目指せ「新横浜最速・最安」

新横浜ラーメン博物館

昨年だったか、BBSのオフ会常連であるたかはしさんから、「新横浜ラーメン博物館で飲み放題の企画があるよ」といううわさを聞いた。

ラーメン博物館といえば、各店舗大行列でうんざり、という印象しかない。だから、各店舗ハシゴしようにも「並んでいる間に満腹中枢が『もうやめとけ』と死刑宣告しちゃう」のであった。ハシゴしたくてもハシゴできないこの不満たるや相当なもので、それ故に滅多にここには行った事がない。町中にあるラーメン激戦区ならまだしも、入場料300円がかかる施設だ。ハシゴできないんじゃつまらないし勿体ない。

最近じゃ修学旅行生が立ち寄るどころか、中国人、台湾人のツアー観光客がやってくるくらいの一大名物スポットになっちまった。すげえな。横浜関内にあった「カレーミュージアム」とは大違いだ。あっちはなぜコケたんだろう。

そんな混雑施設で飲み放題とはこれいかに。長っ尻は施設側としては絶対にやめてもらいたいだろうし、ましてや酔っぱらいなんてトラブルのもとだ。だから、初めてこの話を聞いた時は信じられなかった。ラーメン博物館のwebサイトに公式アナウンスがない当たりも、ますます怪しい。ホンマか?それ。

詳細を聞くと、なんでも

・平日限定、夜だけの開催
・30分一本勝負
・お値段は500円
・お店で飲むのではなく、店が並ぶスペース前の広場で飲む
・つまみはラーメン屋のトッピングをテイクアウトすることも可能

ということらしい。平日昼、ではなくて夜、というのがますます分からない。週末を除外しているのは当然だが、平日だったら昼の方が空いているんじゃないのか?夜だったら、会社帰りの人たちで混みそうなものだが。

その答えは具体的数値の提示ではっきりとした。ラーメン博物館のwebサイトには、時間帯ごとの混雑状況がグラフで表示してあるからだ。それによると、平日でも昼間はそれなりに混むようだ。ははーん、修学旅行生や団体観光客のせいだな。その点夜だと、平日はおろか週末でさえ、思ったより混まないのだった。新横浜、という微妙な位置関係のせいで、「行くなら昼間」なんだろう。夜ここに滞在してから都心の家なんぞにご帰宅されるにゃ、ちと場所が遠い。

ようやく腑に落ちたのは良かったのだが、かといって「さあ平日の夜に出撃だ!者ども出会え出会え」とハッパかけてどれだけの面子が集まるというのか。オフ会によく顔を出してくれる人たちの多くはたまたま東京北部以北に住んでおり、仕事帰りに新横浜へGO、というのはあまりにもハードルが高いのだった。
「新幹線で行けばいいじゃない」というのは真実だが、お前はマリーアントワネットか、と言いたい。一体この飲み会のためにどれだけの運賃を払うハメになるんだ。ちっと計算すりゃ「現実的じゃない」ことくらい、すぐ分かる。

そんなわけで放置されたままの企画だったわけだ。しかも、そもそもこの企画は期間限定で始めたものらしいということもあり、公式アナウンスもないし、今現在やっているかどうかが外部からは伺い知れない。わざわざ行ってみて、「もうあの企画は終わってますよー」といわれたらあまりに情けない。

ところが、今年の3月になって、ラーメン博物館の公式blogにてこの企画の存在が取り上げられていた。広報する気があるのか無いのか、どっちなんだよ。ブログでひっそり紹介するなんて。

それによると、まだ現在も続行中の企画とのこと。しゃーないなあ、一度いけばもう十分だろうから、後で後悔しないように今のうちにいっとくか。

たかはしさんと都合を付けて、おかでんと2名で平日17時半すぎ、ラーメン博物館に乗り込んだ。

なんでも、企画の名前は一応これでやる気を見せる『30分一本勝負』新横浜最速・最安『飲み放題』500円」というものらしい。最速・最安というキャッチコピーが面白い。速ければいいってもんじゃないが、なんだか勢いを感じさせてワクワク感を醸し出す。

そういえば以前、「1分10円」で飲み放題を提供するお店がJR田町駅前にあったな。それを思いだした。10分でビール5杯飲み倒してとっとと帰る、なんてやりゃあ随分安く済む。なんと100円だ。しかし、うっかり2時間くらい滞在すると、1,200円になるという寸法。うまいビジネスだ。

ここで気になるのが、「30分一本勝負」という名前。単にプロレスの試合を模したオモシロ名前にしたかったのか、それとも「飲み放題500円は1回限りですよ」という意味なのかがわからない。もし可能ならば、「30分一本勝負」を2試合連続でやって、結果的に「1時間2本勝負で1,000円」にしたいところだ。しかし、そのあたりはblog内からは正確に読み取れなかった。現地についてからのお楽しみだ。

なお、開催時間は平日よる17時から21時の間。だから、東京都心部勤務の人が、普通に「仕事帰りに飲み散らかそう」と新横浜まで行くとなると、時間的に相当厳しいのが現実。やる気があるなら、仕事を早めに切り上げるとか、有給休暇を2時間とか半日程度とるのが確実。・・・まあ、そこまでしてこの企画に乗るのはよっぽどの酔狂だが。

待ち時間は各店舗オールゼロ

さすがだ!

30分とはいえ、飲み放題イベントをやるような時間帯だけある。全ての店で待ち時間、ゼロ。そりゃそうだ、まだ18時ちょっと前くらいだもの。

たかはしさん情報によると、ちょうどこの日に新店舗が入店したらしい。「百福亭」というらしいのだが、それを目当てにラーメンマニアな方々がたくさんくるかもね、と。しかし実際は、さすが平日の壁は厚かった。混雑ゼロ。

いいなあ。これが常態化していて、家から1時間以内の距離だったら贔屓にするんだが。普段は週末の昼間しか行けない・行かないので、90分待ちだのなんだの、そんなのばっか。マゾ選手権大絶賛開催中、というマゾの殿堂と化している。

ラーメン博物館はラーメンを食べるために行くのではない。ラーメン屋に並ぶために行くのである。・・・といっても過言ではないくらいだ。

昭和30年代の街並み

昭和30年代の街並みを再現した、ラーメン博物館内部。知らない人に補足しておくと、各ラーメン店合計9店舗は、この町並みに紛れるように作られている。

初めてこの地を訪れた10年以上前は、「どうせすぐに飽きられる」と思っていたのだが、案外飽きられずに続いているものだ。訪問頻度が高くないので、たまに見るにはこういうわざとらしいノスタルジック世界も悪くない。

こういうシチュエーションでの飲み放題なのだから、

「生ビール?馬鹿いっちゃいけねぇ、うちで扱っているのは焼酎か、ホッピーか、ハイサワーくらいしかねぇよ」

と言われても何らおかしくない。もしくはメチルアルコールとか。

これが「30分一本勝負」

コロッケなども売ってますよ

お店が並ぶ、この地下一階フロアに降り立ってすぐのところに「飲み放題」ののぼりが。おっと、ちょ、ちょっと待ってくださいよ。まだ心の準備ができていないんですが。だらだらと店をざっと見て回り、その間にはやるこころを押さえ、そして余裕の趣でふと顔を上げたら飲み放題が、という段取りで行きたかったのだが、目の前だもの。

さすが「新横浜最速」を名乗るだけある。階段下りたらすぐに飲み放題だ。昔、「玄関開けたら2分でご飯」というキャッチコピーのパックライスがあったが、それと一緒。「階段下りたら30分で飲み放題」。

もともとは有料でビールやラムネ、そして駄菓子を売っているお店のようだ。それが、平日夜だけは「飲み放題も扱ってます」という事になる。

駄菓子を酒肴にするも良し

枝豆つかみ取り

チーカマや駄菓子などが安く売られている。

駄菓子を肴に飲んだことは一度もないのだが、案外イケるのかもしれない。安く飲めそうだ。かばやきさん太郎あたりでビールか。悪くないな。

お店のカウンターには、「枝豆つかみ放題」のアクリルケースがあった。一回200円だそうだ。多分、手づかみで枝豆を捕まえた分、それが200円という意味だと思う。ただ、肝心の枝豆はケースの中には入っていなかった。オーダーが入ってから、冷蔵庫からとりだすのかもしれない。

それにしても、「1回200円」なのに「つかみ放題」っておかしくないか?「ひとつかみ」なんだから。
と、細かいところに突っ込みを入れたりしながら、この場の雰囲気とシステムを頭に叩き込んでいる。この時間が一番たのしい。むしろ酒を飲んでいるときよりもたのしいかもしれない。

ラーメンをアテにするのはダメよ

お店のラーメンをすすりながらビール飲み放題をやりたいぜ、というのはダメらしい。ラーメン待っている間に、飲み放題ビールを飲んでるというのはダメよと。皿やジョッキも店ではなくこっちに返せ、と。要するにラーメン店のお邪魔にならないようにひっそりこの企画やってます、ってわけね。

作戦会議中1

作戦会議中2

作戦会議中3

なにせ「30分一本勝負」だ。階段下りたらすぐお店だからといって、そこで「じゃあ500円払ってGO!」というわけにはいかない。

「いったん作戦会議しましょう、作戦会議」

と提案して、ヨーイドンする前にテーブル席で検討することにした。ちょうどテーブル席には、メニュー表のような形でこの企画の説明書きがおいてあったので、オッサン二人がかりでそれを取り囲む。

作戦会議が重要なのは、想定していた通りこの企画が「お一人様1日1回限り」だったということだ。つまり、「1,000円払うから1時間飲み放題にしてくれー」というのは不可。30分内でなんとか肝臓と脳とを折り合いつけないといけない。

そしてこれは当然だが、「一回の注文は一人いっぱいまで」というレギュレーションも明記されていた。「ボク、どうせたくさん飲むから生ビールジョッキで3杯一度にくれ」というのはダメよと。バケツリレーのように、「飲みほす都度店に行ってオーダー」をしなくちゃいけない。もちろんセルフサービスだ。ギャルソンが巡回していて、「次のドリンクは如何なさいますか」なんて聞いてくれる訳がない。自分で走れ。

さあそうなると、30分という数字が俄然現実味を帯びてくる。30分って、長いようで短いものだ。特に酒飲みなら、30分なんてあっという間だ。30分過ぎても飲み足りなければ、後は有料でビールなんぞを注文すれば良いのだが、生ビールいっぱい400円、と聞くとちょっとなえる。それまでの30分は「500円で飲み放題」だったわけだから、このギャップは相当なものだ。

・・・まあ、そこまで考えた上で、ラーメン博物館はこの企画を立ち上げたのだろう。酒飲みの欲求をある程度満たしつつ、かといって長っ尻で邪魔にもならない。いいゲームバランスだと思う。

「最初は、ラーメン店からつまみを調達してきましょう。で、つまみがそろったところで30分ヨーイドンにしたほうが時間効率が良い」

と提案してみたのだが、資料をよくよく読むとつまみ用のお皿は飲み放題店のカウンター脇に積んであり、それを持っていくんだそうだ。・・・ということは、ヨーイドンしてからでないとつまみが取りに行けないっぽい。うわ、30分で食材調達して、飲んで、おかわりして、また飲んで。こりゃ相当忙しい。

*後で読み返すと、飲み放題を利用していない人もラーメン店のつまみをお皿でテイクアウト利用できるという記述があった。だから、飲み放題開始前にお店巡りしてつまみを集めてくる、というのが正解だった。今回の判断はミス。

なお、ラーメン店のつまみは、煮玉子やメンマ、チャーシューなどを使っているお店が多い。あくまでもトッピングメニューを、つまみとしても提供しているというわけだ。店同士、重複しているメニューが多いが、「各店舗のメンマ食べ比べ」なんて楽しみ方もできるのでお好きな方はどうぞ。

ラーメンのテイクアウトは・・・あ、これはダメですか、そりゃそうですよね。

各店舗のつまみメニューが一覧になっていたので、たかはしさんと事前に打ち合わせをしておく。「僕は上のフロアでつまみをかき集めて来ます。たかはしさんはこのフロアで。こむらさきの高菜炒めは食べたいのでそこはぜひ」

みたいな感じで。しかし、たかはしさんの乗りがいまいち微妙。聞くと、

「いやあ、この後当然ラーメン食べ歩きもするわけで、あんまりここでつまみを頼みすぎるというのもどうかと」

・・・ああ!そういうことか。そりゃそうだよな、ここまできてラーメン食べないで帰りますっていう選択肢はあり得ない。そうなるとお店をハシゴしたくなるのも人情ってもんだ。そこまでの胃袋キャパを考えつつ、かつ全力で飲むとなればつまみって大していらんのではないかという提言はごもっともだ。

ちょっとそのあたりを念頭におきつつ、いざ飲み放題の店頭へ。

ブラックライト用のペンで時間を書き込まれる

麦藁帽子で、ほっぺを赤く塗った田舎っぺ風スタイルの女性店員さんが元気にご挨拶。

「飲み放題いっちゃいますかァ」

と言われたので、

「いっちゃいますゥ」

と答える。500円を払うと、手にペンで終了時刻を書き込んでくれる。そのままだと見えない透明インクなのだが、ブラックライトを当てると文字が浮き出るというもの。

時間の端数は切り上げてくれるらしく、われわれは18時25分まで、32分くらいの飲み放題タイムを獲得した。

とりあえず1杯飲む

「まずは何から行きましょ?」

と聞かれたので、生ビールを頼む。ジョッキは結構小さい。いわゆる小ジョッキっていうやつだろうか?普段おかでんは「生中」か「生大」しか飲まないので、「小」のサイズには疎いのだが、恐らくそんな感じ。こりゃ、おかわりが大変だ。本当に、飲んでは次のオーダー、飲んでは次のオーダーという繰り返しになる予感が。

手元にビールが来ちゃったので、つまみは兎も角1杯目は先行して乾杯することにした。いっぱい目を飲んでから、つまみ確保だ。

「では乾杯」
「乾杯」

浮き足だった状態で乾杯をする。このあとぐっと飲んですぐに食材探しだ。既にカウントダウンタイマーは動いている状態なので、慌ただしい。せっかく新横浜まで繰り出したというのに、こんなに気もそぞろな乾杯をするとは思わなかった。

「変な風景。二人そろって乾杯する時にカメラ持ってる」

たかはしさんが指摘する。そういや、二人とも乾杯する瞬間カメラ構えてら。変なの。

「らーめんの駅」

ジョッキが小さいので、飲めば一息だ。深呼吸をする要領でぐーっとやれば、あら不思議3秒もあればビールが消える。むう、飲んだ気がしない。

ただ、ここでいったんビールとはお別れ。われわれは手分けしてつまみを集めてくる事にした。

まずおかでんが向かったのは「ラーメンの駅」。純連、すみれの創業者である村中明子さんのお店で・・・おっと、蘊蓄語りはやめろ。

とりあえずこの駅で各駅停車。急行電車通過待ちのため3分の停車です。

チャーシューをゲットしました

ここではチャーシューを買ってみる。確か300円だったか。

店頭にある自動食券機で、トッピングメニューとして扱われている「チャーシュー」を購入する。

店頭にいたお姉さんに「1名ですか?こちらへどうぞ・・・」と店内に誘われるが、いやいや、僕には田舎に残してきた愛しいビールジョッキがあるのです。そのおさそいには乗れない。「コレ、なんですけど」と小皿を見せたら、店員さんは「ああ」と納得し、皿を受け取って店の奥へと消えていった。その間、店の外で待つおかでん。

チャーシュー乗せるだけだからすぐだろうと思ったが、2分くらいは待たされた。多分、厨房ではラーメンを作っている真っ最中で、すぐに対応できなかったのだろう。

で、30分というカウントダウンタイマーが気になるおかでんがやきもきしていたら、きたきた、きましたよ。チャーシュー。3枚でございました。

これ、店が空いているからこそできる事だよな。万が一何かのはずみで混んでいたら、簡単なつまみを貰うためだけに行列に並ぶハメになる。一軒並んでいるだけでタイムオーバー、なんてなりそうで怖い。

支那そば屋へ行く

チャーシューだけでは足りないので、いろいろ面白げなメニューがあった「支那そばや」へ行ってみる。こちらでも、店内に案内されかかったが、お皿を出して「これで何卒」とやったら話が通じた。

この時間帯、客がいなくてお店は暇なので、接客担当者が店頭まで出てきてやたらと愛想がよろしい。

白式部

穂先メンマ&若竹の子

ここで購入した食券は、「白式部」350円、「穂先メンマ」200円、「昔竹の子」200円。

白式部って何じゃ?とたかはしさんに聞いてみたら、ワンタンの類だという。だったらワンタンと言えばいいのに、と思ったが、実物を見て納得。なんだこのお月見団子みたいなのは。これはワンタンではない別物だ。ほほう、これを白式部と呼ぶのか。

なおこの白式部だが、注文が入ってから調理するために3分ほどお時間を頂きます、と店員さんに言われた。ええと、困ったな。3分っていやカップラーメンができる程度の時間でしかないが、30分でカラータイマーが点滅するわれわれにとっては致命的な時間だ。すると、「お席まで運びますよ。どちらにお座りですか?」だって。デリバリー対応ですか。なんて親切なんだ。こういう施設の人って、多客対応に追われて態度が悪いもんだと思っていたので、ちょっと感動した。

竹の子系の料理は2品で一皿に盛ってくれた。昔竹の子の分厚い切り方が、なんとも食欲をそそる。これはラーメンのトッピングにするには勿体ない。ぜひ酒肴としたいブツだ。あ・・・でも200円ってそれなりに良いお値段ではあるな。

一方たかはしさんはこむらさきへ

一方のたかはしさんは、「こむらさき」で食材の調達。餃子が気になっているようだった。そうかー、こういうラーメン博物館でもサイドメニューがあるんだな。調べてみたら、チャーハンをやっているお店もあった。混雑時はどうするんだろう?よく対応できるもんだと感心させられる。

たかな油炒め

焼き餃子

さすが豚骨ラーメン屋だけあって?つまみ類は豊富。煮玉子、メンマといった定番だけででなく、きくらげ、たかな油炒め、細もやし・・・なんてのがあるのは豚骨だからこそだろう。

たかはしさんは、「たかな油炒め」100円、「焼餃子」380円を買ってきていた。

春木屋

大砲ラーメン

井出商店

つまみ類が出そろったところで、ようやく腰を落ち着けて飲み始める。といっても、腰を落ち着けようにも時間は30分しかない。なおかつ、ぐいっと飲んだらすぐにカラになるジョッキだ。困惑しっぱなし。ええと、食べようか、飲もうか、それともしゃべろうか?あたりが少々物珍しいので、キョロキョロしているとあっという間に時間が過ぎていく。なんだか、上の空で飲み食いする事になってしまった。

途中、たかはしさんが「俺今度はゆずサワーにするわぁ」と言って、ゆずサワーを作って貰っている最中におかでんはビールを二杯飲んだ。究極的には、お店のカウンターの前で、わんこビールをするのが一番手っ取り早い。さらに言うと、ラーメン屋でつまみを調達しないで、このお店で駄菓子買ってつまむ方がより賢い。ただ、そこまで無駄をそぎ落とすと、何をしに新横浜まで来たのかがさっぱりわからなくなる。せっかくだから、おしゃべりもしたいでしょ?各店舗の自慢のトッピングを酒肴にしたいでしょ?ビールも味わいたいでしょ?・・・となると、あれれ、30分なんてあっという間だ。

結局、何杯飲んだかは覚えていないのだが、6杯くらいは飲んだんだと思う。「元を取ったか?」という短絡的な質問については、「獲ったどー」と言えるのだが、じゃあそれに見合った満足感があったかというと微妙。ホント、飲んだような飲んでないような、食べたような食べていないような、フワフワした感じだった。ううむ、これはもっとチューニングが必要だな。一挙両得、で何もかも満喫するのは無理だ。「三方一両損」くらいのバランスで、もっとこの企画を楽しまないと。

われわれが飲み食いしている間、18時30分近くになってくると黒いスーツを着たワカモノがわらわらとやってき始めた。

「リクルートスーツ・・・?」
「多分新入社員研修が終わった新卒が、飲み食いしに来ているんでしょうね」
「なんだかみんな黒っぽい服を着ているので、何事かと思った」

夜も、それなりに会社帰りの人たちで混むのかもしれない。ただ、「会社帰りでラーメン博物館」って地元勤務者にとっては、「ラーメン屋ハシゴ」なんてのはしないだろうし、長っ尻ではないのかもしれない。

百福亭

あっという間に30分が過ぎてしまい、「ああああ」と時の流れの早さに呆れてしまった。

まあ、しょうがない。気を取り直してラーメン食べ歩きでもすっか。「シメ」であるはずのラーメンだが、この後3軒くらいハシゴしちゃったら、飲み放題が本日の趣旨だったんだかラーメン食べるのが趣旨だったのかわからなくなってしまう。

まず一軒目は、今日開店だという「麺翁 百福亭」に行ってみることにした。一風堂の河原成美氏プロデュース、ということだったが、先ほどからどうもそれらしき人が店頭でお客さんの誘導をしている。

「あの人、一風堂の人じゃない?写真一緒に撮ってもらったら?」
「ああ・・・確かに似てますね。でももし違って、単なる普通のオッサンと2ショット、だったら相当恥ずかしいです」
「いいんじゃない?それはそれで面白いし」
「いやあー」

結局、一緒に写真に写ってください!というのは辞退。恥ずかしくて。でも、多分その「オッサン」が本物の河原氏だったと思う。

ねぎとか取り放題

卓上の調味料

二人とも「百福・元味」というラーメンのミニを注文(550円)。

日清のチキンラーメンの生みの親、安藤百福が開発当時に振る舞ったであろう味を再現、ということだ。

「それって、いわゆる屋台のラーメンみたいな、ふっつぅーな醤油ラーメンなのでは?」
「と、いうことになりそうだけど・・・」
「そもそも、チキンラーメンを出すというわけではないのですね?」
「あ、それは違うみたい。さすがにそれはやらないでしょ」
「じゃあ、百福さんと何も関係ないじゃないですか」
「それを言っちゃあおしまい」

当時、こんなラーメンを百福氏が作っていたなんて資料はないだろうから、一風堂の河原氏が「百福リスペクト」の一心でこしらえたということなんだろう。

卓上には胡麻などが置いてある。そして気になるのが、すり鉢に入った揚げ玉。揚げ玉をラーメンに入れるたぁジャンクですな。タヌキうどんとかそばというのはあるが、あれは具が無いシンプルなものだからこそだ。既に十分な濃い味がついているラーメンに揚げ玉。たまらんですな。これも「百福氏ならコレをやっただろう」という事っすかね?

しばらくすると、卓上にもう一つすり鉢が並んだ。こっちは青ねぎ。青ねぎは、テーブルに置きっぱなしではなく、お客さんが着席する都度厨房から持ってくるようだ。薬味だから、取扱いを注意しているっぽい。

「ねぎ盛り放題ですかー。いや僕ね、いっつもこの手のラーメン屋ではねぎを盛りすぎて、スープの温度が下がるやら、ねぎの苦みだらけになってラーメンの味がわからなくなるわでろくな思い出がないんですよ」

いい歳してこんな事をカミングアウトしている自分が情けない。

百福元味

天かす入れすぎた

案外はやくラーメンは到着した。麺が細めなので、ゆで時間が短いのかもしれない。

具の説明とかはラーメン好きな人に譲るので省略。

上にゴボウ天が載っているのが特徴で、スープも独特。ラーメン評論なんてやったことがなく、なおかつ普段はもっぱら二郎系のラーメンか激辛ラーメンばっかり食べているために味のコメントができず固まってしまう。

「うまい。ん・・・だけど、味を表現できぬ」
「少なくとも、チキンラーメンができた当時の味じゃあないよね、これ」

半分くらい食べたところで揚げ玉投入。すると、分量間違えた。そうだった、揚げ玉ってスープを吸ったら猛烈に膨らむんだった。おかげで、揚げ玉食べてるんだかラーメン食べているんだかわからない、大層品の悪い食べ物になってしまった。これぞジャンクフードの鏡ぞ。これを毎日食べ続けたら、天国に召される日はもの凄く近いと思う。

龍上海

ラーメンフォークあります

食べ歩き二軒目。「龍上海」に行くことにした。からみそラーメンがある、というのに惹かれた。辛い味噌ラーメンは大好きだ。

ラーメンフォークあります、という掲示も気になる。なんでも、箸の替わりにこれで食うと塩梅よろしいらしい。ホンマか?フォークでラーメン食べるのって、カップヌードルくらいじゃないんか?

しょうゆ味ミニラーメン

ミニからみそラーメン

麺が太いということもあり、ちょっと待ち時間がある。

写真上:たかはしさん注文のしょうゆ味ミニラーメン。
写真下:おかでん注文のからみそミニラーメン。

辛味噌がデン、と上に乗っているのが特徴。これ、ミニサイズではなく標準サイズだと、「中辛」「大辛」と辛さを調整できる。ただ、食後「大辛」の写真を見たが、辛味噌がコロニー落とし状態になっており、デカすぎだった。味のバランスはどうなんだろうか?

ラーメンフォーク登場

やっぱり食べにくい

「ラーメンフォークください」と店員さんにお願いすると、うわさのフォークがやってきた。普通のフォークよりも細くて長い。「ロンギヌスの槍みたいだ・・・」。

フォークの三本の突起には凹凸が交互につけられており、その凹凸に麺をナイスキャッチして丼からすくい上げよ、という事らしい。

うそ臭ぇ、と半信半疑で丼にフォークを突っ込んでみたが、案の定なんだか微妙な取れ加減。汁が飛び散らない、とかいろいろ効果はあるそうだし、実際にラーメン博物館で扱うくらいだからその道のプロが研究を重ねたものなのだろう。このすばらしさがわからん奴死刑、くらいに言われかねないが、現時点のわれわれにおいてはむち打ちの刑にあってもおかしくないくらいこのフォークの良さを理解できんかった。

そもそも、ラーメンを食べる際に金属の鋭い感覚が口の中に入るっていうのが気持ち悪い。今までずっと塗り箸か割り箸だったので、ここの先入観が有る限りはきっつい。朝鮮の冷麺をたべる時でさえ、金属箸に違和感があるというのに。

で、このフォークは「あくまでも麺をすくい上げる」ためだめに存在する。箸を持つのが苦手な人にはこれで良いのかもしれないが、箸の所作に全く問題が無い人にとってのメリットがどうも薄い。スープも一緒に飲めます、という「スガキヤ」のラーメンフォークとは違って、スープを飲もうとすればレンゲが必要となる。結局洗い物の数は変わらないわけで、誰が得するんだこれ、という迷作であった。

坂本

笠岡からやってきました

鶏を前面にフィーチャーしました

ラーメン屋ハシゴ3軒目。さすがにこれが最後だろう。おかでんは「せっかくだから、新幹線の便が出る直前までハシゴを」と息巻くが、たかはしさんは「いや俺はもうさすがにこれ以上は」と仰る。まあそりゃそうか。ミニサイズとはいえ、4軒ハシゴはやりすぎだ。3軒くらいで打ち止めにするのが妥当だろう。たかはしさんなんて、「面倒だから新横浜に一泊して帰りたい」なんてぼやいているくらいで。酒を30分でカンカン飲んで、そのあとラーメンをしこたま食べたらそりゃそうなるわな。

というわけで、最後のお店は期間限定出店だという、「坂本」にいってみることにした。やっぱりアレっすか、最近の坂本龍馬ブームにあやかって?・・・あ、そういうわけではないの?

なんでも、岡山県笠岡市のラーメンらしい。ご当地ラーメンとして発掘したということだが、笠岡にご当地ラーメンがあるなんて、初めて聞いた。あのあたりはよく車や電車で通過するが(通過するだけかい!)、天然記念物のカブトガニが名物くらいしかイメージ、ないんスが。高速道路のSAに立ち寄ったって、尾道ラーメンや広島のつけ麺がお土産として売られているくらいで、笠岡のラーメンって見たことすらない。意外でした。

近隣のご当地ラーメンとしては、「尾道ラーメン」「広島ラーメン(広島では、中華そばという言い方をするのが普通)」などがあるが、それらをさしおいてダークホースの笠岡が登場。こういうのって、意外性を主催者側が狙っているのもあるだろうが、出店交渉がうまくいかなくてお目当てのご当地ラーメンが出店されない、というのもあるのだろう。

さあ笠岡、やる気満々。店のカウンターには笠岡ラーメン店完全ガイドみたいなカラーパンフレットが置いてあり、ぜひ笠岡にお越しください、と意気揚々だ。そして店の壁には「岡山県備中」のポスター。「でぇれー ぼっけー もんげー」だって。すまん、おかでんは備中地方に親戚が結構居るのだが、こんな言葉を使っている人は見たことがない。語尾を「なー」とか「ねー」「よー」と伸ばす特徴はあるようだが。

んで、笠岡ラーメンとはなんぞや、というと、鶏でダシをとったスープで、チャーシューのかわりにかしわ(親鳥のこと)が乗っている、という特徴があるようだ。なるほど。

中華そばミニ

中華そばミニ

写真上:中華そばミニ。写真下:ねぎそばミニ。

ねぎそばミニは50円増しになり、ねぎが若干増える。ねぎは青ねぎでも長ねぎでもない、なんだろうこれは?という微妙なサイズで面白い。

鶏でダシをとるラーメンってなぜ少ないんだろう、と思っていたが、食べてみて納得だ。あっさりあっさりしちゃうのだな。こういうラーメンもあるのか、と面白く食べられた。トッピングされているかしわ肉は、さすがに固い。固くて、醤油味が染みこんでいて、ちょっとこれは抵抗がある人が多いだろう。「柔らかいチャーシュー至上主義」で育ってきた人にとっては、固い肉というのは頭の切り替えに時間がかかる。

こういう、「そのまま関東上陸したら商売失敗しそう」な、異質の価値観があるラーメンも食べられるのがラーメン博物館の良いところだ。

というわけで、ラーメンを3軒食べ終わったところで本日打ち止め。

「一体、酒飲みに来たんだか、なんだかわからなくなっちゃった」

二人、顔を見合わせて苦笑いだ。

なんとも不思議なオフだった。「ラーメン博物館で食べ歩きしましょう」とオフ開催を告知しても、多分人は集まらなかっただろう。で、「ラーメン博物館で飲み放題して、シメでラーメン食べましょう」だとこうやってオフとして成立する。実にラーメン博物館は絶妙な企画を立案したものだと感心する。

アイドルタイムに集客し、飲み放題単体で見れば赤字であってもラーメン屋は少し売上アップ。損して得取れ、というやつだ。まんまと策にはまったぜ!でもそのはまり具合が心地よい。

この後、おかでんは最終の新幹線で広島へ移動。4時間近くの移動で、顔がパンパンにむくんでしまった。そりゃそうだわな、アルコール飲んで塩分大量摂取だ。明日は水を多く飲もう。

(2010.04.22)




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