ノルマンディー上陸作戦【サバイバルゲーム8】

引き上げてくる兵士たち

ゲーム開始しばらくはお互い慎重な出足だったが、今回も「生き返り有り」のため死を恐れずに突撃する人続出。やはり、いつ来るか分からない敵をじっと待ち伏せしているより、果敢に前に出た方が楽しい。待ち伏せした結果、ゲーム終了時間まで誰一人目の前を横切らず、アホみたいな休憩時間を過ごしてしまうのが一番情けないことだ。やはり弾を撃ってナンボのゲームだから、とにかく前にでなくては。

・・・という発想が仇になるのだな、このゲームの場合。そういう短絡的な発想をする人間がいる、ということを見越した熟練者の待ち伏せに遭う。サバゲーに強くなろうと思ったら、禅寺で座禅修行でもやった方が良いのかも知れない。

かくいうおかでんは最初王様の護衛にあたっていたのだが、近くの塹壕に潜ったところで敵と遭遇。激しい撃ち合いの末、戦死。

サバゲーの基本ルールとして存在するのが、「銃器にあたってもヒット扱い」「跳弾(壁や木に当たって跳ね返った弾)があたってもヒット扱い」というものがある。今回、まんまと「跳弾」が「銃」に当たるという、もっともヤラレがいのないヤラレ方でゲーム終了。すごすごとセーフティーゾーンへと引き上げた。

もちろんジャンケンによる生き返りがあるわけで、意気込んでジャンケンをしたのだが運悪く負け。一回たとりも生き返ることなく、王様を野放しにした状態でゲーム終了と相成った。

仕方がないので、観戦台に昇って戦いの様子を見物することにした。とはいっても、今回の各陣地はフィールドを縦に使っている。セーフティーゾーンから出てすぐが青組、フィールドの一番奥にシルバー組が陣取っている。そのため、激戦区はフィールド中央あたりとなっており、観戦台から見る限り至って平和な光景だ。

ただ、一人・・・また一人と俗に言う「死体」が戻ってきはじめた。あ、cash隊長もとぼとぼと歩いてきている。

生き返りをかけてスタッフとジャンケン

セーフティーゾーンの入口にスタッフの方が待ち受けていて、そこでジャンケン。引き分けもしくは勝ちで生き返り。確立2/3で生き返る事ができるのだから、そんなに難しいことではない。見ていると、次々と兵士が生き返ってフィールドに戻って行った。1/3の確立で負けてしまった自分が情けない。

ただ、時間の経過とともにだんだん「死体」がへろへろになってきだした。ジャンケンに勝っても、「うわああ、勝っちゃったよ」と困った声をあげていた。この時点で復活する人は既にこれまでにもジャンケン復活を遂げている人が多く(それだけ、撃たれやすいカモというのは定番化しているということ)、野山を駆け回り疲労困憊したのだった。

何しろ、起伏の激しいフィールド。セーフティーゾーンへの往復だけでも体力を消耗する。特に今回はシルバー組がフィールド奥に陣取っているため、そこに戻るまでで体力を使う。

スタッフの方は、「戻る・戻らないは任意ですからね」とにこにこしながら悪魔のささやきをする。それでもせっかくだから、と戻る人が大半だったが、このささやきに動揺してしまい、「やっぱギブアップ!」といって止める人も続出した。膠着状態が続くにつれこの傾向は増え、中にはセーフティーゾーンに入るやいなや「ジャンケンしません!もう終わりにします!」と自己申告してギブアップする人が出てきた。

実際の戦闘だったら、敵前逃亡ということで軍法会議ものだ。でも、それが許されるのがサバゲー。それにしてもシルバー組が戻ってくる率、高いな。

ノルマンディー上陸作戦

一応、正規戦はこれにて終わりとなった。時刻は15時を回ったところ。まだ日没までには早いが、千葉という場所柄そろそろ帰宅を気にしないといけない時間帯に突入となる。高速道路渋滞だ。

そのため、ここで帰り支度を始める人が結構出た。ならば、ということで主催者側は「ハンドガン戦をやります?それともノルマンディー上陸作戦やります?」と提案してきた。

ハンドガン戦とは、その名の通りハンドガン(拳銃)のみでのバトルとなる。マガジンが小さいので弾数が極端に少ない上、連射ができない。そして、銃身が短いので、射撃精度に劣る。つまり、一発一発を正確に撃ち込まないといけない戦いということだ。従来のアサルトライフルを使ったゲームとは毛色が違う遊び方となる。

ただおかでんは今回ハンドガンを携行していないので、この案には不賛成。その他の参加者も、ハンドガンを持参していない人が一定数いたようで、結局、もう一方の「ノルマンディー上陸作戦」をやることになった。

隣にいたcash隊長に「なんすか、それ?」と聞いたが、隊長も「さあ?」と首をひねる。このフィールドオリジナルのゲームなのだろうか。ちなみに隊長は遠方から来ているため、このゲームには参加しないでひっそりと後方へと退却していった。

ノルマンディー上陸作戦とは、言わずと知れた1944年6月6日に、ナチスが支配するフランスに連合国軍が強襲して上陸した軍事作戦の事だ。それを模したゲームをしようじゃないか、ということだ。

ゲームの仕様としては

・防御側は事前にフィールドの至る所に潜んでいてよろしい。
・攻撃側はゲーム開始まで、セーフティーゾーンに居ること。ゲーム開始の合図と同時に、フィールドになだれ込む。
・勝利条件は、防御側陣地奥深くにある星条旗を拾ってきて、セーフティーゾーン入口すぐにあるフラッグポールに星条旗を掲げること。
・防御側は生き返り無し。弾数は600発以下で、補充禁止。攻撃側は生き返り有り、弾数無制限。
・制限時間20分間。

というものだった。圧倒的に防御側が不利なゲームデザインになっているので、攻撃側は何度でも復活しつつ、敵の弾が消耗するのを待つも良し。前回敵に狙撃された場所は覚えているわけだから、次回はそこを中心に掃討するも良し。防御側は生き返り無しなので、フラッグを確保できるのは時間の問題というゲームではある。

ではなぜこれが「ノルマンディー上陸作戦」と命名されているかというと、ゲーム開始時の異様な光景がそれを如実にあらわしている。

サバゲー好きな人は恐らく見たことがあるであろう、スティーブンスピルバーグ監督(主演:トム・ハンクス)作品「プライベートライアン」。オスカー受賞作品なので、一般の人も数多く見ているはずだ。見ていない人のために概要を説明すると、この映画の冒頭数十分は、1944年6月6日、オマハビーチに連合軍が上陸しようとする光景から始まる。ただし、ナチスドイツは上陸阻止のための遮蔽物を海岸線に並べ、丘の上のトーチカでは重機関銃で武装した兵士が待ちかまえていた。それでも強引に揚陸艇は扉が開き、連合軍兵士達は海に飛び込んでいくわけだが、当然重機関銃の格好の餌食だ。扉が開いた途端に最前列の兵士がハチの巣にされ、次の列の兵士も同様。命からがら揚陸艇から海に飛び込み、砂浜に上がってみてもまともに隠れる場所がないため、やっぱりタコ殴り状態が続く・・・と、戦争映画でここまで悲惨なシーンは他には無いのではないか、というほどリアルに、かつ圧倒的なシーンがつづく。

それを模したのが、このゲームというわけだ。何を模しているのかというと・・・

セーフティーゾーンの扉が開く

ゲーム開始、の合図の直後に、セーフティーゾーンとフィールドを仕切っている防護ネットが横に開く。そして、攻撃側が目にする光景はというと、目の前の丘にずらりと並んだ守備陣営。ネットが開いた瞬間、守備側からの集中砲火を浴びることになるので、まさにプライベートライアンの冒頭部分と同じ事が展開される。

純粋にゲームを勝利で終わらせる事を目的にするならば、フィールド内の至る所にまんべんなく味方を配置し、攻撃陣の侵攻を食い止める方が正しい。生き返りがすぐにできるセーフティーゾーン付近の敵をタコ殴りにしても、戦術上何らメリットはない。でも、守備陣はうれしそうに丘の上で待ちかまえている。しかもノーガードで。攻撃側に撃たれたら一発で終わりとわかっていても、タコ殴りにしたくてしょうがないのだった。

ゲーム開始の合図とともに、防護ネットがさっと開いた。こちらも銃を身構えているのだが、とりあえずまずやるべきことは、丘の上の敵を掃討することではない。左右に素早く展開し、遮蔽物の陰に身を潜めることだ。で、全員全力で逃げるわけだが、圧倒的地の利を有する防御側の格好の餌食となり、全滅。誰一人、フィールド内に留まる事ができずに上陸第一波は終わってしまった。

その後、第二波から第四波まで続けて行われ、時には「無理!これは無理!」と叫びながら、フィールド内に一歩も足を踏み入れられずにネットの陰に隠れてやりすごしたりしつつ、かろうじて上陸達成。さすがに上陸阻止部隊はノーガード戦法だったため、一度上陸を許してしまうと非常に弱い。草陰から狙い撃ちされてばたばたと倒れていった。でも、満足そうにセーフティーゾーンに引き上げていったのが印象的。

これで敵の大半は駆除できたと思って前進すると、いたるところから弾が飛んできてまたもや後方送り続出。「敵は一回撃たれたら終わり、こっちは何度でも生き返る事ができる」という圧倒的ハンディキャップを利用し、攻撃側はフィールドのど真ん中を突き進んでいった。そのさめ、左右の茂みに展開している敵から一網打尽にされた次第。だれも、「ぐるっと大外回りで回り込もう」なんて作戦をとる人はいなかった。

ただ、こちらはいくらでも復活できる身。すぐに戦線復帰し、着実に前進を進めていった。最後、星条旗がとられているというトンネルまでたどり着いたのだが、中に星条旗の護衛人が潜んでいて、「わっ!わっ!敵がいた!」と慌ててトンネルから逃げ出したところでタイムオーバー。間に合わなかった。

ゲーム終了時点で、トンネルから守備陣がぞろぞろと出てきた。その数3名。3名もが狭いトンネルの中で星条旗を守っていたら、どうやって取り返せばよいのやら、想像もつかぬ。

攻守入れ替え。ここでおかでんは帰るつもりだったのだが、せっかくなので上陸阻止部隊になり、早い段階で撃たれてゲームを終了させようと思い直した。

実際、丘の上に立ってみるととても爽快。目の前のネットの向こう側には、撃つべき対象がたくさんひしめいている。これは楽しみだ。

丘の上では、「確実に撃ち漏らしがないように」といろいろ打ち合わせが行われていた。「自分は右側の人間を中心に狙うので、アナタは左側を」だとか、「十字照射にしよう」だとか。あと、ノーガードの丘の上であるがゆえに、できるだけ敵に撃たれる面積を狭くしようとして仰向けになるなどの工夫を凝らしていた。(うつぶせになると、顔面が敵の的になるので大変に痛い)

ゲーム開始の合図とともに、防護ネットが引き払われた。一斉に鳴り響く銃声。二~三歩で撃たれる攻撃陣。BB弾の雨だ。攻撃第一波はものの5秒もしないうちに全滅で終了となった。続く第二波も同様。

しかし、向こうもバカじゃないので、左右に展開することを重視しつつも、銃身はこちらにむけながら乱射してくる。もちろん照準が合っていないでたらめな射撃だが、それでもたまに当たる。そのため、少しずつ守備陣の兵力は削がれて行き、第三波でいよいよ本格的に突破されてしまった。この時点でおかでんもヒット、第四波攻撃開始で銃弾飛び交う中、「待て!こっちはヒットしてます!痛い!痛い!」といわれのない敵味方からの銃撃に飛び跳ねながらセーフティーゾーンへと逃げ帰った。

ここで荷物をまとめてフィールドを後にしたので、このゲームの結果がどのように帰着したのかは見届けていない。でも、相当な人員を上陸阻止要員に充てていたので、多分いったん上陸した攻撃部隊は悠々と前進していったのではないか。

久々のサバゲーだったが、大変に楽しい時間を過ごすことができた。体のあちこちがBB弾のせいで腫れたし、急加速・急停止を繰り返す動きだったために体の微細な筋肉のあちこちが筋肉痛になった。でも、それもまた良い思い出だ。歳を取るにつれ、行動範囲が狭くなり趣味も狭くなる。だから、今持っている趣味はできるだけフェードアウトしないよう、時々楽しまないとね。サバゲーもしかりだ。また今度参加したい。

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