満腹日本シリーズ(エピローグ)

宴の後で

師匠 「満腹日本シリーズ、今回でラストということで。最後、夢の『東京ドームランチ1年間無料パス』はどうなったのか、マネージャー氏から何を言われたのか、そこらへんをずずずいと聞かせてもらおうじゃないかと、今日はパネリストの皆様にお集まりいただいて・・・」

おかでん 「僕一人なんですけどー」

師匠 「まあ、そういうことです。まずは優勝おめでとうございます」

おかでん 「ありがとうございます」

師匠 「この喜びを誰に真っ先に伝えたいですか?」

おかでん 「広島にいる両親に、まず報告したいですね。いままで苦労かけさせてごめん、って・・・ってなわけないでしょ!大食い9店舗制覇しましたぁ!って親に報告なんてしたら、親は逆にがっかりしちゃいますよ」

師匠 「おやぁ、この期に及んでまだ大食いを卑下するような発言をするか、この非国民め!」

おかでん 「いや、僕はそんなつもりはないんですけどね。でも、うちの両親は大食いとかそういうの嫌いなんですよ。ほら、よく大食い番組に対して使われる批判あるじゃないですか。『アフリカとかには食べるのさえ困っている難民の人がいるのに・・・』って。まさしく、あれなんですよ」

師匠 「大食い戦士が食べるのをやめて、その分救援物資としてアフリカに送れって?むちゃ言ってるな。発展途上国の飢餓問題ってのは内戦であるとか貧富の差といった、政治経済的な次元の話でしょ。大食いチャレンジと明らかに語るべきステータスが違う。心情論で解決できりゃ、世の中いつだってハッピーなのにな」

おかでん 「おや、師匠珍しくまともなことを」

師匠 「もう、この手の問答はミニにタコができるほど聞いてるからな」

おかでん 「(・・・あえて細かいところにつっこむのはやめておこう・・・)」

師匠 「さて、ハンプティーズガーデンクリア後の話を聞かせてもらおうじゃないの」

おかでん 「はい、クリア直後はいつもの記念撮影です。ここは見せ所ですからね、精いっぱいの笑顔でガッツポーズ」

師匠 「気分の悪さは最高潮なのにな。さすがは営業マン(後注:当時)、顔はニコヤカでも心の中で何を考えてるかわかりゃしない」

おかでん 「関係ないですよ、そんなの。勝手な事言わないでください。僕は『すぐ顔にでる』タイプなんですから。だから、お客の部長さんから『もっと安くなるんじゃないの?』なんて見積もりを前に言われると、すぐに顔色を変えてしまうので『あっ、ほら!おまえはすぐに顔にでるからな。さてはもっと安くなるなコノヤロー』と問いつめられるくらいでして」(←筆者注:残念ながらこれ実話です)

師匠 「自慢しなくてよろしい。でも、9店舗すべて終了した!っていう開放感とか喜びってのはあったんじゃないのかい?」

おかでん 「いやー、ぜんっぜん無かったですね。そんなことよりも、この気分の悪さをどうにかしてくれと」

師匠 「つれないもんだ。せっかくのフィナーレだというのに」

おかでん 「でも、フィナーレにはフィナーレなりのイベントってのが待ってましたよ。写真撮影が終わったところで、さっきから遠巻きで見物していたマネージャーとおぼしき人がやってきたんです」

師匠 「アンタのおかげでウチは商売あがったりだよ!って抗議かな?」

おかでん 「まさか。ニコヤカに『おめでとうございます』って祝福してくれました。いや、このとき初めて『ああ、すべてのチャレンジが終わったんだなあ』って実感が沸きましたね」

師匠 「あれ、マネージャーってそれだけ言って帰っていったの?」

おかでん 「いやいや、さっきから手にもっていたバインダー、あれは一体なんだろうと思っていたんですが、これが実はいろいろメモをとるためのものらしくってですね。『ちょっと話聞かせてくれます?』って僕にあれこれ質問してきました」

師匠 「好きな食べ物とか」

おかでん 「芸能人じゃないんですから。そういうのは無かったですよ。ええと、難易度はどうでしたか?とかどの店がよかったですか?とか、来年もし同じイベントをやるとすればどういう形がよいですか?とか」

師匠 「ほう。で、何て答えたの?まさか、『二度とやるかよバーカ』とか言って逃げた、とか・・・」

おかでん 「いやいや、今回このチャレンジは僕、本当に感謝してるんです。楽しい思い出をありがとう、って」

師匠 「おいおいおい、柄にも無いことを言い出したなちょっと」

おかでん 「いや本当ですって。だから、できるだけ協力したいですね、東京ドームには。って事で、あれこれ意見を言ってきましたよ」

師匠 「たとえば?」

おかでん 「パンに関係したメニューが多いが、もっとバリエーションを増やすことはできないのか。全チャレンジメニューのうち、ピザを含めると5/9の確率でパンですからね。ちょっと多すぎる」

師匠 「あれ、そんなにあったっけ。パンは難易度高い高いって話は記憶にあったけど、そんなに多かったのか」

おかでん 「野球場のそばという立地条件から、パンが増えるのはしょうがないんですけどね。でも、難易度をパンで調整されているって感じは受けました。もう少しいろいろなメニューでわれわれを翻弄していただきたいと、お願いしました」

師匠 「なるほど。全店舗制覇した人間でないと言えない言葉だな。で、ほかには?」

おかでん 「大食いチャレンジなのに、早食い要素を求められるメニューがあった。自分は全然問題なかったしエッセンスとして楽しめたが、早食いが不得手で、クリアできなかったという知り合いもいた。考慮願いたい」

師匠 「でも、おかでん君としては早食いメニューがあった方がいいんではないの?」

おかでん 「ああ、早食いの方が楽でいいです。量が少ないですから。早さは人並み以上なので、全然問題ないです。でも、そばの3分33秒はちょっと可哀想な時間設定だと思いましたよ。少なくとも普通の女性じゃ無理だ」

師匠 「普通の人じゃクリアできない難易度にするからこそ、チャレンジメニューの意味があるんじゃないの?」

おかでん 「う、それは確かに・・・。ええと、その他ですね、チャレンジ時間帯が厳しすぎる。昼間のみの受付店舗が多く、社会人がチャレンジするのは非常に困難。このハードルを低くしなければ、腹ぺこ貧乏学生しか集まってこないぞと」

師匠 「でも、成功してしまった社会人もいるわけだよな、ここに」

おかでん 「あ、僕ですか?へえ、確かに成功しました。面白いもんで、仕事が忙しい時のほうが外出する機会が多く、チャレンジするきっかけが増えたって事ですね。別に仕事さぼっちゃいませんよ、この期間中だからって」

師匠 「そこまで疑ってないよ、何でムキになって否定する?」

おかでん 「あれっ」

師匠 「あれっ、じゃないよ。でも、確かに今回のチャレンジは、パズルゲームみたいな感じだったね。特に最初の頃は」

おかでん 「アワレみ隊のサイトで結果だけ読んでいる人にはあまり理解できないかもしれませんけどね。ものすごく悩みましたよ、時間的制約と胃袋の状況の狭間で」

師匠 「1日2食とかやってたからね。これが1日1食だったらまだパズル的じゃなかったんだろうけど」

おかでん 「今度はこっちから質問する番です。今までで何人くらい成功したんですか?って聞いてみたら、貴方で6人目です、とのこと」

師匠 「うーん、多いのか、少ないのかよくわからないなあ。10月28日時点で6人か。ってことは、10月31日の最終日までに、せいぜい10人くらいの成功者ってことになるのかな?」

おかでん 「そんなところでしょうね。でも、その6人のうちの半分はマネージャー氏いわく『テレビにも出ている人たち』って事だから、ど素人としてはせいぜい3名くらいしかクリアできていないって事です」

師匠 「そう考えると、ちょっとだけ凄いような気がしてきた、なんとなく」

おかでん 「ジャイアント白田をwebサイトの告知で招聘したのが、そのマネージャー氏らしいです。どうでしたか、あのwebは?なんて聞いてくるので、『いや大変参考になりました』とお礼を言いました」

師匠 「たしかに、作戦会議を練る上でのバイブルだったもんな。一部記述に間違いがあったりして問題が無かったわけじゃないが」

おかでん 「せっかくなので、聞いてみましたよ。『ジャイアント白田、実際のところどうよ?』って。そうしたら、『ジャイアント白田さんには、宣伝用として5店舗に挑戦してもらったんです。うちとしては宣伝のためなので、5店で十分でしたから。でも、白田さん、その気になれば1日で全店舗回ることもできるって言ってましたよ。悪くても2日あれば十分だと』だって!」

師匠 「げぇーっ、1日に5店!しかも、その気になれば全店舗1日で!?す、凄すぎる・・・。そういえば、webの企画宣伝資料、写っているジャイアント白田の服装って全部一緒だ。本当に1日で撮影したのか!何てやつだ!」

おかでん 「もう、格が違いすぎますよね。私なんて、1店舗でひぃひぃ言ってるくらいなのに。その話を聞いた時、自分は大食いに向いていないんだなと敗北宣言を心の中で出しました」

師匠 「せっかく9店舗苦労してクリアしたというのに、満足感ではなくて敗北感がおかでん青年の体を包み込んだのであった。つづく」

おかでん 「続くかどうかはしりませんがね。でも、敗北感ってのは違いますよ。だって、最初から打倒大食い戦士!ってやってる訳じゃないですから。ああ、テレビに出てる人たちって本当に凄ぇなあ、っていう事を実感できて、逆によかったなと。ヒーローはいつまでもヒーローであってほしいじゃないですか」

師匠 「あ、打倒大食い戦士じゃないんだ。私はてっきり、このままの勢いで大食い選手権出場を果たすものかと思っていたのだが」

おかでん 「大食い選手権については、マネージャー氏からお誘い受けましたよ」

師匠 「えっ、そうなの?何て?」

おかでん 「テレビ東京のディレクターから、成功した人がいたら紹介してほしいって言われてるんですよ、だって。おかでんさんをぜひ紹介したいが、構わないかって」

師匠 「ついにきたな、シンデレラロードの幕開けだ。わくわくしてきたぞ、これは!土下座バイキング飛躍の時来たり!」

おかでん 「いやー、でもジャイアント白田の武勇伝聞かされた後にこんな打診を受けてもねえ」

師匠 「えっ、断ったの?」

おかでん 「まさか。断りはしなかったですが、『さっきご覧になっておわかりの通り、僕はハンバーガー9個であっぷあっぷしているような人です。その他大勢のエキストラ役程度しか活躍できないと思いますが、それでもよろしければ推薦してください』って」

師匠 「なんだぁ、そりゃーっ。推薦してほしいんだかしてほしくないんだか、さっぱりわからないではないか」

おかでん 「呼ばれれば、せっかくのチャンスなので、出る。呼ばれなければ、こんな苦しい思いをわざわざするのもイヤなので、出ない。それだけです」

師匠 「まあいいや。で?来年も東京ドームで同じ企画があったら、参加するの?」

おかでん 「やるでしょうね、たぶん。辛いのはイヤだとかいいながら、何だかんだ文句たれつつもチャレンジしてそうで怖い」

師匠 「じゃあ、来年は目指せ!1日5店舗!って事でOK?」

おかでん 「勘弁してください。今度は時間に余裕をもって、1日1店舗ずつ確実に」

師匠 「あらら・・・やけにスケール感の小さい勝者だなあ・・・」

※結局、テレビ東京からはお誘いがかかるわけでもなく、現在に至る。結局あのマネージャー氏の言葉は何だったのだろうか。

それから1週間後。

東京ドームシティから封筒で手紙が届いた。

東京ドームからのお手紙

東京ドームシティ・ランチ無料パスの有効期間変更のお知らせ

(株)東京ドーム 飲食&物販部

拝啓 このたびは「満腹日本シリーズin東京ドームシティ」において、見事全メニューを制覇されまして、誠におめでとうございます。

賞品の「東京ドームシティ1年間ランチ無料パス」を同封させていただきますので、裏面の注意事項をご確認いただいたうえ、ぜひご利用くださいませ。また、ランチタイム以外でご利用の際は、10%OFF(同伴者も含む)とさせていただきますので、こちらでのご利用もお待ちいたしております。

なお、発送作業の都合上、有効期間を下記の通り変更させていただきました。皆様にはご迷惑をおかけしますが、なにとぞ了承いただきますようお願い申し上げます。

有効期間:2001年11月5日(月)より1年間

今後とも、東京ドームシティのレストラン店舗をご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

そして、念願の「東京ドームシティランチ無料パス」も同封されていた。

この紙さえ提示すれば東京ドームで1年ランチ無料!・・・使う機会が無いけど。

有効期間:2001年11月1日(木)-2002年10月31日(木)の1年間※ただし土日、祝日を除く。

有効時間帯:ランチタイム(11:00-14:00)のみ有効。

対象商品:ランチメニューがある店舗では、ランチメニューのみ有効となります。又、セットメニューのある店舗では、セットメニューのみ有効となります。それ以外の店舗や、夏休み等でランチを実施していない店舗では、1回800円(消費税別)までのご利用は無料となります。

対象店舗:ベースボールカフェ/ビッキーズ/ウィナーズ/花道/ミスターパオ/葵/ハンプティーズ/ハンプティーズガーデン/ホットドッグイン/フェスタカフェ

注意事項:御本人様のみ有効。(他人への譲渡、貸与は禁止します。)なお、複数人でご来店の場合は、ご本人分のみ無料となります。各日1店舗1回限りのご利用のみ有効です。※不正利用が発覚した場合は、その時点で無効となります。御注意ください。ランチ以外のご利用は10%OFFとなります。

発行:(株)東京ドーム 飲食&物販部

僕に与えられたユーザーNo.は6番。6番目に全店舗制覇したことを意味するのだろう。

しかし、平日のランチメニューに限定されてしまうと、一体いついけばいいのやら。「ランチ以外のご利用は10%OFF」と書いてあって、一瞬お得のような気もするが、実際は東京ドームシティのwebサイトにいけば、10%OFFのクーポン券をプリントアウトできるため、あんまり意味が無かったりする。

ただ、1日最大800円分の食事がただになるということは。1年365日毎日お邪魔した場合・・・

365日×800円=292,000円  ひえーっ。いいお値段だ。頼む、ランチ無料はどうでもいいからそれを現金でくれッ!

僕が失業中で、毎日金は無いけど暇ならあるぞ、という人間だったらこのランチ無料パスは重宝するだろう。でも、社会人として平日昼はお勤めしている身柄で、どうやって東京ドームでランチを食べろと?改めて実物を目の当たりにして、つくづく意味のないパスであることを実感。

現に、これを書いている2002年3月22日・・・激戦から5カ月が経過しているけど、いまだに1度も活用したことがない。恐らく、このまま1年間1度も使われずに終わってしまうんだろう。

(満腹日本シリーズの巻、これにてしみじみと終了)

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