一月に一度、広島を訪れているおかでんだが、そのの行動範囲内で、いつも気になっている飲食店がある。
その話の前に、ちょっと前振り。
広島市は百万人以上が住む政令指定都市。しかも、太田川河口を中心としたデルタ地帯に人々は密集しており、それが故に商業地と民家、山や川、海が入り乱れる飽きのこない街が構成されている。これだけ変化に富んだ街は、おかでんは他にしらない。散歩マニアはきっと満足いく都市だと思う。「老後は散歩で人生を終えたい。」と思っている方(そんな奴いるんか?)、ぜひ広島への移住をご検討ください。
そんなわけで、飲食店においても「住宅地の片隅にひっそりとある」パターンは多く、東京だったらマスコミが「隠れ家発見!」などとアホみたいに騒いでブームを無理くりこしらえるような店は、枚挙にいとまはない。なにせ、繁華街と住宅地がそもそも距離が近い。だったら地価が安い住宅地で店やってもええじゃん、という発想だ。
逆に繁華街ともなると、たとえ「庶民の昼飯」お好み焼き屋や中華そば屋であっても「18時から営業開始。翌朝5時までやってます」みたいな風営法対象な営業スタイルになるのだった。そうでもしないともうけにならん。
で、だ。ここから本題。
その気になっているお店なのだが、住宅地の中にさりげなくあるお店だ。パトランプが店頭にあるので、「ひっそりとしたたたずまい」の店ではないのだろうが、地元民でもないと気づかないお店。普通なら、見過ごす。しかし、どうにもおかでんが見過ごせなかったのは、店の看板に「中華そば 天ぷら」と書かれていたからだ。
広島では、ラーメンの事を「中華そば」と呼ぶのが一般的なのでそれは問題ない。だがしかし、中華そば(ラーメン)とセットで「天ぷら」がなぜ出てくる?これはちょっと想像がつかない。
うどん、蕎麦(日本蕎麦)に天ぷら、というのはまだわかる。そして、山形県ではラーメンにおいても蕎麦文化が色濃く反映され、「芋煮ラーメン」とか「海老天ぷらが載ったラーメン」があるのも知っている。でも、広島にこんなラーメンがあるのは初めて聞いた。まじすか?
このお店に気づいたときは、探偵か税務署職員かのごとく、お店の周りをうろつき回ったものだ。一体このお店は何だ、と。まさか宇宙人の基地ではないと思うが、それにしも怪しすぎる。
店の外からは全く中の様子をうかがう事ができない。それがますます怪しい。店の入り口には大きく「あきちゃん」とかかれた暖簾が下がっており、中をのぞき見ようとする不届き者の視線をシャットアウトしている。
唯一わかるのは、ランチメニューがあって、「ラーメンセット(おかず1品&ライス付)で680円」などというメニューがあるということだ。ううむ、これを見る限り、肝心の天ぷらが見当たらない。意図的な隠蔽工作か?ただしかし、中に入ったら常連しかわからない符牒がないとオーダーではあるまいか。一見さんが頼むと、「アンタうちに何回来たことがある?初めて?ふぅん、そんな客に出せる天ぷらなんぞ、ないねぇ」とか言われるんじゃあるまいか。
気になるならとっとと店内に入ればいいじゃねーか、と我ながら思う。仮に値段が高い・味が悪い・雰囲気が悪いとしても、うどんセット580円食べて逃げればいいわけだし。
しかし、しかしだ。ほぼ毎月広島入りしているおかでんだが、限られた時間・限られた胃袋の中で「広島における一食」を普通のうどんやラーメンで終わらせるのは悲しすぎる。結局、「天ぷら」が気になりつつも放置されっぱなしの店、となったのだった。
2010年3月に行われた広島昼酒オフ。そこで、「この界隈(広島市西区福島町界隈)で『天ぷら』とはホルモンの天ぷらの事だ」ということを教わった。「この界隈」とはまさにこのお店がある場所。すなわち、3月に行われたオフの場所とこのお店は徒歩圏内の位置関係にある。なるほど、以前、この界隈に食肉市場があったから「天ぷら(ホルモン使用)」文化が根付いたのだとすれば納得だ。
納得はしたが、「中華そばにホルモン天ぷら?」「なんで煮込みや焼き肉にしないで、天ぷらという調理法を選んだのだろう?」といまいち腑に落ちない事はまだまだいっぱいある。こうなったらお店に行ってみるしかあるまい。「せっかくの広島入りだけどお好み焼きやらなんやら、いったん保留。今日のお前の胃袋は天ぷらモード」と宣言。なんとか胃袋とメンタルと時間のやりくりをして、いざ出陣。
外観からはどんなお店なのか想像がつかない。その「天ぷら」とやらを肴にぐいぐい飲むのが中心の店なのか、うどんをずるずるぅとすすって、ものの5分で退店、という殺伐とした店なのか。
ちなみに当のおかでん、勝手に「天ぷらで飲む。しかも昼から。」という気満点になっており、ここで「すいませんねえ、うち、お酒おいてないんですよ」と言われたら絶望しまくっていたと思う。自らの身を切り刻み、「ならば俺を天ぷらにしろ」とかなんとか、駄々をこねそうだ。
おそるおそる、店内に入ってみる。なにせ、人通りが多い道沿いの店ではない。モロに「地元住民の皆様から愛される店」。部外者がのこのこ入っていくのは正直気が引ける。こういう時は、扉を開けた瞬間、コンマ何秒かの世界で店内の状況を把握する技術が必要。席の配置、雰囲気、メニュー、混雑状況、店員さんの配置などなど。
ええと、このお店の場合、いわゆるラーメン屋的な構えだな。カウンター席が厨房と対面で伸びていて、あとは4人がけのテーブル席がいくつか。とりあえずカウンター席に陣取る。
ここでキョロキョロしていては、見苦しい。さも場慣れした常連のように、さりげなくオーダーするのがおかでん的美学。しかし、やっぱり勝手がわからず、あっけなくお店の人にあれこれ親切に教えてもらう事になってしまった。だって、何が何だかわからんのだもの。
頭上のメニューを見ると、基本は麺類の店らしい。ラーメン、うどん、にゅーめん。あと、「めし」と銘打たれたご飯が3サイズある。大変に潔いメニューだ。
そしてここからが本題。天ぷら、あるねぇ。事前情報の通り、やっぱりホルモンだ。「しいたけ」とか「れんこん」といったなまっちょろいものはない。もう、生き物を殺めた以上は余さず食えこの野郎、とばかりにホルモンのいろいろな部位がある。うーん、ディープだ。生まれてこの方、聞いたことないような部位名もあるし。
・・・とりあえず、パス。ちょっとこれは様子を見よう。
お酒もあるよー。
派手さはないけど、過不足ない品そろえで、どうぞお楽しみください。
まさか、うどん食べながらお酒というわけではないだろうから、やっぱりこれは天ぷらを食べつつ飲む、というニーズがあるんだろう。うどんや白米をアテにしてビール飲む人がいたら、ある意味尊敬に値するぜ。
それにしても昔懐かしい、「ジュース」と「コーラ」がメニューにあるあたり、この店は結構年季が入っているっぽい。ジュースって頼んだら何が出てくるんだろう。「ヴァームウォーター」なんかが出てきたら相当びっくりだ。おお、健康志向ですねと。まさかそんなことはないと思うが。リボンシトロンとか三ツ矢サイダーといったレトロなジュースが出てくるのかな。
チェリオのライフガードが出てきたら、「予想外賞」として拍手喝采だけど、そんな飲食店はイヤだ。
これから暑くなる時期、ということもあって「冷やし」メニューも用意されていた。冷しうどんと、冷しソーメン。ラーメン、うどん、にゅーめんと3種類の麺をレギュラーとして据えてあったが、さらに夏になるとそうめんも投入だ。東日本人ならここで「蕎麦あたりを・・・」と思うものだが、「そうめん」が出てくるあたりが西日本文化圏。蕎麦は完全に眼中にないのだった。
冷やし中華を作るとなると、錦糸玉子とかきゅうりとかが面倒なのだろう。メニューには載っていない。あくまでもシンプルなメニュー構成。
カウンター脇にふと目をやると、おでんが大鍋でゆでられていた。
「これは?」
「おでんですよー。好きなのを取っていってください」
なるほど。言われてみれば、メニューにも「おでん」の記述はあるな。店先にセルフのおでんがおいてあるのは、まるで讃岐のうどん屋のようだ。しかしこの文化は結構広島でもポピュラーであり、昔からの中華そば屋では珍しくない。
店内にはおでんとラーメンしかメニューがないです、大盛りなんてないですし、トッピングもないです。麺堅めで?ふざけんな、帰れ・・・という店もある。非常にシンプル。
ではわたくし、本題の「天ぷら」に取りかかる前にまずはこのお店の状況把握のため、おでんを頂くことにしやす。
おでんのつゆは黒々としていて、ずいぶん煮込まれた感がある。手前のボウルには、煮詰まった時用のスープがスタンバイ。
ここで玉子なんて取るのはアマちゃんよ。ええと、まずは目についた厚揚げを取って、それから・・・この肉の塊はなんだろう。ごろりと大きくうまそうなので、とりあえずお皿へ。あと、すじ肉らしきものの串を2種類。とりあえずこの辺にしておこう。天ぷら食べないと、このお店に来た意味がない。おでんで満腹になるのは趣旨が違うぞ。
生ビールを持ってきてくれたお姉さんに、「これは何ですか?」とおでん種について聞いてみた。
そうすると、なんだか異国の言葉か、神の言葉のような聞いたことがない名前を述べられたのでびっくり。完璧に油断していたので、ビール吹き出しそうになった。えええ。厚揚げさんはさすがに厚揚げだが、それ以外は全部ディープなホルモン一族だということが判明。
この肉のような塊だが、これも聞いたことがない名前。二度聞き直したのだが、結局覚えられなかった。あと、すじ肉だとばかり思っていたぐにぐにした串だが、これも謎の名前がつけられていた。ああ、よく見るとハリネズミのようなでこぼこがついている。これは筋ではない。確か、胃袋だかなんだかの部位らしいのだが、正確には忘れた。
「敵情視察の前哨戦」だったはずのおでんもが「ホルモン」という徹底ぶりに完全に隙を突かれれたおかでんだが、このお店はこれくらいでは赦してくれない。
ええと、先ほどのおでんの写真。カウンター奥に、なにやら変なものが映り込んでいるんですが。
あー。
包丁と、まな板!
まな板は、にぎり寿司をのせるつけ台のように足がついているタイプ。それはまだいい。天ぷらでもおでんでも適当にこの上にのっけてくれや。しかし、だ。包丁ってやけに物騒じゃないかオイ。サイズ的には果物ナイフ程度ではあるが、その気になれば犯罪は容易だ。ここでお酒飲んでいたオッサンが隣の客とカープの話で喧嘩になって包丁振り回すとか、金がない人がやってきてこの包丁を店員さんにつきつけて強盗をはかるとか。やばい、まじやばい。しかも、持ち出し禁止用に柄の部分に鎖がくくりつけてあるとか、そういうこともない。ここは性善説がどこまで通用するかを試す、慈愛の園か?
でも多分、実際にナイフもって暴れる奴がいたら、熱々のおでんつゆをおたまでかけられるか、天ぷら油をひっかけられて戦意喪失、お縄頂戴になると思う。悪い気は起こすもんじゃあない。
「この包丁、何に使うんスか?」
びっくらこいで店のおばちゃんに聞いてみたら、「天ぷらを切るのに使うのよ」と教えてくれた。さも当然、といわんばかりに。はぁ、そうスか。ええとおかしいな、僕が知っている一般的な「天ぷら」というのは、包丁を使って切るという概念は存在しないんだが。そんなにデカいのか?ホルモンだからデカい塊で出てくるんだろうか?わからぬ。
「とりあえず天ぷらを頼もうと思うんですけど、メニュー見ても正直わからないんですよ。どれがおすすめですかねえ?」
と、水を向けてみる。もう、「この店には何度も来たことがあるぜ」という振りはとうの昔に諦めている。ここは素直に教えを請おう。するとおばちゃんは一枚上手。
「せっかくだから全部頼んでみたら?」
おおう、お店側から予想外のリコメンド。またここでビール吹き出しそうになった。普通、こちらの胃袋だとか何だとかを勘案して、「アレとコレがおすすめ」と言うものだ。あり得るとすれば、おかでん側から「じゃあ全部持ってきて!」と言って、お店の人が「だいじょうぶ?量多いよ?」と心配されるというパターン。今回は完全に逆で、おかでんの方が「大丈夫ですかねえ?量多くないですかねえ?」と言うありさま。
おばちゃんは「大丈夫大丈夫、食べられるから」とか言ってる。その自信満々の根拠について、とくと解説願いたいところだがまあいいや。全部お願いします。
おばちゃんが厨房にオーダーを通す。厨房にいたお姉さんが、「え?全部?」と聞き返す。「チギモも?」と念押ししている。なんかものすごいジョーカーが混じっているっぽいんスけど、おばちゃん大丈夫っすか。
「チギモ、いけるでしょ?」
「はぁ・・・チギモ、って何でしょう」
「膵臓のことですよー」
厨房のお姉さんがにこにこしながら答えてくれる。いや、その笑顔は大変にまぶしいのですが、膵臓など生まれてこのかた食べたことがない。うまいんかまずいんか、口に合うのか合わないのかさっぱりだ。
「それは癖が強い食べ物なんでせうか」
「嫌いな人は嫌いですけど、好きな人は好きですよー」
自分が「好きな人」であるに違いない、と暗示をかけつつ、
「じゃあそれも。」
とお願いしておく。美味いかまずいかは食べてから決めよう。
で、出てきたのがこのお皿。「天ぷら盛り合わせ」だ。それにしてもなんと華のない「天ぷら盛り合わせ」なんだか。海老があります、とか大葉が、とかそういうカラフルさがない。地味に、目立たないような色合い。
んー。全然わからん。何が何だか、さっぱり。もともとのホルモンの形状さえ記憶が怪しいというのに、衣がついた天ぷらに化けると、もう化粧ばっちりのマダムと一緒だ。元の姿が想像できぬ。
お姉さんに解説してもらったのだが、聞き慣れない部位名だらけなので聞くそばから全部忘れた。
一応、メニューによると
センマイ、ビチ、オオビャク、ハチのス、チギモ、野菜類、白肉
が入っているっぽい。
しかし、「野菜」を食べた記憶はない。・・・これはオーダーから漏れたな、きっと。もうね、野菜食ってるんだかホルモン食ってるんだか、訳がわからん。
センマイとハチノスというのは牛の胃袋であることは知っている。第一胃袋がミノ、第二胃袋がセンマイ、第三胃袋がハチノス。あとは知らない。こういうのは魚の名前同様、地域によって呼び名が違ったりするんだろうか?
後で調べたのだが、第四胃袋が「ビチ」で、「オオビャク」とは大腸の事なんだそうだ。初めて聞いた、ということは普段食用にされないマイナーな部位なのだろうか?マイナーって事は、あんまり美味くないということなのか?ううむ。
それにしても、膵臓を指す「チギモ」だが、よく考えると漢字で書くと「血肝」になるのだな。ひゃー、リアル。
個々の天ぷらはそれほど大きなものではない。しかし、なにせ相手はホルモンだ、食感がぐにぐにしているので、お上品に食べようとするともう少し小さくしたいところだ。そこで登場するのが目の前の包丁、というわけか。
最初から小さく切って揚げればいいじゃん、と思うが、そうすると衣がくどくなりすぎるのだろう。ある程度大きな状態で揚げるのがうまさの秘訣、なんだと思う。適当な推測だけど。
じゃあ、揚がった後に厨房で適切なサイズに切ればいいじゃん、という指摘もあり得る。うーむ、それについてはわからん。確かに、トンカツ屋で「カツを刻むのは各自、テーブルにある包丁でやれ」というのは見たことがない。やっぱりこれは、「いざというときにはチャンバラができるように」というアトラクション要素としての包丁だと思おう。
むちゃくちゃだ。
聞くところによると、このお店界隈にはこういう「包丁が客席にある(ホルモン)天ぷら屋」がいくつかあるようだ。そういう「文化」なのだとしか言いようがない。
さて、そういう文化?に思いを馳せつつ、目の前の包丁で天ぷらを刻もうではないか。
包丁を手にしたはよいが、天ぷらを押さえる「ナイフとフォークのフォークに相当するもの」が存在しない。だから、箸で代用。あれぇ、おかしいな、なんかハイソサエティな食べ物を食べる気分になるかとおもったのに、なんだか想像と違うぞ。
写真右にある、黒く細長いものがうわさの「チギモ」。ぱっと見、ナスの天ぷらかと思ったのだが、裏返しても、中を割っても黒々。さすが膵臓。さすが「血肝」。
肝心の味だけど、忘れた。目の前のシチュエーションを理解し、こなすので精いっぱい。
「これにつけて食べてくださいね」
と出された小皿は、ポン酢。めんつゆではない。しかも、粗挽き唐辛子が入っているという風変わりなものだった。
このポン酢が大変にさわやかでおいしかった。ただでさえくどいホルモン、しかもそれを油で揚げているわけで、ご年配の方にはあまりおすすめできないインパクトがある。それを打ち消すかのように、ポン酢のさわやかな柑橘風味が鼻を抜けていくのであった。そして、ぴりっとした辛さが、味を引き締めてくれるのだった。これは家でもぜひまねをしたい。
そんなわけで、おでん食べて、天ぷら食べたらすっかりおなかいっぱいになってしまった。ああ、そういえばホルモン焼きのお店に行った時も、あれっ、思ったより食べられないもんだな、と首をひねった事があったな。あれと一緒だ。むぐむぐとずっと咀嚼していたので、あっけなく満腹感がくるらしい。
最後、シメとしてなにか麺類を食べて帰るつもりだったのだが、結局ここでお会計。
「残念です。うどん食べたかったんですけどね」
とお姉さんに伝えたら、
「うちはでんがくうどんが名物ですよ。今度またお越しになった際はぜひ食べていってくださいね」
とのこと。あ、名物だったのか。それは惜しい事をした。
その際、ちょうどでんがくうどんを食べているタクシーの運転手さん?のテーブルをちらりと見たのだが、これまた仰天。最後、口をすっきりさせるために飲んだお冷やを吹き出しそうになった。
田楽といえば、普通は串に刺した豆腐かこんにゃくに味噌を塗って炙ったものだ。そんなものがうどんの具というのは大層物騒なものだが、このお店の場合は全く様相が違う。ここにおける「でんがく」とは、内臓肉(と野菜)の煮込みなのだった。そんなわけで、うどんの丼の上に、各種ホルモン様がミックス状態でどっちゃり乗っておる。えええ、これも「でんがく」を名乗っていいものなのか。驚いたなあ。
で、昼飯時にやってきたお客さんのほとんどが、「でんがくうどん」を頼み、まるでセルフうどん屋のトッピングよろしく、ホルモンの天ぷらを1品ないし2品程度注文してがっつり食べているのだった。すげー。知らなかった、こういう食文化が広島にあったとは。
では早速B-1グランプリにエントリーを・・・やめとけ。これはこれで、広島のごく一部の庶民の味として楽しめれば十分。岡山県津山市の「ホルモンうどん」とわざわざ争う必要など、ない。
調べてみたら、「でんがくうどん」なるものは、まさに日本全国この一帯にしかない文化っぽい。ホルモン天ぷらもしかり。こんな身近なところに、「隠れご当地B級グルメ」があったとは!驚愕のあまりビールの酔いが冷めてしまった。
やたら感心しながらお店を後にしたら、野良猫がブロック塀の上でうたた寝していた。「なんだお前、今頃ホルモンの存在知ったのか?だっせぇぇぇぇ」という顔で一瞥されちまった。ちぇっ。
(2010.06.28)
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