上がったもんだな、銀河鉄道999がそのまま宇宙に飛び立つことができるくらいの急斜面だぞ?」

おかでん 「それだけハンパじゃない量が盛り込まれてるって事です」

師匠 「つまり、こういうことか・・・」

おかでん 「・・・?」

師匠 「すまん、適当な例えが思いつかなかった」

おかでん 「無理して例えなくっていいですってば」

師匠 「すまん」

おかでん 「それでですね、店員さんがこんな事言い出すんですよ。『制限時間は18分になります』」

師匠 「え?18分51秒では?」

おかでん 「でしょ。あわてて確認ですよ、18分51秒の間違いでは?って。そうしたら、店員さんは当然のように『18分です』って力強く回答するんです」

師匠 「卑怯だな、この店は!webに掲載されていたのと違うじゃないの。51秒って結構大きな差だぞ」

おかでん 「僕が挑戦する前に、すでに15人がこのチャレンジメニューをクリアしているんですよ。ひょっとすると、店側が難易度を上げるために制限時間を短くした可能性がありますね」

師匠 「それだったらwebの告知記事を修正しなくちゃ。インチキと言われても仕方がないじゃないか」

おかでん 「まあ、師匠の仰る通りなんですけどね。でも、コールスローと一緒で、今更その程度の変更でチャレンジをやめるわけにもいかない」

師匠 「これは大苦戦だな、戦う前にしてやる気なるだろ。でもよ、確かおかでん君、先日『肉1kgハンバーグが一番楽そう』って言ってよな」

おかでん 「言ってましたっけ?」

師匠 「あら、とぼけるのかい?ええと、ちょっと待てよ。(パソコンをいじる)・・・ほら」

おかでん 「ありゃ」

師匠 「ありゃ、じゃないよ。今でも、一番楽だと思ってる?」

おかでん 「(首を思いっきりブンブンと横に振る)」

師匠 「じゃ、一番ラクなのはどれなんだ、実際のところ?」

おかでん 「パン類は食べにくくて大苦戦しそうです。ってことで、キャッチャーミットハンバーグステーキが一番ラクかなあって思うんですが」

師匠 「まあいいや。まさか一口も食べられずにリタイア、なんて事はないんだろ?経過報告、聞かせてもらおうじゃないの」

おかでん 「食べ方は、油ものであるお化けライスコロッケを先に。その次にチョモランマのごとく白くたおやかにそびえ立つコールスローをやっつけて、最後にフリスビーみたいな1kgハンバーグをやっつけることにしました」

師匠 「ジャイアント白田氏がお奨めしていた方法だな。でも、同じものを食べ続けると飽きてくるんでは?」

おかでん 「確かにそれはあります。食べ方にバリエーションがあった方が飽きがこなくて良いに決まってます。ですが、揚げ物は満腹の時に食べるのは難しいし、生野菜は案外もぐもぐしないと食べられないですからね。ハンバーグは、しょせん挽肉。騙しだまし少量ずつでも食べられるかなと」

師匠 「悲壮な覚悟だね、騙しだまし食べる事まで考えたか」

おかでん 「そんなこんなでチャレンジスタートです」

師匠 「おお」

おかでん 「ライスコロッケは中にとろけるチーズが入っていて、ドリアみたいでしたよ。これ、とてもおいしかったです。コロッケのさくさく感、ドリアのほくほく感。ああ、ゆっくり食べたら幸せだろうになあと残念がっているうちにライスコロッケクリア」

師匠 「時間は?」

おかでん 「1分ちょっと、ってところですかね。熱かったんでちょっと時間がかかりました」

師匠 「あー、握り拳大のコロッケを1分でねえ。それでおいしければ、そりゃあ残念だろうな。光陰矢のごとし、じゃなくてコロッケ矢のごとしだな」

おかでん 「うー、笑うに笑えないですよ。なにしろ、口の中を火傷したって、じんじん痛みだすころには全然違う食べ物を口にしているんですから」

師匠 「おお。第二ステージはコールスローだな?」

おかでん 「コールスロー、マヨネーズソースでべちゃべちゃになっているようなやつを想像していましたが、単なる各種野菜の千切りにホワイトドレッシングがかかっているだけのものでした。逆に食べやすいですね、味にコントラストができますんで」

師匠 「さっきまでの弱気はどこへやら。一気に強気になったな」

おかでん 「キャベツの千切り、好きなんですよ?「松屋」に行って、牛めし食べないでサラダだけ食べて帰る事があるくらい、好きです」

5分経過で半分平らげたところ

おかでん 「5分経過時点で、こんな感じです」

師匠 「何だこれは?お子さまの離乳食か?それとも、気分悪くなって吐いた後か?」

おかでん 「すいません、あんまり見栄えのよい食べ方じゃないですね」

師匠 「しかし、どういう食べ方すればこうなるのよ、下敷きになっていたはずのコールスローがハンバーグの上にあるぞ」

おかでん 「これが衝撃でしてね、まあ聞いてくださいよ。ライスコロッケ食べ終わった後、コールスローに取りかかったんです。コールスローはハンバーグの下にありますので、最初は横からほじくり出すようにして食べていました」

師匠 「うんうん」 おかでん 「しかし、食べ進むうちに奥が深くなってきたので、とりあえず上にあるハンバーグを除けようと」

師匠 「で?」

おかでん 「ナイフとフォークでハンバーグをずらそうとしたのですが、びくともしない。揺らぎさえしない。さすが肉1kg!」

師匠 「ははは、押しても引いても動かないハンバーグか。恐怖だな」

おかでん 「もう、ハンバーグが南極大陸か何かに見えましたよ。しゃーない、2次元方向で動かないなら3次元方向だ、ということで今度はハンバーグを二つに折り畳もうとしたのですが・・・」

師匠 「あまりの肉厚で、やっぱりびくともしなかったワケだ」

おかでん 「その通りです。結局、ナイフで重っっもいハンバーグを浮かせておいて、できた隙間に箸をつっこんでコールスローをほじくり出して食べていました」

師匠 「豪快な料理のはずなのに、えらくミミッチイ事やるんだな」

おかでん 「理不尽な気がしましたけどね。わっさわっさと食べる気満々だったのに、『ハンバーグ様の隙をついて、その懐にあるコールスローをチョロまかす』って感じです。はっきりいってセコい食べ方でした」

師匠 「でも、相当食べてるじゃないの。ライスコロッケ、コールスローほぼ全部、ハンバーグ2/5程度で5分ってのはなかなかなもんだぞ?」

おかでん 「もうがむしゃらです。短距離ランナーですよ。大食い無酸素運動とでも言いましょうか。息が切れたらそこでお終いになるのは目に見えてるワケですから」

師匠 「しかし、ここまでくれば後は力を抜いて流し走法でなんとかなるでしょ」

おかでん 「そうはいっても、胃袋は有限です。気合いでどうにかなるってものじゃありません。・・・恐怖は現実のものになります」

師匠 「えっ」

10分経過時点。あと二口三口くらいでフィニッシュ

おかでん 「10分経過時点の写真です」

師匠 「あ、なーんだ。全然食べられず、ストップしちゃったのかと思ったよ。オッケーじゃないの、全然オッケーじゃないの。あともうちょいだ」

おかでん 「まあ、そうですね」

師匠 「確かに、最初の5分と比べるとペースは落ちているかもしれないけどね。そんなのは当たり前だって、当然だって。気にすることはないじゃない。あと8分もあるんだから」

おかでん 「完全に箸が止まりました」

師匠 「え・・・?」

おかでん 「万策、尽き果てました。ここで、もう何も口に入らなくなってしまったんです」

師匠 「ちょ、ちょっと待ってくれよ、あともう二口、三口じゃないか。あれだけ食べておいて、これが口に入らないなんて言わせないぞ」

おかでん 「シャツの襟をゆるめました。ズボンも、ホックを外して腹への負担を減らしました。それはもうすでにこの時点で対策済みなんです。それでも、もう、食べられないんですよ!」

師匠 「しかし、まだ8分ある」

おかでん 「そう。タイムキーパーの店員さんもそう言って励ましてくれました。でも、食べられないんです。たった8分で、胃袋に空きができると思います?無理でしょ?残りが多いか少ないかってのは関係ないんですよ」

師匠 「・・・」

おかでん 「全く身動きがつかなくなりました。胃の中の食べ物が水分を吸って、膨張するんです。ますます吐き気が強くなる。前傾姿勢を、後ろにのけぞらす事すらできないくらいです」

師匠 「・・・」

おかでん 「脂汗がたらたらと頬をつたい、苦悶するわけです。何でこんな辛い思いをしなければならないのかと。今ここでリタイアして、トイレに行けば楽になれる。どうせリタイアするんだったら、早くリタイアした方が楽だ、って」

師匠 「・・・」

おかでん 「もし、ここを無理してでもクリアしたとしましょう。でも、翌日以降も大食いは続くわけです。同じような苦しみをまだこの先も続けなければならない、これほど絶望的な事はない・・・って、おい!師匠!」

師匠 「あ、すまん。寝てた」

おかでん 「これだけのクライマックスに何ちゅーことを!」

師匠 「いや、おかでん君のいつものパターンだと、こういう盛り上げ方するって事は後は大団円になるに決まってるから。おお、やっとるなあって思ってるうちに、つい」

おかでん 「いや、今僕が語った事は全て真実ですよ。ギャグ一つも無いでしょ、今までの会話で」

師匠 「んー、寝てたから覚えてない」

15分経過時点でも、10分と状況は全く変わらず。箸が止まった・・・。

おかでん 「じゃ、この写真を見てください。15分経過、残り3分のものです」

師匠 「あ」

おかでん 「どうです?」

師匠 「全く量が減ってない・・・」

おかでん 「そういうことです。この間5分、一口たりとも喉に押し込めなかったということです」

師匠 「ナイフ、フォークや箸の位置まで変わってないんだな。驚いた。水も全然減ってないし、紙ナプキンも・・・って、おい、これさっきと同じ写真だろ」

おかでん 「すいません、同じ写真です」

師匠 「馬鹿もーん。びっくりしたじゃないか」

おかでん 「でも、お皿の上に残った料理については、全く進歩無しですよ、やっぱり。写真はうそですけど、一口も手をつけられなかったのは本当です」

師匠 「15分経過の写真は撮らなかったのかい?」

おかでん 「リタイアしたいっていう気持ちと、残された時間が気になってしょうがなかったのとで写真には全く気持ちが行きませんでした」

師匠 「無我夢中で食べているならともかく、まんじりとしている状態で写真の事を忘れてしまうとは。さては本当に苦しいな!?」

おかでん 「さっきからずっと苦しいって語ってるでしょうが!」

師匠 「死にそうになるほど食べた時って、水も飲めなくなるの?」

おかでん 「いや、胃袋がいっぱいで食べ物は入らないにもかかわらず、水だけは欲しくなるんですよね」

師匠 「水は別腹ってわけか」

おかでん 「だったらいいんですけど・・・欲求に応えて水を飲むと、胃袋の食べ物が水分を吸って膨張するわけで。よけい苦しくなります」

師匠 「拷問だな。行くも退くも地獄」

おかでん 「5分以上箸が止まってしまっている姿を見て、店員も応援するのをやめましたね。ああ、こりゃもうだめだって」

師匠 「今までに数多くいた、敗れ去ったチャレンジャーと姿がダブったワケだ」

おかでん 「悔しいので、とりあえずほんの一すくい・・・小指ほどのハンバーグ・・・を無理矢理口の中に押し込みました」

師匠 「お、まだあきらめて無かったか」

おかでん 「しかし、その後ついに吐いて」

師匠 「え?吐いた?」

おかでん 「吐きました。我慢できませんでした」

師匠 「ああー、とうとうやったか。大食いチャレンジャーが一番やってはいけないことを。トイレで吐くならともかく、テーブルに座ったままで・・・なんて事だ」

おかでん 「あわててペーパーナプキンで口を押さえ、惨事は免れましたが」

師匠 「でも、吐いた時点で試合終了、だろ?」

おかでん 「いや、なんとか口の中で押しとどめ、もう一度胃袋に押し込みましたので問題なかったです」

師匠 「おお、よくやった!良かった、最悪の事態になるのかと思った」

おかでん 「しかし、ただでさえもう食べたくないのに、もう一度口の中いっぱいのハンバーグを咀嚼しなおす事になってしまい、精神的ダメージ無限大」

師匠 「ああ・・・」

おかでん 「これでもう完全に戦意喪失です」

師匠 「ギブアップか」

おかでん 「・・・」

師匠 「やっちまったのか」

おかでん 「ギブアップ・・・したかったんですけどねえ。周りにお客さんがいるので、宣言できなかったんです」

師匠 「あらら。見栄がここにきて邪魔したか」

おかでん 「作戦変更です、隙あらば食べようという考えを捨て、残り1分を切ったところで一気に掻き込もうと」

師匠 「ちびちびではなく、一気に勝負をつけるということか」

おかでん 「そういうことです。口に押し込んでしまえば、飲み込まなくても完食になりますから。あとは気合いですね、吐かないように、吐かないようにって」

師匠 「ネガティブな気合いだ・・・」

おかでん 「でも、弱気なものだから店員さんに聞いてしまいましたよ、『こういう事聞くのは非常に失礼だとは承知ですが、あえて聞かせてください。完食と同時に、お手洗いに行かせてもらってもいいですか』って」

師匠 「ははは、露骨だな。で、なんて答えた?」

おかでん 「『うーーーん。まあ、オッケーにしましょう』だって」

師匠 「あー、助かったな、でも店員もえらそうだな、どうせバイトだろ?」

おかでん 「まあ、だめって言われる筋合いは無い話なんですけどね。完食後なんですから。でも、料理人に対して、食べさせてもらった料理をその場で吐くというのはもの凄く失礼な話なんで、とりあえず筋だけは通しておきたかった」

師匠 「なるほど」

おかでん 「そんなやりとりをやっているうちに、残り1分です。事前に用意してもらっていた小皿に、残りの料理を移しました。後は目を瞑って一気呵成にかきこむだけ!それ!」

師匠 「おおっ?」

17分36秒、ぎりぎりの完食だった。壮絶な戦いはまだ続く

おかでん 「完食です。17分36秒」

師匠 「やったな、食べきったか!」

おかでん 「戦いはまだ終わってませんよ、結果は完食扱いでチャレンジ完遂ですが、僕個人の戦いは、口の中の食べ物を飲み込むまで続くんですから」

師匠 「あ、そうか。で、食べきったか」

おかでん 「すいません、いくらもぐもぐやっても飲み込むことができず、あわててトイレにいって流してきました」

師匠 「結局吐いたのか!」

おかでん 「いや、吐くのはやっぱり罪悪感があったので、口の中の食べ物だけズルさせてもらったです。吐きはしなかったです」

師匠 「とりあえず、おめでとうだな。しっかし、ピンチだったなあ。17分36秒?残り時間、あと24秒だったのか」

おかでん 「まあ、そういう作戦だったんで、当然といえば当然なのですけど。でも、完食したのに、ここまで惨めな気分になるってのは初めてです」

師匠 「虚しくなる?」

おかでん 「そうですね、虚しいです。いったい何なんだコレは、って。虚しくてー何も見えずー♪」

師匠 「悲しくてー、だろ」

おかでん 「さらばー大食いよー♪」

師匠 「昴よー、だろ」

おかでん 「こんな辛い思いをするのは金輪際いやです」

師匠 「あ、ということは、完食はしたけどこの企画そのものをリタイアするという事かい?」

おかでん 「うーん・・・」

完食はしたものの、精魂尽き果てたおかでん。大食いそのものに疑念を抱くようになってしまった。果たして、ここで企画をリタイアしてしまうのか、それとも根性で企画続行となるのか!? 残り店舗数、あと5店。この時点で、いまだに半分もクリアできていない・・・

完食写真(その4)

【完食のヒント】
特に何も言うことはありません。力業あるのみです。途中、吐きかかった僕がエラそうに完食について語る資格なんてないです。 敢えて言うなら、やはり揚げ物であるライスコロッケは先に片づけた方が吉。 コールスローは・・・先に食べなくてもいいかもしれません。食べても食べても無くならないハンバーグの単調な味を引き締めるための、ツマとして食べるといいかもしれないです。

通算4軒目制覇【10月23日(火曜)】-期限まで残り8日スポーツグリル・ビッキーズ
キャッチャーミットハンバーグステーキ
[通算4店舗目/残り店舗数:5]制限時間18分/17分36秒完食 苦労度 ★★★★★




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