久しぶりに特に予定がない日曜日だった。本当は山にでも登りに行こうかと思っていたのだが、天気予報は雨。早々に山行を断念した。しかし、実際は雨が降らず、なんとも拍子抜けに。
夕方になっていよいよ退屈になってきたので、「ビールでも飲んで楽しい時間を作ろう」ということにした。でも、どこで?
一人飲みが違和感なく溶け込める場所ってどこかな・・・。近所の餃子の王将でもいいけど、いまいち盛り上がりに欠ける。日高屋?いやー、ちょっと気分じゃないな。
そこで思いついた。そういえば「一番搾りフローズン」の専門店、「フローズンガーデン」が先日オープンしたんだっけ。せっかくだからこの際、そこに行ってみようか。
一番搾りフローズンは、マイナス5度でシャーベット状にした泡が特徴の一番搾り。今年(2012年)から展開開始のニューフェイスだ。一体どんな味がするんだろう。

はやる気持ちを抑えて、フローズンガーデンがある大手町へと向かう。ビジネス街である大手町は、さすが日曜日だけあって人が少なかった。もちろん、この人気のなさもおかでんの狙いの一つだ。平日夜、会社帰りに立ち寄ろうとしたらものすごい人出になっているはず。人がいないときに行く、この逆張り戦法が東京界隈の期間限定イベントを楽しむコツだ。
産経新聞社のビルの前にある広場に、フローズンガーデンが忽然と現れていた。泡が特徴の一番搾りフローズン。それを象徴するように、ソフトクリームのような泡が建物のオブジェとして目立っていた。
これが白だから泡に見えるけど、茶色だったら・・・やめとけ、余計なことを考えるな。

店の外はオープンテラスとして着席できるテーブルが並ぶ。一方店内はスタンディングで飲食できるようになっている。よし、おかでんはこの店内で、敢えて空気椅子状態で飲んでやるぜ。ワイルドだぜ?

メニュー。
1パイント(570ml)700円、3/4パイント(430ml)600円。フローズンになると値段がちょい高めになる。高い値段でも売れるんだから、お店としてはうれしい限りだろう。最近、居酒屋におけるビールの値段が下落して、「生ビール380円!」程度では驚きもしなくなっている。そんな中、値段が高くても売れるわけだから、うれしくないわけがない。
とはいえ、うれしさ任せに何杯でも飲んで良い、というわけではない。平日限定だが、「一人二杯まで」という制約が設けられていた。長っ尻する人がいて、客回転が悪くなるからだろう。ほら、やっぱりこのお店は平日は混雑するんだ。日曜日に訪問できてラッキー。

レジで自分の順番がやってきたとき、ついつい口が滑り「ビール、1パイントを2つ!」と言ってしまった。一人で訪れているのに、なんで2杯のビールを買ってるんだよ。1つを飲んでいる間にもう一つがぬるくなっちまうじゃねーか。
いやいや、これも作戦のうちだ。「泡がふたをして、30分間ビールの冷たさをキープ」という売り文句なので、だったら本当にぬるくならないか試してみよう、というわけだ。
・・・というのは後付けの理由だけどね。実際のところは、「どうせ二杯飲むんだ、だったら面倒だから最初から頼んでしまえホトトギス」という心境だったわけで。
ビールのお供は枝豆。オフィシャルwebサイトからたどれば、枝豆増量のクーポンが手に入るので、それを使った。

うわさのフローズンを間近に。
おお、確かに普通のビールじゃないな。アイスクリームみたいなねっとり感がある泡になっている。
さっそく飲んでみる。あ、確かに泡がシャリシャリしているな。これは面白い食感だ。最初、シャリシャリした食感がきたあと、しばらくしてようやくビールにたどり着いてぐびり。泡が分厚いので、カップに口を付けたときから喉をビールが通過するまでのタイムラグがある。
ビールもよく冷えていて、おいしい。

さすがフローズンだけあって、泡がなかなか消えない。ビールがカップに注がれてから既に10分が経過しているのに、この状態。泡がシェービングムースのようだ。もちろん、ビールは冷たいままだ。

どうしてこんなに根気のある泡ができるのだろう。不思議に思ってカウンター内のビールサーバーを眺めてみた。
なるほど、普通のビールサーバーとは明らかに違う形だ。
ビールとは別に泡を抽出し、それを撹拌しながら冷却している模様。ああ、僕もあの中に入って冷やされたい!と思ったが、さすがにマイナス5度は冷えすぎだ。やめとけ。

専用のコースター。記念に自宅に持って帰っても良かったが、こういうのって、いざ持って帰ったところで取り扱いに困ってしまう。だからやめにした。横川駅の「峠の釜めし」におけるお釜と一緒。

飲み始めて1時間経過時点の泡。まだ泡が残っているとは、ビールの常識を超える飲みものだな、これは。
ただ、さすがにしばらく時間が経った一番搾りフローズンは、シャリシャリ感がなくなっていた。シャーベット感覚が楽しめるのは、注いでから10分くらいが限界らしい。シャーベット状ではなくなった泡は、普通のビールの泡。単なる「よく冷えたビール」になってしまうので、面白みは薄れてしまう。いくら30分間冷たさがもつとはいえ、やっぱり提供されたら素早く飲み干すのが吉だろう。

1リットルちょっとビールを飲んだので軽く酔っぱらった。よーし、酔った勢いだ、これから銀座まで歩くぞー。せっかくだから、アサヒビールが運営する「エクストラコールドバー」に行って、ここでも氷点下のビールを飲むぜー。
大手町から銀座まで徒歩で30分程度。エクストラコールドバーに到着。
ここはおかでんが何度も訪れたことがある店。しかし、店頭に並ぶ大行列を前に、毎回諦めて退却してきた歴史がある。一体何度諦めてUターンしたことか。何しろ、18時半から19時頃に訪れると、大抵店に入れないお客さんが数十名規模で並んでいるわけで。「たかが」という言い方をしちゃいけないんだろうが、しょせんは「よく冷えたビール」。それだけのために行列を作るのはなんともばかばかしい。だから、いまだにこのお店の中に入ったことがない。
しかし、だ。日曜日夜って素晴らしいねえ。店の前には行列が皆無。これぞ長い間求め続けてきた状態だ。さっそく店の中に入ってみる。

店内はオールスタンディングになっていて、おかでんはカウンター席のど真ん中、ビールサーバーが目の前にある特等席(?)に案内された。席に通されるやいなや、「エクストラコールドおひとつでよろしいですか?」と聞かれたのが面白い。そりゃそうだよな、このお店にやってくる人はみんなそれが目的だもんな。ここで「烏龍茶を」なんて言うと相当なあまのじゃくだが、せっかく並ばずに入れた今回。変なまねはよせ。おとなしくビール飲んでろ。
間髪入れずエクストラコールドのスーパードライが到着。お通しとして小ぶりなワンタンがついてきているのが面白い。ちなみにいっぱい550円。一番搾りフローズンよりは割安感がある。でも、ビールメーカー直営店なんだから、もっと安くてもいいと思うんだが、それは身勝手な要求だよな。お客さんが鈴なりになっているんだから、むしろ値上げしても良いかもしれない。

そそり立つビールサーバー。表面に霜がおりているが、てっきりこれは特殊加工されたものだと思った。店員さんが「ビールサーバーごと冷やしているんですよ」と教えてくれたので、ためしに触ってみたら、おおう、これ、本物の霜だ。こんなにびっしり霜が付着するビールサーバーってすごいな。
ちなみに温度は-2.2度。大変によく冷えています。
冷えたビールといえば、家飲みを思い出す。スーパーで買ってきたビールがぬるいので、急速冷却するために冷凍庫に入れておくっていうやつ。で、大抵は「冷える前に我慢できずに取り出して飲んじゃった」というパターンか、「うっかりその存在を忘れて放置。ほとんど凍りついた状態で発見される」というパターン。そんな「半分凍ったビール」を無理やり飲むと、おいしくないんだな、これが。
しかし、-2.2度というのはビールがまだ凍らない温度らしい。そのかわり、泡がものすごくきめ細かい。普通の飲食店ではなかなかこういう泡にはお目にかからない。泡が粗い、ということだ。
さっそく飲んでみる。うん、これはなめらかだ。泡の粒子が非常に小さいので、飲み口がとってもシルキー。炭酸がバチバチ口の中で跳ねる感じは皆無。それが第一印象。ビールの味は、「まるで水のようだ」と言うと言い過ぎだが、どんどん飲めちゃう。ビール特有の苦みがあまり感じられない。ビールが苦手な人でもこれなら飲める、というかもしれない。まあ、とはいえ、ビールの魅力の一つが欠けている状態なわけであり、ビールが本当に好きな人からしたら「邪道」なんだろうけど。


ビールのお供。
「バーニャカウダ」と「しらすと九条ねぎのピザ」。どちらも値段はリーズナブルだったと記憶している。

一杯目を飲み終わる直前に、店員さんから声をかけられた。「エクストラコールドを自分で注いでみませんか?」と。もちろんやらせてもらいます、ええ。ここの店員さんは明るくはきはきとしていて客対応がお上手。細かいところに目が届いている。アサヒビールのアンテナショップなので、人件費無視した人員配置をしているのかもしれない。
店員さんに手取り足取り教えてもらいながら、エクストラコールドを注ぐ。なかなか面白い。タンブラーを持つ位置、角度、注ぎ方などいろいろ「お作法」がある。

エクストラコールドを自分で注いだら、「エクストラコールドマスター」の認定証をもらうことができた。2012年は5月10日からこのお店は営業開始しており、それから数えて1685番め、というカードだった。このカードを持っていたら、友達に自慢できるね!・・・??ほんとか?
というわけで、一日二軒の氷点下ビールめぐりをしたわけだが、新しい飲み物というだけあってなかなか楽しい一時を過ごすことができた。今回の勝因は「日曜日に訪れたこと」だった。今後も、ビジネス街にあるこの手の施設に行くときは、あえて週末を狙ってみようと思った。
(2012.06.03)
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