死に場所を求めて

(2003.11.29/東京・練馬)

登場人物
師匠:もうどうにでもして。
おかでん:大食いはしていなくても、体重は減らない。常にマイペース男。

おかでん「お久しぶりです、師匠」

師匠「便りなきは良き知らせ、ってのは本当だな、ってつくづく思っていたところだよ」

おかでん「ありゃ、いきなり連れないお言葉」

師匠「だって、また昔のように、大食いチャレンジしたぞっていう報告があるんだろ?」

おかでん「『昔のように』、ですか。二人とも歳を重ねちゃいましたねえ」

師匠「おっ、二人とも、と言えるようになっただけでもおかでん君成長したじゃあないか。昔の君だったら、『アンタ歳とったなあ』って自分を棚に上げた発言をしそうだもんな」

おかでん「否定はしません。なぜなら、今回のテーマは『死に場所を求めて』ですから」

師匠「おい、いくらなんでも老けすぎだぞ、それは。もう死ぬ準備か?親より先立つのは最大の親不孝者だぞ」

おかでん「今まで食い地獄はさんざん見てきましたけど、死に切れていませんでした。大食い野郎としての自分に、そろそろ終止符を打とうかなと」

師匠「あ、そういうことか。しかし、いきなり重大発表をするじゃないか。普通そんなのは最後の最後に、『実は・・・』って切り出すモンじゃないのかい」

おかでん「いや、そうなんですけどね。でも、今回のチャレンジはそういうテーマが冒頭にあったんですからしょうがない」

師匠「順を追って聞こうじゃないか。で?どこまで話を遡ればいいんだ?満腹日本シリーズの頃か?それとも小学生の頃か?」

おかでん「そんなに話は遡らなくてもいいです」

師匠「いや、だっておかでん君、大抵こういうの話し出すと長いから」

おかでん「大丈夫です。ええと、ですね。サバイバルゲームの帰り道だったんです。一緒に車に乗っていた戦友たちと、『夕食を食べて解散にしよう』って話になりましてね。で、かっぱ寿司に行ってみようや、って事になったんです」

師匠「おや、本当に遡らなかったな」

おかでん「そこで、ぴんときたんですよ。かっぱ寿司は全皿100円。全メニュー食べたって、金額はたかが知れてるだろう、と。で、車中で宣言しちゃったんですね、『かっぱ寿司全メニュー制覇をやるぞ』と」

師匠「まあ、いつもの思いつきパターンだな。死に場所ってのは、自爆しようということだったのか。だいたい、かっぱ寿司のメニュー数って分かって宣言したのかい?」

おかでん「いや、全然。だって、かっぱ寿司で寿司30皿食べます!とか言ったって、全然面白く無いじゃないですか。説得力無いじゃないですか。セクシーじゃないじゃないですか」

師匠「いや、はじめからセクシーじゃないし」

おかでん「ここは、どれくらいの規模かわからないながらも、寿司完全制覇と宣言しちゃった方がいいんです。で、その無謀な挑戦こそが、今回自分の探し求めていたものだったんです」

師匠「何だい、それは」

おかでん「もう、正直言って大食いはしんどいんですよね。気力が続かないというか。最近でも、ラーメン二郎をはじめとする笑っちゃうようなボリュームの料理は食べたりする機会があるんですが、限界まで食べよう、というガッツがうせる。そこそこの満腹感で十分じゃん、何無理してるの、俺?ってなるんです」

師匠「人間が本来持ち合わせている本能に今頃気づいているのもアワレだが・・・。まあ、そうだな。その通りだと思うよ」

おかでん「だから、何か玉砕してこの一連の大食いチャレンジを終わりにしたい、という気持ちを常に持っていたんですよ。しかし、完食すれば無料、みたいなチャレンジメニューのお店で玉砕したら、ものすごく屈辱感がある。だから、そういうところはパスだ。では一体どうすれば、って思っていたところで」

師匠「かっぱ寿司か。自分の好きなように、好きなだけ食べられる。やめたければ、好きな時にやめられる。お代はせいぜい1皿100円、たくさん食べてもたかが知れている」

おかでん「その通り。締めくくりには丁度良い相手だったんですよ。これだ!って感じです」

かっぱ寿司メニュー(1)

かっぱ寿司メニュー(2)

おかでん「店に入ってびっくりしましたね。品数、多いっ。もっと少ないのかと思ってました」

師匠「かっぱ寿司は初めてだったの?」

おかでん「いや、過去1回訪れた事はあったんですが、まさか全品制覇なんて観点でお品書き見てないですからねえ。というか、お品書きなんて流れてきた寿司の名前を確認する『あんちょこカード』的な使い方しかしていなくって、ずっとベルトコンベアに目線が行っていましたし。油断してました」

師匠「確かに、これは多いな・・・どれくらいの数があったの?」

おかでん「握り+巻きずしで50種類です。そのうち、未入荷が2種類あったので、都合48種類」

師匠「うはぁ。48種類といえば、全部食べれば96カンか。きっつう。普通の人だったら、10皿も食べればおなかいっぱいになるよな。ということは、9人前食べられるかチャレンジ、みたいな事になるわけだ」

おかでん「まあ、そういう事です。ドリンクやデザートまで含めてしまうと、品数が一気に増えてしまうので、今回はお寿司オンリーの挑戦ということで目標設定しました」

師匠「メニューを見て動揺するおかでん君の姿が目に浮かぶよ」

おかでん「冗談言っちゃいけません、武者震いですよ。食うか食われるか、の戦いをこれから始めようとしているわけですから」

師匠「食われる事はないだろうが。でも、負けても本望なわけでしょ?今回の場合は」

おかでん「ですねぇ。まあ、やるからには負けたくは無いわけですが、さすがに今回は戦う前から『あ、これは達成無理だ』って思いましたから。でも、できるところまでやるまでです」

師匠「悲壮な覚悟・・・というわけでもなさそうだけど、まあ頑張れ」

おかでん「さあ試合開始です。ヨーイドン、という店員さんのかけ声が無いのは非常に気楽ですねえ。ああ、大食いってこんなにリラックスして食べても良いモノなのかと」

師匠「いや、食事って普段そういうものだから。今更そんなところで感心しちゃいかん」

おかでん「でも、なかなか最初のひと皿に手が出ないんですね、これが。出ない、んじゃなくて、出さない」

師匠「佐々木小次郎と戦った宮本武蔵みたいに、じらし戦法かな?それとも・・・あっ、わかった、ビール待ってるんだな、そうだろ?」

おかでん「ヌムゥ、ビールは頼みたかったんです。でも、今回は車なんです。さすがに、道路交通法の前ではワタクシめの小さなハートはバクンバクン音を立てちゃって、とてもじゃないですけど飲めません」

師匠「あ。そうか。でも、車じゃなかったらビール飲んでた、って事かい」

おかでん「えへへ」

師匠「こらぁ。真面目に寿司食べろー」

おかでん「こちらが狙っているお寿司が流れて来ないんですよ、これが。どれを食べて、どれがまだなのかを判別するためにメニューの左上から順に食べていくことにしたんですが、最初の一発目のマグロが流れてこない」

師匠「なにしろ48種類プラスデザート類が流れているコンベアだからな。メジャーどころのマグロでも、そうは簡単に流れてくるまい」

おかでん「ですねぇ。欲しいモノは流れてこず、欲しくないものばかりが流れてくるっていうのは回転寿司屋の法則ですね。今流れてきたお寿司は、数分前に自分の前を通り過ぎていったヤツじゃないのか?ということは、もう一巡してしまって、探し求めていたネタはコンベア上には存在していないということなのか?と疑心暗鬼になる」

師匠「さっさと店員にオーダーすりゃいいのに。流れてない寿司があったら、随時注文できるんでしょ?」

おかでん「できますよ。目の前にインターフォンがありますから。でも、インターフォン押したら、思わず『あの、すいません、生ビールをください』って言っちゃいそうで」

師匠「何だよ、その生ビールって。いい加減やめとけって」

おかでん「ま、それは冗談ですが、店員に、『メニューの左端から順に全部』とか注文するの、恥ずかしいじゃないですか。ま、『端から全部』は極端にしろ、なーんかどうみても左端から注文してるっぽいぞ、っていうのが店員にバレるのも悔しいし恥ずかしいし」

師匠「いいじゃないの、今更」

おかでん「結局、ベルトコンベアに流れてきたものを食ってこそ、今回の企画!と勝手に決めました。もうダメだ、絶対に流れてこねぇ、と確信が持てるまではインターフォンに頼らない、と」

師匠「また変なところで拘りを出すんだからなあ・・・。で、マグロどうなったの?」

まぐろ

おかでん「隣の席の仲間が、お寿司数皿食べてビールもぐびりぐびりと飲んだ頃になってようやく流れ着きました。所用時間5分」

師匠「うわ、えらくかかったな。タイムトライアルだったら、これ以上ないほどの時間ロス」

おかでん「前途多難ですよ、これは。ひと皿ゲットするだけでこれだけの時間が必要なんですから。やっぱり、メニュー順に食べようとすると無理です。頭が混乱しない程度に、順番を無視してお寿司をピックアップしていかないと、きりがない。最悪、数皿食べた時点でもう気分的におなかいっぱいになってしまうかもしれない」

師匠「それはそれで体にはいいと思うけど、今回の企画趣旨とはずれるね」

おかでん「ま、何はともあれ、最初の一口を食べないことには次にすすめない。栄えある一発目は、マグロのにぎり寿司を頬張って、かっぱ寿司全メニュー制覇企画スタートと相成ったわけでございます」

鴨、サーモン

おかでん「あとはもう、流れてくるお寿司を片っ端から。もうね、砂防ダムの勢いですよ。全部せき止められて、全部胃袋の中に」

師匠「見え透いたうそを言ってはいかん」

おかでん「すいません、それくらい脚色しないとこの後相当ネタ的に苦しい展開になるんで」

師匠「ネタをたくさん食べるのに、ネタが苦しいのか?そりゃ妬ましいな」

おかでん「師匠、駄しゃれを言いたかったんでしょうけど、最後の『妬ましい』は意味が分かりません」

師匠「うん、今のはちょっと失敗したかも」

おかでん「かも、じゃなくて失敗です。むしろ。というか明らかに。・・・と、いうわけで、次に食べたのは鴨のにぎり」

師匠「あれ、スムーズに話が繋がるじゃないか。ちょっと嫉妬するな。それにしても、鴨なんてのがレギュラーメニューなのか、かっぱ寿司は」

おかでん「驚きですよね。でもこのお店、ハンバーグを握りの上にのせても平然としていますし、何でもありなんでしょう」

師匠「で、これで2皿目、と」

おかでん「はい、まだ前途多難。そしてサーモン食べて、これで3皿」

師匠「あ、これサーモンだったのか。タマネギかけすぎだろ。タマネギ寿司になってるじゃないか」

おかでん「お子さまはちょっと苦手かもしれないですね、これだけタマネギが乗っかっちゃうと」

えんがわ

師匠「そういえば、さっきの話だけど。ネタ的に厳しくなるって?」

おかでん「延々と寿司の写真ですよ。僕ぁかっぱ寿司の回し者か、って感じです。単一メニューを延々と食べ続ける、となると、徐々に苦しくなってくる自分の心理描写とか言えるんです。でも、1皿2カンのお寿司の場合、そういう連続性がないもんだから、なんとコメントして良いのやら」

師匠「なるほど」

おかでん「で、これがえんがわ」

師匠「じゃ、ここでえんがわの握りについて、お勧めポイントを10秒以内で、どうぞ」

おかでん「えんがわは、そのこりこりとした食感と濃厚なうま味が・・・こら」

師匠「途中でやめちゃダメだろ」

おかでん「だから、お品書き紹介やってるんじゃないって」

師匠「ははは。でもね、既にえんがわを食べている時点で、お品書きの左端からっていう食べ方になっていないようだけど?」

おかでん「もうどうやっても無理なんですよ、左端からなんて。幾ら待っても流れてこない。そうこうしているうちに、隣の仲間達は、既に6皿、7皿って積み上げてるんですよ。これ、相当なプレッシャーです。ならば、ということでとりあえずメニューの左端に近いお寿司だったら何でもいいや、って事にしたんです」

師匠「でも、途中でどれを食べてどれを食べていないのか、わからなくなりそうだね」

おかでん「まさに、神経衰弱って感じです。胃袋+頭脳が要求される、ハイレベルな戦いなのです、今回は」

師匠「ハイレベルねぇ」

かつお

おかでん「『こら、カツオ!ちょっと待ちなさい!』『ひどいや姉さん』」

師匠「・・・で、私にどう突っ込んで欲しい、というわけだい?」

おかでん「カツオ、食べました」

師匠「ああ、そう」

おかでん「・・・そうです。そういうことです。ええと、次はなに食べたっけな」

はまちおかでん「はまちです」

師匠「はまち?これが?何か違うものに見えるけど、まあいいや」

おかでん「何かほかにコメントないんですか」

師匠「いやだって、単なる寿司の写真じゃない。これ以上どうやってコメントするの?というか、このコーナーの趣旨とあってるの?おかでんくんが苦悶する様を報告してこそ、コーナー的には面白いんじゃないのかい?」

おかでん「いやー、そうなんですけどね。こっちも、目の前のいろいろな寿司に気を取られてデスネ、あんまり苦しかった思い出って残ってないんですよ」

師匠「なんだそりゃ?ということは、苦しくなく全て食べてしまった、ってこと?あっ、いかん、今回の企画の結論をこの時点で導き出してしまったかも」

おかでん「いや、そういうわけじゃないんですよ。当然苦しかったんですけど。でも、どうしても師匠への報告は、写真を見ながらって形になるんで、お料理の説明ばっかりになる」

師匠「じゃあもう説明はいいよ、すっ飛ばして、おかでんくんの内面の話を聞こうじゃないか」

おかでん「いや、だからそれが記憶が曖昧で」

師匠「はあ?」

おかでん「たとえば、ハマチ食った時の心境はどうで、ビントロ食ったときはこうだった、なんて覚えてないですから」

師匠「そんなの適当に帳尻あわせすればいいんじゃないの」

おかでん「なるほど」

びんとろ

おかでん「ということで、ビントロです。この時点で、既に満腹感がおかでんの体をむしばんでいて、すでにギブアップ寸前」

師匠「まておかでんくん。一気に話だけは結論まで持っていって、後に残った写真は『以下、この日食べたお寿司一覧』で一気に流して終わりにする気だろ」

おかでん「わかりました?」

師匠「それはあまりにも端折りすぎだ」

あかにし貝、ハンバーグ、キス

おかでん「では画像を端折ってみました。1枚の写真で、3皿のお寿司が。左からあかにし貝、ハンバーグ、鱚、だったかな?」

師匠「うわ。本当にハンバーグが乗ってるよ。わざとらしい網の焼き跡もくっきりと。美味そうにみえるかと思いきや、激しくイマイチ!」

おかでん「言い過ぎですってば、師匠」

師匠「それにしても、おかでんくん、この時点で完全制覇する腹算用ってあったの?」

おかでん「いや、なかったですね。一気に48皿平らげるならともかく、こうもスローペースでひと皿ひと皿食べるようだと、無理だと解っていました。あとは、どこで自分のプライドと折り合いをつけるか、というところです」

師匠「だよね。・・・なら、何でもっと美味そうなモノを頼もうとしない?何でハンバーグなんて?」

おかでん「いや、あまりにB級だったもんで、頼まざるを得なかったんです」

師匠「だろうねえ。おかでんくんならやりかねんよ。それにしても、ハンバーグって・・・メニューの随分右側だよ。えらく順番を無視した食べ方をしたみたいだけど」

おかでん「できるだけ、順番に平らげていこうと思っていたんですけどね。ベルトコンベアの上に、メニューには記載されていなかった『きす』が流れてきたんで動揺しちゃったんです」

師匠「あ!そうか、レギュラーメニューだけが全てではない、ということか」

おかでん「この時点でやや戦意喪失気味です。どれだけのイレギュラーメニューが存在するのか、皆目検討がつかない」

師匠「目標を見失ってしまった、というわけだね」

おかでん「そうです。さらに、追い打ちをかけるように、レギュラーメニューのあじが未入荷だっていうことが解りましたし。ますます混乱です」

師匠「レギュラーメニューにあるべきものが無く、無いモノがある。しかもメニューの順番バラバラに食べているものだから、どれだけ食べたかがわかりにくい」

おかでん「おっと師匠ナイス解説ありがとう、なのです。まさにその通りです」

つぶ貝、焼鮭、かれい

おかでん「つぶがい、焼鮭、かれいですね」

師匠「これで13皿か。胃袋の容量としてはどうなの、この時点で」

おかでん「まだ大丈夫です、特に問題はないです」

さば、生たこ、ほたて

おかでん「いくら待ってもやってこない品物は、随時インターフォンで注文しながら補充です。今度はさば、生たこ、ほたて」

師匠「16皿」

おかでん「いい加減ウンザリしてきました。食べても食べてもきりがない、というのと、食べることに専念ができないということがあって。しかも、隣の席じゃ、もうご馳走様しちゃってるし」

師匠「同席したお仲間って、応援してくれてたのかい?」

おかでん「まあ、そんな感じですね。『好きなだけたべたらええんちゃうん?俺はええで、いつまでも待つから』なんて言ってくれてるんですけど。でも、先輩ですからね、あまりお待たせするわけにはいかない。急いで食べないと」

師匠「急いで食べたらいいじゃないの」

おかでん「食べたくても流れてこないんですよね、狙いの品が。最初から、『かっぱ寿司で何でもいいから50皿食べる』ってルールにした方がずっと楽ですよ、きっと」

石垣貝、あなご

おかでん「石垣貝と、あなごです。もう、この時点でやる気が50%程度まで落ち込んでます。満腹感が押し寄せてくるに従って、人間って冷静になるんですね。『何やってんの、お前』って考えが」

師匠「ホント、何やってんの」

おかでん「山びこじゃないんですから、今頃になって同じ事言い返さないでくださいよ。時差ありすぎですよ。食べている時に言われるならともかく、こうやって結果報告をしている時に『何やってんの』って言われると、改めてヘコみますね」

師匠「でも、何やってんの、って話はこのコーナーが立ち上がった当初からの課題だったわけでしょ」

おかでん「そうです。毎回そうなんですが、食事との戦いの後半になると、俄然空しさと共に自問自答が始まるんです。でも、今まではその『何やってんの』という疑問を吹き飛ばすだけのガッツがあったんですよ。・・・もう、今となってはその跳ね返す気合いが無くなってきています。『何やってんの』と言われたら、『仰るとおりです、馬鹿馬鹿しいですよね』って返してしまう」

師匠「ようやく気がついたのかい」

おかでん「あ、ひでぇ。さんざん今まで煽っておきながら、いきなりこれだ。で、ね。今回は、ちょっと無謀なチャレンジを敢えてすることによって、企画に敗北してしまおうという『自らの死に場所』探しをしていた節がありますね。常識的に考えて、おかでんの胃袋だと50品目近いにぎり寿司完全制覇、なんてできませんよ。でも、敢えてチャレンジしたっていうのはここで負けて、一連の大食いチャレンジに終止符を打とうという考えがあったんです」

師匠「悲壮な覚悟だね。で、その目論見は大成功だったわけだ」

おかでん「残念ながら、ね。また、最初からそういう心づもりがあったものだから、『いつ食べるのを止めてもいいや』とい口実ができちゃってるんですね。止めてもいいぞ、既定路線だぞ、って」

いわし

師匠「えーと。何からしくない、重いトークになってしまっているような気がするけど。こんな感じでいいのかい?」

おかでん「ま、おかでんの内面の話はここまで。ここから改めてかっぱ寿司における握り寿司のご紹介を、すてきな写真と共に」

師匠「かっぱ寿司の回し者みたいになっているな、ホントに」

おかでん「しゃーないですよ。それが回転寿司の宿命。よりどりみどりの料理がでてくるからこそ、お子さまたちのハートを掴んで離さないし、お父さんお母さんもニッコリ笑顔で食べることができるんです」

師匠「熱弁はいいから。で、次は?」

おかでん「あ、師匠面倒臭くなってきましたね。ええと、次はいわしですね」

師匠「ふーん」

食事中のおかでん。作り笑顔だ

おかでん「おかでん、お寿司を食べるの図、です」

師匠「こんな写真を撮って貰ってるって事は、相当あっぷあっぷしてるんだろ?食べるのに夢中になってれば、こんな写真撮らないもんな」

おかでん「ま、そういう事です。この、今まさに寿司を食べようとしてますー、というポーズもまたヤラシイ。自らの写真を批判するのもアレなんですが」

師匠「この時点で・・・19皿か」

おかでん「38カン食べたことになりますね」

師匠「全然大したことないじゃないか。以前、寿司王国で60カンくらい食べていたよな?」

おかでん「ええ、食べました。でも、あのときと段違いですよ。一気に食べられないというのがこれだけ負担感があるとは。やっぱり、僕は大食い野郎じゃないんですよ。ホントの大食い人間って、1時間でも2時間でも平然と食事をすることができるはずなんですよ。でも、僕の場合、ウルトラマンと同じで短期決戦。ウルトラマンのように3分、とは言わないものの、エヴァンゲリオンのように5分とは言わないものの、せいぜい15分が限界ですね」

師匠「ちなみに、この時点で何分くらい経過してたの?」

おかでん「そぉですねぇ・・・20分以上経過してましたよ」

師匠「うわ、ペース遅いなあ。20分でようやく19皿。1分で1皿しか食べられていないんだ。あれだけベルトコンベアで流れてきているというのに」

おかでん「メニューをコピーとっておいて、食べたものから蛍光ペンでチェックをつける、なんて事ができれば、随分とペースアップが図れたんですけどね。左端から食べようとしたので、この結果です」

師匠「1分で1皿、ということは、30秒で1カンという事だね?」

おかでん「いや、そこまで細分化しなくてもいいですってば。師匠、仕舞いには『30秒のうち、ネタを食べるのに15秒、シャリで15秒かかったということだね?』なんて言い出しそうだからあらかじめ妨害しておきます」

師匠「おかでん君!まさにそれを言おうと思っていたのだが、私は!」

つぶ貝、甘えび、えび

おかでん「さて、もうそういうグダグダな状態なわけで」

師匠「どういう?」

おかでん「話の脈から掴んでくださいよ、いちいち説明してられませんよ」

師匠「なるほど・・・うん、理解した」

おかでん「さも、閃いた!みたいな顔をしないでください。ああこらそこ、ぽん、って手を打たないで」

師匠「うん」

おかでん「で、次です。つぶ貝、甘えび、えび。22皿です」

師匠「そろそろギブする?」

おかでん「ギブしたいです。そろそろ、満腹感もさることながら、『これ以上食べて何の得がある?』という理性が押し寄せてきました。同席していた先輩に『すいません、もう止めてもいいですか?』って聞いてみたんです。そうしたら、『いや、俺が無理に食わせてるワケじゃないしな。ええで、もうやめぇや。もう20皿食ったんだろ?やめとき、やめとき』なんて言われまして。あっ、そうだった、自分の意志で食べ始めたんだったっけ。誰の許可もなしで止めて良いんだった」

師匠「そりゃそうだな。でも、こうやって周りに人がいると逆に辞めやすくなるんだな。てっきり、プライドが邪魔してやめたくても止められなくなるのかと思っていたけど」

おかでん「周りの人、優しいですからね。無理すんな、適当なところでやめとけよ、って声をかけてくれちゃうんですよ。だから、いつでもやめられちゃうんですね」

師匠「結局、大食いって、その行為に一瞬でも疑念を抱いてしまうと、負けなんだね」

おかでん「いやホント、そう思いますよ。何やってるの、俺・・・なんてちょっとでも思ったら、その針の穴のような疑念がぐいぐいと広がってくる。で、最後には、圧倒的に自分の頭脳を支配してしまう。ま、それが良心なんでしょうね。腹八分でやめときゃいいのに、おなかぱんぱんになるまで食べるってのは、本来おかしい事ですから」

師匠「おかでん君にも一塊の良心が残っていたということか」

おかでん「それ、まるで僕が良心を全く持っていないかのような発言じゃないですか?」

うなぎ

師匠「もういいよ、そろそろ話を締めくくろう」

おかでん「まあね、何となく結論は見えてしまったような感じですし。ここから先、猛然と食べ進んで完食した、なんていったらとんでもないハッタリですよ。でも現実はそんなに甘くはない」

師匠「でも、まだ食べてるのか?」

おかでん「うなぎです」

師匠「こり無いなあ。結局、最後まで食べきれなかったという事は、何カン食べていようと負けは負けじゃない。無理だ、って解った時点でストップした方がいいでしょ?食べ放題で均一料金でもないんだし」

おかでん「ですけど、こちらも急にはブレーキ踏んでも止まれない。徐々にスピードダウン、ということで」

師匠「小回りがきかないんだなあ。一体どんな生き物だよ、君は」

てりやきチキンおかでん「自分自身、納得がいったというか、あきらめがついたというか。このてりやきチキンでフィニッシュにしました」

師匠「て、てりやきチキン・・・こんな邪道なにぎり寿司でフィニッシュにして、良かったのかい?」

おかでん「いや、いいんです。じゃ、イカ食べたらハッピーか、といえばそうではないですし。最後は、珍しげなヤツを食べてお仕舞いにしようと思ったんです。あんまりおいしくなかったですけど」

師匠「おっ、最後に毒舌?」

おかでん「いや、かっぱ寿司をこれだけ写真入りで紹介しましたんで、ちょっとくらいネガティブな事も言わせてもらってもいいかと。食べ放題チャレンジのお店みたいに、ただ飯食わせてもらってるわけじゃないですから、言うことは言いますよ」

積み上げられた24皿

師匠「とかいって、これだけ食べているわけだし」

おかでん「結局、24皿ですね。これだけ食べて、2,400円プラス税金。安っすぅ。ま、味と値段は比例するっていうことで」

師匠「結局、当初目標の50%を達成して終了、ということなのかな」

おかでん「いや、イレギュラーメニューもベルトコンベア上に流れていましたからね。実際はもう少し達成率低いです」

師匠「ああ、キスが流れてきたんだっけ」

おかでん「それ以外にも、しゃこが流れていました。しゃこがベルトコンベアに流れてきたのを見た瞬間、『あっ、もうダメだ』って思ってリタイアを決意したくらいです。何を食べて、何を食べていないのか管理しきれないって」

師匠「管理くらいどうだっていいような・・・」

おかでん「モチベーションが違ってくるんですよ。メニューのここまで食べた!って明確にわかってれば、あとこれだけだ、頑張れ、って目標ができるじゃないですか。しかし、現実はこのお寿司は流れてこないから後回し、とか品切れ、とかメニューにないお寿司食べました、とか。もう、訳が分からなくなってしまったので、緊張の糸がぷちんと切れた、というのが正解ですね」

師匠「なるほど。で、これでおかでん君のチャレンジは終わってしまったわけだが・・・今後、こういう事はやらないつもりかい?」

おかでん「うーん、どうですかね。もう、表だってはやらないと思いますよ。大食いチャレンジとしての土下座バイキングは、これにてひとまず幕、と言うことになります」

師匠「残念だね。でも現実的だ」

おかでん「その証拠に、他のアワレみ隊OnTheWebのコーナーって、最新ネタ順で上から並んでいるんですよ。これは、記事の追加があったときに、目立つようにするためなんです。でも、土下座バイキングだけは、古い順に上から並んでいます。これは、コーナーとして完結するので、時系列順に並んでいた方が読みやすいだろう、という配慮からです」

師匠「あ、ホントだ。やめる気満々じゃないか。じゃ、これでひとまず、ジ・エンドということで」

おかでん「そういうことです。ご愛顧ありがとうございました、ということで」

師匠「でも、何かの弾みでまたポロリとやっちゃうんでしょ?」

おかでん「多分、ね。その場のノリとかでやることはあるかもしれません。でも、大食いチャレンジで食べきったら無料、みたいな、店も必死になって成功阻止にかかるような料理はもうやらないと思います。そんな相手に勝とうとしたら、日頃の鍛錬が必須ですし。ま、今後はマイペースに、楽しみながらやっていきますよ」

師匠「おかでん青年が、おかでん中年に変わっていく瞬間だなあ」

おかでん「余計な事、言わないでください。話が全然締まらないじゃないですか」




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