ビールを片手に給食を

給食当番外観

「タイムスリップ給食展」・・・じゃなかった、「タイムスリップ昭和展」で「なつかしの給食」を食べて以来、何だかとっても給食づいてしまったわたくし。別に大して美味いもんじゃねーなー、と当たり前な事を再認識したわけだが、何だかとっても気になる。気になる気になる気になる、と騒いでいたら、給食を食べるオフ会を開く段取りになった。

訪れたのは、「BRASSERIE給食当番」というお店。御徒町から徒歩10分ほどのところにある。名前のとおり、「給食メニュー」を食べさせてくれるお店だ。

webで調べてみたのだが、イベントの付帯施設のようなシチュエーション以外で給食料理を食べさせてくれる場所というのは他に見あたらなかった。これは意外だ。結構ニーズがあると思うんだがなあ。でも、この生き馬の目を抜く外食産業界で、ほとんど給食料理屋が存在しないということはやっぱりニーズが無いということか。

オフ会参加者全7名と給食について談義してみたのだが、年代によって全然料理が違うのは当然として、場所によっても全く違っていた。ご飯食主体のところもあれば、パン主体のところもある。案外、給食の思い出って人によってバラバラなのだった。共通項が無いから、お店としてやりにくいという事も考えられる。

一昔前はそれでも「アルマイトのお皿」「鯨の竜田揚げ」「ソフト麺」「コッペパン」くらいの共通項はあった。でも、最近の給食ってぇのは非常に手が込んでいて、いろいろなメニューが出ると聞く。お皿だって、アルマイトを使っている学校の方が少ないんじゃないか。こうなると、「給食料理」という定義が非常に難しい。ひょっとしたら、今回訪問した「ブラッスリー給食当番」にウケる世代というのは、30代前後と比較的レンジが狭いかもしれない。

店の入り口には、「やってるよ」という札が下げられていた。よし、食べさせてもらおうじゃないか。

宴会場(教室)は建物2階。二重扉を開けると、そこは・・・

われわれは一カ月前から予約を入れてあった。予約を入れるとどんないいことがあるのかというと、二階の「パーティールーム」が使えるのだ。このパーティールーム、小学校の教室を模した作りになっていて非常に味がある。写真でしか見たことがないが、ここで給食を食べたらさぞや楽しいことだろう。日本を見渡しても数少ない給食料理屋だけあって、早めに予約を入れないとこの部屋は使えないと聞く。今回は、早めの予約なので問題なし。

店の外にある階段を使って、建物の二階に。そこは二重扉になっていて、二番目の扉には「5年生」と書かれていた。そーか、今日はボクたち、小学校5年生になるんだね先生。

扉には窓がついていて、中がちらりと見える。おおお、学校だ!学校の教室だ!この時点で激しく興奮。すぐには中に入らず、窓から室内を物色して自らに「おあずけ」をする。

・・・

よし、入っていいぞ。

わーい。

まさに学校の教室の風情。給食を食べる用に机が向き合っている

今回の宴席。

7名参加のオフ会だったので、ちょうどクラスで班ごとに給食を食べるときのような机の並びになっていた。このパーティールームは、あともう一組、8名程度までの宴会ができるほどの広さと机の配置になっていた。この日は、運良くわれわれだけ。店員さんも居ない状態で、まさに「個室会食」の場となった。店員さんを呼ぶときは、内線電話を利用することになる。

壁には習字の名作が張り出されていた。悪ふざけが多い

みんな、椅子に座ろうとせずにあたりをうろうろする。動物園の熊みたいだ。どうも落ち着きがない。
それもそのはず、あちこちにツッコミどころ満載な部屋のインテリアだ。壁には、習字の授業で書いたという設定なのだろう、「太陽」としたためられた半紙がたくさん張ってあった。しかし、中には「とシスコムーン」と書かれていたり、「のび太陽」だとか「大腸(おなか大切にね)」といったふざけたものも散見された。おい、まじめにお習字しなさい。

小学生の格好がとてもよく似合う女子大生

黒板はメニューボードとして使われていたが、その横には掃除当番表が張ってあったり、芸が細かい。参加者の一人が、黄色い帽子とランドセルを発見し、うれしそうに装着していた。背が低い人だったので、似合いすぎだった。ちなみにランドセルには、家で洗濯してきたと思われる給食着が入った巾着袋が分ら下がっていた。こういうところも細かい。

子供びいるという飲み物もあるんですね

「すごいすごい」と興奮さめやらぬ状態だったが、店員さんがオーダーを聞きに来たのでとりあえず着席。ほおっておけば、いつまでも着席しそうになかったので丁度良いタイミング。

座席には、「子供びぃる」なるメニューの紹介があった。一本367円だそうな。聞くところによると、甘いサイダーの一種らしい。

馬鹿言っちゃいけません、われわれは大人だ、今日はどかん、ばきんとお酒を飲むぞ飲むぞ飲むぞ。給食をつまみにビールを飲む。ああなんという背徳感なんだ。子供の頃のセピア色の思い出を、一気に現実世界に放りこむ行為。いいねえ、こういうの好きよ僕。

コースターは「たいへんよくできました」のロゴ付き

机は、1号サイズだった。さすがにこのサイズになれば大人でも全然問題なく使える。まさか、子供が使う非常に小さな机と椅子だったらどうしようと思ったが、そんなことはなし。学校の机は結構乱暴に扱われるので、ガタガタしたりするものだが、このお店のものはビシッとして全く問題がない。なかなか座り心地の良い机と椅子だった。

さてそんな学校机の上には、割り箸、おしぼり、コースターが。いくら給食料理だからといって、飲食店としてのプライドは忘れてませんよ、ということか。ちゃんとサービスをする。

このコースターはオリジナルでなかなか面白かった。お土産に最適だ。

「たいへんよくできました」の字の上にビールグラスを置くことになると思うと、妙にテンションがあがる。

1品目:春雨サラダ

本日は、2,500円パーティーメニュー「給食コース」を注文した。webサイトには割引クーポンがあるので、500円引きの2,000円で全6品の料理を楽しむことができる。

お店いわく「給食のフルコース」ということだが、確かにこりゃフルコースだわ。一度にどかっと配膳されるのではなく、一品一品届けられるというのがまた、コースっぽくて良い。とはいっても、出てくる料理は給食なのだが。

6品2,000円が高いか安いか、という点については議論の余地があるが、実際このお店の場合結構単品料理の値段が高い。

オフィシャルサイト
//www.kyusyokutoban.com

あ、いや、飲食店としては決して高くないのだが、「給食」いう前提で価格を見てしまうとびっくりしてしまう値段といえる。確か小学校の頃、給食費って月に3,000円も払って無かったよな、あれで20食分くらいあったんだよな・・・と考えると、学校給食というのがいかにローコストで作られているかというのが分かる。税金の補填が一部あるのかもしれないが。

それはともかく、このお店の料理単価を考えると、6品で2,000円というのは超破格値といえる。このお店で給食を食べたいのであれば、コースをぜひ!

おっと、また熱くなってしまった。何だか、テンションがあがるなあ。

そんなテンションをクールダウンさせるべく、コース料理の一品目が届けられましたよ。届けるのは、ピンク色の給食割烹着を着た若いおねーさん。これも一種の萌え系ビジネスか、と考えてしまうが、別にそういうお店ではない。

一品目は、春雨サラダ。一同、「あー、そういえばこういうの、あったような気がする」と唸る。「でも、サラダの下にサニーレタスが敷いてあるのが給食っぽくないな」「小学生にこんな飾り付けやれって言ったら、盛りつけだけでお昼休み終わっちゃいそうだな」なんて話で盛り上がる。

アルマイトの食器とビール瓶がなんともミスマッチ

そして、本日のお楽しみ。ビールだ、ビール。

アルマイト皿に盛られた給食料理を前に、ビール瓶と琥珀色の液体が入ったグラスが。

「ういー」

見ているだけで酔っぱらいそうだ。

いやぁーお父さんお母さん、僕はこんなに大きくなりました。というか大きくなりすぎて既に老けはじめましたが、それでも立派な成人になりましたよ、と遠くにおわす父母に感謝の気持ちを伝えつつ、ぐいっといっぱい。with春雨サラダ。

はははっ、笑えてくるな。この料理はスーパーのお総菜売り場でも売られているものだ。過去、春雨サラダでビールという晩酌行為は何度もやってきたはずだ。そのときは何の感慨もなかったのだが、今回は違う。「給食」というレッテルを貼って、アルマイト皿に盛りつけたとたんに素晴らしく魅力的な酒肴となる。

ちなみに、サイトには「アサヒアーパードライ」と誤植されていて、何だか頭が悪い飲み物のような印象を与える。店員さんに注文するとき、ものは試しと「すいません、アサヒアーパードライください」とそのまんまで注文してみたのだが、普通にスーパードライがやってきた。がっかり。でも、当たり前だ。万が一、「アーパードライ」というわけのわからんビールが出てきたらそれはそれでがっかりだ。

少人数用鍋。蓋は4点ロック式でこぼれることがない

そうこうしているうちに、二品目が到着。肉ダンゴスープだ。このスープは、寸胴鍋に入れられて届けられた。自分たちで注ぎ分けろ、ということだ。鍋は、ちゃんと蓋が閉まるように4点ロックがついていて、がっちりと安定していたのが興味深かった。「ほー、こんな鍋、ウチの学校には無かったぞ」「え?うちはあったけどなあ」そんな会話がやりとりされる。それ以前に、数人前用のこんな小さな鍋を給食では使うことはないのだが。

肉団子だよー

肉ダンゴスープ。

肉ダンゴのほかに、油揚げ、大根、にんじん、キャベツ、しいたけなど。なかなか具だくさんなスープに仕上がっていた。

2品目:肉団子スープ

外は木目調、中はうるし塗り調のお椀に盛りつける。こういうお椀は学校では見たことがなかったが、ひょっとしたら今時の学校ってこういうのがあるのかもしれない。

スープでビールが飲めるかぁ!と思ったが、具だくさんなので全く困ることなし。おいしくいただききました。

3品目:鯨の竜田揚げ

さてこちらが鯨の竜田揚げ。参加メンバーのうち、若い世代(20代前半)は今回が鯨と初のご対面。「鯨だ!わああ!」と興奮しながら、写メールを撮りまくっていた。

20代後半以上の世代は、鯨の竜田揚げはノスタルジーで語られる料理だが、それ未満の世代になると「うわさでは聞いたことがあるけど、食べたことも見たこともないファンタジーな食べ物」ということになるようだ。

レタス、キュウリの上にレモンを添えて竜田揚げが乗っていた。

「こういうトッピングをするだけでこれまた時間がかかるんだよな」

「お昼休みどころか、五時間目始まっちゃうんじゃないか?」

4品目:メルルーサのフライ

メルルーサのフライ タルタルソースがけ。

コース料理ということもあって、量は少な目。

「こういうの、給食であったっけ?」

「あったと思うけどな」

「でも、タルタルソースってどうやってかけたんだろう?マーガリンみたいな袋に入って出てきたんだっけ?」

「さあ・・・?」

案外、覚えているようで覚えていないのが給食だ。

お酒ではなくお茶に見えるけど、れっきとしたアルコールです

このお店、ドリンクの品そろえはなかなか充実している。カクテル、サワー類が豊富だ。給食料理屋、とわれわれはこのお店を解釈しているが、お店側としては「給食も出す居酒屋」という認識のようだ。

写真左はコーヒーハイ、右は香醋サワー。コーヒーを焼酎割りにしたなんて初めて見た。香醋サワーは、「世界最強ダイエットサポート!飲みながら痩せる」という売り文句に惹かれてついつい注文。

この「香醋(読み方知らん)」、何なのかと思ったらお酢の一種で、長期熟成されているため色が濃くまろやかな味が特徴なんだとか。アミノ酸、クエン酸が豊富に含まれているため、疲労回復なんぞにも効果的らしい。

なるほど、「ダイエット」ではなく、「ダイエットサポート」と謳っている意味がよくわかった。

5品目(その1):揚げパンとカレーシチュー

このコースのメインディッシュが、「給食セットパート1/2」だ。

パート1は、カレーシチューに揚げパンのセット冷凍みかん付。パート2はミートソースにソフト麺。ミルメーク牛乳付だ。

揚げパンは5種類の中から選べるのが楽しい。この「給食当番」、揚げパンの移動販売のフランチャイズ展開もやっているというから、お店自慢の品なのだろう。

5品目(その2):ソフト麺とミートソース

ミルメークというのは少なくとも広島では見たことも聞いたこともない存在だった。どうやら、名古屋の会社が作っているものらしい。ということは、東海地方中心に給食に提供されていたのだろう。

このミルメーク、要するに味付きの粉末だ。メロン味だのバナナ味だの、いろいろな味があって、これを牛乳に投入してグリグリ混ぜれば、シェイクっぽい味になる。甘いので、牛乳嫌いの子供もこれだったら何とか飲んで貰えるんじゃないか、ということか。

ソフト麺が入っていた器に麺をあけ、ミートソースを上からかけたら「なんていう食べ方をしてるんすか!」とみんなから奇異な目で見られた。一般的にはミートソースのお椀に麺を少しずつ入れていくという食べ方らしい。いいじゃん、どっちでも。

いや、それ以前に、わざわざソフト麺のために平皿なんて用意されていなかったと思う。ソフト麺は袋でぽーんと渡されるだけだったんじゃないかな。

ロシアンルーレットメンチカツ

ロシアンルーレットメンチゲーム、という料理があったので、注文してみた。一つだけ、激辛のメンチカツが混ざっているというものだ。人数が7人なので、「カツを7つにしてもらうことは可能か?」とお願いしてみたら、快く応じてくれた。

「せーの」のかけ声とともにみんな一斉に口の中に投げ入れた。一口サイズというのが何ともにくい。

・・・1分経っても、「参りました」の声が出ないので一同騒然。結局、「あれ?辛かったかもしれない。これだったのかなあ?」と何ともオチとしては不十分な発言を1名から引き出し、なんとなく企画終了。一口サイズなので、一気に食べられる反面、あまり咀嚼しないでも飲み込めてしまうのでわかりにくかった模様。

6品目:デザート

飲んで、食べて、笑って、昔話に花を咲かせて。

わいわい時間を過ごしていたら、忘れた頃になって「デザートです」と店員さんがお皿を運んできた。うへ、そうか、まだ最後があったか。

デザートは、パンの上に生クリームとみかんが乗っているものだった。おなかがいっぱいで、とてもじゃないけど食べられそうになかったので僕は辞退。

閉店時には店頭に「まーだだよ」の札が下がる

店を後にしたのは、もう閉店時間近かった。

「やってるよ」と書かれていた入り口脇の表示板はひっくり返され、「まーだだよ」になっていた。

ブラッスリー給食当番。いろんな仲間達と集って訪れると、きっと盛り上がることだろう。お薦め店舗だ。

(2005.09.17)

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