衝撃の発明・卓上自動串焼

なんだか一人でねっとりとお酒を飲みたい気分だった。

そんな時に居合わせた池袋をあてもなく歩き回る。池袋は大小様々な飲食店があり、選択肢だけでいうと軽く数千店舗はあるだろう。しかし、では「今の気分に合った店」であり、かつ「一人で入店しても居心地が悪くない・お店からイヤな顔をされない店」というのは案外と少ないものだ。

夕方19時すぎ、かき入れ時で繁盛しているお店に「一人ですけどいいッスか」なんて入るのは無粋の極みだ。カウンター席がある店ならともかく、鍋料理屋なんて入って4人がけの席を占拠なんて営業妨害以外の何物でもない。

ああそういえばジンギスカン食べたいなぁ。ちらちらと先ほどからジンギスカンの看板が見える。

結局その日は2時間半、足を棒にして歩き回ったが成果なし。水いっぱいすら飲むことなく、雨に打たれながら自宅最寄り駅に逃げ帰ったのだった。ちょっとお祝いしたいことがあったので、行きつけのイタリアンバールでスパークリングワインをボトルで開けちまったい。もちろん一人で、手酌だ。かっけー。

ただ、ネタは拾ってきた。池袋西口から歩いてほど近いところにあるお店、「千里香」。

「中国東北料理」を謳っている。

中国東北料理といえば、今年の5月に御徒町の「故郷味」で犬肉料理オフ会を開催したのが記憶にあたらしい。他にも、池袋北口には「大宝」という東北料理の店が以前から存在し、「ディープ池袋北口」の主役クラスを担い続けている。

最近はやりなのかね・・・と思ったが実際はそうではなく、単におかでんのアンテナが「中国東北料理」に対して受信感度が良くなっただけのことだろう。

辛いモノ好きであり羊肉が好きなおかでんにとって、中国東北料理は結構ツボにはまるジャンルだ。このお店の看板を発見した際は、「おお?」と思ったものだ。

しかし、その「おお?」が「おおお!?」にほどなく変わったのは、看板にはこう書かれていたからだ。

「日本初 卓上自動串焼」

自分で焼き鳥を焼く店が石神井公園にある、という話は以前当サイトのBBSにたれ込みがあった。なるほどそれはいいアイディアだと膝を打ったものだが、そうか、金串に刺した料理が多い中国東北料理においても「卓上セルフ調理」の店があるのか。それはなかなか楽しそうだ。自分で焼き上げ、できたての熱々をほおばるとビールが相当すすみそう。ぜひこれは試してみたい。

・・・ただこの日は、やめておいた。お店が混んでいない、空いた時間にしないと。まさかお一人様用に串焼き調理器具と座席が用意されているわけではあるまい。テーブル席を占拠してしまうのはちょっと申し訳ない。

翌日に持ち越し。あらためてこのお店を再訪。

ファミレス的ボックスシート

お店は雑居ビルの7階にあるため、若干入店がはばかられた。1階にメニューを置いていてくれれば安心なのだが、全く情報がつかめない。お店のキャパも、価格帯も不明。

「とりあえずエレベーターで7階まで行って、店の前で雰囲気を伺ってから入店しよう」

と思い、該当階へ行ってみる。すると・・・まあ、案の定、だったのだが、エレベーターの扉が開いたらすぐそこが店内という作り。

「いらっしゃいませー」

・・・まあいいや。今更「やっぱり怖じ気ついて帰る」という選択肢はあるまい。

店内はボックスシートが中心のファミレス風。客席は100席以上あるようで、それなりにキャパがある。たださすがにカウンター席は存在せず、今回のようにアイドルタイムに行かない限りはお一人様、立場無しだ。

これが衝撃の発明

おお?

案内されたテーブルで、真っ先に目につくのが「卓上串焼」の機械。

なんだか見慣れないフォルムで、ありそうでなかったメカだ。

これは気になる。非常に興味津々。

こんなものを目の前にしちゃうと、そりゃあもう串焼きをしまくるしかないでしょう。

この時点で「今日は串を焼いてビール」と頭の中で絵コンテができた。

なるほど、下には練炭を入れるのだな

基本的には炭火焼肉と一緒の発想なんだな。

テーブルに埋め込まれた七輪状のところに練炭を入れ、そして外枠のくぼみにあわせて串を並べて炙る、と。今回はお一人様なので、練炭は床面積の1/2だけ。

なるほど、これは日本居酒屋文化の象徴・焼き鳥でもばんばん応用がきく仕組みなのに、なぜ日本ではほとんど普及していないのか?不思議だ。多分、「焼き鳥=安い食べ物」という印象が日本人にはすり込まれてしまっていて、こういう「機器を使ったセルフ調理」でのコストアップにそぐわないのだろう。高級焼き鳥屋になると、お店の人が職人技で調理するわけであり、客に焼かせるなんてとんでもない、となるし。

そんなわけで、この機器は特注品だ。中国東北地方ではこの手のものが汎用的にあるのかもしれないが、いずれにせよわざわざお取り寄せをしなくちゃいけない。

不思議なのが、一枚上の写真を見てわかるとおり、焼き台の上部に「ぶら下がり健康器」のような棒というか柵みたいなのがつきだしていることだ。これ、なんだろう。

「多分、酔っ払って身振り手振りが大きくなった人が、うっかり練炭に手を突っ込んでしまわないようにするための『危険防止柵』だ」とこのときは勝手に解釈。

しかし、後になって知ったのだが、これって、焼き上がった串を一時待避させるための場所だったんだな。数名で来店した場合は、ガンガン下で串を焼くことになるので、焼き上がり次第上に移動願うという段取りになるようだ。なるほどよく考えられている。

「焼き上がったまま放置されて黒こげになる焼肉」の悲惨さは焼き肉屋では定番だし、併せて「お前とりあえず食えよ」と無理矢理取り皿に半焦げの肉を押しつけられるのも様式美の世界。それとは無縁の知恵がここには、あった。

なお、この仕組みを知ったのは、この記事を書くにあたって再度確認した「故郷味」のwebサイトだった。あれー、このお店、卓上串焼器があったんだ。酔っ払ってすっかり忘れていたよ。

お品書きはカラーで分厚い
串焼きが一杯あるよー

メニューは全ページカラー写真入りで大層なボリューム。

きっちりジャンル分けされていて読みやすい構成になっているのだが、相当メニュー数が多いために5分ほどうんうん唸っても読解が難しかった。数名で訪れて、雑談したり相談しながらメニュー吟味していたら、何も決められなくて「目についたものをとりあえず頼んじゃえ」とやってしまいそうな危険性有り。食べたいかどうか、ではなくて目についたから、という理由で注文した時ほど、あとの自己嫌悪感はない。

さすがにこのお店、メニューのトップが串だ。あらゆる串料理がびっしりと2ページにわたって記載されている。しかもそのトップ中のトップ、7品目が羊肉。よーし今日はマトンデーだ。羊肉をあれこれ食べてみようじゃないか。

おかいこさんが串焼きにされている

羊肉だけじゃなくて、少しは変化球を、と肉以外の串メニューを確認していたら・・・。

蚕蛹(1本) カイコ 210円

うわあああ。おかいこさんになんちゅうことを!

そうかぁ、おカイコさんも食べちゃうんかぁ。そりゃそうだよなあ、繭を頂戴したら、まるっとご本尊が残るもんな。「これ・・・食べられないかな?」と試してみるのは人として当然の行為だ。逆になぜ日本人は食べなかったんだろう。

いや、後で調べてみたんだが、虫食文化で有名な長野県に限らず、日本全国ほとんどで昆虫は食べられていた歴史があるそうだ。ハチ、カミキリムシ、バッタ類などはほぼまんべんなくどの地方でも食べていたんだと。おっと忘れちゃいけない、おかいこさんもやっぱり全国レベルで食べられていたメジャー昆虫。そうだったのかー。

さすがに21世紀の今となっては、絶滅危惧文化になってしまったが。だってだって、グロいんですもの。うまけりゃグロくてもいっこうにかまわんが、さすがに昆虫は露骨すぎる。「サンマの塩焼きは首を落とすべきだ。サンマの顔が蛇みたいで気持ち悪い」という妙な偏見を開陳した山岡士朗の意見には世の中の一定数が「?」と思ってねじれ国会化したはずだが、「昆虫を食べるのは気持ち悪い」というのは2/3以上の議席数確保ができる賛意を得られると確信している。

小学校の授業で、かいこを飼育して、繭から絹糸を採取するというものがあった。あれだけ時間をかけて飼育したかいこをゆでてしまうという残虐さに、クラスは騒然としたのを今でもはっきりと覚えている。で、絹糸を紡いでいるうちに中からお亡くなりになったさなぎが・・・。それ以降、僕はシルク製品は着ないことにしている。いや、単に金がないからシルク製品買う機会がないだけなんですけどね。ユニクロ最高。

それにしてもカイコって案外安いもんだ。1串で210円って、羊肉の串と同じ値段じゃないか。

うーむ。

あ、いやいやいや、今日は頼まないよ?こういうのを頼むのは、誰か別の人が居て「その場の勢いで!」という時に限る。一人ではちょっと。ええ。はあ。

ビール味の茄子!?

優柔不断かつチキンなおかでんが、10分以上もメニュー本を前に悩んでしまったのは、そのラインナップだけではない。値段がそれなりにお高いのだった。たとえば串類の多くは210円。立地条件を考えればこれは仕方がない。うっかり一本80円とかで食べられる激安居酒屋の焼き鳥感覚でばんばん食べていたら、えらい事になりそうだ。あんまりがっつくの、禁止。

「せっかくだから炒豆苗とか、炒空心菜食べたいよな」と野菜類のページを見ると、わおう、どれも1,000円以上しやす。しかしこれは仕方がない。数名でシェアする事が前提のボリュームなんだろう。こういうメニューをみてつくづく思うのは、「一人酒って案外割高なんだよね」ということ。おしゃべりしないこともあって、お酒のピッチが早まって量が増えるし。

おかでんの「血液」とも言えるビールも、大ジョッキがあるのは大変に結構だけどお値段945円。むー。2杯飲んだら2,000円近くするぞ。事前に事業計画を立ててから注文しないと、成り行き注文していたらやばい。まじやばい。

結局、お皿料理は頼むのをやめた。今日は「卓上串焼き」を満喫するのが主目的。串だ、串。とりあえず羊肉を片っ端から持ってきてくれ。

写真は、料理の中で興味深かったもの。

啤酒茄子 ビール味の茄子 1,029円

ビール味の茄子って一体なんだ?ものすごく気になる。気になるが、ビール飲みながらビール味の茄子を食べるってあまりに不毛なので注文はやめた。

てっきり、日本語翻訳のミスなのかと思ったが、中国語も堂々とまごうことなく「啤酒茄子」だもんなあ。文句のつけようがないわ。

突き出しでぐいぐい飲むもよし

そうだった。中国東北料理の店って、朝鮮料理の流れを汲んでいるので、お通しに小皿がいくつか並ぶんだった。これだけでビール飲めちゃうな。あれこれ大皿料理を無理して頼まなくて正解だった。

3品のお通しという太っ腹。

お会計時にレシートを確認したが、日本の居酒屋のように「お通し代」はとられない。お通し的料理が出るという食文化は日本と共通しているが、お金を取っているのは日本居酒屋文化特有であり、最大の汚点と言える。ちなみに蕎麦屋でお酒を頼んだら、ちょっとした酒肴が添えられる事が多いが、あれは別料金無し。一体いつの間にこういう文化が根付いてしまったんだ、日本は?

串がやってきました。早速焼くぞ

串が出てくるまでは結構時間がかかった。おそらく、ディナータイムまでまだ余裕がある夕暮れ時に訪れたということで、仕込みが終わっていなかったのだろう。でもご安心を、先ほどのお通しと大ジョッキがあれば我が軍はまだ戦える。持久戦だ。

ビールのアルコール分が大脳に到達し、世の中すべてが愛おしいという「逆賢者モード」に入ってきた頃になって、待望の羊串到着。いいぞ!いいぞ!クラップユアハン!スタンディングオベーションでお出迎え。

頼んだのは、写真左から順に、

「千里香特色串」 千里香特別味串 210円 2本
「羊肉」 羊カルビ 157円 1本
「特辣羊肉」 激辛羊カルビ 210円 1本
「麻辣羊肉」 マーボー羊カルビ 210円 1本
「羊精肉」 羊赤身 210円 1本
「羊筋」 羊スジ 210円 1本

・・・あれ?数があわない。既に串焼き器にセットされている分も含めると、6本頼んだはずなのに7本あるぞ。料理を運んできた際、店員さんが串の説明をしてくれたのだが、そこで若干混乱していたのはこのせいか。今こうやって文章書くまで全く気づかないおかでん、相当間抜けだな。全く気づかずに7本食べちゃったよ。

それもこれも、目線と興味はすっかり卓上串焼器に向かっていたからだ。

これが動力源

金串を縁にひっかけて、後はじりじりと練炭で炙るものだと思っていたのだが、馬鹿言っちゃいけない。実はこのマシン、超ハイテクメカなのだった。

店員さんが、串を2本セットしたのち、串焼き器の脇をさわる。そこにスイッチがあったらしく、スイッチが入ると・・・おおお!?なにやら串焼き器のフレームがゆらゆらと左右にゆっくり揺れだしたぞ。こいつ、動くぞ。

まるで、扇風機の首振り機能のようだ。フレームが10センチくらいゆっくり左にせり出し、そしてまた右に戻っていく。

可動部は非常にシンプルで、キャップのようなものがゆっくりとモーターで回っているだけだ。この「キャップ」、わざと軸が円の中心からズレて作られているため、回転する際に楕円の軌跡を描く。その動きで押されたフレームが左右にゆらゆらと動く、という仕組み。

ではこのゆらゆらは何のために?

串に歯車がついていたのだ!

回答は、この写真の通り。

先ほどの「左右ゆらゆらマシーン」によって、四角い穴が無数に空いているフレーム部分が右へ左へと動く。そして、肉が刺してある金串には実は歯車がついていて、この四角い穴にジャストフィットするのだ!

つまり・・・どいうこと?

ゆらゆらマシーンの動きにあわせて、串が常にくるくると回転しているってことだよ!言わせんな恥ずかしい。

な・・・なんてチャクラだ・・・ な・・・なんてチャクラだ・・・!

焼きムラなく、360度まんべんなく均等に焼きを入れてくれるという、自動串焼き器!なるほど、これは「日本初」を謳うのもわかる。た・・・たまんない・・・串焼きェ・・・。

これなら、会話に夢中になっていたら片面黒こげ、なんて悲劇が防げる。ただし、本当にうっかりしていたら全面黒こげになるけど。御徒町の中国東北料理の店にもこれに類した卓上串焼き器はあるらしいが、どうしても串と肉のバランスが悪く、重さが偏っている方にくるんと回転してしまい難儀すると聞く。しかしこのシステムならそのような事はない!常に強制的に歯車が肉を回し続ける!これ、ラック&ピニオンの仕組みだよな。すげーな、串焼きでこういう仕組みを思いつくなんて。

こいつ・・・かなりの切れ者。

あまりにもすばらしい仕組みなので、思わず動画で撮影してしまった。

しかし、この動きを見ているとお子様からおじいちゃんおばあちゃんまで、家族一同ニコニコしちゃいますよ。肉が自動的にくるくる回転するのは、なんとも幸せの象徴。

いや、ケバブ屋台なんぞでも肉が回っているが、あれはゴツすぎてあんまりニコニコする気にはなれないんだけどね。「これからかぶりつく予定」の我が愛しの串どもがくるりはらりと回っているのって、笑顔なしでは見られない光景ですわ。

そこで思ったんだが、この串の回転機構をもう少し工夫すれば、「機械の右側から串をセットすれば、左に向けて串が転がっていき、端まで来たら焼き上がり」という仕組みも作れるぞ。宅配ピザ屋のピザ釜、ないしは「天丼てんや」のフライヤーみたいな仕組みだ。

さらにさらに、定番である串を事前に「オートローダー」にセットしておけば、ボタン一つで串が焼き台に転がり落ちてきて自動セット、そして焼きが始まる・・・って事もできるな。ボタン押したら、その都度POSに記録されて、最後「串を食べた分だけきっちりお会計」ができる。

これで、「生ビール注ぎ口」がテーブルにあって、計量メーターがあって注いだ分だけ請求、という仕組みも組み合わせると最強。完全オートメーション飲み屋だ。

ただし、機械が壊れただの、保健所の指導で洗浄殺菌がスゲーめんどいとかあって、その分がコストにガツンと跳ね返ってくるのは確実だが。

予想以上にいい感じに焼けました

ほれ、焼き上がり。

あまりにまんべんなく焼けてくれるので、本当に火が通ったのかがわからないくらいだ。そもそもいろいろ香辛料が塗り込んである肉なので、わかりにくいというのもあるのだが。

串は結構長いので、焼き鳥感覚で丸かじりしようとすると喉を突き刺してしまう。適当に串から肉を外して食べるのが正解のようだ。

うん、美味い美味い。多分火はちゃんと通っている、と、思う。

干豆腐巻を頼んでみた

何か別のものも頼んでみようと思い、野菜類の串を選択。

こちらは「干豆腐巻」というもの。210円。高野豆腐みたいな乾燥豆腐は中国でよく見かけるが、それをくるくると巻いたものだった。さすがに串一本ではおぼつかないらしく、ダブルで登場の勇ましさ。

上にはでんがくのように味噌だれっぽいものがかけられている。

この串は回転しません

あれ。

これは回転しない串か。セッティングしてみて気がついた。

でも確かに、二本の串が刺さっている食材において、串を回転させたら食材が引きちぎられるな。そりゃそうだ。なるほどこれでまた一つ賢くなった。

うまいこと串がセットできるように角度をセルフチューニングの上、調理。

手作業でターンターン

自動的にくるくると串が回って焼いてくれるのを見るのは楽しいが、「回らない串」を自分の手で時折ひっくり返すのも楽しい。

何だろうこの楽しさは。「焼肉をひっくり返す」のは大して楽しいとは思わないのだが、この串はめっぽう楽しいぞ。焼肉だと「あー、肉が焼けすぎたよ?」とかなんとか、すぐに責任問題になっちゃうのだが、この料理に関してはじっくりと炙る余裕があるからだろうか?

ほれ、焼き上がった。

回転しない分焼きムラができるが、それがまた愛おしい。

食べてみたら、中には香草が入っていてとてもさわやかだった。美味い美味い。

ジャガイモです

ジャガイモの串もあるので頼んでいた。それがこちら。

ポテトチップス状の芋が串に刺さって出てくるのはメニューの写真でわかっていたが、注文時はてっきりこれも卓上自動串焼き器でぐるりぐるりと回転するものだとばかり思っていて、想像するだに血湧き肉躍ったものだ。しかし実際は2串なので回転は無理。手作業で仕上げるがよろし。

ちなみにジャガイモの事は、中国語では「土豆片」と表記するらしい。すごい名前だけど、確かにその通りだ。あれ?ということは、「馬鈴薯」って日本語だったのか。てっきり大陸由来の言葉かと思っていた。漢字だから。

たかがジャガイモだけど、非常にいとおしい

焼き上がりはこんな感じ。

反り返って串刺しにされているので、当然火がよく通っているところと不十分なところがある。料理として未完成なものだとは思うが、いやいや、自分で丹精込めて串を回したと思えばこの不そろい感もまた愛おしいものですよ。

調子にのって、羊の串を2本追加。

ああそうだ書き忘れた。羊を食べる際にどうぞ、と調味料が少量盛られた小皿が配膳されていた。粗挽き唐辛子、クミン、細かい唐辛子+岩塩?。中国東北料理のお店で羊串を頼んだら、クミンが強くて「非常にカレーっぽい味と臭い」に仕上がっている事が多い。しかしこの店はたくさんのスパイスを使っているとのことだが、ガツンとくるスパイスの風味はあまり感じられない。

マッコリ頼んじゃった

ビールの杯を重ねていると、お会計時のお札の枚数もどんどん重なっていってしまう。

ビールは危険。かといって焼酎をあおるのもキツいので、マッコリにした。

マッコリはビールとほとんど同じ度数(6度程度)なんだが、ビールの飲み方とは違ってまったりゆったりとする。お一人様で飲み食いをやっていると、予定外な出費になることが多いので「ゆっくり飲めるお酒」というのは重要。ビールではそうはいかない。

なお、「度数がある程度あるお酒をちびちびと」というのはおかでんには無理。ついついビール感覚でカーンと飲んでしまうので、一人で飲んで一人でへべれけになる。大変によくない酒だ。

というわけで満を持してのマッコリ1リットルなのだが、お値段1,575円。うーむ、一人で飲むお酒じゃあないな、これ。両国のちゃんこ料理店に一人で行って、「横綱ちゃんこを二人前。あ、もちろん僕一人で食べます」って言って「えっ?」と店員に驚かれる、みたいな気まずさは、ある。

結構汚れます

お会計合計は5,669円と、お一人様にしてはずいぶんと豪勢じゃねぇかこの野郎、という結果になった。馬鹿ですかあなたは。

でもね、このお店には納得ですよ。料理が高いなんて言ってられない。だって、厨房で串焼きやりゃ店として楽なのに、わざわざ卓上に専用の設備作っちゃうんだもの。コストかかりまくりだ。しかも、練炭入れたり、灰を片付けたりと面倒。ガスやら電熱にしなかったのはご立派。さらに、串焼き器の周辺は串のたれや調味料があちこちに付着しており、この片付けも一手間だ。店員さんご苦労様です。それを考えたら、羊肉一串157円から食べられるというのはありがたい事だ。

次回ここを訪れる機会があれば、4名くらいでわいわいとやりたい。串焼き器いっぱいに串を並べてくるくる回し、焼き上がっても誰も手をつけていない串がずらりとその上で待機している光景・・・ああ、それはぜひ見てみたいものだ。

(2010.07.29)

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