PL法かもしれないけど

江崎グリコといえば、夏で忘れちゃいけないのがレトルトカレーの「LEE」だ。一時の劇辛ブームに便乗した「ちゃっかり型商品」かと思いきや、他社がその辛さに追随してこなかった事もあって今や独自の劇辛文明を築き上げている。

通常では、「辛さ10倍」「辛さ20倍」の2種類を売っているのだが、夏になると毎年「夏季限定」で「辛さ30倍」を売るようになる。しかし、今年は「そんな辛さじゃ猛暑に太刀打ちできねぇ」とばかりに、ついに「辛さ増強ソース」なるものまでおまけでつけるようになったのだった。パッケージの表記いわく、「今年の30倍は『辛さ増強ソース』つき。30倍を越える辛さに、さあ挑戦!」「30倍に『辛さ増強ソース』をかけると、40倍相当の辛さになります」とのこと。いつのまにか、レトルトカレーというのは「挑戦」する存在になっていたのだな。そこには、「キャンプファイヤーで飯ごう炊さんしたあの楽しかった思い出」とか「お母さんにおねだりして作ってもらった、ジャガイモいっぱいのおいしいカレー」なんていうノスタルジックほわーん、 な情景はどこにも存在しない。ただひたすら、ヨーガの修行者が己に苦痛を与え、その先にあるであろう「何か」を追い求めているかのようだ。何か、「ははー、おそれ多きこと哉」とひれ伏してしまいそうになる。

しかしだ、しかしですぜ旦那。注意事項の欄が静かに間抜けだった。「ご注意:『辛さ増強ソース』は極めて辛いので、辛さに弱い方や小さなお子様は、使わないでください」

・・・30倍カレーの段階で辛さに弱い方や小さなお子様、食べるわけないだろー。「辛さ増強ソース」に対して注意するんじゃなくて、この商品自体について注意が必要なんじゃないのかしらん。

あっ、ひょっとすると、30倍カレーなんて「辛さに弱い方」「小さなお子様」でも楽々食べられる「辛さの常識」って言いたいのではなかろうか?もしそうだとすると、江崎グリコはひそかに「日本国民総辛さ耐性向上計画」を遂行しているのかもしれん。うう、恐ろしや。

(2000.07.30)

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