肉屋で立ち飲み

上野御徒町中央通り

上野御徒町商店街。

JR上野駅を出た正面にはマルイがあるが、その脇に伸びている商店街だ。

線路を挟んだ反対側には、有名なアメ横があるので観光客はそちらに流れがちだが、いやいやこちらもなかなか雑然としていい味を出している路ですよ。

専ら飲食店、特に居酒屋が多い界隈だが、安く飲み食いできそうな気配。詳細に調査したわけではないので、どんな名店や激安店があるかは不明。ただ、暇ができたら探検してみたいゾーンだ。

そんな中に、「肉の大山」というお店がある。

つい先日、当サイトのBBSでこのお店を紹介して下さった方がいて、「ああそういえばそんな店があったな」と思い出した。

もともとこのお店の存在ははるか昔から知っていた。現在は存在しない某日記サイトの主が、頻繁にこのお店を利用している記述があったからだ。もう10年くらい前になるだろうか?

その日記を読んで、ぜひ我も、と思って2回ほど遠征したことがあるのだが、2回ともお店の発見には至らなかった。当時は「マルイの裏側あたり」としか情報が無かったからだ。毎回、このお店の近くにある「上野藪そば」の暖簾をくぐるかどうか悩み、ぼんやりしているうちに探索終了だった。

それが今では、食べログ、Livedoorグルメ、Yahoo!グルメなどネットでの飲食店情報検索が容易になった。地図まで掲載されているからご丁寧だ。これなら間違えようがない。

というわけで、すっかり忘却の彼方にあったお店を、再度探してみることにした。

肉の大山外観1

肉の大山外観2

お店の直前になるまで、その存在には気がつかなかった。周囲は雑然としており、情報量が多すぎるからだ。決して地味な店構えではないのだが、うっかりすると見落としてしまう。

雑居ビルの1階が、「肉の大山」。看板には「MEAT DISH & BEER」と書かれている。このお店が有名なのは、「肉屋の店先で立ち飲みができる」という事だ。コロッケや焼き鳥をつまみながらビールが飲めるという。なるほど、それはありそうであんまりなかったパターン。

お店は朝10時から開く。夜勤明けの人や、昼酒愛好家の人にはありがたい営業形態だ。おかでんも、11時前にはお店に到着した。夜になってからだと混むだろうし、写真を撮影しようと思ったら昼間に限る。

そもそも、立ち飲み屋ってのは結構殺伐としているもので、料理や店内の写真を撮影しようもんなら酔客にぶっ飛ばされそうだ。邪魔にならないようにするためにも、人が少ない時間帯を選ばないと。

店先には「やきとり」の赤ちょうちんが灯っている。おおよそ肉屋さんには見えない。テイクアウトの焼き鳥屋みたいだ。

店先の路上には円卓が2脚。ここで立ち飲みができる。公道を一部占拠しているけど、まあその辺はご愛敬だ。通行の邪魔をしているわけでもないし。台灣の夜市のように、「警察が来たぞ!」となった瞬間にうわーっと露天が逃げるという事はここではないと思う。

これが立ち飲みスペース

焼き鳥を焼いているガラス張りブースの脇が、壁に向かっての立ち飲みカウンターになっている。雑居ビルなので、そのまま奥に行けば上のフロアに行くエレベーターがある。その「通路部分」を利用しての、立ち飲みカウンター。カウンターは結構高めに設置されていて、使い勝手が良かった。ただし、身長が低い女性だとやや高すぎるかもしれない。まあ、あんまり女性がここで立ち飲みをする雰囲気ではないが。

カウンター席の奥にレストラン入り口

焼き鳥ブースとエレベーターとの「隙間」部分に、お店の奥に入ることができる入口がある。こちらはレストラン及び精肉店舗になっていて、座って飲食が可能。立ち飲みよりもメニューが多いようだ。

今回はこのレストランを利用するつもりだった。一応全てのメニューを見てみようじゃないか、と思ったからだ。さすがに立ち飲みゾーンで供されるメニューは数が少ない。

しかし、店内に入ったところで、焼き鳥ブースに居たおばちゃんに「ちょ、ちょ、ちょっと。お客さん!まだ営業していないよ!」と全力で阻止されてしまった。ありゃ、そうだったのか。失礼しました。

ネットの情報だと、「10時開店」とされている。しかしこれはあくまでも外の立ち飲みゾーンの話であって、レストランとはまた別の話らしい。

メニュー1

メニュー2

メニュー3

メニュー4

立ち飲みカウンターに張り出されているお品書き。

店の前の円卓で、仲間と酒を酌み交わすのも良いが、残念ながらメニューがわからない。だから、初めての人ならカウンター席の方が便利。

ただし、カウンター席はぎゅうぎゅうに詰めても7名程度しか立てないし、円卓でもせいぜい数名だ。夜、仕事帰りに訪れようと思ったら、この「立ち飲みゾーン」は結構な競争倍率なのではないか。

まあそれは置いておいて、メニューだ。焼き鳥が100円からで、揚げ物が50円からある。焼き鳥100円は安いと言えば安いが、雰囲気的には80円くらいでもありえる気がする。わずかに高い印象を持った。上野駅近く、という立地条件を考えるとこの値段にせざるを得ないのかもしれない。

揚げ物系は、「やみつきコロッケ」が一番安い50円。この「やみつき」シリーズにはもう一つあって、「やみつきメンチ」100円。やみつきになるかどうかは兎も角、50円でコロッケ1個はうれしい価格だ。こんなの、4個くらい食べればおなかいっぱいになるぞ。お店、儲かるんか心配。

なお、メンチカツには3段階あるようで、「やみつきメンチ100円」からはじまり、「大山特製メンチ200円」、そして最上級が「匠の和牛メンチ400円」となっている。立ち飲みで、4倍も高いメンチを食うかどうかは人それぞれだが、おかでんなら注文しないな。

メニュー5

このお店、メンチカツバーガーをはじめ、揚げ物系のバーガーが何種類もあった。なるほど、確かにそういう派生形もあり得るな。単なる肉屋、単なる立ち飲み屋だったらこういう発想はなかなかできない。しかしこのお店の場合、積極的に揚げ物や焼き鳥のテイクアウトを承っており、その派生形としてバーガーがあるというわけだ。

実際、おかでん立ち飲み中にこれらのバーガーを買い求めて立ち去っていく若者を見かけた。ううむ、健全だ。昼からビール飲んでいるおかでんより、はるかに健全だ。

ドリンクメニュー1

ドリンクメニュー2

ドリンクメニュー。立ち飲み屋とは思えないくらい豊富な品ぞろいだ。サワーは当然として、カクテルなんかも置いてある。カクテルといっても、ハイボールなんてもんじゃないぞ。スクリュードライバーだとかモスコミュールだとか。まあ、さすがにシェーカーを振ったりはしないだろうが。うれしいのは生ビールの大ジョッキがあること。サッポロ生で735円、ヱビスで828円。

ここの立ち飲みを利用するユーザー層と、揚げ物串焼きと、高級ビールであるヱビスはなんとなく合わない気がする。しかし、恐らく店内レストラン共通のメニューだろうから、ステーキなんぞを食しつつ、ヱビスというのもありかもしれない。

月曜日は飲み物半額

このお店のすさまじい破壊力は、「毎週月曜日オールドリンク半額」ということだ。

半額?まじですか。

その話をBBSで聞いたとき、そんな馬鹿なと思った。どうせ一部のドリンクだけだったり、最初のいっぱいだけだったり、「※ただし夜7時まで」だったりするんだろう、と思った。しかし、実際にお店に来てみると、本当に「オールドリンク半額」の表示が。こりゃすげえや。

一体どこでもうけてるんだ、このお店。飲み物は原価率が低く、利益を出しやすい。しかし、半額にしちゃったら、利益の源泉はどこへいくの。コロッケ50円とか焼き鳥100円がいくら売れたって人件費すら出ないんじゃないか?

これだけ大胆なサービスをやっているお店はなかなかお目にかかれないだろう。素直に拍手を送りたい。

ただ、月曜日は当然、店内店外お客さんいっぱいでカオス状態になるだろうから、月曜日の昼間に行くことができる立場の人はラッキーだろうな。夜7時くらいにノコノコ来店したら、もう居場所が無い、って事になってるっぽい。

注文するところ

間違って開店前のレストランにちん入し、おばちゃんから「まだやってない」と言われて慌てて店から出たおかでん。じゃあ立ち飲みはどこで注文するの、と思ったら立ち飲みカウンターの背面、焼き鳥ブースの片隅にあった。なんだか、高速道路のSAに出ている露天のようだ。保温器があって、揚げ物がストックされている。

「まだこの時間できないものもあるけどねー」とおばちゃんは言っていたので、早い時間だと仕込みの都合上制約があるようだ。

早速注文。料理の準備ができると、「○○を注文の方ー」と呼ばれるので、その都度取りに行くことになる。料金は前払い制。

とりあえず料理を揃える

最初に注文したのは、「やみつきコロッケ」「やみつきメンチ」「サッポロ生ビール大ジョッキ」。これで1,000円いかない(885円)のは大変にありがたい。月曜日だったら、520円くらいで済む(飲み物を半額にすると、10円未満の端数処理がどうなるのかわからない。だから「くらい」と形容した)。安いなあ。

メンチとコロッケを食べつつ、ビールを飲む。うん、いいね。外が明るいというのが若干違和感を感じるが、まあよしとしよう。酒は夜に飲むものにあらず。昼でも、事情が許せば飲んでも良し。

以前、オフ会シリーズ企画として「昼酒健康倶楽部」なるものを立ち上げようとしたが途中でやめた経緯がある。でもやっぱり昼酒は悪くないもんです。なれれば。なれるまでは、背徳感満点でございますが。

ただそうはいえ、壁に面して一人で昼間、立って酒を飲むというのはどうも落ち着かない。落ち着かないから、ネットブックを取り出し、まだ見ていなかった録画したTV番組を視聴していたのだが、余計落ち着かなかった。こういう店は、ちゃっと注文してばばっと飲んで、すっと帰る、というのが美しいんだろうな。

さて「やみつき」のメンチとコロッケですが、ええと、味は普通でござんしたよ。何か特殊な美味さがあるということなんて、値段からして当然あり得ないわけで。でも、揚げてまだ時間がさほど経っていないため、衣がぱりっと、かりっとしていておいしかったのは間違いない。こりゃビールに合うわ。

ビール大ジョッキは、確かに「大」だ。ニセ大ジョッキではなく、本当にでかい。一般的な大ジョッキよりも胴回りが太く、そのかわり高さが若干低い気がする。容量としては800ml程度といったところか。

調味料類

立ち飲みカウンターにある調味料。

真ん中はウスターソースかとんかつソースだと思う。未確認。そして、ケチャップとマスタードというアメリカ人の好物が並ぶ。

数人ずつに1セット、調味料がそろっているのかと思ったらさにあらず。カウンター全席で一つしか調味料がない。だから、さっきまで目の届く所にあった七味唐辛子がカウンターの端まで移動してしまい使いたいときに使えなかったり、逆にカウンターの奥から和辛子を発見して「しまった、もっと早く気がついていれば!」と最後の方で後悔したり。

揚げ物類は調味料無しでも十分に食べられるので、特に必須アイテムではない。しかし、「揚げ物にはソースをかけないと気が済まない」という方は、調味料の位置を横目で追いかけつつ、自分が立つポジションを決めないといけない。

対面は薬局

店の向かいは、「かない薬局」という薬局。

飲み過ぎても、後でここで「ウコンの力」でも買って飲めばよろしい。

まあ、それ以前に立ち飲みだと酔っ払うと足がふらつくので、適度なところで切り上げることになるのだが。

レストランの立て看板1

レストランの立て看板2

11時を過ぎた頃になって、店内から立て看板が引っ張り出されてきた。

レストランは11時から営業開始のようだ。

店の外はフランクな立ち飲みなのに、レストランの従業員は白と黒のギャルソンスタイル。このギャップがなんだか面白い。洋食、肉食がハイカラな時代の名残だろうか。

やはり肉屋さんということだけあって、いろいろメニューは豊富で、かつ安い。カレー500円が一番安いようだ。500円のカレーは普通な気もするが、いやいや、ドリンクバー付きです。だとすれば、相当廉価だと思う。他にも、チキンカツ定食650円だとか、盛り合わせランチプレート880円などいろいろ。ただ、やはり揚げ物中心のメニュー構成になっているので、写真を見ているだけで満腹感が漂ってくる。

レギュラーメニューの看板を見ると、「食肉卸問屋の直営レストラン」という表記がある。ああ、やはり卸問屋なんだな。外見上、焼鳥屋に見えるが実際は卸をやっていたのか。

メニューは、広島の精肉店兼食堂の「肉のますゐ」とやはり似ている。ステーキ、ハンバーグ、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどがそろっている。

ちなみに一番高いメニューは「和牛すき焼き・しゃぶしゃぶ」で4,500円。

面白いのは、「ソーセージピザ」どか「気まぐれパスタ」などのメニューがあること。ちょっとだけ脇道にそれた料理も用意されている。

焼き鳥は売り場が違う

一生懸命焼き鳥仕込み中

第二陣の注文をおばちゃんにする。

その注文の中に、「ねぎま」があったのだが、「焼き鳥の注文はあっちだから」と店頭を指示された。ありゃ?そうなの?すぐ手が届くところなのに。

確かに、おばちゃんと対面しているところには「揚げ物コーナー」の表記があるし、そのコーナー脇には「焼とりのご注文は正面より承ります」との注意書きがあった。これは盲点。ただ、焼き鳥を焼いていたおっちゃんがオーダーを聞き取ってくれて、このときは柔軟に対応してくれた。

でも、お会計は、揚げ物班のおばちゃんと、焼き鳥班のおっちゃんと別々。おサイフが違うらしい。

焼き鳥は、ただいま大量仕込み中。オーダーを受けてから生肉を焼いていたら時間がかかるので、「焼き上がる直前」まで焼いておいてそれをスタンバイさせておく方式をとっていた。注文が入ったら、1分ほど軽く焼きなおして、タレもしくは塩で味付けして完成。焼き鳥屋台でよく見かけるスタイルだ。

で、現在はまだ昼前なので、夜のピークに向けて仕込み真っ最中というわけだ。

ねぎま

ねぎま100円。

味は・・・うーん、スーパーにて冷凍で20本単位なんかで売っている奴と大差無しだと思った。さすがにこの値段で、精肉卸の本領発揮は難しいな。

そもそも、おかでんの最寄り駅に夜な夜な出没する、ワゴン車の焼鳥屋台、あそこでねぎまを頼むと120円だ。固定店舗を持たない屋台でさえ120円なのに、固定店舗で100円で食べられるんだからそれだけで十分満足としようじゃないか。

カウンターで立ち飲み中

おかでんおかでん立ち飲み中。

やはり3月上旬、昼間とはいえやや寒い。立ち飲みするにはちと辛いものがあるな。あ、そうか、さっさと飲み食いして帰ればいいんだ。ついつい長居しちゃったから寒くなったんだな。

ポテトサラダ

牛すじ煮込み

写真上:ポテトサラダ。値段失念。

写真下:大山特製牛すじ。300円。

ジョッキワイン

「お肉にはやっぱり赤ワイン」というポスターの挑発に釣られ、「ジョッキ赤ワイン」を注文してみた。350円。

あの大ジョッキになみなみと注がれていたらどうしよう、と思ったが、出てきたのは中ジョッキの3/5程度。しかも氷で水かさが増しているので、実質的な量は驚愕するほどではない。自分で注文しておいて言うのもなんだが、安心した。

ただし、ワインは度が高いため、危ない。着火剤となってこの後キャパオーバーの飲食に走る恐れがある。実際わたくし、そうなりました。

ハムカツ

もつ煮込み

そんなわけで、調子にのってさらに追加注文。ハムカツ70円と、大山特製煮込み350円。

煮込みは「特製」をうたうだけあって、なかなかの美味だった、酔って味覚が馬鹿になった頭ではそう認識した。

ハムカツといえば、薄っぺらいものを想像するが、ここのハムは肉厚。あれだ、贈答品で貰うようなハムを分厚く切ったと想像してもらえばいい。それが70円だから安くて素晴らしい。

これにだめ押しで大ジョッキ1杯を注文してしまったので、最後は相当苦しくなってしまった。なんとか胃袋に全てを押し込み、頭がくらくらするやら、肉だらけの食事で胃が重たいやら、へろへろになりつつお店を後にした。

その余波で、胃もたれしまくり状態なのに、駅の構内で臨時に売られていた「峠の釜飯」を買ってしまった。酔っぱらいめ。これ、いつ食べるんだよ。今日はもう一日、何もいらないぞ。

このお店は、廉価で気軽に飲食できるという点、立地条件の良さでとても素晴らしいと思う。食の安全だとか、仕入れコストだとか、産地偽装だとかいろいろ卸ならではの難題があると思うが、これからも頑張って営業して欲しいと切に願った。

あと、この店を訪れる際の注意点。やはり肉中心、揚げ物主体になるので、調子にのって頼みすぎないこと。多分、ワカモノでも胃もたれすると思う。ちゃっと飲み食いして、すっと帰る。そのスマートさがあってこそ、このお店を使いこなせたと言えるのではないか。その点今回のおかでんは失敗例。長居しすぎた。

※「肉屋」という表現は、どうやら放送禁止用語に該当するようです。ですから、マスコミでは一般的に「精肉店」という表現を使っている模様。しかし、今回取り上げるお店は、親しみやすさと庶民感覚っぽさを念頭において、敢えて「肉屋」という表現を使っています。差別的意図は全くありません。

(2009.03.08)

ソーシャルリンク