在庫処分だ!牛皿ワショーイ!

(2002.03.16/東京・池袋)

登場人物
師匠:御歳○○歳。桜を見ると、また歳をとったと切なくなるのはなぜでしょう。
おかでん:フードバトルクラブを見て以来、「彼らと同等の戦いはできない」と方向転換を模索中。

師匠 「久しぶり」

おかでん 「ああ、誰かと思ったら師匠じゃないですか。ちょうどいいところに」

師匠 「相変わらずクサイ芝居をやるんだな、ICレコーダーが回り始めると。ちょっとは進歩したらどうだい」

おかでん 「あらら、のっけから厳しい先生パンチ」

師匠 「それを言うなら先制パンチだろ」

おかでん 「いや、師匠だから敢えて先生パンチだと」

師匠 「・・・やめとこう。こんな文字遊びやってる時点で、もうこの会話が作り物だってことがバレバレじゃないか」

おかでん 「えっ、何でそんな核心に触れる事がバレてしまっているんですか!?」

師匠 「ばればれだってば」

おかでん 「ええと、ちょっとほんといい加減にしときましょう。どこまでがホントでどこまでが作り話か境界線が曖昧になってきた」

師匠 「おかでん君が大食いやってた、って事も作り話でいいんだよね?」

おかでん 「あ、ひでぇ。あの苦労まで脳内妄想だったとされてしまうと、これまでの苦労は一体・・・」

師匠 「じゃ、聞くけど、さ。『満腹日本シリーズ』完全制覇記念でもらった『東京ドームシティランチ1年間無料パス券』、あれを活用したこと、今までであるかい?」

おかでん 「えっと、無いです。だって・・・」

師匠 「言い訳無用。つまり、こういう事だ。今までのチャレンジは全部うそでした。無料パス券も、一生懸命DTPで作った偽物です」

おかでん 「にゃにおー。師匠、何でそんなこと、言うかなあ」

師匠 「簡単な事だ、最近とんとチャレンジの音沙汰が無くて私はつまらんのだよ。だから、おかでん君を言葉で追いつめてみようと」

おかでん 「あ、それなら大丈夫です、今日はとっておきの新ネタをご用意しましたんで」

師匠 「ほう!それは大変失礼した。さすがだな、いつの間にかチャレンジをしていたとは」

おかでん 「うーん・・・ICレコーダーで会話を録音している時点で、新ネタ披露するって事ぐらいわかりそうなのに・・・やっぱり、やらせくさいなこのトーク」

師匠 「君がそれを言ったら元も子もないだろう?」

おかでん 「うみゅ」

おかでん 「満腹日本シリーズの時同様に、チャレンジの話にいくまでの前振りがえっらく長いのは御免なので、ちゃっちゃと説明しますよ?ええとですね、今回の挑戦は牛丼です」

師匠 「おー、牛丼か。牛丼・・・。牛丼?」

おかでん 「?何を考え込んでます?」

師匠 「腹減ったなあ、って」

おかでん 「・・・なんだ、そんな事か」

師匠 「いや、それは冗談だけど、牛丼大食いってありそうで無いなあ、って思ったところだよ。カレーと並んで、大食いチャレンジメニューにはしやすいと思うんだけど見たことない」

おかでん 「あ、言われてみれば確かに見たことが無いですね。不思議だ」

師匠 「余りに、吉野家をはじめとするチェーン店が牛丼業界を圧倒してしまったんだろうね。ほら、今吉野家、松屋、すき家、らんぷ亭・・・といったチェーン店以外で牛丼を見かける事ってあるかい?あと、見かけたとしても、そこで牛丼を食べようと思うかい?」

おかでん 「ええと、確かに牛丼ってチェーン店で食べるイメージがありますね。普通の店で600円とか700円払って食べる気はしないです。だから、普通の食堂のメニューに牛丼はあるかもしれないですが、全然意識した事ないですねぇ。視界には入るかもしれませんが、脳が牛丼というメニューを認識しないって感じです」

師匠 「ほら。チェーン店で牛丼の寡占化が進んでいるんだよ。となると、自ずと大食いチャレンジなんて酔狂な企画を出すところも減ってくる。・・・で、今回はどこだ?そんなオモシロい事を企てた牛丼屋は?」

おかでん 「すき家です」

師匠 「すき家か。名前しか知らない。料理がお盆で出てくるところだっけ」

おかでん 「そうですね、僕もそれくらいしか知らないお店です。あ、あとうな丼もメニューにあるぞっていうくらいしか」

師匠 「なるほどね、そういうお店だからこそ、大食いチャレンジ企画をやることで来店促進キャンペーンにしたって訳か」

おかでん 「いや、でも巷では変なデマが流れてましたよ。ちょうど年度末の時期に開催されたチャレンジ企画だったので、『狂牛病騒動で山と残った牛肉の在庫を年度末までに何とか捌いてしまわないと決算がヤバい。だから急きょ在庫一掃セールで牛丼大食い企画』だって」

師匠 「ははは!そりゃ面白いや。中途半端にリアリティがあるし、もしデマ通りだとしてもそれはそれでナイスアイディアだよ。大食い成功されたって、広告宣伝費として考えれば安いもんだし、失敗したらきっちりお金を回収できる。・・・ちなみに、失敗したらおいくら払うの?」

おかでん 「2,000円です」

師匠 「おう!牛丼屋の客単価なんて、せいぜい500円がいいところじゃない。そんな中、2,000円も回収できるなんてこれは格好のチャンス到来!・・・って、ちょい待て。2,000円もする牛丼って一体どれくらいの量だ?」

おかでん 「あー、ようやくチャレンジメニューの紹介ができますね。さっきまでずっとビジネスモデルの話だとかそんなのばっかりで、退屈してました」

師匠 「じゃ、今度は牛丼たくさん食べたら本当に狂牛病になるか?って話題にするかい?これだったら、もうちょっとおかでん君に興味を持ってもらえるんじゃないかと。だって、もうチャレンジでさんざん牛丼食べてきたんでしょ?」

おかでん 「やめときます。後味が悪すぎの話題です」

師匠 「ええと、何の話だっけ」

おかでん 「チャレンジメニューの中身ですっ。・・・実は、今回は牛丼ではないんですよ。牛皿です。牛皿1kg+ご飯600g+生玉子2個+お新香を20分以内に完食すること。これがレギュレーションとなります」

師匠 「おう、牛皿1kgか。おかでん君からすれば、楽勝の部類に入るのかな?」

おかでん 「ファーストインプレッションは楽勝だな、と思いましたよ。過去に、『インドのとなり』でご飯1300g+ルー700g=2kgのカレーを食べた経験がありますし。しかし!」

師匠 「しかし?」

おかでん 「今回何が違うかと言うとですね、ご飯より具の方が多いって事なんですよ。牛皿って、カレーに例えると『ルー』の部分になるんですよ。これがどれだけ影響を与えるのか?未知数です」

師匠 「ええ?そんなにたいしたこと無いような気もするけど?」

おかでん 「じゃ師匠、師匠は500gのカレーくらいだったら食べられますよね?では、ライス抜きで、500gのルーだけ食べろって言われたらどうです?」

師匠 「うう、食べられない事は無いと思うけど、しんどいだろうなあ」

おかでん 「そういう事です。ましてや、牛皿って味付けが濃くて塩辛いじゃないですか。今回は、牛皿の単調な味の大海原に溺れたら負け、という事は想像つきます」

師匠 「そういえばおかでん君、以前ハンバーグ1kgで逆噴射寸前になったこともあったよね。あれと同じか」

おかでん 「ああ!思い出したくない過去を!でも、それと全く同じですね。牛皿1kg+ご飯600g=1.6kgだとすると、恐らく同じ重さであっても牛皿500g+ご飯1.1kg=1.6kgの方が楽です。味が薄いものの方が、大食いに向いています」

師匠 「さあ、そんな不安を抱えつつ突撃したおかでん君の運命やいかに!」

おかでん 「仕切らなくっていいですってば」

すき家外観

おかでん 「すき家です。チャレンジは、東京・池袋西口店に定めました」

師匠 「この安っぽいロゴデザインが、提供する料理まで安っぽいイメージに定着させてしてしまってる事に店は気づいているんだろうか?大食いチャレンジを企画するそのフットワークの軽さは認めるけど、その前にCIを考え直した方がいいと思う」

おかでん 「じゃ、S u K i Y a とかローマ字表記にしてみます?ちょっとはカッコよくなるような」

師匠 「やめとこう。吉野家USAの二の舞だ。ワン・ライスボウル入りましたーなんてオーダーが通るのは見ていて寒々しかった」

おかでん 「まあ、それはともかくとして。今回は楽勝企画であるとは思っていましたが、前回の大食いから4カ月以上のブランクがあるのは不安要素。って事で、過去にこの企画に挑戦した人々の情報収集をしておきました」

師匠 「ほう。で、傾向と対策はどんな感じだったの?」

おかでん 「○チャレンジ中は、『チャレンジセット挑戦中』という派手な紙筒を机の上に置かれ、店内の晒し者にされる。 ○量はともかくとして、牛皿の単調な味に飽きる。 ○いきなり牛丼状態にして食べると、最初から最後まで牛丼を食べ続けることになるので、やっぱり単調な味に飽きる。 ○玉子は何個食べてもいい店と、2個限定の店がある。 ○その他、もろもろあるがとにかく味に飽きるに尽きる」

師匠 「味に飽きるって・・・そりゃそうでしょ、会席料理を食べてるわけじゃなくって、同じ料理をずっと食べてるんだから」

おかでん 「いや、これは重要なヒントですよ。カレーのように深みのある味わいなら単調な味でも我慢できます。しかし、牛丼の場合はあまり味の深みって無いから問題なんです」

師匠 「馬鹿いっちゃいけないおかでん君。玉ねぎが煮込まれた甘み、牛肉からしみ出てくるうま味、そして醤油とみりんと砂糖で醸し出される絶妙なたれのハーモニー」

おかでん 「師匠、一生牛丼食います?」

師匠 「ごめん、前言撤回します、うそでした。確かに、あんまり牛丼で味の深みってのは無いな。塩辛さが味の中では強いかな」

おかでん 「大食いの中で、単調な味ってのが一番しんどいですからね。パンみたいに食べにくい料理もしんどいですが、単調な味だと胃袋より先に脳みそがギブアップしてしまう。ですから、今回は食べ方に工夫をしなければならないという事です」

チャレンジメニューあるよ、という挑発的なメニュー

おかでん 「さあ、店内に入ってメニューを見てみましょう」

師匠 「おおー。どかんと牛皿が写ってるな。『春のチャレンジ』。これが1kgの牛皿、ってわけだね?」

おかでん 「そうです。実物を見たことがないので、こうやって写真で提示されても多いのか少ないのかさっぱり分からないんですけど」

師匠 「向こうに見える丼とみそ汁椀のピントがずれてるぞ。すごい遠近感だ!」

おかでん 「牛皿にピントを合わせて撮影したら、後ろが若干ピンぼけになってしまったんですかね」

師匠 「いや、単に牛皿を大きく見せるために、牛皿と丼の間の距離を広くして、遠近法で牛皿を馬鹿でかく見せるというトリックかもしれん」

おかでん 「あはは。そこまでやってたら凄いですけどね。でも、確かにこの写真は微妙ですよね。『うわっ、こりゃ無理だ!』と『俺だったら、できるかな?』という気分のちょうど中間点くらいの盛りつけですもん」

師匠 「簡単と思わせてチャレンジさせた方が、店としては儲かるんではないのかい?」

おかでん 「いや、でも楽勝っぽい写真にすると、『なんだすき家はこんなヌルいチャレンジをやってるのか』ってナメられる恐れがありますし」

師匠 「なんじゃ、そりゃ・・・まあいいや。ところで、この写真の右上、『プロの方お断り』って書いてあるぞ?」

おかでん 「プロの方って誰ですかね?」

師匠 「おかでん君は・・・プロ、じゃないよね」

おかでん 「当たり前です。プロとは、その技術で対価を得ている人の事でしょう。確かに僕はご褒美としてランチ1年間無料パスは貰いましたけど、それを生業にしているわけじゃないですからね」

師匠 「じゃあ、プロなんてこの世の中にいないぞ?大食い番組に出ている人たちだって、大食いで飯食ってるわけじゃないからな・・・って、何か変な表現になったな、ええと、大食いで生計を立てているわけじゃないからな、に修正」

おかでん 「何の意味があるかよく分からない注意書きですが、なんかカッコいいですよね、『プロの方、お断り!』って」

師匠 「ただそれだけか・・・」

おかでん 「それだけでしょう」

おかでん 「注文してから出てくるまで、5分くらいお時間頂きますがよろしいですか?って店員から念を押されました」

師匠 「牛皿1kgだもんな。盛る方だって大変だ」

おかでん 「よろしいですか?って聞かれたって、ダメです4分で出してくださいとは言えないじゃないですか。はぁ、わかりましたって頷いたら、その店員は意気揚々と厨房に『チャレンジ入りましたー』だって。ああ!せっかくさっきまで、他のお客にバレないように小声でオーダーしていたのに!」

師匠 「往生際が悪いよ。どうせ後で晒し者にされるんだから」

おかでん 「この注文の瞬間は、大食いを何回こなしても嫌なもんです。ひっそりと注文したいです。自動食券機でオーダーできるんだったら、ぜひそうしてもらいたいくらいです」

師匠 「そのときの店内の反応は?」

おかでん 「やっぱり、みんな一瞬こっちを見るんですよね。しかも、店内一斉に。そのとき、店内は巨大マスゲームの場と化したのであった・・・そして、視線の焦点である僕は、『いえ、僕が注文したんではありませんよ』と素知らぬ顔」

師匠 「まあ、知らぬ顔するのも料理が出てくるまでの間だな」

チャレンジセット受付票。住所氏名年齢などを書かされるおかでん 「いや、その前にチャレンジセットの受付票を書かされましたよ、ほら」

師匠 「あら。また大げさな票が出てきたな。何を書くんだい?えらく記入欄があるような感じだけど」

おかでん 「ええとですね、氏名、性別、年齢、住所、電話番号、職業(学生の場合は大学名、学部、年次)、好きなすき家のメニュー、すき家の利用頻度、その他自由記入欄」

師匠 「タダで食わせてやるけん、プライベート情報よこせや、って感じか。大食いチャレンジやってる人に好きなメニューを聞いてもほとんど意味を成さないと思うけど・・・」

おかでん 「それを言ったら、利用頻度ってのもほとんど意味ないですよ。選択肢が、1:週5回以上 2:週1回以上 3:月1回以上 4:その他 しかないんですもん。僕みたいに、チャレンジメニューにつられてすき家初潜入!っていう人をリサーチできる選択肢になっていない」

師匠 「チャレンジメニューに手を伸ばす人は、週1回以上利用している人の比率が高く25%・・・なんて統計出して一体どうするんだろうね。マーケティングの役に立つとは思えない」

おかでん 「では、この受付票はほとんど無意味ということでOK?」

師匠 「OKではないかと」

おかでん 「ちぇっ、うその住所氏名年齢書いておけばよかった!」

これがすき家のチャレンジセット。肉1kgは見たことがない光景

おかでん 「さあ、そうこう言ってるうちにやってきましたよ牛皿1kgが!お盆に一度に載らないものだから、二つにわけて店員さんが持ってきてくれました。それが、この写真です」

師匠 「おおっ、これが肉1kgか。・・・あれ、メニューの写真より盛りかたが甘いような気がするけど、気のせいかな?」

おかでん 「メニューの方は『よそ行き』用の写真ですからね。きれいなドレスが映えるように、胸パット入れるようなもんです」

師匠 「謎な喩えだな。でも、これだとますますクリアが楽そうに見えるが、どうか?」

おかでん 「馬鹿言っちゃいけません師匠、奥にあるお茶の入ったグラスとサイズを比較してくださいよ。この皿がどれだけデカいか」

師匠 「ううむ、なるほど。確かに言われてみれば、この量は尋常ではない」

おかでん 「当たり前でしょ、普通盛りだったらチャレンジメニューにしようがないんですから。何を今更」

師匠 「そういや、この肉の山、当然肉ばっかりなんだよな。ご飯が下に隠れているって事は当然牛皿だから、無い」

おかでん 「そうです、だから牛皿なんですって。ご飯が下にあったら、それは牛丼っていう食べ物です」

師匠 「わはは!段々状況が理解できてきたぞ。肉だけでこれだけデカい皿にこれだけ盛られてるのか。そりゃあうんざりするよなあ。やあ、案外これは厳しいぞ。ちなみにおかでん君」

おかでん 「はい?」

師匠 「普通の牛丼ってどれくらいのボリュームなのか知ってる?」

おかでん 「調べました。吉野家の場合、牛丼並でご飯260g、牛肉85gです」

師匠 「ってことは、だ。肉だけで言うと牛丼並12杯分相当なわけだな。で、ご飯は2杯ちょっと。これはもの凄くアンバランスって事になる」

おかでん 「師匠、写真を見て急に分析を始めましたね?」

師匠 「いやだってね、こうやって実物の写真を見るまでは現実感が余りになかったんだよ。でも、この写真を見てしまうと、いやが上でも普段自分が食べている牛丼のサイズと比較してしまう。ある意味一般人にも非常にわかりやすい大食いチャレンジだな」

おかでん 「そうですね。ところで、牛皿はともかくとして、ご飯の盛られ方見てくださいよ。丼にぎゅうぎゅう押し込んだ状態ですり切りいっぱい」

師匠 「見たことのない光景だ。まんが日本昔話みたいに山型にご飯が盛り上がってるのは見たことがあるけど」

おかでん 「牛丼屋の性(さが)って奴ですかね、どうしてもご飯はぺたぺたと平らに盛りつけてしまうという」

師匠 「しかし、ここまでぎゅうぎゅうに詰められてしまうと、玉子をかけるわけにもいかないし、牛丼にして食べるわけにもいかないな」

おかでん 「ですね。ちょっと作戦変更を余儀なくされてしまいました」

おかでん 「さあ、チャレンジ開始です。20分という制限時間は僕にとっては十分過ぎますし、おなかいっぱいになって食べ残すという事はあり得ないですから、いかに早く完食できるかというのが今回のテーマと言えます」

師匠 「さっき、作戦って言ってたけどどういう流れで食べていくつもりなの?・・・っていっても、しょせん牛皿だから作戦も何もないとは思うけど」

おかでん 「いや、ちゃんとありますよ。とにかく味に飽きる事が一番怖いので、できるだけ変化をつけようという事で。

●まず、牛皿を食べられるところまで食べる。
●味に飽きてきたら、生玉子を1個割入れてすき焼き風にして、味に変化を出す。
●さらに味に飽きてきたら、七味唐辛子を入れて味にメリハリを付ける。
●牛皿を食べきったら、ご飯に移行する。みそ汁、漬け物、生玉子1個で一気にかきこむ。フィニッシュ。
●完食予定時間7分から9分の間

師匠 「極端なまでに牛皿に飽きる事を警戒した態勢をとったんだね。警戒しすぎじゃないかい?」

おかでん 「久々の実戦ということもありますし、難易度が高くないチャレンジメニューですから絶対に負けられないという事で念には念を入れておきました」

師匠 「ここで、いきなり牛丼状態にして食べると・・・」

おかでん 「確実に味に飽きるって事ですね。それだけは避けたいと」

おかでん 「さあ、食べ始めたんですが、牛皿が予想以上に熱いんです。肉が縮れていて表面積が大きい食べ物だから、すぐに冷めるのかと思ったんですが、これが全然冷めない冷めない。冷ましながら食べるのに難儀しました」

師匠 「どうだい、肉だけ食べている心境は。すごくぜいたくしている!って気になるだろう?」

おかでん 「なりませんよ。やっぱりこの料理って、ご飯があってナンボな味付けになってるわけじゃないですか。単品で食べると、塩辛いったらありゃしない。大体、牛皿の肉程度で『すごいぜいたく!』ってそりゃアンタあんまりですよ」

師匠 「あ、なるほど。塩辛いのか・・・あんまり意識したこと無かったよ、確かに牛皿って必ずご飯がセットだからな」

おかでん 「この塩辛さと熱さのせいでお茶をがぶがぶ飲んだら、そこでゲームオーバー。初心者が陥りやすい罠ですね。僕も正直この塩辛さにはうんざりしたんですが、我慢して半分ほど食べたところで予定通り玉子を投入しました」

師匠 「第二段階に突入だな。早速味に飽きてしまったのかい?」

おかでん 「いや、無我夢中で食べているし、時間にしてまだ2分程度しか経過していないので、味に飽きたって事はないですね。塩辛さを中和させるのと、少しでも温度を下げるために、です」

師匠 「まだ牛皿冷めてないのか。一体どうなってるんだ?お皿に保温機能がついてるとか」

おかでん 「食べ進めていくうちにわかりましたよ。牛皿、ものすごいつゆだくだったんです。さすがに肉1kgのつゆだくはその量も半端じゃない。このつゆが熱いので、なかなか冷めてくれないわけです」

師匠 「なるほど、そういうことか。店側の作戦の一つだな、さては」

おかでん 「そうこうしているうちに、4分ちょっと前の時点で牛皿ほぼクリア。細かいくず肉と汁だけになりましたので、これは後回し。今度はご飯600gにとりかかりました」

師匠 「あれ?七味唐辛子投入は?」

おかでん 「忘れてました。っていうか、そこまで味に飽きは来なかったです」

5分経過時点。随分と量が減ってきた

おかでん 「5分経過時点の状況です」

師匠 「うん、牛皿はほとんど完食、ご飯も1/3くらい食べ終わっているのかな」

おかでん 「結構ご飯がくせ者ですよ、これ。牛丼仕様に炊きあげてあるご飯なので、ちょっとぱさぱさしているんですよね。ですから、ご飯単体で食べると堅くてなかなか飲み込めないですし、水分が欲しくなる」

師匠 「結局、牛皿はご飯あってのもの、ご飯は肉あってのものって事な訳だ」

おかでん 「そういう事です。それぞれ単品ではなかなか面倒です。ご飯を一口ずつぱくぱく食べていたんですが、どうもペースが上がらない。ここで大幅に時間をロスしてしまいました」

師匠 「さっさと玉子かけご飯にするとか、牛丼にするとかしてしまえばいいのに?」

おかでん 「今考えるとそうなんですけどね。そのときは『味に飽きが来たらまずい』っていう事ばっかりが頭にあったもので、白米はできるだけ白米として食べ続けなくちゃいけないっていう変な思いこみをしてしまっていました」

師匠 「だって、もうこれだけの量なんだから、味に飽きるも何もないだろうに」

おかでん 「でも、食べている最中って必死ですから、あんまり冷静に状況判断はできないもんです。結局、7分経過時点で白米をぱくぱく食べているのが面倒くさくなってしまい、生玉子と牛皿の残りをご飯にかけて一気にかき込んでみました」

師匠 「うん、で、どうだった?味にうんざり?」

おかでん 「ようやく解放されたかと思っていた塩辛い牛皿の醤油味が口の中に広がり、一瞬うんざりしてしまいましたがそれもつかの間。さすがに汁物とご飯を組み合わせると食べるのが早いですね、あっという間に胃袋の中に。8分15秒、フィニッシュです」

師匠 「おー」

8分15秒、つゆも残さずきれいにフィニッシュ

師匠 「とりあえず、おめでとうだけど・・・。時間も悪くないタイムだと思うけど・・・何か、苦戦していたっていう印象を受けるけどそこらへんどうだったのかい?」

おかでん 「作戦間違えましたね。味に飽きるって事ばっかりを気にしてしまったために、スピードが全然出なかったです。後で考えれば、生玉子は最初から肉にかけておくべきでしたし、ご飯はちょっと食べた時点でおみそ汁、生卵をかけて一気につるつるっとすすってしまうべきでした。そうすれば、時間をあと2分は縮められました」

師匠 「では、今回味に飽きは来なかったというわけだ」

おかでん 「ええ、余裕でしたね。拍子抜けするくらい」

師匠 「では、何で今回は味に飽きる事をここまで警戒してしまったんだろう?事前情報を鵜呑みにしすぎた?」

おかでん 「そうですね。事前に2ちゃんねるあたりで情報収集してきたんですが、やっぱり普通の胃袋の人はひぃひぃ言ってチャレンジしているんですよ。成功しても、制限時間ぎりぎりで完食とか。そんなレベルの人たちは、すぐ牛皿の味に飽きてしまうようです。でも、僕は今回8分15秒で完食できたように、そういう人たちとはレベルが違うんですね。いや、自慢でもなんでもないですよこれは。事実として、胃袋の許容量や食べるスピードが違う。なのに、ごく一般人のレベルに合わせた作戦を立ててしまったというのが今回の問題点だったのかな、って思います」

師匠 「問題点か!ってことは完食したけど、満足してない?」

おかでん 「満足・・・しませんねえ。大体、この料理食べ終わった時、胃袋は当然まだ余裕があったんですが、牛皿の塩辛さでちょっと吐き気を覚えてしまいましたし(すき家さんゴメン!)。時間も思ったより伸びなかったですし。教訓ですね、これからはあまり事前情報を入手しない方が良さそうです。胃袋の容量、食べるスピードは千差万別ですから、あんまり参考にならない」

師匠 「ははは、まあそういう事だろうね。ところで、食べ終わった時店員さんは何か言ってたのかい?」

おかでん 「いや特に何も。ああ完食したのね、って感じでした。あまりにそっけないのでこっちからいろいろ質問してみましたけど」

師匠 「ほう、何を?」

おかでん 「まず、どれくらいの方が成功されてます?って聞いたんです。すると、『結構多いですよ?そうですねぇ、大体6割から7割くらいが成功してますね』だって。なるほど素っ気ない態度なわけだ。完食なんて珍しくも何ともないわけですよ。しかも、早い人はどれくらい早いんですか?って聞いてみたら、『そうですねえ、6分とかで食べる人もいましたね』だって。がーん、僕の挑戦成功、全然珍しくも何ともないんじゃん」

師匠 「単にタダ飯食いしやがった邪魔者程度って事かな」

おかでん 「ぐさ。あんまりそういうの露骨に言わないでくださいよ。で、質問の矛先を変えてみました。『年度末って事で在庫一掃セールの意味合いがあるんじゃないかってうわさになってますけど?』」

師匠 「おーっ、またえらくシュートな質問をしたな。で、何て回答が帰ってきたんだい?」

おかでん 「『さあ・・・詳しい話は知りませんが、いきなり本部からやれって言われたんでやってるんですよ。この企画、結構大変なんで困っちゃったんですけどね』だって」

師匠 「結局、在庫セールの疑惑については白とも黒とも言えないわけか。それで?」

おかでん 「『そうですよね、困りますよね。一人チャレンジするだけでも肉が1kgも無くなるんですから、補充が面倒じゃありませんか?』って聞いてみたら、『数名でいらっしゃると厨房は大変ですよ。そうだ、今度4名で挑戦される方がいらっしゃるんですが、事前に予約されていきましたよ』 ・・・だ、そうで」

師匠 「4人でいきなり挑戦されると、一度に肉が4kg、ご飯が2.4kgも無くなるのか。そりゃ予約入れて置いてもらわないと、ストックが無くなってしまうな」

おかでん 「牛丼ただ今仕込み中につき営業できません、なんて事になったら商売あがったりですもんね」

師匠 「さて、とりあえず今後の展開はどう考えているの?」

おかでん 「なーんも考えていないです。何か面白いチャレンジメニューがあったら、発作的に挑戦するかもしれないってくらいで。特に大食いのTV番組に挑戦しようとも思わないですし」

師匠 「何だ、そうなのか。では、この牛皿1kgに偽名を使って再チャレンジするってのは?」

おかでん 「勘弁してください。しばらく牛丼は食べたくないです。特にすき家の牛丼はもう嫌です」

師匠 「あ、ひどいな、すき家はまずいって事か」

おかでん 「味が濃すぎです。量を食べるには向かないです。肉体労働者向けって印象受けました」

師匠 「まあそれはいいんだけど、記録にずいぶんと不満があったみたいだし?」

おかでん 「あ、でもこれ以上1分、2分と記録を縮めても無意味だなって悟りましたよ、あるサイトを見てから」

師匠 「あるサイト?何だ、それは」

おかでん 「フードバトルクラブにも出ている『プリンス山本』の応援サイトなんですけどね、彼もこのすき家にチャレンジして・・・完食タイム、何分だと思います?・・・1分46秒」

師匠 「げぇーっ」

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